わろてんか最終回あらすじ感想(3/31)笑いの神様教、最終試練は?

戦争の傷跡がまだまだ癒えぬ昭和21年(1946年)。

北村てんは、北村笑店の火がともったことを示すため、自らの歴史を描く「青空喜劇」を開演することにしました。

 

最大の試練がやってきました

さて、「青空喜劇」という本作最大の試練です。
何が試練かって、そりゃあ、視聴者の我々が最後まで目を閉じずに見ていられるか?ということでしょう。
内容は、まぁ、実質的に総集編ですね。

おてんちゃんは若々しいメイクに戻って、甘ったるいベタベタした口調でしゃべります。

芝居の上手な役者さんが、
【演技に慣れてない素人が演じるところを演じる】
というシーンがあります。
本作のこの場面でも、トキを演じる徳永えりさんは出来ている気がします。

しかし、肝心のおてんちゃんがなぁ……。
ただ、わざとらしくベタベタブリッコしているばかりに見えちゃいません?
地蔵顔とブリッコの二択しかない、そんな印象です。

 

亀さんに救われたステージ

戦後間もない大阪の観客はみんなゲラなのでしょうか。
青空劇場、なんだかお客さんにはウケてます。

ドリフの大爆笑の効果音よりもナイスリアクションで……って、アホか><;
客は、なんでもかんでも笑っていて、この実質的総集編を見ていると、ゲンナリしてきます。

すべてがダメだとは思いません。
要所要所で入ってくる亀さんの声。
落ち着いて温かみがあって、そして面白味もあって、呼吸困難になりそうなところから救われました。

ステージ上でのお芝居となると、俄然、その道のプロならではのクオリティが輝きますね。

関東でもたまに吉本新喜劇がテレビで流れますが、演者の皆さん、舞台の上で飄々と凄まじいことをしていたんだなぁ、と痛感。山田花子さんとかゆりやんレトリィバァさんとか、おてんちゃんのことをどう見ていたんでしょう。

そういえば昨晩の『全力脱力タイムズ(フジテレビ)』はゲストが小籔千豊さんでして。
ボケ役のコメンテーターたちがお笑いをバカにするかのように、小籔さんにコントで絡むという回でしたが、その途中、こんな風にツッコんでました。

「あんまナメとったら、NGK(なんばグランド花月)に出したるぞ! 千人の前に出る怖さ教えたる」
って、ホント、これかもしれません。
『わろてんか』の脚本家や責任者に届けるべきかもしれません。

 

何もかも、しょーもない

しかし、亀さん以外のシーンや、喜劇そのものとなると、ほぼ大半が痛いことになっている。

改めてツマラナイ。
何もかも、しょーもない。

藤吉とてんのオシゴトというより、寺ギンとの対決物語に見えなくもない。
てか、実名出したらアカンやろ。

ちりばめられたボケが「昨日」と「伊能」をかけるレベル。

それこそ、伊能栞がケンカでボコボコにされて、
「よっしゃ、今日はこれぐらいにしといたるわ」
と伊能めだかをやればよかったのに。

それが、最後の最後まで……。
ナゼ私達は、こんな苦行に耐えなければならなかったのでしょうか。

そう思う私は答えを見いだした気がします。

突然、鳴り響いてくる不気味な鈴の音。
時折入れ替わる、藤吉役の顔。
これはつまり……。

 

これが「笑いの神様」教の教義なんだな

終演後は、おてんちゃんのスピーチで〆。

「笑う門には福来たると言いますが、どんなに辛うても笑うからこそ幸せになれる。しょんぼりしている人が周りにいたら、手を執って言っとくれやす。
わろてんか!」

ふむふむ。
これが「笑いの神様」教の教義ですね。

そしてこのあと、場面が切り替わると……。

当然のように復活した藤吉の姿。

「百年先まで気張るわ」
「大丈夫や。これからもよろしゅう頼みます」

おわかりいただけましたか。

青空喜劇とは、つまり、ネクロマンサーおてんちゃんによる、【藤吉復活の儀・最終試練】だったのです。

観客から吸い取った笑い声。
教祖が笑えと指示して得られた笑い声。
それが「笑いの神様」に届き、ついに藤吉の肉体までもが見事復活を果たしたのです。

謎はすべて、繋がった――。

最終週、唐突に出てきた「笑いの神様教」。
この宗教は、人の笑いを吸い取ることでパワーを得て、死者すら蘇らせる、そんな宗教だったのです!

