スカーレット80話あらすじ感想(1/7)賢いゆえに真理を突っついてまう

弟子たちが喧嘩しております。

このアバン(オープニング前)の場面で二人の出演は終わるようです。

そういえばニュースを見ていて気づいたんですけど、弟子役の方、昨年の放送事故にも出ておりましたっけ。せや、赤松さんだったかな?

骨折を散々笑い者にされた挙句、さんざん搾取された役。
演者が同じこの弟子は無傷で終わりそうで、めでたいとしか言いようがありません。

【ズレ】は英語で【ギャップ】

「かわはら工房」には柴田が来ております。彼を前にして、八郎は弟子を断ると言います。
先客として信作が来ておりましたが、おとなしく待機中――。

この、待機する信作な。
こいつは信楽焼の狸のように、目立たなくて、いてもいなくてもいいような奴に思えるほどではあるのですが。

気ィつけてな。
こいつ、会話を全部ジイ~ッと聞いていて、そこからいろいろ分析して問題解決に持ってくで。
そういう洞察力とスキル持ち。しかも問題発生まで黙っているから、普段ただのおとなしくて無害でシャイな人にしか思えないのよ。

ここも、そういう信作ビジョンで見ていきましょうか。
弟子に対して断るのは喜美子の役目。そんなもん、八郎本人でやらんかいっ!

柴田はここで、八郎にイメージ一新させる芸術作品を求めていると言う。美術賞の佐久間もそうだって。

そんな柴田に喜美子がお茶を出そうとして、断られる。

思い出してみましょうか。
かつて丸熊では八郎が同僚にお茶だししていたのです。掃除も自分でして、喜美子が手伝うと言ったら断っていた。

何気ない場面ですが、覚えているとモヤモヤするものが出てきます。

喜美子も八郎も陶芸家になった。
八郎は出世して、お茶だしや掃除はもうしない。喜美子には、そういうことはない。

そこには【ズレ】がある。
【ジェンダーギャップ】というものです。

学生時代までは同じように勉強して、遊んで、調理実習もする。そういう子どもたちが社会に出る。
すると、お茶出しや食器洗い、お土産のお菓子を配ることが女子社員にばかり回ってくるような、残酷で生々しい現実がそこにあります。

それが当たり前なんだから。その【ズレ】をいなして生きる。それが正しい常識人、普通の人ってことですね……。

これは朝ドラ視聴者側も考えねばならんことだと思う。

ヒロイン、女性脚本家、女優。
ざっと反応やニュースを見ていると、彼女らの方が彼らより叩かれやすいとは思った。

『なつぞら』のアンチ投稿を見ていると、男性であるキャラクターや脚本家は罵倒せずに、ヒロインや女優ばかりがしつこく絡まれる傾向があります。

これは、男性加害者で女性被害者という単純な構造でもない。
ジェンダーギャップを埋めるよりも、その溝にどっぷりハマる。嵌らない生意気な連中を貶して、私は賢いと言い切る。

それも生存戦略だろうけれども、女性でありながら女性の言動を叩く投稿を日がな一日続けている。
こういうところに、私は闇を感じてしまうのです。

『スカーレット』を褒めるついでに、前作女優の笑い方まで貶すような心理はどういうことなのやら。

まぁ、グレタ・トゥーンベリホットラインあたりに電話しとけばええんちゃうか。

※便利な世の中になったもんや

もらい名誉であなたとトゥラッタッタ♪ で、ええんか?

柴田は作品を見ていきます。

「たけしのさくひん。可愛いらしなぁ」

武志の成長もわかります。まるまるくんから、キックボクサーになりました。

「きみこのさくひん。なんやいろいろバラバラやな」

ここで柴田は、穴が空いた籠のような皿に目をつけます。
持つと軽い。子どもでも楽に持てる、揚げ物やお菓子を入れる皿だそうです。八郎も気に入ってるって。

柴田は銀座の個展で、喜美子が八郎の後ろに控えて出迎えるという決意を褒めます。

そしてこう来た。

「美しい格好してな。銀座やで」

備前焼作家の奥さんは、高そうな着物を着てはった。
しかも英語もフランス語も中国語も話せるってさ。

八郎はちょっとムッとして「そんな必要がありますか」と食ってかかる。
これも社会の闇だとは思う。八郎はまだしも健全です。

はじめから専業主婦になりたくて、クッキーを焼いているかわいい子。そういう女性を好む心理もある。
それは互いに幸せになれる夫婦だからそれでええと思います。ジョーとマツもそういうタイプでしょう。

