スカーレット131話あらすじ感想(3/6)武志は慢性骨髄性白血病だった

昭和58年(1983年)、冬。

武志は、県立病院の大崎先生に診てもらったほうがええ、と言われたと告げます。

「こんなん言れるのはよっぽどのことちゃう? 親御さんにも来てもらった方がええ言われたし」

「大袈裟やなぁ! 照子の付き添い行った時も、たいしたことなかったわ」

しゃあないわ、また笑い飛ばしたるわ。喜美子は明るく、強く、ぶっきらぼうに言い、こう続けます。

「何か食べるか?」

「うん」

おふくろの味なんて、もう陳腐に思えるかもしれません。

肉じゃがの味がどうのこうのではありません。こういうとき、食べさせて気遣ってくれたことが大事。

料理は愛情というのは、どういう材料を使うか、手間暇かけるか。そういうことだけではなくて、こういうことやと映像化されたと思えた場面です。

母と子

喜美子は病院にいます。その前を、母が子を抱いて歩いて行きます。

「大丈夫、大丈夫、すぐ治るで。よいしょ」

その二人を見て、ふっと笑みが浮かびます。女の敵は女でなく、女の味方は女。そういう何かを感じます。

そこへ武志が戻ってくる。結構時間がかかったようで「どこ行ってたん?」と聞いています。

三階のトイレ。広くて気持ち良くて、窓があるそうです。

お祖母ちゃん(マツ)の貧血ぶり返して、ようない時期あったやん。覚えてへん? そう武志は言います。ほんまに本作は細かい!

本作は描写がそっけない、あっさりとしている、わかりにくいとは言われます。それって結局、セリフや演出がかなり細かいからだと思います。

このセリフだけで、いろんな要素がわかります。

・武志は祖母思い

 

・川原家は家族思い

 

・マツの貧血は回復するということがない。やはり病弱だった

 

・それで三人を妊娠出産したマツは偉いで! ようやった!

でも、そこを読み取らないとこうなりかねない。

「なんやセリフで済ますなや!」

まぁ、このへんはじっくり考えましょか。

喜美子はここの看護婦さんに自分のことを知ってんでぇ〜と言います。個展に来たこともあり、一緒に写真撮りましたってよ。

そうなると息子さん、わー! 言うて、顔舐められるように見られんで〜と笑うわけです。

果たして、そこにその山ノ根が来まして。

「うわーこんな大きい息子さんいはんの!」

そしてコレや。関西のコレな。

「あー、シュッとしてはんなぁ!」

まぁ、なんちゅうか、【ええ感じ】ということですね。

 

大崎先生の診察室

二人は大崎先生と面会します。

「また脱いでる……」

そう山ノ根が突っ込んでおります。そのうえで、お上着はこちらに、と声を掛けています。この時代らしいスタジャンですね。

喜美子が、先日はお世話になりましたと言う一方、武志とは初対面でありまして。

「こんにちは。これから川原さんを担当させていただきます、大崎です」

フラットで偉そうにしない性格なのか、握手を武志に求めます。

こういう先生、会ったことあります?

なんかじんわりと、
「ええなぁ、うちもこんな先生に診察されたいわ……」
と思いませんでした?

私も、記憶の中にいる、一番ええ先生を思いだしました。

無駄に威張られたりすると、なんか嫌なもんですよね。流石にそういうことはないのですが、フィクションではどうでしょうか。

朝ドラも担当された売れっ子脚本家さんの医療ドラマ決め台詞に、

「私、失敗しないので」

というのがありますよね。

医者にせよ、戦国武将にせよ、そういう決めゼリフを言う人って、むしろ危険で避けたい。

人間だから絶対はない。失敗はあります。それなのに、そういうことを言い切る、自信満々な人には策があるものです。

【世論誘導】やで、【流言飛語】やで。

仮に失敗しても

「あの人は失敗してへんよ!!」

と噂を流す。それが信じられて世間に広がれば、そういうもんとして定着しますしね。

何がアカンって、失敗そのものではなく、失敗から反省しない、学ばないことが怖いなと思うのです。

そこを踏まえて、この誠意を感じる大崎先生を見て行きたい。

言葉の感じからして、関西の方ではないのでしょう。草間と同じく、関東から来て救済をする人なのかもしれない。

彼は手が温かいと告げて、血液検査のことを語ります。

大崎先生の診断

 

・白血球の数値が通常の5倍

 

・それ以外、具体的な話はしていないですね?

 

・慎重に調べていきましょう。詳しい検査をさせていただきます

通常の5倍……医学知識の有無はさておき、嫌な予感はありますよね。

これは視聴率もそう。

本作は20パーセントを切ることが確実とされており、それが【異常事態!】という報道もありますが、もっと全体を見ていく必要があるのではないでしょうか。

挙げられる要因はいくつもあります。

・地上波全体が衰退傾向

 

・インターネット、VOD……視聴習慣は変化しています

 

・費用対効果って、知ってます? 昨年のアレは提灯記事、企業タイアップ、主演女優家族援護射撃、が圧巻やったで。もうちょい考えて工作してぇな!

