スカーレット37話あらすじ感想(11/11)家父長制なんて笑うわ

喜美子、丸熊で見つけた絵付け火鉢の世界。
よっしゃ、この新しい道を行くで!

そう思いつつ、ウキウキと工房に行くと、くしゃみを何度もするおっさんがいる。

そして、この着流しのおっさんは、喜美子を無言で押し出してしまう。

入れる、入れないの、パントマイム――そんな軽快なスタートです。

あのおっさんは誰や?

喜美子は食堂で働きつつ、変なおっさんについて同僚の緑に話しています。
八重子が「新入りの絵付けの職人さんやろ」と結論を言います。

緑と八重子は、さして重要な役目とも思えませんが、それでもいい味が出ているなぁ。

喜美子はここで、ギョッとする。
絵付け職人がもう決まっているのか!

そこで、社長の秀男に話しかけるわけです。

「ほらほやがな」

ジョーのような大阪弁より、ちょっと優しい信楽言葉で社長は事情を語ります。

次の職人さんにはとうに声を掛けてきた。
前任者に嫌味を放たれておりましたが、そこは有能です。

「深野心仙いう立派な先生やど」

社長はそう誇らしげではある。立派なのに鼻にかけん権高やない人。
現在だと「プライドが高くない」あたりですかね。昭和の語彙をしっかり使うええドラマです。

それでも工房には入ったらあかんようで追い出された、と喜美子はちょっと不満そうではある。

ここで番頭の加山が社長を呼び出しにきます。

フカ先生の工房へようこそ

はい、社長と番頭と絵付け工房へ。
そこでは三人が、ラジオ体操みたいなことをしとります。

深野と弟子2名です。前任者と比較するとこじんまりとしています。
足腰を鍛えようと体操を始めたようですが、弟子にそう問われてこれですよ。

「言い出したん誰や? わしや。もうめんどくさい」

深呼吸をしてまとめる。
身体はフラフラ。かなりマイペースなようです。

ここで社長と加山が、試作品を見せます。

そこにあるのは藤の花と燕。
作風が変わった。重々しい梅や牡丹を描いた豪華絢爛なものから、軽やかなものになりました。

初夏に合いそう。
ん? 火鉢は初夏に使うもんやろか。まあええわ。昭和の頃は、今より気温が低かったんや!

そういう実用的なことでなく、初夏みたいな緑萌える季節のイメージですよ。
喜美子の心に合ってます。

実際のところ、私もこれは欲しいです。

そして先生はこうだ。

「ほお〜。へえ〜あっ! はあ、ええ……色に焼いていただいて」

「もう、どっちやねんと心配になりました!」

「品のええ絵柄、流石は先生!」

前任者に苦しめられた社長と番頭も、これにはニッコリ。
いちいちツッコミどころを入れて展開してこそNHK大阪や。

ここで、事前に言うてた子として、喜美子が紹介されます。

「あんたがそうやったか」

深野は拍子抜けするほどあっさり弟子入りを許可して、兄弟子たちにも許可を取ります。

フカ先生がええなら、ええ。

「ほな僕らもかましません」

「ああ、よかったなあ」

「ええよぉ。空や」

先生がそう言うと、喜美子が素早くセカセカとお茶を汲むと。

「ほなあと任せるでよ。頼みまっさ」

サクサクと決まり、自分は松ぼっくりの絵を描き出すフカ先生です。
コミカルでノリノリなBGMが流れています。

弟子一番弟子二番……ええんかそれで

ここで弟子さんは、「一番」と「二番」だとして紹介されます。

一番さんに二番さん。そう言われて喜美子は困惑します。視聴者も。
なんでも弟子入りから四年経つのに、まだ覚えてくれないそうです……えっ、えぇっ?

・一番(池ノ内)

・二番(磯貝)

「一番二番でええよ」

「いやそれは……」

「慣れてるしそれでいい」

「深野心仙先生はフカ先生」

アットホームな絵付け工房……せやろか?