それが、全員がそうというわけではない。できる人間を屈服させて喜びたい心理もあるわけです。
キャリアがあって、賢くて、仕事もできる。そんな女性を家庭に押し込める心理。「トロフィーハンティング」をするような気持ちを、女性相手で味わうと。

※幼い頃は自由で、檻から出たら射殺される……

外国語を使う必要性がないのに、そのことで彼女が虚しさを感じるかもしれないのに。

そんなことはどうでもいい。
お前の涙をつまみに酒を飲むとうまい。そういう心理すらあるから。

昨年の放送事故を散々叩いたと言われますけれども。あのヒロインの無駄な英語力は何でしたっけ? GHQがらみでわけわからんアリバイ利用はされましたけれども。

大阪の難関大学をサクッと卒業しながら、専業主婦になって何の不満も向上心もない。そういうヒロイン姪もいた。

どういうアクロバティックな擁護をされようが、野生動物やら女性をトロフィーするような外道行為を見逃すことはしたくないんですよ。

喜美子はここで、滋賀弁、大阪弁、東京弁もできるという。なんやったらわけのわからん言葉もできるとおちゃらけます。

「川原八郎の奥さんやいう自覚忘れんといてな」

そう釘を刺して、柴田は立ち去って行きました。

柴田に悪意はあるのか?
ないならええんちゃうか?
当時はそんなものではないか?

そういう擁護はいらん。
はい信作、待っとったで!

めんどくさい打線の四番打者・信作の出番です

はい、おとなしく待っていた信作はここで火祭りの話を始めます。

信作はめんどくさい
その1:予定は押さえなあかん!

半年先でも、予定を抑えておきたい。無駄に心配性なんやろなぁ。八郎は忙しいからこそ、先に押さえたいらしい。
こいつは予定変更があるとうろたえる傾向もありますので、気を付けましょう。火祭りに演歌歌手を呼ぼう計画が失敗した時も、若干荒れとったな。

当時なら手帳に付箋みっちり。日記帳毎年買う。
今ならアプリに予定みっちみちでクラウド同期は欠かせないんやろなぁ。

ここで信作は、町の商工観光課からも言われたこと、毎回言わされるとブツクサ言っております。

信作はめんどくさい
その2:やれと言われたらやるけれども、納得しているかどうかは別

社会適合の手順を叩き込まれると、従えないわけではない。けれども腹の底から納得しているかどうかは別問題です。

信作は、上司から八郎の予定を抑えろと言われたらしい。

「仲ええよな! 仲ええよな!」

そう八郎に迫り、相手が笑うと動揺しています。

昔は二人で「あかまつ」に行ったのに、全然飲みに行ってくれへんねんと湿っぽい。

信作はめんどくさい
その3:無駄な猜疑心

めんどくせえ。そんなん八郎かて、予定や都合あるやろ。
そう突っ込みどころ満載ですが、親友だろうと友情を定期的に確認しないと嫌われたのではないかとソワソワしてしまうのでしょう。

今ならLINE既読スルーに、嫌われたんやと心傷つくタイプや。

ここで喜美子は、「あかまつ」に別の誰かと飲みに行っていると言い出します。

その相手は、うちのかわいいかわいい妹。百合ちゃんやで!

「ああ……」

ここの信作、顔見てくれよ。なんでこんなクソつまらなそうな顔してんねん!

信作はめんどくさい
その4:空気読め

いやあのさ、かわいいかわいい妹って喜美子がはしゃいどったら、そこはスマイルくらいあってもええやろ。

当の本人が暗い顔なのに、喜美子と八郎ははしゃいで椅子を出せ出せと盛り上がっております。BGMも朗らかなのに。
喜美子も八郎も視聴者も、これは百合子とのおつきあいトークだと盛り上がっている。

