スカーレット36話 感想あらすじ(11/9)喜美子のフォースが!

少ないけど、いただいときまひょ

場面転換後、三人はそろそろと絵付け工房に入ります。
ちょっと秘密の探検みたい。

絵付けの火鉢に力を入れ始めたのは最近なのだとか。照子がデザイン画を見せて来ます。
親方が考え、社長に提案。案が通ればぎょうさん作るって。

分担作業をする。窯で焼く。そしたらこうなるんや。

ここで完成品が出てきます。

滋賀楽の絵付け火鉢は高級品ということで、売れているそうです。
ストーブ普及でこの先は厳しいのでしょうけれども、ともかく今はこれがトレンドであると。

「親方〜! 親方〜!」

突如、声が聞こえて来ました。
見つかったのか? と喜美子だけ焦っております。

叱られたばかりですからね。
お嬢様である照子は平気。信作は隠れようとオタオタしています。役には立たんけどな。

信作は、幼少期から「ここは俺に任せろ!」とならない。ええんちゃう。

男だったら全員が、女に率先してリーダーシップを発揮すると信じとるの?
そんなんドラマの見過ぎやろ。

ここで、頑固な城崎親方がガラリと工房に入って来ます。
細かいのが、人がいることにちょっと驚いているところですね。頑固なおっちゃんもそこは人間だからね。

そんな親方に、原下ら弟子が詰め寄ります。
親方は丸熊と手を切っても引く手数多だと堂々たるもの。親方に促され、弟子は片付け、撤収に入ります。

すると番頭の加山がやって来ました。
少し多めに包んだという封筒を渡すのです。露骨な引き留め工作?

『なつぞら』では、乳業メーカーの「奥様封筒」(※酪農家の夫人に手渡す金銭入りの封筒)が出てきました。
そうそう、昭和はこういう訳あり封筒が横行する時代でもあったのです。ここまでこじれたらしゃあない。最後は金なのです。

その封筒を突き返さないのが、城崎です。
受け取った上で、少ないと嫌味を放つと。少々多めのお金とは、手切れ金、あるいは餞別の類だったのかもしれませんね。

「こんな金、受け取れない!」
となるのはカッコつけやろなぁ。『なつぞら』では柴田剛男が反対派でした。

「絵付け職人不在で誰が買うのか。草々に見つかるとも思えませんけど。そのあとが楽しみですわ。少ないけど、いただいときまひょ。お世話になりました」

感動的なまでの、昭和関西の嫌味なおっちゃん言動。

別に昭和の関西人が全員こうでもないと思う。ジョーカスだったらどうでしょうね。

ただ、このテンポ、言い回し、軽やかに嫌味を放つところは、関西人ならではの特色である。そこは考えていただきたいところ。

悪いことでなくて、こういうことを言えるのは、一種の特性であり、才能だから。

やらし〜わ〜!

やらしいやろ!

「照子、お願いします!」(ドキッ)

キッツイ決裂を見てしまった……そんな喜美子と信作は帰宅します。

背後の商店街で、信楽のおばちゃんたちがお買い物をしていて躍動感があります。

信作は、感じ悪い親方だったと自転車を押しながら言う。

しかし喜美子はボーッとしてる。

何を考えているのか。そう聞かれて、喜美子はこう言います。
戻らなくちゃ! 丸熊へ戻らないと!

