わろてんか78話あらすじ感想(1/5)モボ・モガの闊歩する大阪も見たいんや!

大正10年(1921年)、大阪を制覇した興行元・北村笑店では、安来節の女踊りを目玉の演目として売り出すべく、踊り手たちを特訓中です。

バラバラだったチームワークも次第にひとつになってきたものの、完成まではあと一歩。
さて、風鳥亭では彼女らをどんな風に仕上げるのか?

 

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「リリコさんに頼みましょう!」

本日は、風太がトキとキースのデートにイラつくところから開始。
乙女組が恋愛禁止なのにトキがデートなんて示しがつかんと言いますが、そんなこと何も関係ないやろ。

乙女組の様子は、一応カタチになりながら、いまひとつ何かが足りないそうで。

「艶っぽさが足りないというか」
そう指摘する藤吉。

ここでてんがドヤ笑顔ブルドーザーで、
「それならリリコさんに頼みましょう!」
と、言い出します。

えっ……ダンサーでもないリリコに?
売れっ子の元娘義太夫、そして現役女優ということでの演技指導と考えれば、何か化学反応もあると目論んだのかな……。

 

しかし、てんの気持ちってどうなんでしょう。

さんざん藤吉とリリコの関係で振り回されておいて、そういうわだかまりもないような態度です。
なんだかんだでリリコが自分たち夫婦の周辺を、物欲しげにうろつき回っていても気にしていないのでしょうか。

2人が綺麗サッパリ関係もなければ別に構わないんですけど、年末から年越しキスシーン(未遂)を視聴者に見せるもんですから、気にするなというのが無理な話。
結果、てんの態度がブレブレに見えてしまうんですよね……。

 

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の設定改変で生じた歪が広がって

リリコを前にして、乙女組の4人は裏声で喜びます。

「女優さんやわ~」
「どげんしよ~」

スミマセン、ここでもちょっと疑問が><;
テレビなど存在しない当時、活動写真でしかリリコの活躍を知る機会はなかったことでしょう。
雑誌のグラビアで見た可能性もあるかもしれませんが、島根の田舎にいた設定の少女たちがいつドコでリリコを見て憧れたのか? 地味な疑問が残ります。

実はこの辺、映画関連の時代考証が、最大数十年単位でズレているようでして。
原因は、伊能栞の功績から宝塚歌劇団を抹消し、映画に置き換えたために発生しているようです。

本来、栞のモデルである小林一三の映画時事業(現在の東宝)は、株式会社東京宝塚劇場が前身です。
発足は昭和7年(1932年)。要は宝塚を踏まえての映画事業であり、そのぶん時間がだいぶ後になります。

先日も申し上げましたように、ドラマなので創作はアリです。
しかし、史実の無責任な改変は、NHK朝ドラにおいては多くの視聴者さんに誤解を生じさせてしまうわけで。その辺が見ていて心苦しくなってきます(´・ω・`)

リリコは冷たく「おべんちゃらはいらん!」と吐き捨て、さらには踊る乙女組を突き飛ばして転ばせると、その様子を見て「アハハハハハ!」と高笑いします。

「もっとお客さんが驚ろかせんとあかん。うちみたいになるのは百年かかっても無理やわ!」
あのー……リリコさん。
自信たっぷりですが、あなたもそんなに魅力的に見えないというか、意地悪な美人さんになっちゃって辛い……。

大女優なのに腰が低くて、とても優しい女性が最近の朝ドラにいました。

『あまちゃん』の鈴鹿ひろ美や、『ひよっこ』の川本世津子です。
それを思い出すと彼女たちとの落差にクラクラ。
この三人の中で一番キャリアも格も低いはずのリリコが、なぜこうも大きな態度なのでしょう。

厳しい指導に見せたいのかもしれませんが、視聴者まで萎縮してしまうような印象です。

リリコはメイクも指導し始めます。
てんが自信満々に連れてきましたが、指導者としての適性は甚だ疑わしいなぁ、と。

 

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トキと風太の色恋沙汰 いつまでやっとんねん!