百合子とどんな話してんねん。気になるのはそこや。
ここで気まずそうになる信作を、照れていると勘違いする周囲ですが。

それがそうではない。あ、信作はご両親に性格あまり似ておりませんね。大野夫妻はこういうこと敏感ですからね。私の推察では、伊賀のおばあちゃんからの隔世遺伝とみた。

「あ〜……」

「ああやないわ!」

「ああ、ほな言うけどな」

「はい」

「はい」

「その、結婚して夫婦になってな?」

ひゅーっ、もう百合子との未来を思い描いているぅ!
そうジェスチャーで盛り上がる喜美子と八郎ですが……。

信作、怒涛の観察眼を発揮します。

「あんなあ! 結婚して夫婦になってな? いま、思い描いてた夫婦になってない」

「えっ」

「えっ」

周囲が見守る中。信作が爆弾をぶん投げて来ます。

信作がえらいもんを投げていく

喜美子思ってたんと今、違うことしとるやろ。

百合子はそれでもお姉ちゃんも、お義兄ちゃんもようやっとる、ええ夫婦やゆうてる。

さっきかてなんや。奥さん、奥さんて。

喜美子はどこ行ってん?

二人のことは付き合い始めてきた時から見てる。結婚して夫婦になったんも。「めおと貯金」も聞かされてた。ほんで独立して、電気窯買うて。こういう作業場、月賦で建てて。

夫婦の工房やから、「かわはら工房」名付けて。

ずっと見てきた。そんなん見たくなくても、ずっと見てきた。

口にはせんかったけどな、ええ夫婦になってんかと思ってた。

切磋琢磨して、陶芸してて、なかなかええなと思ってた。

ほやけどこの三年、二年半か。(こういうところが無駄に細かいのも彼の個性です)

喜美子はお茶いれて、掃除して、弟子の面倒見て。そんなんばっかり。

「かわはら工房」やのうて「八郎工房」や。

今はこう言うてても爆発するで。

今の喜美子は、喜美子やないねん! 無理してる!

信作はめんどくさい
その5:ほんまにお前、空気読め

すごく本質をついて来たけれども、百合子の話せえや。
何しとんじゃワレ!

この信作の洞察に、喜美子は途中で「何言うの!」と突っ込む。

「余計なことペラペラと!」

そして沢村の膝蹴りを真似する。
うーん、きみちゃんはジョーに似とるんやな。男だったら、ちゃぶ台返しなり殴るなりして、信作を止めたかもしれない。

信作も構えて抵抗しようとする。
そこを「子どもか!」と八郎は止めるわけですが。

八郎がジョータイプなら、まぁ、肉弾戦ですね。

草間流柔道の構えをとったり、足挫くなり、骨折するなりわやわや騒いで、微笑ましいほっこり路線にしようとしておりますが。

この場にいる全員、ある意味かわいそうだとは思った。

喜美子も不満だし、八郎も本来の自分を見失いつつある。ほんで信作は、『裸の王様』の子どもみたいなもんです。

※王様は裸だ〜何にも着て〜ない

信作は感じたんよ。
彼なりに考えて、見つけたもの。自分の目で見て、百合子の話を聞いて、得た結論を一生懸命喋る。

それなのに、余計なことを言いやがったとかえって恨まれる。

信作はがんばっている。
彼なりに、友人夫婦が決定的な断絶をしないよう、ここまで伝えに来た。

彼がもうちょっと不誠実で、そして空気が読めたら。見て見ぬふりをする。そうやって騙しあってこそ、丸く生きていけることもある。

信作はそれができない。
先天性で、幼い頃からできない。これから先もできない。

社会に出て、空気を読むことをある程度は学ぶ。でも、幼い頃から基礎的な性格は変わらないのです。だからこそ、愛情を比率で測るようなことを言い続けて、フラレ続けるんです。

伊賀のおばあちゃんは甘やかしぃではなくて、彼みたいな孫を理解していたのかもしれない。他の大人も理解できない孫を、彼女だけはわかっていたのかもしれない。
そんな祖母の死であればこそ、信作はこれからは社会性と向き合わねばならないと、一応は上向きになったんでしょう。ただ……、哀しいかな本質は変えられんのや……。

やっと八郎という理解者を見つけたと喜んでいたのに、あいつは名声を得て、世間体を学んでしまった。

そのことが信作は悲しい。さみしい。悪いことは阻止したい。

でも通じない。

なんでや!

ほんでこの先、信作の予想が的中しても世間はスルーするとは思う。そういう運命やな……。
しかも話を逸らされるのです。
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