 

・本作はむしろ援護射撃が地味で、正攻法で挑んでいる

 

・ブレイクした俳優、これが代名詞になる存在を生み出せた。そういう数値化されない効果もある

 

・異常事態というのは、数割減少の場合ですね。朝ドラの基準が20%としますと、その3〜4割ならば6〜8%減少が【異常な崩壊】。そういうNHKの看板番組、最近あったじゃないですか。本作は、視聴率が低くても意義があると言える範囲内です

こうした環境を無視してでも、とにかく本作を叩くメディアが出てくるのはなぜなのか。

需要に対する供給でしょう。読者の感情にコミットすれば、アクセスは稼げる。しょーもないトレンドが構築されるんですね。

なんもなかった……そうであればいいのに

視聴率から話を戻しましょう。

このあと武志は検査を終えて帰って来ます。喜美子はしゅわしゅわの缶ジュースを渡す。

「えらい長いことかかったな。骨髄検査、そんな痛かったん?」

こんな長い針、ぶっすー言うて。母と子が針がどんだけ太いか話すわけですが。

軽い口調ですけれども、想像してみぃ! ほんま怖いで。予防接種でも怖いのに、ほんまにぶっといんです。

すると喜美子が、武志が診察室に上着を忘れていると気付いて、取りに行くと言います。

「すいません、うちの子が」

「川原さん、大丈夫ですか?」

喜美子は強がっていても、やはり怖い気持ちはある。診断が確定されるのは年末になるかな、そう大崎は言います。

「なんもなかったということはありますか? 調べてみたら、なんもなかった……」

喜美子はそう言いますが、自分自身に言い聞かせているようでもある。

このあと、診察室の外で武志に上着を渡します。

「あんな、うちの子どうなんて聞いた。ほしたら、まあこんな感じやと、大したことないでしょう、言うてはったで」

「嘘やん」

「ほんまや」

「詳しいことはわからへん。ほやけどよかったやん、これ以上考えんで済む。大丈夫や、よかったな」

そう言い聞かせて、武志にマフラーを巻く喜美子です。

「いらんわこんなん、苦しいって!」

母と子は、いくつになってもそう。マフラーを巻いて守りたい。この子を守りたい。

そんな愛がつらい……。

直子ぉ、隠しとるやろ!

喜美子は工房で年度を練っています。静かなようで、BGMが不穏ではあります。

はい、ここであいつがやって来ます。

直子や!

「やぁお久しぶりぃ〜!」

どないしたん? 急に?

はい、ここからの直子は【嘘をつくのが下手な大阪のおばちゃんあるある】に突入です。ほんま直子は、ジョーカスそっくりや。

嘘下手おばちゃん

いやーなんや感じ変わったなぁ。

お姉ちゃんは変わらんなぁ。

(鮫島さんは? と聞かれて)あっ、ああ、これ前来た時あった?

陶芸教室始めたて百合子に聞いたで。

「サニー」寄ってきた。おじさんもおばさんも元気で変わらんな。

うちはお父ちゃんもお母ちゃんも早かったな。天国で仲良うしてるやろか?

むろん知略の高い喜美子には通じない。

「何があった? なんやあったんやろ?」

ほんまに『なつぞら』の泰樹と対抗できる冷静さやで。NHK東京に泰樹あらば、NHK大阪に喜美子ありよ……。

「別れた。鮫島と別れました、捨てられた、ごめん!」

は?
なんやその展開!

これもアレやろ。

「喜美子と八郎の離婚。理由がわからへん、そういう声は把握しとります。描いたんやけどな、伝わらんなぁ〜。そこで、ほんまに理由がわからん離婚を見せな(アカン)。そういう使命感がありました」

そういうようわからん何かを感じるで! 理由はこのあと……あるんかいな?

ヒョウ柄おばちゃんは都市伝説やないで!

ここで姉妹は、日本酒を飲ませつつ、鍋を挟みます。

いろいろ言いたいことはありますが、まずはこれですね。

直子が全身ヒョウ柄や!

喜美子も思わず突っ込んでいた、そのファッションセンス。

都市伝説やと思いたい?
関西以外の人間は、上下ヒョウ柄は流石に実在しないと思いたい?

それがな……。時代にもよりますけれども、阪神タイガース優勝があった、そんな1980年代なら1ミリも誇張しとらんから。

※ヒョウ柄をアピールせなあかん!

ええんちゃうか。

ここ数年、補色でひたすらダサいとか。マリオとルイージじみたファッションはあっても、ヒョウ柄はなかった。これはあかん、受信料の使い道として間違っとると主張してきたわけです。

NHK大阪にとって、ここ数年はつらかったと思う。なぜなら……。
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