スカーレット95話あらすじ感想(1/24)オーラル・ヒストリーで紡ぐのは

喜美子は縁側で、諦念の顔になっております。

万事休す――。

そこへ母と我が子が寄ってきました。何かと思えば、マツはへそくり、武志は瓶に貯めた36円を提供すると言い出すのです。

喜美子は感謝して、いつか穴窯を作る時に使うと言います。

そんな喜美子を、八郎は見つめています。

「話、しよか」

そう語りかけるのでした。

平和は永遠に続かないかもしれない

信楽焼きの狸に一礼し、喜美子は八郎の横に座ります。そして、こう前置きをします。

穴窯のこと、諦めたわけやない。いつかやる。
そう宣言するのです。

八郎は、闇市で深野先生の絵を売った話を覚えているかと、語りかけました。

あれは終戦から二年後、彼が11のときのことです。

「終戦、覚えてる?」

「子どもやったからなぁ……」

「僕もようわからんかった」

「何? 何でこんな話?」

喜美子に、八郎はあふれる思いを語り始めます。

いつかなんて言うてたら、いつまた戦争起きるかわからんで。

あれは現実に起きたことや。

僕らの仕事は、平和やからできるんや。

薪で焼くんは贅沢品や言われへんかった?
芸術品や、言われたやろ?

芸術を楽しめるんは、日本が豊かな証拠や。ありがたいことや。
十年後や二十年後や言うてんと、今やりぃ。

今やりぃ。

今やりたいんやろ。

夢を叶え。

八郎がそう語り、ハッとする喜美子です。

その夜二人は「めおとノート」に夢を記しました。

喜美子はあのカケラの色を出すため、穴窯を作る。

八郎は喜美子の夢を支えること――。

個展が終わり、課題が始まる

五月、個展が終わりました。

あれだけ前準備をしておいて、個展がもう終わっとる!

一昨年のなんだかわからんかったマーティンショーという悪夢を一瞬思いだしました。アレはダメでコレがよいのはダブルスタンダード? そう突っ込まれる前に断っておきますが。

これはアレやで、POV(Point of View)問題やな。

何度も言及している『ゲーム・オブ・スローンズ』の原作にはPOV人物という概念がありまして。章のタイトルで、誰の視点であるか示されているのです。

子どもの目線で見たら、大人がどんな闘争をしていても、ハッキリとはわからない。けれども、周囲の目をかいくぐり狭いところへこっそりと入り込んで、大人ではわからない秘密をのぞいていたりする。そういう構図でして。

