スカーレット75話あらすじ感想(12/25)屁ぇこいて「ほな……またな……」

ジョーのために、皆で器を作る川原家。

そこに何を載せるのでしょうか。

戦友の代わりになりたくてな

その日、大野家では。

「またやんけ」

信作が寝巻きにカーディンガンを羽織り、食卓で酒を飲んでいる父・忠信に呆れております。
ジョーさんの代わりだってよ。それを言い訳にして、最近毎日飲んでいるそうです。

ジョーさんが飲みたいだろうから、代わりに飲む――弱いのに無理すんなと信作が呆れて部屋へ戻ろうとすると、一升瓶に話を聞いてもらうと忠信は言います。

信作は、父の話を聞くと横に座りました。

戦地でしんどかった時。あれ食べたいなぁ、これ食べたいなぁ――そう語り合ったそうです。

「ジョーさんは、大阪の串カツをいつかわしに食わせたる言うた。ほんでな、わし、ジョーさんがいつか大阪から信楽に来ることあったら、うまい松茸ごはんごちそうする言うて……」

マッタケ嫌いやろ。信作はそう言う。
忠信はキノコ全般が嫌いなんだってよ。

「でも、約束全部果たせんかった……」

そう頭を垂れる忠信。
陽子も起きてきて、頭にカーラーをつけたまま、じっと話を聞いています。

「ほな、いこか!」

きっぱりと、信作は父にそう返します。

マッタケで約束守らなあかん

「マッタケ取りに行こうや。男やったら約束果たせ、おじさんやったらそう言うわ! 山駆けずり回って、マッタケ採る、マッタケ! ついてきたれ!」

「お、おう」

「あっ、おふくろ、米といでいてくれ。山いっぱいな。俺かっこいいな。うわ寝巻きのまんまやった、着替えて来る!」

松茸狩りや〜!

はい、今朝の放送を見て、
「信楽には、そんなに松茸あるのか!」
と驚かれた方もおるかと思います。

松茸は各地にあるものですが、なまじ高いし、条件があるだけに、わかる人だけコッソリ教えあっているものでして。大野家には、なんだかそういう情報が伝わっていたのだと思います。
忠信が好きではないから、そんなにとらなかったのかも。

今は輸入が増えました。
国産でいかにも地元で採れたとプンプンさせている。そういうものは、ちょっと疑った方がよろしいかもしれません。

本当に美味しい松茸は、口伝だったりするんだなぁ……。

ジョーの串カツか。
二度漬けあかん、そういうアレやな。
どて焼き、てっちり、スッポン鍋。そういうんと並んで店があるアレ。

これが『なつぞら』だと、浅草の天丼と十勝の乳製品だったわけです。

水木しげるさんの場合、現地で食べたバナナが大好きで。

心が少し軽くなる水木しげる&武良布枝の生涯「なまけ者になりなさい」

戦友同士でその土地の名産品について語り合う――それはよくあることでした。

※ジョーの想定してる店を想像したくなるわ

なんでそんなに食いもんのことばっかり語り合ったって、そらお前……。

飢餓に苦しんどったからや。

※『野火』の世界やな

来年の朝ドラは、主人公がインパール(※『ひよっこ』の宗男叔父さんのあの戦地)に慰問団員として向かうわけですが、どうなることやら。

出勤前にインパールか……。

彼らの中で戦争は終わったのか、終わらないのか

川原家では、皿が焼きあがっておりました。

往診の医者が帰ってゆく。そんな夕方。
喜美子はお盆を前に暗い顔をしています。

そこで響くノックの音。
戸を開けると、大野家の三人がおりました。懐中電灯で顔を下から照らす陽子が可愛いらしなぁ。

「マッタケや!」

「ご飯持って来た!」

「約束果たしに来ましたで!」

かくして、川原家でマッタケご飯が炊きあがります。ここで炊くことで、あの香りが広がるわけですから、たまらんものがあります。

炊き上がったマッタケご飯。見ているだけでも、たまらんものがありますね。

「おーっ!」

「わあーっ!」

「どれどれ」

「いいにおい!」

そうそう。食べるまえに、皆がのぞき込んで香りを楽しむだけでも、美味しさは伝わります。
『なつぞら』の目玉焼き演出の場面ですね。

餅米を混ぜたと陽子が言うのも細かい。そこは大事や。

いくらカンヌお墨付き女優を使おうと、脚本と演出があかんと、あかん。
特にうまいわけでもないラーメンをすすった瞬間、脳天から絶叫して、顔芸を披露――あんなん、むしろオカルト儀式やで。

まぁ、そういう昨年の放送事故を作る側もつらかったことはわかった。
私は未だにあのモデル企業製品は買えへん。マルちゃん正麺最高や! ラ王なんて最初からいらんかったんや!

あのことはもうええ、すんません。

忠信は皿にマッタケご飯を大盛りにして、ジョーに持っていきます。

「毒入ってんちゃうか」

「大丈夫や、大丈夫や、なぁ!」

「オゥちゃん、本当に、ありがとうな……」

かつての戦友はしみじみとそう語り合います。
冗談を混ぜるあたりが、ええ関西人です。

そしてマツのことを託すのです。

「こいつが一人になるさかい、ええ男紹介したってくれ」

「ジョーさんよりええ男なんて、わしぐらいちゃうか」

「きっつい冗談やなぁ、やなあ大丈夫や。マツさんにはうちがついてるさけ」

うーん、これをセクハラ、ただの無神経と言い切れないのも、難しい。
彼らは戦友同士ということもありまして。戦地で死にそうになったとき、気になるのは残して来た妻子のことでした。

そういう冗談を言い合ってきた。
そんな記憶がこうして蘇っているのでしょう。

極限でのお互いの思いがあるからこそ、柴田剛男は戦友の遺児のことを探し、育てたわけです。
そしてジョーは、あれから何年も経っているのに、こういうことを口にしてしまう。

ついでに言うと、草間宗一郎のように戻ってきたら妻が別の男と結婚している例も多かった、と。

朝ドラは、かつては自分の先祖世代を思い出す懐かしいコンテンツだったわけです。
それがここ数年、戦争の歴史をポッカリ忘れたかのような無神経描写が増えていて、もうあかんのか……と思っとったところです。

2019年は東も西も、この点ええんちゃうか。
放っておけば記憶は薄れていく。継承していかなあかん。
※続きは次ページへ

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