スカーレット79話あらすじ感想(1/6)巧妙に悪化するズレ

スカーレット79話 あらすじ感想~視聴率は17.3%でした

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昭和44年(1969年)――。

父の死、ジョージ富士川との再会を経て、あれから三年。喜美子は31歳になりました。

当時の小学生はキックボクサーが好き

フカ先生から年賀状が届いております。
ハイカラな葉書だと言う喜美子。綺麗で幻想的な絵ですね。

武志は学校へ。お正月明けです。
ぴったりタイミングを合わせてきた、そんな本作に緻密さを感じます。お屠蘇気分ではなく、再スタートをする視聴者を応援ってところでしょう。

布団を剥ぎ取るようにして起こされた武志は沢村の膝蹴りを真似しております。

おっ?
これはアレやな、『なつぞら』の『キックジャガー』もせやったな!

……ってなるじゃないですか。
調べていればわかる当時の流行といえばそうなのです。NHKで情報を共有して効率化すればええと思うじゃないですか。

これに東西断絶現象が起きていたとしか思えない状態があったんですよね。あれは何かな?

その点、『なつぞら』と『スカーレット』は、意識して手を組んだ感があるんですよね。いちいちあげると時間がないし、興味ない方が多いと思うのでここは省きますが。

そんな武志は、マツにテレビをねだっています。
喜美子はそれどころじゃない。通学前に、漢字の宿題をしなければいけないってよ。

それなのに腹筋をしてしまう武志。子どもはそんなもんと流しそうになってしまいますが、幼少期から先天性、遺伝、そういったもので形成される性格の基礎はあるので、しっかりみておきたいところです。

うーん、武志よ。集中力が極端なのかな?
だらけるようで、ガッと集中することもできる子なのかな?
気になります。本作は性格の組み立てが本当にしっかりしているから。

そこへ百合子も起きて来ました。八郎は作業場にいるそうです。

なんでも、お義兄さんは美術商の佐久間さんと、「あかまつ」で一昨日飲んでいたと百合子は言うわけです。

最近、百合子は「あかまつ」に行っているってよ。
ともちゃんは結婚した。じゃあ誰と?

「いい子だねぇ〜」「ゴロゴロ……」

相手は信にいだってさ!

信作と二人で飲んでる……って、信作、まだ独身かワレ!
幼なじみの中で最初に結婚する宣言はどうした?

今は31歳の独身など当たり前ですが、当時ですと男でもちょっと遅い方に突っ込んでいますかね。

百合子は原付免許の相談に乗ってもらっているそうです。
喜美子が危ないと注意すると、そう言う喜美子説得の相談に乗ってもらっているってさ。喜美子はそれでも納得できず、「サニー」でコーヒー飲みながらでもええやん、と言うわけですが。

そんなん……信作と百合子は見られたくないんやで。
大野夫妻に観察されると困る。そういうこっちゃ。

信作は、あれだけモテモテながら、めんどくささスルースキル持ちに落ち着くわけですね。

「信作はモテモテ! プレイボーイ!」

「子犬系!」

そういう評価もあるようですが、私としてはこいつは猫だと思うんですね。
女性からのアプローチにはじめこそ浮かれたものの、今はもう鬱陶しくてめんどくさい。硬派気取りでもなく、心の底からめんどくさいんだな。

男相手だからええというものでもない。それは民放のあのドラマや。
男女問わず、ようわからん人間からの接近がめんどくさい。

まさしく、猫の気持ちです。無理矢理抱っこすると逃げる。ハンドバッグで殴る女はそれよ。

でも、膝でぬくぬくしたいとは思う。
そっと穏やかに撫でてくるだけ、そういう百合子タイプには自らくっつきにゆくのです。

百合子は岩合光昭さんのような、そういう包容力があるのでしょう。

※いい子だねぇ〜の境地です

膝蹴り大好きやんちゃな少年……でええんか?

