おはようございます。
感動の再会は、土曜ではなく金曜でした。
これこそが、本作の重要な点でしょう。
マダムのもとに来ると約束した咲太郎ですが、さぁ、どうなるのでしょうか?
その金を貸してください
寝転がり、憂鬱そうな顔で天井を見つめる咲太郎。
そこへ、師匠・島貫の相方である松井が上機嫌で帰宅します。
島貫が怒っていたと呆れ顔の咲太郎ですが、それはせいせいしたと松井は言い張ります。
なんでも博打でツキが回って、舞台どころではなかったようです。
人間として実にいい加減ですが、当時の芸人は、こういうノリでもよかったもの。
『わろてんか』は漂白しすぎでした。
あの界隈を朝ドラで扱ってもよいと判断し、歴史修正する駄作を作り上げたNHK大阪は、愚かにもほどがあると思います。
原資は受信料ですからね。
博打で大勝したと聞いて咲太郎は、怒るどころか目を輝かせ、頭を下げます。
「その金を貸してください!」
「いくら?」
「10万!……1万でも……!」
松井は戸惑いながらも、戦利品を見せてきます。
腕時計がズラリ。これを質屋に持っていけと告げるわけです。
しかし、咲太郎よ……10万円ってどうしたのさ?
昭和30年当時の大卒初任給が1万円程度です。結構な金額ですよ。
お兄ちゃんは逮捕された
「川村屋」では、なつと富士子が待ったままで夜を迎えています。
そろそろ諦めたら?と促すマダムに、信哉が浅草に向かっていると返事をします。
そしてその信哉が、単身で戻ります。
「どだったの?」
ここで衝撃の事実が。
「警察に捕まった……」
ど、どういうこと?
なつだけではなく、視聴者もそこは思うところです。
聞けば、質屋に持ち込んだ時計が3日前に紛失届を出されており、通報されたのでした。
あえなくお縄になったそうです。
なんてこったい!
まぁ、これもありうる話です。
博打好きとなれば、堅気ではない。盗品ならば負けて取られても惜しくはない。
そういうあやしい社会に関わることそのものが、ハイリスクなのです。
咲太郎は、そういう世界に堕ちてしまっているのです。
別世界の人びと
翌朝、浅草の「六区館」に向かう二人。
そこには、化粧をするローズマリーというダンサーがおりました。
彼女は咲太郎が無実だと、あっけらかんと言います。
3日前は、朝まで自分といたからアリバイがあるって。
そのことを警察に話したかと問われ、そんなこと通じないとヤケクソ気味に半笑いです。
「恋人なのに……」
富士子には理解できません。
ローズマリーは、そんなもんじゃない、とこれまた言い切ります。
「出てきたら遊びにおいでって言っといて」
出番だからと去るローズマリー。
なつと富士子には、理解できない世界です。
北海道の田舎。そして浅草。
北海道の開拓者は、愛だけではなく、生き残るためにも、お互いを思いあって支えなければならないものでした。
そんな相手が危機に晒されたら、何がなんでも助けに向かう。そういう相手でなければ、夜を共に過ごすなんてありえない。
富士子と剛男は、そういう世界に生きています。
花婿候補から剛男がいいと決めた瞬間、富士子は何があろうと彼しかいないと誓ったことでしょう。
しかし、ローズマリーは違う。
あまりに命が軽い世界。愛した相手が、翌日にはいなくなっているかもしれない。そんな世界を見てきてしまったのでしょう。
そんな世界では、一晩だけでも共に過ごす相手がいても別に構わない。お互いそんなもの。
彼女の生い立ちが語られるわけではありません。とはいえ咲太郎と同年代で、ワケありの職業従事者です。
明るく振舞っていても、どこか寂しく悲しい女性なのです。
藤正親分登場! そこにヤクザがいた
なつと富士子は、新宿の「川村屋」に戻ります。
やっていないのであれば、きっと助かると励ます富士子。しかし、なつの心細い表情は変わりません。
茂木が、二人の帰りを待っていました。
そこにいたのは、白髪に和服の紳士……迫力ある男性です。
「なつさんかい。北海道からよく来なすって」
あんたもえらい。そう富士子を褒める紳士。
この口調、仁義ある行いを真っ先に褒める……これはどう考えても、その筋の人です。
彼は藤田正士――通称・藤正。藤正の親分です。
これはどう見てもねえ。一応、元がつくとはいえ、「藤正組」の組長だそうで。
これも、実は重要なのです。
任侠、つまりはヤクザ。これは現在では完全にアウトロー、はみ出しものとされて肯定的な評価はされないものです。
しかし、それでよいのでしょうか。
