なつぞら99話 感想あらすじ視聴率(7/24)桜隊の悲劇

雪次郎から「虻田の乱」顛末を聞かされるなつとレミ子。
夢を守った雪次郎に、二人は感心し、自分は絶対に雪次郎と蘭子の仲間だ!とレミ子は念押しします。

今回の『かもめ』で彼女は、台詞もろくにないような小間使いです。それでも気合十分です。

なつがテレビアニメについて話すと、レミ子は乗り気です。
テレビアニメ声優デビューを狙っているんですね。呼んで欲しいと訴えかけます。テレビアニメの声優事業を手がければ、咲太郎もますます商売安泰でしょう。

なつは、フルアニメーションの映画とは違うけれど頑張る宣言です。

ここで気合付に、乾杯をする三人。
夢に向かうそれぞれの姿がそこにはありました。

気合を入れればよいものでもない

まずは昨日のレビューで間違いがありましたので訂正します。失礼しました。

主役 トレープレフ:雪次郎
彼の母 アルカージナ:蘭子

母子役ですね。
残った劇団員で、稽古をしています。

しかし蘭子は雪次郎の演技に苛立った様子を見せるのです。
彼の演技が、気合入りすぎているのかもしれません。

一方なつの方も『百獣の王子サム』で絵コンテ後の作画が始まりました。まずはサムが高速で走る様子を描いています。

すると猿渡が横から顔を出し、そんなに丁寧に描くことはないと言うのです。

丁寧ではなく普通に描いていると返すのですが、「素早く動いた動線だけ描く」という提案がされるのでした。

「ええーっ!」

衝撃を受けるなつ。
しかし、動線を動かすだけで走って見えるように思えるのも確かなのです。

雪次郎はと言いますと、母に励まされる場面で蘭子にダメ出しをされます。

「ダメ、全くダメ!」

蘭子は彼に思い出させます。
『人形の家』を初めて見たとき、彼が何と言ったか?

「アマチュア精神を感じるって言った……」

なつぞら62話 感想あらすじ視聴率(6/11)特別扱いしない勇気

「本物は普通なんだなって」
「お前、何言ってんの?」
そう咲太郎は気まずいのです。言動不一致にも見えかねない、それが雪次郎です。
しかし、蘭子は意外そうながらも、そこまで動じていません。
「普通の人がそこにいる! アマチュアって感じ!」

「それはどうして?」

「演劇部の顧問の倉田先生が、アマチュア精神を忘れるなって……カッコつけずに、普通の人間として喋れって」

おお、倉田先生!
出番はさほど長くなかったものの、なつと雪次郎に創作の魂を教え、よっちゃんと門倉番長を結びつける演劇の魅力を教え込んだわけです。

倉田先生がいたからこそ、天陽と靖枝が結ばれたとも言えます。
大事な人なんですね。

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実は蘭子も、かつて同じことを言われておりました。
新劇で一番大事なことは、アマチュア精神なのだと。あのとき咲太郎が焦る中、蘭子が納得し、雪次郎に才能を見出した意味がわかりました。

高校時代に演劇部であったものの、今は菓子職人になるため修行中。そう聞いて、蘭子は意味ありげな言葉を口にするのです。
「それでよく、芝居をやめられたわね……」

「男の、先輩ですか?」

ここでそう尋ねる雪次郎。
男女どちらかが気になるということは、やっぱり恋心もあるのかもしれません。どうでしょうね。

蘭子は静かに微笑みます。

「もう死んだけどね……」

戦時中、蘭子は疎開しました。
しかしその先輩は移動演劇に参加し、昭和20年8月6日、公演のために滞在していた広島で被爆死してしまったのです。

「もう一度やりましょう!」

感極まった表情の雪次郎に、蘭子はそう言うのでした。

動きは抑えても、感情は抑えない

坂場は、アニメの動画を見ています。
涙を流す場面で、顔は止まったままで涙だけが動くと。

「動かないのも個性……なるほど、単純な動きだからこそ、伝わるのかもしれない!」

おっ、何か閃いております。

「形式でなく意識! メリハリをつけなくとも、生き生きと見せることができる! 歌舞伎の演技のようにッ!」

こいつは何を思いついた、一体何で興奮しているの?
不気味で意味不明……となりそうでもあります。

それに、これを神地が見ていたらどうでしょう。
坂場が抱くアニメの危機に興奮していた彼が見たら?

