スカーレット101話あらすじ感想(1/31)それでも女の友情は脆いと言うか?

喜美子、朝ドラに酒の誘惑を持ち込む?

喜美子はそのころ、ベランダから夜景を見ています。

武志はクリスマスツリーの下で眠っているのでした。

ちや子が喜美子に酔いが覚めたかと声をかけてきます。飲まされたそうです。

「一杯だけ……三杯です」

「あんなに日本酒飲んだの初めてや」

「中国酒や」

「なんやほわーんとして」

「たまにはええやろ」

「酒は父がよう飲んでたんで……」

「反面教師やな」

そう言い合いながら、まんざらでもなさそうな喜美子。日本酒と近い度数と味ということは、紹興酒あたりでしょうね。年代的にもそんなところでしょう。

百合子が機嫌よく酔っ払って、父親の血だと言われておりますが。喜美子の方が危険かもしれません。

ちや子は酔い覚ましのコーヒーを出してきます。

「ほんでも、なんとなくわかりました。父がお酒を飲みたくなる気持ち。ほんのすこーしだけですけど」

いや、きみちゃん、これは酒強いやろ。すごい。斬新にもほどがある。酒に溺れそうな朝ドラヒロイン、史上初ちゃうか!

女性の泥酔シーンはありますけどね。そこじゃない。この危険性ですよ!

・アクシデント的な飲酒泥酔はむしろ萌え。なお、モデルがプロテスタントなのに、『赤毛のアン』オマージュという言い訳をして泥酔させた『花子とアン』は到底許されない……

・交際で楽しいから飲むのと違うかもしれない。百合子はそうだけど

・喜美子は、ストレス解消に酒が使えると学びおったー!……かもしれんよ

ちや子はここで、喜美子の泣きたい気持ちを察知します。百合子からいきなり大阪行かせますと言われて、驚いたそうです。

百合子は、姉の号泣を覚えているのだろうと答える喜美子。

琵琶湖大橋の取材に来ていたちや子の前で、喜美子は号泣しました。そうそう、本来の号泣ってあのレベルですよね。

「ちや子さんはお姉ちゃんにとってのお姉ちゃんやろ。会うてきたら」

そう百合子は勧めたのです。天使や!

「ふーん、ええ子やなぁ、優しいなあぁ。そしたらまた泣きたくなるようなことあったんやね」

「一生懸命生きていると、いろいろありますね」

「うん、いろいろあるな」

そう、喜美子は狂気だなんだの言われておりますが、一生懸命なだけなのです。その一生懸命さが、周囲より高温なだけで。

「気持ちがぐしゃぐしゃで」

「ぐしゃぐしゃなん?」

「なんて言ったらええかわかりません……」

「そうか、泣くこともできんか。ちょうどええ言うたらあれやけど……」

ちや子は喜美子に、出入りする子どもたちのために用意していた画材を出してきます。

荒木荘でもよく一人で絵を描いていた。これでちょっと待ってて、と言うのです。

ちや子、朝ドラに政治を持ち込む

ちや子は一件だけ取材がありました。

民事訴訟法の堀中ヤスエ助教授に話を聞くそうです。なんでも次の選挙に出るという噂があるとか。今夜だけ時間が取れるそうです。

「政治家、追いかけてんねん。今はそういう方面に興味ある!」

今、ちや子の取材対象や政治――。

デイリー大阪時代、婦人向けに芸能ゴシップをやれと言われ、ムッとしていた。そんなちや子です。

男性上司と男性同僚に縛られない今、やりたいこと、本当に女性に読んでもらいたいことをのびのびと書いているようです。

ちや子がいきなり政治を言い出してウザい?
いや、政治ってごく当たり前に存在するものでしょ。

政治と無縁で生きていける人間はいるのかってことです。ならば興味を持つのは女だろうと当然でしょ。

エンタメに政治を持ち込むななんだとうるさいもんですが、何が悪いんですか?