さて、そんな八郎ですが。銀座での個展が決まったそうです。

その奥で、武志は膝蹴りをしている。

銀座で個展をする!
すごい!
と浮かれる川原家ですが、八郎はフカ先生からの絵葉書を見つつ、暗い顔をしております。

陶芸家として名を成し、生活は楽になった。
その一方で八郎はどんどん息苦しさが増しているそうで。

武志は出かける前もテレビをねだり、喜美子は買うほどお金持ちじゃないとキッパリ言い切ります。

よそはよそ、うちはうち!
我が子の膝蹴りを禁止しつつ、学校へと見送りました。

さて、「かわはら工房」には、窯業研究所の柴田から預かった、畑山と稲葉という二人の弟子がいるそうです。

その弟子一人を、陶芸教室手伝いとして八郎にくっつけると喜美子は言いますが……どんな弟子やろなぁ。

八郎はここで、中古ならテレビくらい買えると言います。
喜美子は、あれだけ暴力的な膝蹴りを抱えた息子を心配しているわけでして。テレビで沢村の試合を見て、ますます暴れたらあかんという懸念があるわけです。

ちょっとした描写ですが、不穏ではある。
父である八郎は、母である喜美子ほと息子の観察ができていない。

喜美子が心配するほど、発作的暴力衝動がある武志。
まだ視聴者にとって決定打となるほどのやらかしは出てきておりませんが、ここは注意したい。

ほんとうに小さなこと。些細なこと。
でも、こういうことが【ズレ】として妻や母の心をむしばみかねない。そこを、考えていかねばならないのです。

武志の性格は、父親に近いとみた。祖父・ジョーとは違うのです。

八郎は変わらない

そんな二人を前にして、マツが二枚のブラウスを掲げます。

安っぽい針金ハンガーと、精一杯おしゃれしたブラウスの対比が切なくなってきます。

ここで夫妻は、一致せず別のブラウスを指差してしまう。

「どないしょ!」

「どっちも似合ってるで」

「せやな」

これもね、マツの切なさでもある。
ちょっとした描写ですが、彼女の決められない性格が出ていますね。

八郎は、陶芸教室の先生として出かけます。すると弟子がどっちがついていくかで揉め始め、どっちつかずのまま喜美子は出かける夫にこう声を掛けます。

大阪の料亭から頼まれた花瓶、釉薬準備しておこうか、って。
八郎は釉薬は自分でやると言います。

その横で、弟子二人は揉め始める。

一人は残って掃除だと喜美子が言うのに、行く気満々ですわ。
真田昌幸ならくじ引きを使う。いや、そうまでせんてもじゃんけんで決めえや!

この描写もちょっとしたものですが【ズレ】が出ている。

八郎さぁ……自分の弟子なら自分で管理せえ!
ジョーあたりなら、ビシッと決められると思うんだな。ジョーはなんだかんだで、人をまとめてはいた。盗難事件という不幸はあったけれども。

これは柴田の人を見る目でもあると思う。
八郎は後進指導に向いていない。

フカ先生の前任者がおりましたよね。
人格的に好印象はないようで、大勢の人をビシッとまとめるのであれば、彼が向いているんでしょうね。

自分の釉薬は自分でやる。
でも弟子のゴタゴタはぶん投げる。
ダメやん、あかんよ、それは!

これもなぁ。人間には誤解と願望がある。

成長すれば、栄誉を伴えば、人間にはリーダーシップが身につくものだって。
人の上に立つ。成功する。そういう人間は人格も高潔で道徳心があるって。

そういうのはもうそろそろ、捨てた方がええ幻想です。

加齢して、家庭も持って、責任もついて。ならば人間も出来上がる? そういう認識でええんか? いかんでしょ。

八郎は人の指導ができんのよ。そういうタイプでない。
そのことに本人も無自覚で、周囲も理解できなくて、迷走に突っ込み始めました。

迷走しないようにするにはどうすればよいのか?
ここが【ズレ】です。

マツは陽気な未亡人

武志の描いた祖父の似顔絵が飾られている、そんなお仏壇。手を合わせ、マツは晴れ晴れとした顔をしております。
なんとマツは、「おかあさん合唱団」に参加することになったのです。それであのブラウスやな。

