昭和の幕が開け、新時代が始まる中。
中風で意識不明となっていた大阪の興行元「北村笑店」社長・北村藤吉は、意識を回復します。
そんな中、団吾が禁止されているラジオ放送に乗り気らしく、大番頭・風太は気を揉みまくっておりまして……。
いつの間にやら寄席20軒て!
風太は新聞でラジオに出る気まんまんの団吾のインタビューを読み、慌てます。団吾は行方をくらましてしまいました。
以前は雑な尾行で隠れ家を発見した気がしますが、そうもいかないようでして。
ここでてんが、しずを寄席に連れて来て案内します。藤岡屋で働いていた風太とトキも懐かしそうです。
風太は全部で20軒寄席があるのだと説明。そんなに増えてたんかーーーーーい!
寄席経営を描くなら非常に大切なことだと思うのですが、その辺の事情をまったく教えてくれないので、腰を抜かしそうになりました。
ここでしずが、
「変わらへんなぁ」
と、微妙に上から目線な感じが……。
そりゃあ以前の使用人ですから、そういう目線になっても仕方ないかもしれませんが、既に20軒の寄席チェーンの大番頭と経理(トキ)ですから、もう少し商売人同士の話し方になってもよさそうな。
しずも成長してない……。
本日のリリコさんは黒魔術師風に仕上げてみました
その頃病院では、リリコが「良かった~」と裏声で叫びながら、悪趣味ファッションに身を包んで登場します。
今回の仮装パーティーは、黒魔術師ですかね?
と同時に、このもっさりパーマヘアはどうしたことでしょう。
気になって時代背景の前後30年ぐらいのファッショントレンドを追いましたけど、こういう髪型は流行っていませんね。
パーマヘアにせよ、こんなもっさりさせないで、短くカットしています。
マレーネ・ディートリッヒさん、カッコイイですよね。
素材だけで言えば広瀬アリスも全然負けてないどころか日本人には絶対ハマるはずなのですが。
コートとドレスは……もう……形容できません!!
藤吉はリリコにハグされても平然としてヘラヘラしています。
昔の人はこんなにハグせんもんやけどな。火曜日のてんと栞を見てこいつらゲスだな、と思いましたが、ゲスの最高点をあっさり更新するようです(https://asadrama.com/1110/)。
藤吉はリリコがナイフを使ってリンゴを剥くのを見て、昔は刃物が怖くてリンゴも剥けなかったとか、キュウリもそのまま食べていたとかナントカ。
むしろ昔の子供のおやつとして食べるキュウリは、そのままかぶりつくのが自然でしょ? 脚本家さん、お上品かっ!
というか、このリンゴの皮を剥く幼なじみに驚くイケメンって、少女漫画でいかにもありそうですよね。
ただ、それが成立するのは、描かれているのが高校生くらいだからであって。
それをそのままアラフォーの男女に移植するもんだから、
「リリコは今までどうやって食事を作ったの? 全部外食?」
と違和感が拭えません。
リリコは、てんが笑顔で付き添っていて偉いと言います。
「リリコは笑うた顔が、一番べっぴんや」
そう言う藤吉。
これは後に藤吉が亡くなったとき、涙を誘うために思い出させたりしそうですね。
黒魔道士vsカズレーサー
リリコは病室の前から出ると、鏡の前で笑顔の練習をします。
そこに通りかかる、てんとしず。
とりあえず病室の外ですれ違う、真っ赤なてんと、真っ黒なリリコは、黒魔道士vsカズレーサーさんかもしれません。
あるいは、真田勢の赤備えと、独眼竜率いる黒の伊達勢で大坂夏の陣!(ヤケ)
ここでしずが病室に来ます。
オーパーツ花束を持って来ており、そこから会話がダラダラと続きます。
あきらかに時間稼ぎとしか思えない、どうでもいい会話。
しんみりしたBGMを背景に、安っぽいポエムじみた既視感あふれる美辞麗句を、俳優の顔をアップにして流し「なんとなくよい場面」に仕上がっております。
今まで忘れたようだった藤岡屋のメンツを次々に引っ張り出してきてる感。
ここでしずは、見舞いの花から連想して「大輪の花を咲かせろ」とか臭い台詞を言うわけですが……。
ちゃうやん。本作の風鳥亭のモチーフは、鳥やん。
吉本興業のシンボルは「花のれん」で、「風鳥亭」も史実では「花月」です。
モチーフを花のままだったら、この台詞も生きてきます。
ところが本作は、北村夫妻の愛のシンボルである「鳥」に変えてしまった。
それならば、しずの台詞も「大空に羽ばたけ」とか、鳥を連想させるものしろよ、と思うわけです。
要するに、何も考えてないんでしょう。
台詞で穴埋めしたい
↓
お見舞いといえば花
↓
そうだ、花関連でなんかいいこと書けばいい
ってな、インスタントな流れっぽいですね。どうにか面白い展開をひねり出して、仕事してください><;
団吾が夜中にやってきて、うどんとそば
藤吉はリハビリをして、倒れます。
そういえば藤吉の髭がいつまでも同じような、マジックで描いたようなものです。
意識不明の彼の顔を、誰かが剃って整えていたのでしょう。病人の割に、やつれとかそういうのも全然ないですし。
ベッドでわざとらしく本を広げる藤吉。
今まで仕事といえばふるふるボイスでお願いするか、接待に出るしかなかったのに、いきなり真面目仕事熱心キャラにチェンジしております……。
すると夜中、団吾が蝋燭片手に登場。
いいのんか???
