圭介が荒木荘を去る日が来ました。
時代劇に出られるか?と聞いてくる圭介に対し雄太郎は、
「聞きたかったら聞きに来い!」
と言います。
見送りできないちや子に至っては、二度と敷居またがせない! とまで言い切ったとか。冗談半分でしょうけどね。
ここで喜美子がおはぎを持ってきます。
渡そうとするものの、手がいっぱいで持てないと断られてしまいます。
荷物に入れようと思えば入れられそうである。
手に持てないのではなく、心の荷物かもしれない。
「きみちゃん、よかったら食べといて。きみちゃん、さいなら」
「さいなら」
遠ざかる背中を見送る喜美子でした。
OPが入ります。
喜美子が、恋をして。ときめいて。そのハートが飛んで鳥になる。
誰かからもらう感情じゃない。胸の奥底からこみあげる感情が、喜美子の人生と作品になる。
今日の日も、涙に負けるもんか――。
そう歌い上げられる中、本編スタート。
おはぎは甘くて、塩辛くて
喜美子は洗い物を終え、テーブルの上のおはぎを見つめます。
座り、竹の皮を剥いて、口に運びます。
食べながら、どうしたって圭介のことを思い出してしまう。
「きみちゃんのおはぎがすっきゃねん! やっぱうまいわ〜」
「可愛らしなぁ」
「きみちゃんが荒木荘辞めんでくれて、ほんまうれしいわ」
「あはははははっ」
「きみちゃん、ありがとう」
「きみちゃんのおかげや、かわいい妹」
「きみちゃん、さいなら」
涙をにじませながら、おはぎを食べる。
甘いおはぎが、涙で塩辛くなってまう。
セリフが多く、テンポがガーッと回る。
それなのに、ふと立ち止まって、しんみりと一人失恋を噛み締める。
おはぎがキーアイテムになりました。圭介が無邪気におはぎを食べていたからこそ、胸にしみる味になってもうた。
恋なんて二度とするもんかと固く心に誓った喜美子です。
恋物語はこうして、終わりを告げました。
きみちゃーーーーーん!
視聴者が思わずそう言い、何かを奢って話を聞きたくなる。そういうあたたかさがあります。
駆け落ち相手に食事を断固作らない。
祖父・泰樹の【抹殺パンチ】で相手を沈め、そのあとでもウキウキしている――『なつぞら』の夕見子と比較してみましょう。
どちらが上か下ではなく……改めて、軍師・夕見子は恐ろしかったな、と戦慄に襲われました。あれはあれで好きですけどね。
しっとりとして、悲しい。そういう味わいが本作にはありますよね。
寂しまっしゃないか……
そしてその年の暮れも押し迫ったころ――。
昭和の師走です。
商店街では福引抽選会、正月飾りが売られている。
ここまでは全国区かもしれません。
そろばん持って値切る客と、眉をしかめて軽くたたき交渉する、そんな女性が映るあたり。
関西を感じさせます。
荒木荘では、大久保が豆の味を見てから、さだの差し出した帳簿を見ています。
さだはここを褒める。
「やりくりもうまいことやってんで〜お豆さんもよう炊けてる」
お金のことは下品という発想はない。商人の街だから、そろばんを弾いてこそ一丁前。そこは褒めないと。
大久保はこう返します。
豆の火加減は、初めから上手だったて。
「ほな認めてあげたら? きみちゃんも、もう三年目や」
さだがそう言いますと、大久保は無言で家事をやりに行ってしまう。
さだが追いかけると、大久保はこう言うのです。
一人前だ。そんなはんこ押したら、荒木荘卒業してしまう。
「寂しまっしゃないか……」
「そんな顔して、そんなこと言われても」
大久保の本心を知り、さだもそう言うしかない。私だってそう言う。
今朝も、大久保さんの関西弁が綺麗やな〜味があるなぁ~。
ウキウキした二人の歩み
喜美子は荒木荘へ、ウキウキと帰ってきます。
「きみちゃん、何かあったん?」
通りで遊んでいる子役がそう聞く。荒木荘周辺で子供がウロウロしているあたりに、大阪らしさと演技指導の徹底したものを感じます。
『なつぞら』とは違いますね。
柴田独場周辺は人口密度が低い。人より牛が多いかもしれない。
なつの東京時代、亜矢美の「風車」周辺は飲み屋街で子供とはちょっと縁遠い。
そういう地理の違いでしょう。
喜美子はそんな大阪小僧どもにこう返します。
「うれしいことあってん!」
喜美子は戻り、大久保が来ていると驚きます。
「あんたが休みとったさかい、代わりに来たったんやないか」
そう返す大久保。喜美子の前では笑わない。
「三つ見てきたんです!」
喜美子が学校見学をそう言うと、大久保はこうです。
「三校と言いなはれ」
「……三校」
これも大久保の人生やろなあ。
弟がいて、その学費のために、義務教育後は働き通しで本も読めない。芝居も行けない。仕事を通して語彙を身に付け、喜美子に伝えると。
その内訳は?