当初、誘われていたのは喜美子でした。
が、彼女は、八郎の手伝いが大変で参加できない。個展の準備もあるし、弟子の世話もある。八郎の管理が苦手なこと、ぶん投げ傾向がちょっとキツいものがありますね。

ここで照子が「八郎の十歩も二十歩もあとをついている」と言い、それに喜美子は「それどころか百歩」と返します。
佳織は、夫の後ろに下がるのは当然だと相槌を打ちます。

何気ない会話ですが、アニメスタッフロールで夫婦名が並んでいた、そんな『なつぞら』の後なんですよね。

それと比べて、NHK大阪は古臭くていかん! そうなると思うやろ?
ここが、恐ろしいところではある。

有子はここで残念がります。合唱団はあと一人、欲しいってよ。
わかるなぁ、喜美子はええアルトですから、そりゃ欲しくなりますよね。

アルトは貴重や。
低い声はおっさんだと言う奴は、合唱のことなんも知らんのやな!

ここで照子が、あと一人としてマツを誘ったのです。これはええんちゃうか。

喜美子はウキウキと出かける母に、ホットケーキとコーヒーも行って来たらええよ、と声を掛けます。
実はミッコーよりマッツーが、ホットケーキが好きという流れかな?

マツが洗濯を気にすると、喜美子はやっとくと答える。今日はお天気持ちそうやし。
それに、洗うのは洗濯機なのです。

洗濯機、炊飯器、冷蔵庫もある!
これには、商売がまあまあ順調な直子もビックリしたそうです。

家電製品ね。こういうところ、ほんま細かいよね。

昨年のNHK大阪放送事故はあかんかった。家事なんて楽だとぶん投げながら、機械化の程度は出てこない。だからこそ、材料を切るだけ、結婚式でもらったら粗大ゴミまっしぐらの典型を、主婦の救世主だとドヤ顔して出してくる。
あのドラマの作り手が家事に無関心だということは、よくわかりましたとも。

そうそう直子ぉ、期待はずさんといてな。
コケてトラブルを爆発させてこその直子やで。まぁ、なんかやらかすやろ。

私がこのドラマに待ち望んでいるのは、ドツボに突っ込む悲惨な展開です。

邪悪な期待というわけでもない。そこから何か学べるところまで突き進む。
そう信じているからこそ、「鮫島こそジョーカスの再来や!」、そう叫ぶ日を楽しみにしております。

マツはおずおずと、ときめいた顔でこう言います。

このうえ合唱団にホットケーキにコーヒー。お父ちゃんおったら叱られるな。

喜美子はこう返します。

「うちは生き生きしてるお母ちゃんのほうがうれしいで」

ほんまに。
富田靖子さん、可愛らしいなぁ。

大久保さんの三林京子さんも可愛らしさに、悶絶した。おばちゃんの魅力がよく出ております。

わかる。宝塚を女同士で見に来ているおばちゃん。そういう可愛らしさがあるね!

でも、これってよくよく考えてくださいよ。
ジョー生前はここまで可愛らしかったっけ?
心の底から開放感出ておりませんか?

大久保さんだって、あのウキウキは喜美子絡みだったし。
実は女同士の方が、可愛らしさを引き出せるというか……夫の死後、ウキウキワクワクする妻。それはある意味禁じ手であったとは思う。

そんなん、せいぜい金鳥のCMまでやろ。

※亭主元気で留守がいい

『半分、青い。』では、夫と同行する趣味ではなく、女同士の趣味が肯定的に描かれており、斬新だと感心しました。

斬新どころの騒ぎやないやろ、コレ。

こういうの、実は心理的にダメージがでかい。
だから『陽気な未亡人』なんて呼んで喜劇にする。そういう逃げ道を模索していたわけですが。

どうする気なん、この朝ドラ?
しかもマツは『なつぞら』の生意気女と違った、古風な昭和妻として評価されとったわけですが。

こんな昭和残酷な真実を見せつけんでも……ええな、もっとやりましょう!
※続きは次ページへ

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