この国の歴史を語る上で、外せないものです。
幕末は、倒幕側にせよ佐幕側にせよ、任侠の力を借りたものでした。
喧嘩慣れしているぶん、いざとなれば武士よりも強い者もいたのです。
まっとうな社会で生きていけないもの。
そうした層の受け皿でもありました。
これは前科者だけということではありません。
日本以外にルーツのある人びと。
孤児。
被差別層。
履歴書だけではねられてしまう。
そんな人が、食べる道を見つけられずに、こうした道に入ることもありました。
そういう白いフォースをまとった親分も、いなかったわけではない。
藤正もそんな系統でしょう。
黒いフォースをまとった親分は、****のときに持ち出した山守です。
「特攻崩れ」(※特攻隊生存者)の広能をさんざん翻弄したものです。
戦後のヤクザ抗争だって、前線に立つ若い衆の中には、戦争で傷ついた者も多かったものです。
戦争が終わっても、彼らは暴力と流血から解放されなかったのでした。
そういう昭和の暗黒面も、本作は描くのですね。
また会えたな、そしてさようなら
藤正親分は、「ムーランルージュ新宿」の経営者でした。
戦後の焼け跡をウロウロする咲太郎のような孤児を集めていたとか。
正確に言えば、咲太郎を拾ったのは、彼自身ではなく踊り子の岸川亜矢美でした。
演じるのは、第41作『純ちゃんの応援歌』ヒロインの山口智子さん。
朝ドラ『アベンジャーズ』が止まりません!
そんな亜矢美を、母のように慕った咲太郎。
彼にとって「ムーランルージュ新宿」は、まるで家のようなものでした。
家さえ取り戻せれば、家族が蘇る――。
幼い咲太郎は、なつと千遥のために空襲で焼け落ちた店の再建を誓ったものでした。
幼いのに、家を背負ってしまった咲太郎。
「ムーランルージュ新宿」が潰れかかったとき、そんな家が彼の呪いとなります。
詐欺師に騙され、10万円あれば潰れないと丸め込まれ、借金をした上で渡してしまったのです。
そして持ち逃げされたのだと。
10万円という金額に、唖然とする富士子。
不安が募るなつ。
ここで茂木が推理をします。
だから咲太郎は新宿に戻れないのだと。子供が10万円も借りられるわけがない。保証人はいるはず。
しかし……
「保証人はお人好しかバカですね」
と笑う茂木。
彼は気づいていない。そのお人好しでバカな保証人がここにいることを。
はい、マダムでした。
「教えて!すずちゃん」を公式サイトで公開しました。今回は、東京で出会う役のリリーフランキーさんと比嘉愛未さんについてです。#朝ドラ #なつぞら #広瀬すず #リリーフランキー #比嘉愛未https://t.co/eFPhDthlY0
— 【公式】連続テレビ小説「なつぞら」 (@asadora_nhk) May 3, 2019
咲太郎のあまりの可愛らしさか、口のうまさに、ついつい乗っかってしまった。
それとも純粋に、その夢を応援したかったのか。マダムよ……!
妹に請求しないから、となつは庇われるものの、なんということでしょう!
乱世でなくてよかったね♪
※乱世ならこうなりかねなかった……
重苦しいところへ、信哉がやってきます。
その手には、咲太郎の手紙。
咲太郎は人をかばっていて、真相を白状していないのだとか。
預かった手紙を読むなつ。
その目から、涙がこぼれます。
※続きは次ページへ
ローズマリーの言葉「警察は、一度捕まえた人を白にはしてくれない」
ここにも、戦災孤児の置かれた境遇が表れているように思います。
警察の制度は変わったとは言え、勤務する警察官には戦前から引き続いての人も多い。「公職追放」も解かれて旧特高関係者も復職している可能性も。
市民の方も、身内がおりツテをたどって政治家など有力者を頼れれば、警察沙汰があってもあの手この手で事を有利に運ぼうとする。警察としては「扱いにくい」
そんな中では、頼る者のない戦災孤児は、あれこれとしわ寄せされてしまう。悪くすると冤罪にさえ。
おそらく、戦災孤児であるがゆえに、何かトラブルがあるとすぐ疑いを向けられてしまう。警察でもいつも悪く扱われる。
そういった境遇なのかと思います。
904型様のコメントに関連してですが、「いだてん」で四三が東京に旅立つ時に乗り込みスヤが自転車で追いかけた列車も、あの時代には存在しない、戦後に作られた全鋼製(あの当時は木製)で自動ドア(あの当時は客が手で開閉)の客車でした。
大河といい朝ドラといい小道具にこだわりがあるはずなのに、こと鉄道となると粗が出てしまうのはなぜ?