※Rage Against The Machineに、それ言うてみい

それを違うと思うのであれば、何かに毒されているということ。日本のジェンダーギャップ指数は年々低下していて、特に政治分野はひどいとされています。

2019年政治は144位(159ヵ国)でした。

朝ドラはじめ娯楽分野が無縁とも思えない。さんざん指摘してきましたが、朝ドラヒロインは女性活躍だの応援を掲げながら、思想や権利への主張は漂白してきました。

ここ数年のNHK大阪は、ヘドロが溜まっていた感があった。

そこまで女をバカにされながら、萌えだの色気だのカップリングだの、企業宣伝さえあれば気づかない。
そういう飼い慣らされ方にもウンザリしておりまして。指摘されただけで激怒していた層もいると理解できてはおりますが、そこでやめてどうするんだって話です。

荒木荘、その後

ちや子の口から、荒木荘のことが語られます。

建物は更地になり、新しいものを建てている。

さだは京都の服飾専門学校校長。

大久保さんは、相変わらず。

エロエロ医大生は?

松永久秀顔をした父・柳生但馬の元で、陰謀に巻き込まれるのでしょう。待ち遠しいで、溝端淳平さんの柳生十兵衛! 『柳生一族の陰謀』に期待しかない!

※千葉真一さんの役ですからのう……

はい、柳生十兵衛はさておき。

「せや! 忘れるとこやった!」

ちや子は喜美子がラジオを聞かない、テレビもないと確認します。

「これ合わしてあるからな、ちゃんと聞くんやで。10時な」

そう言いつつ、出かけてゆくのでした。

喜美子は武志を寝かせ、絵を描きます。そこにあるのは、夕陽を浴びて前を見据える母子の姿です。父はいない……。喜美子の絵は象徴です。

武志は赤い風船ではなく、黄色を選んだ。

ここで二人が見ている色も黄色。

赤は喜美子だけの色で、親子としての色は黄色なのかもしれません。

「あっ、10時!」

喜美子があわててラジオをつけます。ポン太の司会で番組スタート。

この丁寧で、上品で、それでいて毒を含んだ軽妙なユーモアがあって、聞き取りやすい。関西ラジオの真髄を聞いた気がするで!

サンタさんは年に一度しか働くことがなくていいと枕を言い、それから今話題曲だと『さいなら』を紹介します。

ゲストは信楽太郎さんです。

「どうも、こんばんは! 信楽太郎です!」

お役所勤めのあと、俳優を志し、一杯大変で。そう紹介される声を聞き、喜美子の思い出が蘇ります。

心機一転、新芸名をつけようとしていた。あの人に「信楽太郎!」と言った。

雄太郎さん!!

雄太郎さん改め信楽太郎は、やけっぱちで出した『さいなら』を流しで歌い、ヒットしたそうです。

こんなん迷惑だったんちゃいまっか。そう突っ込まれつつ、歌が流れます。

信楽太郎さんの『さいなら』です。

朝ドラに女の団結力と政治を持ち込むなって? せやろか?

百合子はクールダウン効果を狙ったのかもしれませんが、むしろ焼き上がっていく過程が見えた回でした。

鍵っ子への見方ひとつとっても残酷でして。
女は感情的だの、甘っちょろいだの、問題解決できないだの言われますが、八郎の和食器へのほんわかした気持ちの方が、そうなんですよね。

そういう女性への見方は、男性なり社会がふんわりと抱いている気持ちなんじゃないか? そう思えてきました。

今日の女性たちは、爽快感がありました。
ドスドスと部屋に入ってきて、中華料理を食べようと盛り上がり、酒を味わっていました。梁山泊やな!

女同士の友情はもろい。
裏で憎しみあっている。
せやろか?

そういう偏見由来の広告がバンバン燃え盛る昨今。

むしろ団結して問題解決に乗り出す。そういう姿が2020年代なんよ!

※ジョーカーなんて最初からいらんかったんや! そうハーレイ・クインが言う時代やで

朝ドラもこの流れに乗らなあかん。そういう気概を感じたで!

本作が視聴率面で苦戦し、あらすじを書きにくくして、感想やネットニュースすら混沌の極みに突っ込む理由もわかります。

女性のため、女性を応援すると言いながら、女性に首輪をつけるようなコンテンツ。そういう朝ドラの偽善と構造に切り込んで、ぶっ壊す――。

心の底から熱くて、挑発的な作品だと思います!!

文:武者震之助
絵:小久ヒロ

【参考】
スカーレット/公式サイト

 

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