一方、風太は、キースとすれ違いざま、突っかかります。
ちょっと様子がおかしいキース。彼は風太に、
「おトキちゃんから何も聞いていないんか?」
と言い出します。

風太は怒りだし、なんてお前らのデートについて知らねばあかんねんと不機嫌になります。
ここで「トキに気があるのか?」とからかわれ、トキの悪口を言い出す風太。色気がない、気が強い、女として見ていないとまくし立てます。

実はこの二人の会話を、トキが立ち聞きしていました。
アサリが通りかかり、トキが聞いていたことに気づいて焦る風太。

前にも突っ込んだ気がしますが、大番頭も経理担当も、本拠地南地ではなくて、無意味に天満をウロついているとしか思えないこの設定……どうなんですか、それって。

要は、学園ドラマですよね。
夕陽射し込む校舎での会話って感じで。昭和の出来の悪い少女漫画みたいな場面が、なぜ朝ドラで繰り広げられるのか。

 

自分の仕事になると、途端に子供になるリリコ

その夜、栞はリリコの長屋に来ています。
ラブシーンを演じたくないとゴネるリリコ。

まるで子供のように、
「いやや、いやや、いやや、いやや、いやや、いやや、ぶーっ!」
と、ダダをこねた挙げ句、ブーッと唇まで鳴らします。

なんでこんなこと、リリコにやらすんや……。
乙女組にはさんざん偉そうなコト言ってたのに、自分のプロ根性はどこ行ったんや(´・ω・`)

リリコは、好きな男相手ではないと抱きつきたくないと拒否します。
しかし、当時の日本映画で、キスやハグをするようなラブシーンがどれほどあったのか(昨日も申しましたが映画で最初のキスシーンは戦後間もないころです)。

栞はいつまで藤吉に未練タラタラしているんだ、と突っ込み。リリコはここで、
「あんたかて、うちを抱きしめられんやろ!」
と言い出します。

いやいやいやいや、その理屈はおかしい!
キスとちがって別にできるんちゃう? そもそも俳優でもない栞がそんなこと出来なくても別にどうでもええわ。

なぜこんな不自然なことを突然言い出すのか?
要するにリリコは、栞に色気ある行動をさせるため、わけわからんことをさせられるんでは?
以前は天水桶の水ぶっかけをしております(下記の回を参照)。

わろてんか70話あらすじ感想(12/21)芸人育成を怠ったツケ

案の定、栞はリリコを抱きしめます。

水を引っかけられて無意味に胸元はだけだ着流し姿にさせられたり、わざとらしいハグをさんざんぶっこまれたり。
高橋一生さんを、色気ある客寄せパンダにする本作。
高橋さんも広瀬さんも、本当に気の毒としか言いようがありません。

 

そもそも北村夫妻の見る目が節穴ということに……

乙女組は連日の指導に怒り、リリコのへっぽこスパルタコーチにも不満タラタラです。

しかし翌朝。
4人が舞台へ出向くと、そこでリリコとてんが安来節を踊っていました。

てんは踊りが下手過ぎて月の井団吾から叱られてました。
その割に結構上手になっていますね。

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にしても、です。てんとリリコの関係が、まったくわからん!のです。
あれだけギスギスした恋敵がどう和解したか? 全然描かれていなくてモヤモヤでして。
視聴者の記憶力をバカにしているのでしょうか。
まぁ、これは藤吉と栞、団吾と団真の場合でも同様にアヤフヤなまま押し切られてますが。

リリコは乙女組の評価を問われて、厳しいダメ出しをします。

・都は踊りはうまいがつまらない
・なつは華があるが、かわいげが無い
・あやはやる気がない
・とわは自信がなさ過ぎる

おいおい、おいおい!
さすがにこのレベルになりますと、オーディションをやった北村夫妻の目が節穴っちゅうことになりまっせ。

現状、あと一歩どころか全然駄目だというレベル。
それが、いざ舞台に立ったらスグに大盛況!では、本当にズッコケてしまいます。

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ここで不満タラタラの乙女組を、てんが叱咤激励します。

「あんたら甘えるのもいい加減にしい! 田んぼで踊るんとは違うんやで! そんなにやる気がないなら安来にお帰りやす!」

やっぱりてんが京都出身というのはマイナス、というのはこういう長い台詞の時に感じますね。
度胸満点、浪花のごりょんさんとは何かが違う。
そもそも方言のイントネーションや言い回しが混ざると混乱しやすいでしょうに、なぜヒロインだけ中途半端な京都弁設定にしたのやら。
どぎつい大阪弁を、かわいいおてんちゃんに言って欲しくなかったとか?ですかね。

この台詞も、てんの見せ場になるハズなのに(BGMも大仰)、今までの積み重ねがないから、どうにも無責任に聞こえてしまうんですよね。
スカウトの時、大阪のおかあちゃんになると言い切った。なのに、乙女組の「真の悩み、苦しみ」を掬おうともせず、叱り飛ばすだけ。
厳しい一面もあるんでっせ。と言いたいのかもしれませんが、叱る場面が違うんでは?