本作もこれがきっちりとある。個展に参加しなかった喜美子あるいは三津がPOVであれば、なくてもそれはありなのです。

主役が手がけたマーティンショーとは、そこが違うのです。

そしてそういう要素こそ、ミスリードにつながりかねないものではある。同じ個展をとっても、視点によって違いが出ていると、会話でわかります。

佐久間:大成功とは言えない。もっと高いところを目指して欲しい

柴田:十分ではないか。和食器セットの追加注文も、取材も来た

柴田は「ハチさんの熱うなる瞬間は和食器」と理解を示します。佐久間はそもそも「熱うなる瞬間」という概念がわかっていないと。

視点と理解度の違いが、重要な要素となりそうです。

ここで三津は、断りを入れてから「サニー」へ向かいます。

何が結婚の挨拶やねん! 信作&百合子

はい、ここから「サニー」へ。

「みっちゃん!」

百合子が可愛らしいおめかしスカートを履いています。そこへ、個展の片付けが終わり、やっと落ち着いたと三津が報告するのです。

「ほな今日でええんやな!」

「ついにですね!」

「ついにようやく、結婚の挨拶やー!」

ばんざーい!
百合子、はしゃぐ。やっとここまで、感無量です。胴上げ待ったなし! しかし……。

大野夫妻が暗い顔をしてそっと声をかけてきます。

「ゆりちゃん、ごめん。行かれへん。全治二ヶ月や」

げえっ、信作!
ギプスに大怪我をした姿で出てきます。おぉ、もう……。

どうしたん? 交通事故? そう思っていると、理由が最悪でした。

張り切りすぎて、役場からスキップして転落したってよ。

松葉杖で転び、気遣われる信作。この時点で、破談にしたくなってもええんちゃうか。そうしない百合子はえらい。

やはりこいつは乙女ゲーならバグ。受難というか、信作はただの自業自得で何の同情もできない……。

下克上、完遂

信作はさておき。
個展は無事終了し、喜美子は穴窯の勉強を始めています。

八郎は、新しい電気窯で大量生産の注文を受けました。「焼成」ランプが点っています。八郎は和食器の注文を受け、穴窯の資金を作ることを目指しているのです。

喜美子はどこに穴窯を作るのか。庭のここだと示しています。

ここで夫婦は下克上が完遂したとも思えます。

かつて喜美子がしてきたことを、八郎がしている。

めでたしめでだし――そう思いますか?

信作の言葉を思い出してみましょう。

逆転したとはいえ、それは目指していた姿と言えるのかどうか?

直子、その怒りは継続しない

直子も久々に帰ってきました。そして、いきなりちゃぶ台に掌を叩きつけて怒っています。

穴窯そのもの以前に、お母ちゃんのへそくりを使うのはずるい!

そう怒り、立ち上がって出ていきます。

鮫島は、ともかく俺が、俺が、俺が止めると張り切って追跡します。頼りないな。

八郎も若干焦っていますが、喜美子と百合子は、10分、5分、3分、1分と言い合ってフフフと余裕を見せています。マツもな。

ここでケロリとして、直子が戻ってきます。

「30秒やな」

おいっ、どういう策だ!
今日のあらすじで「直子猛反対!」みたいなミスリード結構あったぞ!!

直子、ジョーに似すぎや。
ジョーのちゃぶ台返しは、イラつきを解消するためだけの迷惑なキレ方でして。直子はお茶を飛ばしているし、その小型版ができるようです。

家族はそれを察知して、余裕を見せていると。

直子がはしゃいで話を始めている。作るには畑を潰すこととなり、百合子が寂しがっても直子はむしろケロっとしている。

喜美子はここで、きっちりとこう言い切ります。

直子も。百合子も。おかあちゃんも。武志も。八郎さんも。迷惑かける。

そう頭を下げるのです。皆これで満足する。手打ちの法則やな。

朝ドラレビューなのに、なんだかやたらとヤクザ映画を持ち出して申し訳ありませんが。

ヤクザはナゼ、指を詰めるのか?

あんなもん切ったところで、腐るだけの気持ち悪い物体ができるだけ。

あんなもんもらって納得できます? むしろいらねー、金ならまだしも。それがカタギの世界です。

ただ、あれが極道なりの誠意の見せ方ということでもある。仁義があるとわかったからええんちゃうか。そういうこっちゃ!

むろん喜美子は善良なる市民ですので、指は詰めません。
代わりに頭を下げる。それで感情の落とし前をつけているのです。

ここで鮫島が直子を発見できずに戻ってきて、直子が

「鮫島ぁ……」

と、すごむわけですが。

わちゃわちゃ楽しくて、これはこれで微笑ましい、笑える場面ではあるのですが。

直子やジョーのような感情のガス抜き、そして喜美子のつける感情の落とし前。このことを、八郎が理解できているのかどうか? ここは注意しましょう。

穴窯の説得も、感動的で素晴らしいとは思う。

けれども、あくまで理詰めであり、喜美子の情緒に寄り添うこととも、ちょっと違うのです。

理詰めだろうと、感情を動かすのであろうと。目的を達成できれば、それはそれでとても素晴らしいことではあるのですが。

ミューズの誕生

八郎は、工房にいる三津に食事を運んで行きます。

三津はコーヒーカップに挑んでいる最中。「サニー」で喜美子のものを見ているのです。

しかし彼女は、喜美子のコーヒーカップを見たのに、八郎のようなものを目指しているとわかる。

これも皮肉ではある。
「サニー」は、女性客は喜美子の可愛らしいデザインを好むという前提で分けております。

けれども、女性だって八郎デザインを好む可能性はある。逆もまた然り。

そんな三津の言葉に、八郎が喜びを見出していることも伺えます。「教えよう」と持ちかけるのです。
※続きは次ページへ

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