感動の北海道編を終え、いよいよ新天地東京へ!
3月下旬、柴田家に郵便が届きます。
送り主は北海道大学。なつが大声で夕見子を呼びます。
どこかうっとうしそうに受け取る夕見子。
相変わらず軍師ですな。
軍師・夕見子の【破天荒】
北大からの手紙ということは中身は合否通知でしょう。
受け取った夕見子は、その後、部屋から全然出てきません。
剛男は心配しております。
泰樹ですら、誰か見てこいと告げるのみ。ここで明美が行こうとして、さすがに止められています。
なつの、夕美子が甘え慣れていないという指摘に、明美がガッと返します。
「一番甘えているでしょ!」
この瞬発力。軍師として成長中だな!
しかし、それはさておき、人間観察眼はなつに劣ります。経験ゆえか。それとも性格のせいかな?
なつにはお見通しです。
あの軍師が素直に甘えられないことを。嫌味は言えるのに、甘ったれられないのです。
そんな夕見子が甘え慣れていない人がいい。
そこでなつは、泰樹じいちゃんを指名します。
軍師には軍師なんじゃあああ!
しかし……。
「みんなで行くべ」
そうか、知略99でも行くのが辛いのか。
かくして皆で夕見子の元へ向かいます。
手紙を抱えながら寝ておった
ソッと見に行くと、彼女は寝ておりました。
「なんだ寝てんのか」
仰向けに眠る夕見子の腹に手紙がありました。
そっと中身を見てみると入学許可証です。
おぉおおおお!
このふてぶてしい軍師でも、さすがに気が抜けたのでしょう。
よかったな!
動揺を家族にすら見せられず、自室でそっと確認して、気が抜けてそのまま寝る。
めんこい軍師じゃのぉ〜〜〜!!
北大に、当時の女性が合格することがどれだけスゴイのか。
なんと地元新聞が取材にくるほどです。
受験への動機を聞かれて、夕見子は言い切ります。
「私の開拓者精神です!」
おっ、彼女なりに泰樹や両親の背中を見て、思うところがあったわけですね。
誰も合格しない、目指そうともしない。
そこに挑むことこそ開拓である!
これぞ破天荒ですね。
音問別初、写真は使われないものの記事になった夕見子でした。
そして、これこそが本来の「破天荒」です。
無茶苦茶な、型破りで大胆。
現代ではそんな意味に使われますが、語源はまさに夕見子にぴったりなのです。
唐代「安史の乱」で荒廃した荊州はいつしか「天荒」と呼ばれていました。そこからついに科挙合格者が出たこと。これこそが本来の「破天荒」なのです。
誰も成し遂げなかった道を切り開いたから破天荒。
十勝に科挙合格者が出たようなもんですからね!
「あの荒れ果てた大地を破った! これぞ破天荒だ!」
そう大評判になったのです。
北海道という開拓された大地。
そこを破り、堂々と難関大学に合格する。
しかも女性です。
皆で勢揃いした写真こそ不採用でしたが、そりゃあ新聞記事にもなります。
まさに夕見子こそ破天荒なのです。
あっぱれ!
夕見子もあっぱれ!
それを理解し支えた家族も!
そしてきっちりと、当時の女子大学合格がどれほどすごいのか描いた脚本とチームも素晴らしい!
えぇと……前作****で、唐突に**が阪大へ合格しなすったNHK大阪チームは反省するように。
進歩する、そして忘れない
一方で、照男はバターの勉強をしています。
なつが試食し、太鼓判を押。砂良にも届けるのか?と聞いています。
「あたりめえだ」
照男はそう言い切ります。
この照男と砂良も気になるぞ〜。バターも恋もうまくいきますように。
夜、なつは明美が見ている中、絵の練習をしています。
そんななつに、抱きついて甘える明美です。
「なつ姉ちゃん、私のこと忘れねえでね」
明美は、なつの以前の記憶がありません。
なつは、ずっと私のお姉ちゃんだと甘えてくるのでした。そんな明美に、あなたは私の妹だと語りかけるなつ。すっかり家族になっちゃって。
明美は2人の姉と離れます。
これもひとつの成長でしょう。
照男も、明美も。離れるけれど成長していく。
そんな描写です。
少女よ、大志を抱け!