しかし、乙女組はなんだか納得しちゃって、丸くおさまりそうで。
理不尽なパワハラじみたリリコの指導は不愉快ですし、こちらとしてはモヤモヤしっぱなしですわ。

 

今日のマトメ「モボ・モガは今でも十分カッコイイ」

今日の駄目出しは、登場人物のファッションや髪型についてです。

藤吉の髪型が初期のボサボサも、変更後もイマイチだと思っていました。
今日はリリコの髪型も長さが中途半端で、『ちびまる子』ちゃんみたいなんだな、と思った次第でして。

どうにも大女優の風格がないというのは、リリコも同じ。乙女組をどうこう言えません。
いやや連呼、ブーッ! という痛すぎる言動もあるでしょうが、ファッションも野暮ったいんですよね。

ちなみに当時流行最先端のボブは、こんな感じですね。

wikipediaより引用

海外では「フラッパー」と呼ばれていました。

wikipediaより引用

この絵や写真と、本作を比較してどうでしょうか。

なんとなく似せているけれども、垢抜けない、その時代らしさが出ていません。
『広瀬アリスさんという素材バッチリの女優さんをまるで活かせてない……』という安西先生の気持ちになってます。

1920年代のファッションを再現した作品として、ドラマの『ダウントン・アビー』、映画の『華麗なるギャツビー』があります。

予算や環境を踏まえると、比べるのは厳しい部分もあるでしょうが、リリコのファションはそれっぽいだけで全然違うのでは?
髪型、メイク、ドレス、全部もっさりしていて、変に思いませんか?と突っ込みたいのです。

 

舞台は1920年代です。
観客や道行く人がモダンな服装で闊歩している様子もちゃんと出しても良いハズです。

そういう時代にあわせて演目を変えたのが、吉本なんですから。

とまぁ、時代考証に毎日突っ込んでいて、嫌になってきます。
毎日レビューを読んでくださる読者様に対しても、心苦しく感じてしまいますが、何卒お許しください。
歴史サイトですので、まともな大正時代の再現を見たいと訴えたいのです。

モボやモガが闊歩する、商業都市大阪。
想像するだけでワクワクしませんか?

それを画面上でも見てみたいというのは、贅沢な望みなのでしょうか。

著:武者震之助
絵:小久ヒロ

【関連記事】
吉本せい 吉本興業の歴史

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【参考】
NHK公式サイト

 

 

3 Comments

匿名

大河も朝ドラも駄作が多いですね。5年に一回くらいしか面白くないです。
大河は奇跡的に2年続けて面白かったけど。
皆様の受信料で作ってるんだから真面目にやって欲しいです。

こえり

お久しぶりです。毎日拝見してます…、もはや震之助さんのレビューを読みたいからドラマを見ている状態ですわ。
高橋一生さんが客寄せパンダ(┯_┯)ホンマにそうですね。年末の「直虎」総集編を見て心の底から「高橋一生さんは、本当に素晴らしい役者さんなのに…。」と悔しくて仕方ありません。役に当たり外れがあるのは仕方ないのかもしれませんが、葵わかなさんや松坂桃李くんも気の毒に思います。こんなドラマを作っていては出演拒否する俳優さんが出たりしないか心配です。

ビーチボーイ

うん、さすが武者さん。特に今日の最後のあたりの指摘は鋭いと思います。このドラマの魅力の無さは、とどのつまり1920年代という黄金期のモダン大阪の雰囲気がちっとも味わえないことなのですよ。平成人の100年前コスプレに過ぎないんです。これはひとえに脚本&制作のセンスの無さであり、矢面に立たされる出演者の方々は気の毒の極みです。
あの世論が絶賛する『ひよっこ』だって、実ははっきり言ってベタな大甘絵空事物語であり「豪華キャストによる高級学芸会」でした。けれど、半世紀前の高度経済成長まっただ中のレトロ東京の気分がばっちし再現されていたがゆえに、視聴者は感情移入して浸ることができたのです。わろてんかもそこさえクリアできていれば全く評価が違っていたかも知れません。そのあたりの基本を理解していない作り手の欠陥。残念な限りですね。

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