面会時間って、ないんですか!?
キースやアサリたちは昼間に見舞いしてても看護師さんに怒られてました。
風太の目をすり抜けるためと言ったって、病院には藤吉だけがいるのではなく、団吾がなんぼ破天荒と言ってもそれをやったらただの輩(やから)ですやん!
ここで団吾は、ラジオ出演をあらためて宣言します。
うどんと蕎麦ならどっちがうまいか?
わてならうまい蕎麦なら並んででも食うとかナントカ。
それって、寄席ではなくラジオで落語を放送する喩えとして合ってます?
うどんと蕎麦、どちら?という質問は、個人の好みの問題です。落語か漫才か、という話。ここまでならOKでしょう。
しかし、「うまい蕎麦なら並んでも食う」と宣言するのは、「蕎麦A or 蕎麦B」というコダワリの話でしょう。例えば「団吾がいいのか、団真がいいのか?」ということであって、「寄席(うどん)かラジオ(蕎麦)か?」ではない。
あるいは、団吾がラジオを前提として話してるなら、ラジオA(蕎麦A)かラジオB(蕎麦B)での比較になりますよね。どっちがうまい蕎麦なのかは知りませんが、とにかく……
雑!
こういう雰囲気だけの原稿って、出版業界でもちょいちょいあるんですよ。
でも、普通は、デスクや担当編集から書き直しを命じられるもので。あるいは校正さんにつっこまれちゃいます。
その点、ドラマってのはスルーなのでしょうか?
まぁ、史実では、ラジオを聞いた客が寄席にやってきて、両方、儲かる――という流れなので、別に大して困るワケでもなく、それが脚本家さんのアタマの片隅にあるのかもしれません。
※しつこいですが、「寄席かラジオか」を食べ物に喩えたいなら、「店で食うか(寄席で聞くか)、出前で食うか(家のラジオで聞くか)」だと思います。店舗か自宅というのが本質なワケで。まぁいいです。しょーもないw
一つ問題があるとすれば、いくら病人とはいえ、団吾が相手だと1ミリも引き留められない藤吉のマネジメント能力でしょう。
隼也憧れの父ちゃんって、これがデフォルトだっせ……(´・ω・`)
今日のマトメ「女優の引退はいつなのか問題」
それにしても……リリコは今アラフォーですよね?
廊下で会ったしずにも「映画女優の?」と言われていて、売れっ子女優のようです。
戦前(というか現在でも)、女優が旬を継続するのは難しいもの。結婚→引退が当たり前でした。
そうでなくても30過ぎたらガクッと仕事が減り、母親や魔女のような老女……というのが当たり前だったわけです。
現在でも、メリル・ストリープのようなハリウッドの大女優すら、「歳を取ると役が減る」と、男優との差を嘆いています。
リリコの活動時期よりもあとのグレタ・カルボ、原節子すら、40前後で引退しているわけです。
リリコの所属会社である伊能栞。
その栞のモデルである小林一三が創設者であり、劇中では消滅している「宝塚歌劇団」も、戦前は女優の旬が今より短いものでした。
それが何故、いつまでもリリコが20代売れっ子女優設定なんだろう?
現在だって20代と40代の女優の扱いは違うでしょ?
年齢関連のツッコミはもう嫌気がさしますが、しずもてんも若い。
同級生の見舞いにきた高校生とその保護者にしか見えません。
しずは当時ならば相当高齢者のはず。
年齢感覚が平成。いや、リリコの扱いを考えると平成でもおかしい。
言うだけ野暮、というレベルを超えているんではないでしょうか。
著:武者震之助
絵:小久ヒロ
【参考】
NHK公式サイト
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