そして旅立ちの日がやってきました。
泰樹だけは、牛の世話があるからと送別会すら参加しません。
なつがお礼を言うと、
「今さら他人行儀だ」
と返すのです。
「気をつけてな」
俯くその後ろ姿から、背中から、漂うエールと寂しさ。絶品です。
送別会兼合格祝いの会場は「雪月」でした。
ここで夕見子、軍師の宣言をします。
笑みを浮かべ、こう言い切るのです。
※続きは次ページへ
夕見子にとっての、なつ。
九つの時に現れた他者。
その得体の知れない変な子を、愛を持って厚かましいと評するまでになった。
なつに出会ったことで夕見子の開拓者魂も自覚され高められてきたのだと、決意表明を感慨深く聴きました。
なつを連れてきた剛男の思いも最上の形で報われましたね。
ふたりにはモデルとなった方の魂が分け与えられているのかなと想像します。
そして、とよを先頭に、何かに挑み闘う全ての人を励ますコーラスのように響き合う言葉。牧場に残って一人涙する泰樹。
十勝のフィナーレに感無量でした。
人物紹介をしつつ短期間の兄探しでは所々惜しい箇所があった東京。
少しの間、十勝ロスは避けられないと思います。それも上京の擬似体験でしょうか。
引き続き描かれる北海道の場面とともに、東京編も期待しています。
雪月での送別会の間、何度となく列車の汽笛の音が響いていました。
しかし会話が妨げられる程ではない。
たぶん、雪月の店の位置は、帯広の町のなかでも駅からそう近いわけではない、表通りからも少し入ったところなのかなと思いました。これまでの店先の感じなどからも、そう思えます。
駅に隣接した位置なら、汽笛の音量はあんなものではない。窓ガラスがビリビリするくらいになったでしょう。
そのくらいの音量ですから、蒸気機関車の時代、汽笛の音は町中で聞かれたという昔語りもあります。
十勝編は、最後まで、丁寧な描写を重ねてくれました。
なつにしがみつく明美。
やっぱり彼女等も本当の姉妹になっていたんだなと。
それと
もう語り尽くされていると思いますが、独り悲しみに堪える泰樹の姿。
『あさイチ』の朝ドラ受けでも語られていましたが、今までの朝ドラではこのような別れの回は土曜日になることが多かったと思います。
月曜日から、ヘビーでした。
東京編については、私は(これまでも触れてきましたが)やや冷めた見方をしています。その原因を払拭し去ってくれるような、しっかりした仕上がりになってほしいと思っています。
初回が、黒くすすけた戦災孤児が十勝に連れて来られて草原の草花を摘んだと思ったらパッと食べちゃった…という衝撃シーンだったので、世の中の最底辺に生きる人々の物語、みたいな第一印象があったわけです。ところがどっこい、生き別れの兄貴を探しに上京してみたら、中村屋や紀伊国屋書店のオーナー様(新宿、いや東京の顔というべき大変な方達です)が何気に出て来て絡んで来る。そのギャップに不自然さ、わざとらしさが無い。そのあたりが本作の、一筋縄でいかない、油断も隙も無い、でも魅力的なところなんですね。東京編に入っていきますが、また半分青いの時のように、先の展開が読めない、おお今度はそう来るかと視聴者側が面食らう楽しさをたっぷり味わえそうで、期待が高まります。
フフフ…
その執着ぶり…
揚げ足取りでしょうか?
セリフの引用が間違っているとレビューの信頼性も薄れてしまうので勿体ないと思いますよ。
「揚げ足トリ男くん」の増えたこと…
匿名様ご指摘の通り、厚かましいと評したのは、なつの事ですよね。レビュアー様はなぜ誤認されたのかな。
夕見子は雪次郎に対しては厚かましいと言っていませんでしたよ?
じいちゃんが牛の胴体に顔を押しつけるようにしてすすり泣いた。
ああ、じいちゃん!……
ほんの数秒のシーンに、日本じゅうが心震わせた朝。
このドラマすげえ
の一言です。