この前のときと話が違う!となるか、それともそうだと大興奮するか。

話が変わりやすい。
発想の転換といえばカッコいいけれども、坂場についていくとなる周囲の人間には厳しいかも。
しっかりした勉強のもとに、確固たる信念と知識も備えている。そんな個性があります。

なつぞら98話 感想あらすじ視聴率(7/23)理解され難き者たちよ

そして坂場は、興奮しながらなつにこう言うのでした。

「動きからそこまで引き出す、アニメーターの強み、君の力です! 動きは抑えても、感情は抑えない……」

これも、大興奮していてわかりにくいっちゃそうなんですよね。
ただ、心底褒めていることはわかる。

「妥協することはない、腐らずやってください!」

「腐ってませんけど……わかりました」

やっぱりちょっと暴走しています。
妥協をしていると決めつけるな、腐っているって言うなよ! となりかねない場面ですね。

なつは理解しているのでギリギリ問題ありませんが、できない相手からすれば極めて鬱陶しくなりかねません。

猿渡は苦笑しています。

「こだわると、残業尽くしになるけどね……」

そもそもが、フルアニメーションにしないでリミテッドアニメーションにするのは、時間削減のためです。
それがこだわりすぎて進行が遅くなったらどうすんのよ? というものでして。

そこへワイルド関西弁な荒井が「うどんやでぇ!」と乱入して来て、茜は素直に喜んでいます。

彼もひと暴れするのかな?
ドスの利いた声だけで彼だとわかって面白いですよね。

雪次郎の晴舞台

雪次郎も、何か吹っ切れたように熱演を見せています。
それを見守る蘭子も、感慨深いものがあるようです。

この二人、恋かわかりませんが、何か運命があるんですね。

深夜の社内で、なつは、歌舞伎のようなポーズを取りながら、原画を描いています。

「さあ、かかってきやがれ!」

両者の試行錯誤が、交互に映されます。

そしてついに、雪次郎主演の『かもめ』公演初日!
なつの両脇には、茜と坂場が座ります。

「休みの日に、わざわざすみません」

「あなたのためではありません。亀山蘭子の演技は見逃せない」

そう言ってしまう坂場。
こいつに空気の読める台詞はないのでしょう。茂木社長や咲太郎とは違うのです。
※続きは次ページへ

4 Comments

匿名

「NHKの取材」とは、「NHKが制作を依頼していた、パラリンピックを扱ったアニメ作品に関連しての取材」だった、というニュースが、昨日の夕方7時頃流れていました。NHKが認めた、ということだったと記憶します。

うーん。

なつぞらは9月末までだから、作品のための取材というのでは、脚本と撮影をいれたら、遅すぎる気もするのだが。

ガブレンツ奮戦

武者氏の筆致の変化。
放送回の内容自体についての記述はあっさりした感じで思い入れのようなものは少なくなり。
関連事項の記述の方が増え。
そして、「朝ドラ枠への思い入れなどない。無くなってしまってかまわない」という宣言。

『いだてん』の時と酷似しています。
『いだてん』でも、当初は熱く思い入れを込めて書かれていたのが、やはり、「思い入れの消失」「関連事項の記述の増加」「大河ドラマの枠が無くなっても構わない宣言」があった後、掌を返したような「叩き記事」への変貌。

以来私は、『いだてん』レビューは見ていません。私は今も『いだてん』を、「『日本のオリンピック参加史』を扱った珍しい視点のドラマ」として楽しく見ている立場ですし、武者氏とは立場が違いすぎて、レビューから有益な話は得られそうにありませんので。
武者氏にも言い分はあるのでしょうが、私には「それは貴方の興味・関心の対象が他に移っただけではないのか」としか感じられない部分も多いですし。

『なつぞら』そのものは、良くできた面白い作品です。
レビューも楽しく読み続けたいのです。『いだてん』レビューのようなことにはなってほしくはないです。

904型

噴水の池が埋め立てられていたのは、東洋動画という会社の変化の暗示だったのかもしれません。

第98話では、あえてなつと坂場の足元の地面をクローズアップし、埋め立てられた池の跡にベンチが置かれているところを映す。どこか潤いのない、乾いた感じ。
中庭自体も、以前のような活気もなくがらんとして温かみが抜けたような印象。

会社自体が変革期を迎え、潤いや温かみを失っていっているかのような。仲さんの物腰も、心なしかそんな雰囲気を感じないでもない。

今後どんな展開が待っているでしょうか。

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