喜美子は信作と一緒に職場へ引き返します。そして照子にこう言うのです。

絵付けをやりたい!
やってみたい、やらせて欲しい。ずっと考えてました。

信作も横から、やらしてやれと促す。
幼い頃から絵がうまい。得意だった。そう二人は言うわけです。

照子は困ります。

「子供のお絵描きとはちゃうで。女の絵付け師なんて聞いたことないで」

女はやったらあかんの?
女はできひんの?
喜美子は真っ直ぐな目で、そう反論します。

照子はちょっと弱気になります。男の世界や。そう言うのですが……。

ここの流れは、ものすごく秀逸だと思う。

中学を卒業した喜美子が丸熊で働けなかった理由は?
それは彼女自身が理由ではなく、女を受け入れられなかった丸熊側の都合です。

事情を受けいれ、大阪に向かった喜美子。
そこで、男の世界である新聞社で働くちや子を見て、何かが変わった。

喜美子は、照子がかつて婦人警官に憧れていたことを思い出させます。

信作もこれには頷きます。
男しかできないところへ、女が入り込む。そういう実例はあるのです。

喜美子は信作の援護を受けつつ、頼み込みます。
頭下げてもいい。
絵付け職人が辞めて困っているはず。

「お願いします! 照子、お願いします!」

「まあ、そんなに言うなら、どうしても言うなら……」

そう折れつつある照子。ここで信作が決定打を放ちます。

「こいつ通さんと直接……」

喜美子のために仕事を楽にしたのに、感謝されない。照子ショック! 心痛いよ。
そんな照子ですから、喜美子にアピールするチャンスを逃せるわけがありません。

照子よぉおお! 思えば幼い頃から、勉強を教えてあげたでしょアピールをしとった。
可哀想な子やと思う。金銭や恩義で友情をつなぎとめたい系の、そういう子……。

「わかった、わかった! うちに任して。うちから話す」

誰もいなくなった作業場に行けばいい。
明日、お父さんに言うとく。
そうまとめます。

感激した喜美子は、思わず照子に抱きつきます。

「おお、気分ええなぁ……」

照子、うっとりしております。いけないことといい、やっぱり、照子って……。
ここで信作もハグをしようとしたら、照子はコレですよ。

「気持ち悪い!」

林遣都さんのハグが気持ち悪いと一蹴される、どういう世界観や。
そんな照子は喜美子へのぎゅーが楽しくて嬉しくて仕方ないようです。

新しい道の前に、誰かがおる

かくして信作の飴乱入や照子ハグを間に挟み、喜美子は新しい道を見つけました。
うれしくてその日、父が酔って帰って来ても、新しい道をみつけたことがうれしくて――。

そうナレーションが語ります。

ジョーカス、今日の出番は酔態のみで、セリフ一切なし。
酔って潰れているだけ、貴美子が抱える足に履いている靴下が、リアリティのある小汚さ。ええ世界観です。

ジョーカスの靴下は不潔感がありますが、喜美子の見出したその道は、キラキラ輝いて見えました。

この時までは……。

おっ?

出社して絵付け工房に入った喜美子。
その目の前には、謎のおっちゃんがおります。メガネの下からギラリと見てくる。

けど、すぐにくしゅん! くしゅんっ! と、くしゃみです。

喜美子の目が、まんまるになる。
どういうこっちゃ?

これはあれやな。

「イッセー尾形さんの使い方で、NHK大阪の本気見せな(アカン)」

イッセー尾形さん、昨年の放送事故は、忘れてええな。

叩き上げは強い

さて、今朝の『スカーレット』第6週。
11月に入って二度目の土曜日。

その内容は?

・信作、はしゃぐ。しかも痛かった……

・親方、結局封筒を受け取って、渾身の嫌味を放つ。そこ、突き返さんのか!

・照子、喜美子とのハグの快楽に目覚める。信作のハグは気持ち悪い模様

・ジョー、靴下汚い

・新親方、立て続けにくしゃみをする。風邪か、アレルギーか?

そういう、どうしようもないまとめ方をしてもええとは思います。
信作覚醒の背景、照子の気持ちええ感情の奥底も気になるんですけどね。

けれども、それだけじゃない、強くて濃い中身もあるのです。むしろわけのわからんギャグの下に、物事の本質を秘めていると思う。

前述の通り、荒木荘で喜美子は覚醒した。
フォースの目覚めや。そのフォースの仲間である、ちや子も来週登場します。

ここが、喜美子の本質であり、怖いところだと思う。

名門校を卒業するとか。
論文や本を書くとか。
テレビに出るとか。

そういう目に見えやすい業績はある。
学歴チェックをして、この人は賢いんだな、偏差値高い学校を出たんだな。そう思うことって、実はものすごく簡単で楽なんです。

でも、そうしていると喜美子のような猛者には勝てない。

思えば喜美子は、家の事情で縛られてきた。
幼い頃から妹の面倒を見て、洗濯をしてお金を稼いでいた。

照子や信作が遊んでいるのに、勉強すらできない。
漢字も読めないで、先生が驚いたほど。

アホな子やなぁ。
いうても、中卒のお茶汲みのお姉ちゃんやん。
そう過小評価する相手をぶった切る。

まずは来週、ジョー相手に戦いに行く。

そういう叩き上げの強さが、喜美子にはある。
学歴や偏差値、業績でははかれない、そういう強い姿を、やっぱり期待してしまうのです。

喜美子を応援する気持ちは、エリートの中で戦い抜く、そういう叩き上げ見ている気持ちにも近い。

そんな喜美子はおとなしくなったらあかん。
来週からも、思う存分派手に立ち回りをしてください。

期待してます!

文:武者震之助
絵:小久ヒロ

【参考】
スカーレット/公式サイト

 

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