酒田圭介。
あき子。
そして、きみちゃん。
そんな三角関係を、甘く苦く――そう描く今週です。
「女中さんやもんね」
圭介とあこ子の恋は順調なのだとか。
朝はこわもてのおっちゃんこと庄一郎。
夕方はあき子。
それがゴン散歩のローテーションです。
朝ゴンちゃんと夕ゴンちゃん🐕#スカーレット pic.twitter.com/ih14LHV0oM
— 朝ドラ「スカーレット」第5週 (@asadora_bk_nhk) October 29, 2019
郵便配達を取りに出てきた喜美子と、あき子が立ち話になります。
これも細かい。郵便物回収ではなくて、別の描写でも喜美子は外に出る。それをこうすることで、手間はかかります。
当時の郵便配達夫の衣装を用意せねあかん。
『なつぞら』は潤沢な予算があった。十勝の空にまであふれていた。
けれども……関西もあるとみたでぇ〜!
予算でええ選手をガーッ!と取る『なつぞら』が巨人だとすれば、NHK大阪にだって熱い猛虎魂的な何かがあるわけですよ。
資金だけではない、心理的な余裕と遊び心が豊かなドラマです。
あき子のファッションも素敵。
白いヘアバンドに白いベルトを合わせていて、ハイカラなお嬢様です。
しあし彼女は、喜美子との会話で、圭介がデート予定を話していることに気づきます。
「圭介くん、なんでいいちいちあなたに言うんやろ」
喜美子はここで、ご飯準備の都合上だと説明します。
「女中さんやもんね!」
あき子はホッとします。
なんだろう、この残酷な安堵感は……。
あき子のおかげで、喜美子と圭介は距離接近中。
アクロバティックなキスポーズをする圭介は、洗濯物を干す喜美子とふざけてまわっています。圭介、体が柔らかいぞ。
でもこの距離感、ええんか?
斬られ役を経て鋸引きまで挑戦や!
喜美子はさだの休みに、着付けを教わっています。
ええアンティーク帯を用意してますわ。
一昨年のマリオ状態の赤いヒロイン着物。
昨年の化繊バリバリの着物尽くし。
NHK大阪は衣装も尽きたのかと不安になったもんですが、杞憂でしたね。
さだは最近は着付けでけはん子も増えてきた、と言います。
うーん、朝ドラを通した服飾史ですね。
『カーネーション』の頃は洋服が珍しかった。それが、この時代になると和服が衰退傾向にある。
今では着付けできない人の方が多いわけですもんね。そういう時代の変わり目をきっちり描きます。
ここに圭介がやってきて、二枚のハンガーにかかったシャツを掲げます。
「きみちゃん、きみちゃん、どっち! あ、ほな食堂で待ってるわ」
さだはここで次は袋帯の着付けだと伝えます。
「こっちかな? でもこっち?」
圭介はまだ喜美子の判断待ちです。
絵が好きだからと信頼しているのでしょう。そういう伝わるセンスがある。それが喜美子の才能です。
片鱗はしっかりとあります。貧しい女中でも、センスは抜群なのです。
さだは、きみちゃんはなかなか筋がええと褒めます。
喜美子がお茶を淹れるあいまに、圭介のデートについて語られるのでした。
デートコースは関西百貨店。
先週は松中屋でした。
「彼女、買いもん好っきゃなあ!」
さだとちや子は盛り上がります。
そうそう、百貨店はそういうもんやね。
『べっぴんさん』も百貨店に出すことが見所だったね。
やっすい庶民価格のインスタント麺を、百貨店で売り出すドラマが昨年あった気ィがするけ……白昼夢やろなぁ。
「どっちがこう? どっちがいけそう!」
圭介は、のけぞりつつポージングしながら意見を求めています。
ここに雄太郎がスーツで登場。
今日は面接や!
『大阪五人衆』、時代劇斬られ役に応募するんだとか。
「斬られたら死体やん! そんな役欲しい?」
「セリフまたうわあだけちゃう?」
「なんでもええねん! きみちゃん頼むわ!」
はい、かくしてお祈りです。
玄関前でみんな整列。
「雄太郎さんがうまいこと斬られますように!」
手を拍つ。パンパン!
きみちゃんはすっかり荒木荘の精神的支柱ですね😊#スカーレット pic.twitter.com/VXr7jdMyG5
— 朝ドラ「スカーレット」第5週 (@asadora_bk_nhk) October 29, 2019
そしてこうだ。
「草間流柔道! とうりゃああ!」
「よし! いってくる」
「いってきます!」
ここで、こんなツッコミが。
「毎回これやるから落ちるんちゃう?」
まあ、柔道は落ちる(=気絶)することあるしなあ。関西のツッコミが今朝も止まりません。
はい、斬られ役ですが。
そこで終わる人もいれば、そうでない人もいます。
福本清三さんが有名ですね。
あと川谷拓三さん。
川谷さんは惨殺専門というか、ともかく酷い殺され方をして、有名になったものです。
大河ドラマ『黄金の日々』では、杉谷善住坊を演じて鋸引きにあいました。
大河史上最悪、残酷な死に方とされております。
しかし、そういう役から出世できる。本作には、そういうNHKドラマ作りの原点回帰を感じさせるものがあると。
『なつぞら』からの流れかな?
あの作品には、朝ドラ前身のラジオドラマが出てきました。『エール』でもNHKドラマ黎明期は欠かせないはず。
100作目から、何かを変えたい力があるのかもしれません。
ここで圭介は、まだシャツに迷っております。
喜美子は笑顔で、やっと選びました。
「圭介さんは、何着ても似合います」
喜美子はそう言うと、圭介は喜んで着替えてくると出て行きます。
ここでさだとちや子はこうです。
「シャツ、わざと似合わん方言うたやろ」
「そうやなあ」
「言うた、言うた」
喜美子が否定しても、盛り上がります。
これもさじ加減が絶妙ではあるのです。関西の、傷をつけてはいかん、踏み込んではいかんところを考えつつ、いじる。
関西のいじりは、どこまでなのか。
クレームを恐れずに、むしろここまでと線引きする。
そういうところに、本作は挑んでいる気がします。
※続きは次ページへ
今日のは楽しそうな冒頭から一転、見ていて悲しくなりました。喜美子の大人な対応が、これ以上傷が深くならないように…とかではなく、そう言うしかないんだな、と思わされるあたり。記事を読んで一層切なくなりました。
ところで、NHK大阪で市役所勤めのゆうたろうさんといえば、『ごちそうさん』を思い出すのは私だけでしょうか?偶然?それとも必然?(byゆず)くだらないけど気になって仕方ありません。