「いだてん」の戦後編では、スタッフの皆様には頑張ってほしいところです。
これまで、『ひよっこ』や『半分、青い。』などに登場していた昔のバス保存車の多くは、「NPOバス保存会」という団体が維持・整備し、保存している車両のようです。
同会の公式サイトを見ると、保存車のほとんどは昭和40年代以降の車。
バスはそもそも事業用の資産ですし、鉄道車両より耐用年数も短く傷みも進みやすい、といったことから、バスの保存に関心が向けられるようになった昭和50年代末頃の時点で、残っていた古いバスも限られていたのでしょうか。
「昭和30年の浅草の街角を表現するのに、明治期の路面電車など出すな!」と怒ってはみましたが、ではバスやトロリーバスを登場させるとして、昭和30年の時点に完全に合致するバスの保存車を見つけるのは、確かに簡単ではない。
でも、バスの車体のデザインは、大規模なモデルチェンジがなければ割と保守的に以前の雰囲気が受け継がれたりもする。
昭和30年頃のバスに近い外観の保存車で、当時の都営バスを表現してもらえないものかなと、思います。
また、昭和30年頃は、まだバスはエンジンの制約などから現在より車体の小さいものが多かった中、より出力を大きく取れるトロリーバスは、通常のバスより早く大型化したようです。そういう点では、保存車の中で当時のトロリーバスに近い外観の車を活用して、浅草に乗り入れていた都営トロリーバスを再現するのも、意義があるかもしれません。
制作チームの今後の工夫に期待です。
良くなかったところはともかくとして…
今回、少しホッとしたのは、咲太郎が意図的に人を陥れたりしたのではなく、トラブルに巻き込まれ、心ならずも不義理をしてしまったという顛末だったこと。
それに、新宿時代は、理解し可愛がってくれる人にも囲まれていたということ。
光子も、恨んだりしているというよりは、案じ、解決を願っているように私には見えたし。
だからといって、事態が好転する材料は全く見当たらないのですが。
今後当分、咲太郎の登場シーンは無いようでもありますので。復活する時はどんな姿で現れることになるでしょうか。
…やっと冷静に振り返れるようになりましたが。
返す返すも、あの本作らしからぬ「大失態」?「手抜き」?のショックはねえ…制作意図・姿勢が、一時的に「んっ?」という感じにはなりましたので。
今日の回の比嘉さんが演じるマダムって、以前ヒロインだった『どんど晴れ』の夏美っぽい感じですね。
初めてコメントするのですが。
本作は素晴らしい脚本です。
なので、一言。
今週だけがクリフハンガーになっているわけではないような気がします。
物語の作り的に2週間で1つの章になる作りだと思います。
1.2週 少女編 1週目終わり→なつ脱走
3.4週 農協編&自己表現の開花 2週目終わり→なつ芝居決意
5.6週 進路問題編
に見えます。
進路についての何かしらのなつの決意が来週のテーマかと。
予測でしか無いですが、、。
今回も、咲太郎の身の上には、心を締め付けられるような苦しさが。
しかし、それとは別に…
浅草から帰るなつと富士子の背景に路面電車が映りましたが…
これは『いだてん』明治編で登場していた電車と全く同じもの!
これでは、いかん!!
昭和30年の東京・浅草(あるいは新宿)には、路面電車(都電)自体はあったけど、あんな形も色も明治時代のままの電車は絶対にあり得ない!
都電は全国の路面電車の中でも近代化の最先端の事業者の一つだったのに、あれでは時代錯誤にも程がある!
これはイタダケナイ!!
本作の数少ない大失敗です。残念!
無理に路面電車にこだわらなくとも、近い時代のバスの保存車に、当時の都営バスの外部塗装のデザインのラッピングを施すとか、トロリーバスの外装を施すとか(浅草には走ってましたからね)、そうして登場させたら良かったのに。
『いだてん』の方でも、あの電車は、明治編では合致するのですが、昭和30年代編では、同じ電車の色を当時の都電の色に変え、扉を付けただけで使い回し。
「昭和30年代風」にしようとはしていますが、あまりの安直ぶりで、こちらも大失敗! 残念至極!
自動車についてはわざわざ保存されている旧車を借りてきてまで時代に合わせるなど、他では完璧過ぎるほどに仕事をこなしている『なつぞら』『いだてん』チームですが、この路面電車に関しては、何故か信じられないほどの大コケをやらかしてしまっています。
チーム・考証担当の中に詳しい方(…と言うより基礎的なことをわかっている方)がいないのでしょうか。
かえすがえすも、残念!!