中卒でも進学できる学校。
美術系二校。
魅力的だったのは、レノア美術研究所だとか。活気もあり、特別講師も多いって。
ちや子の紹介通りや――そう喜ぶ喜美子を、大久保ははよ着替えてくるように急かします。
喜美子は、その研究所には週三日の絵画コースがあると語ります。
それならば、荒木荘と両立できる。
さだが驚くと、喜美子はこう言います。
「辞めたら食べていけへん、両立させていただきます」
「大歓迎や! こっから学校通うん?」
さだがはしゃいでいると、大久保は割烹着を脱ぎこうです。
「ほな帰りまっさ」
もう帰るのかと喜美子が言うと、さだがお孫さんの守りせんとならんと言うわけですが。
「しっかり働き」
大久保はそう告げて、いそいそと玄関を出て行きます。
そうして帰りながら、顔がにやける。ふふふ。ウキウキして足も弾む。
可愛らしなぁ〜!
喜美子のウキウキした歩き方と比べてみましょう。
二人とも、可愛らしなぁ〜!
人間の中身にある可愛らしさは、いくつになってもある。
絶品の可愛らしさです!!
人間の魅力ってこういうことやろなぁ。
ベテラン女優が、ネトゲ廃人画伯の見た目だけとらえた、幽霊じみた気持ち悪い絵を描かれて浮かれていた。
そんな人間を外側でしか見られない……何かがあったような気ィがするけど。
ま、放送事故やろな。
ジョー、アカン方のジョージになる
喜美子はちや子に、紹介してもらったレノア美術研究所の印象を語ります。
一番画期的で意欲的。ジョージ富士川呼ぶくらい。ちや子もそう納得している。
どんな人か?
ちやこはサイン会の案内を出します。デイリー大阪宛ですね。この手のイベントを開くのは珍しいそうですよ。
「顔拝んどき」
パリ国立高等美術学校卒業。んで、口癖はこれや。
「自由は不自由やで!」
有名人なんですねえ。
喜美子はここで、ジョージという名前に不思議な縁を感じます。父もジョージ(常治)。それでこう来た。
「同じジョージでもでもえらい違いや」
容赦がない!
まぁ、ジョーはカスやし。
淀川溺死事件でも、ああなりかねないと思われたし。まぁ、ジョーやしな。残念だが当然。
しかし学費は……。
※続きは次ページへ
花ちゃんのお母ちゃんが若い時、ファンだったので、
娘にバンドをやらせたかった、
という友人(御婦人)がいます。
(アニメヒロインの役で、バンドのボーカルか、歌部分のみの吹き替えのみ?タイトルに7がつくらしいのですが。)
花ちゃんはその娘なので、婆目線で楽しみにしてるそうです。
キミちゃんも、もちろん応援しています。朝からしんみり、時々笑って、楽しんで見ています。
来年は、ヒロインの人が東京の人だし、ちょっと心配。