ちや子は「歌える喫茶さえずりで店員を募集してたで」と案内しています。
雄太郎はこう返します。
「女の子や」
「女の子やん」
「女の子や! あ、いこかな」
「いっとけいっとけ!」
「いかしてもらおか」
いや、雄太郎さ。いくら女装かつら被ったままとはいえ、それでええの?
そうついていけなくて混乱する人はいるでしょうに。私はありだと思いますけどね。もっとやってえな。
関西や。作り手に関西人だけしかおらんと、誰も多分突っ込まないんやね!
デイリー大阪は紙面変更を目指す
ここで、圭介が帰ってきます。
圭介は久しぶりにちや子と顔を合わせた言い出します。
ちや子のデイリー大阪は、また退職者が出ました。今年二人目の退職だとか。
売れ行きも悪い。圭介は心配しています。
「潰れるんちゃう?」
喜美子が新聞社は潰れるのかと驚いていると、需要がないとあかんと圭介は言います。
デイリー大阪も無策ではありません。紙面の大幅変更を考えているとか。
ここは抜群の取材力を生かして、阪神タイガースを一面にし続けたらええかもしれんよ。
その中身は、エロや。時代背景的に、くノ一がエロい小説あたりを載せるんですかねえ。
こういう媒体で掲載されていた小説って、歴史ものでも戦国大名が合戦内政そっちのけでエロしてますからね。
歴史小説を読む体裁でエロを読んでいたと。それが昭和のおっちゃんの教養なんや!
作家本人が抵抗しても、編集者に押し切られたとかなんとか。
「エロ新聞買う?」
「きみちゃんの前でエロエロエロエロて……」
そう困惑する圭介が、一番エロを連発する。
にしてもどういう朝ドラや……乳首、助平、そしてエロ。溝端淳平さんをそうまでしていじり倒したいんか! まぁ、本人もそこを楽しんでそうやけどな。
喜美子は、エロ新聞には意見があります。
「反対です!」
キッパリそう言う喜美子。
そこでちや子は、男性の意見を求めます。おいっ、ちや子、おいっ!
「どう? エロ?」
「エロってそんな、どういうんがエロいうんか……」
圭ちゃん、またエロ、同じことの繰り返しや。
スローモーション美女相手に一目惚れて……
ここでササっとちや子が去って行きます。
貴美子は圭介におはぎを勧めます。
甘いものが好きだからと喜美子が言うと、圭介はこう来ました。
「きみちゃんのおはぎが好っきゃねん!」
本当にこう言う関西弁殺し文句がうまいドラマやね。
「好っきゃねん」の破壊力よ。
圭介が好きだというきみちゃんのおはぎが出てきます。
映し出されるおはぎが、これまたおいしそうで。
実際に食べるとおいしいそうですよ。そりゃ演じる側もうれしくなりますよね。
「やっぱうまいわ〜!」
圭介は大満足です。喜んでいても、口の中は映しませんしね。
すると二人は、犬を連れたコワモテ親父の話に。朝夕散歩していて、夕方だけ荒木荘の前を通るそうです。
玄関を出る二人。
「もうそろそろ来るかいな?」
「ゴンいいます。ゴンゴン言うてますから」
飼い主はコワモテで体がでかい。
そう言う喜美子に圭介はこう返します。
「ぴしゃっと言うたる!」
「ほんまはうちが言わなあかん」
「こういうのは女の子よりも男が言うたほうが効く!」
カッコつけたい圭介です。
可愛い妹に犬の糞の片付けさせるなんて許せん。そう張り切っています。
「あ、きた、ゴンや!」
ゴンは、立派なチャウチャウです。
そして連れているのはコワモテのおっちゃん……ではなく、なんと美女!
ボブカット、ワンピース、清楚な中にも活発さがあるような。
キラーン!
スローモーションになる美女!
ノリノリのレトロBGM!
輝く美女の笑顔!
圭介の目が輝いている!
喜美子、呆然と圭介を見る。
そしてナレーションはこうだ。
これが恋物語の始まりだったのです――。
なんでや!
ベタ過ぎるやろ!
こんなベタな一目惚れ、久々に見てしまって、もうついていけん……。
二年半の間にますます濃くなった荒木荘
二年半経過し、立派な女中さんになった喜美子です。内職も頑張っているようでして。
この歳月というか。なんというか。現場がものすごい勢いで回っている、そういう熱気がここまで伝わってきます。
大久保さんがいなくなることを心配しましたが、荒木荘はますます濃かった。
さだは助平連呼するわ。
ちや子はエロ連呼だわ。
雄太郎と喜美子の攻防は笑うしかないわ。
一人、医学生エリートだった圭介も、見事にぶっ壊れそう。もうあかん。
今朝は溝端さんが出ている『あさイチ』も見ましたけど、『なつぞら』の魔性の江戸っ子・咲太郎に対し、やっぱり圭介は全力で出してきたんだなと痛感しました。
岡田将生さんの昭和のおっさんぽさもグッときましたが。
これに関西の違いをみせなあかんとなると、溝端淳平さんですよね。
そんなにじっくりと芝居を見たことなかったんですけど、何かが出ていると思えました。
ご飯をおいしそうに食べているとか。
関西弁がするする出ているとか。
乳首、助平、エロと畳み掛けられても、折れない謎の強さ。むしろいじられたい欲求があるとか。
ご本人のトークを聞いていると、納得できました。
ただのイケメンちゃう、関西人のコテコテした部分があればこそ、濃い荒木荘に放り込まれたと。
本作の出演者全員がそうかもしれない。
どのインタビューを読んでも、現場の熱気が伝わってきます。話すことがないからそうごまかしているのではなくて、心の底から楽しんでいると伝わってきます。
皆さん顔色も生き生きとしていて、目がキラキラしていますもんね。
現場が心の底から楽しんでいるんでしょうね。
本作の出演者には、
「コメディもできる、もう一つの顔!」
という報道もされて来てはいます。
いや、ちゃうやろ。
本来、コメディが大好きで、それを演じることができる素顔に、全国仕様のおすまし仮面をかぶせておったんや!
息を吸うようにコメディができる。
そういう水を得た魚状態を、出演者全員から感じます。
ええんちゃう。最高ちゃう。
文:武者震之助
絵:小久ヒロ
【参考】
スカーレット/公式サイト
>匿名様
ご指摘ありがとうございます!
修正させていただきました。
今後もご愛顧よろしくお願いしますm(_ _)m
溝端淳平さん、です。