あかん。突っ込みどころがありすぎて、突っ込む気力を失わせる流れや。
それはさておき、一番さんも二番さんも、演じる役者さんはええ味を出しております。

戸惑う喜美子に、二番さんが椅子を出してくる。
一番さんはもっとええ椅子を出してくる。

「ほな座らせてもらえます」

うーん、喜美子の戸惑いが切ない。

喜美子は座れない女でした。
家事をして、子守をして、洗濯をして。荒木荘でも、皆が座って食事している間、立って給仕をすることもある。

丸熊でご飯を作る時だって、やかんを運ぶ時だってそう。

ブルーカラーの陶工たちは、ホワイトカラーと違って立って働いているという自覚はあるはず。
大阪のサラリーマンとはちゃう。そういう誇りがあることでしょう。

そこにすら入らない。
そういうブルーカラーに食事を作るお姉ちゃんやおばちゃんも大変なのに、ナゼか軽視される。

いわば労働者としても下層の下層だから、椅子に対して『やっぱりええのか?』と身構えちゃうんじゃないかと思うんですよ。

喜美子は座ります。
ここで、勤務時間を確認されます。遅くまでやりたいけれど、晩ご飯まで。そう返す喜美子。これも切ないなぁ。

陶工は家に帰れば酒飲んで飯食って、寝る。
ジョーほどでないにせよ、それができる。

けれども喜美子のような女性は、労働して帰り、さらに家で食事を作らねばならんのです。そこを喜美子は自覚すらしていない。

そして、さっそく描き始めいと言われるのです。
二番さんのように描く。失敗してもええから描く。

えっ、ええの?
視聴者としてもそこは気になる。
ええみたい。あたりつけてもらって、いきなり描きはじめます。

喜美子も、一番さんも、二番さんも、真剣に絵に向き合います。

ここのBGMがいい。
おもしろくて、綺麗で、集中しているとわかる音が響きます。

音楽そのものもいいし、使い方もいい。助け合って絶妙な映像が仕上がります。

「ああそうそう、そんな感じ」

「器用やな」

「よう描けてる」

「初めてにしてはな」

そう一番さんと二番さんに言われて、喜美子の顔に弾けるような笑顔が浮かびます。

「楽しい!」

「女の子で珍しいな」

一番さんも二番さんも、ええ人です。
女のくせに。女はあかん。そういう意地のあまり、認めない人ってやっぱりどうしてもいるから。
これからどうなるかわかりませんけれども、この段階では紛れもなくええ人です。

「フカ先生!」

ここで咳払いする二番です。

「先生!」

一番も声を掛けます。しかし、フカ先生は寝とる。

「今日はもうしまいにしますか?」

「ええよぉ」

フカ先生。セリフの八割が「ええよぉ」ではありませんか。この「ええよぉ」にニュアンスを込めるところが、イッセー尾形さんの腕の見せ所なんでしょう。

「ええよぉ。この一言のニュアンスを考え、ちょっと変えながら繰り返してください」

そうぶん投げられて「ええよぉ」と返事できるのも、ベテラン名優ならではでしょう。

喜美子はおずおずと、こう聞きます。

「あの、これ全部やってもええですか?」

この一つだけ、他は触ったらあかんで。一番さんはそう優しく許してくれます。
二番さんは手を拭いてからだと教えてくれます。

「帰ります?」

「うん帰ろう」

「もうちょっとだけ」

「ええよぉ」

近年朝ドラでも、最も楽な工房入りのような気がする。

Vやねん! 絵付け弟子入りや! ええなぁ、朝から感動した!

頑固職人が出てきて拒むとか。資金難で揉めるとか。いろいろあります。

『半分、青い。』の秋風塾でもいろいろあった。五平餅、メシアシ、その他いろいろ。
『なつぞら』の場合、咲太郎が暴れた挙句、レッドパージがらみで阻まれておりましたっけ。

いや……NHK大阪がそんなん楽な弟子入り許すわけないやん。

あかん予感もする。

妹二人は姉を待つが

そのころ川原家では、百合子(エエ方の妹)が洗濯物を畳んでおります。

そこへ直子(アカン方の妹)が乱入。
姉ちゃんは何してんのや?と文句タラタラです。

うーん、これは。
百合子は姉の絵付けを喜び、直子は姉ばかりずるいと暴れるんやろなぁ。

マツもいない。直子はこれにも文句タラタラです。百合子は味噌を借りに行ったとそっけなく返します。

「知らん!」

ここで直子、理不尽過ぎる逆切れ。なんでやねん。百合子は反撃します。

「もう!」

「ほんまやめてえよ!」

「知らんわ!」

「なんでよもう!」

姉妹で、洗濯物をぶつけあいます。

直子は難しいとは思う。
けれども、こういうアカン家族枠、濃い姉妹枠はこれから伸びます。

ここをどうするかで、今後の朝ドラポジションも決まりかねない。
ヒロイン姉妹枠は、ここ数年はヒロインへの近道でもありますもんね。

NHK東京『なつぞら』に夕見子あらば、NHK大阪『スカーレット』に直子ありよ!

『スカーレット』のロキ枠として、桜庭ななみさんには頑張ってもらいたいと期待しております。

※アカン弟として人気があります

お母ちゃんの貯金箱

さて、母親のマツは、陽子の店におりました。

「自由は自由や〜いうやつや! 自由は自由。あたりまえやな。不。自由は不自由やわ〜」

話題はジョージ富士川のこと。
信楽のおばちゃんである陽子も真似できるほど、有名なようです。

演じる西川貴教さんもノリノリで金髪にしているそうですので、出番を期待しますよね。

◆‪西川貴教が「スカーレット」信楽編で「喜美ちゃんとジョージの恋模様はないみたい」

マツは、喜美子がそのジョージ富士川の学校に行きたかったという話をします。
貯めた学費で借金は返済にしてしまったのです。
そう……あの内職の金は消えてしまった。悲しい。だから……。
※続きは次ページへ

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