……とでも妄想炸裂させないとやってられんわ、バカちんが!!!

 

今日のまとめ「笑っても癒せない純然たる苦痛」

意味がわからない。
というか、ここまで気持ち悪い朝ドラの最終回って、なかなかない気がします。

亡くなってしまった主人公の伴侶が出てくる。
あるいは若い頃の回想に戻るというのは定番中の定番です。
半年間を思い出して、ほろっとくることもあります。

ただし、例えば『あさが来た』では、新次郎は生きているわけではなく、主人公の夢か幻ということがわかったわけでして。

本作だと藤吉役となった若手俳優を生贄に捧げ、あの世から藤吉を呼び出し受肉したようにすら見えます。
主役をやらせてやる――という甘言で亀さんが連れてきたんですね。

ほんと冗談ではなく、鈴の音もオカルトじみているし、藤吉と普通に喋るおてんちゃんも気持ち悪いし、よくもこんなホラーめいたもんを最終回に作ったなぁ、と、びっくりですわ。

ある意味、才能がある。
このノリで、ホラーに取り組んだらええんちゃう?

考えてみれば、おてんちゃんの地蔵顔もホラーぽかったし。
リアルさを日々増してゆく死人。
だんだんと壊れてゆくヒロイン。
いやぁ、これは怖い。

↑こんな感じのヤツね

あらためて説明するまでもないと思いますが、最後のおてんちゃんスピーチも、まるで感動はありませんでした。

笑う門には福来たると言い、どんなに辛くても笑えと言われますが、無理矢理笑い飛ばそうとしても本作を見ていて感じたのは、純然たる苦痛。

しょんぼりしている人の手をわざわざ執って、笑いを強制する奴なんてデリカシーがなくて最悪だと思います。

最後に一言いいですか。

「なめとんか」

【ご挨拶】
皆様、半年間ありがとうございました。

近日中に『わろてんか』総評を公開予定。
そこまでお付き合い頂けましたら幸いです。

なお、4月2日以降は『半分、青い』の感想&あらすじをお送りさせていただきますので、今後もご愛顧よろしくお願いします。

著:武者震之助
絵:小久ヒロ

【関連記事】
吉本せい 吉本興業の歴史

【参考】
NHK公式サイト

 

10 Comments

匿名

結局このドラマのテーマは何だったんでしょう。とと姉ちゃんは暮しの手帖のクレームが入って、途中から「フィクションです」表示が入りましたが、このドラマは吉本興業はどう考えていたのか、気になります。

匿名

半年間のレビュー、お疲れ様でした。
過去、批判があったりした朝ドラも、何の苦も無く見てた私ですが、
今回は「苦行とはこういうものなのか」と痛感しました。
良い役者さんを使って、ここまで面白くないドラマ作れるんだと一周回って感心しました。
ドラマ本編よりもこちらのレビューで笑わせてもらってました。

総評と、新朝ドラのレビューも楽しみにしています。

匿名

視聴者にとっては苦行でしたね。
見続けるのが辛くて辛くて、、、だから、ここで、笑うで、良いのでしょうか?

まい

この上の匿名野郎に一言。
「おのれこそ、しょーもないことかくな、アホ!どアホ‼︎」

失礼しましたm(_ _)m

改めて、半年間レビュー楽しませていただきました。
最低最悪の朝ドラを毎日視聴してレビューを書くのは大変な苦痛でしたのではありませんか?
でも私はとても楽しませて頂きました。
ありがとうございました。
引き続き、新ドラマも楽しみにしております。

匿名

半年間お疲れさまでした。
ここまで視聴者を舐め切り、置き去りにしたドラマは本当に珍しいと思います。
ここのレビューの指摘はいつも的確で、ドラマを観た後の怒りを何度も笑いに変えてくれました。
「半分、青い」もあまり期待していませんが今作よりはマシである事を信じ、こちらのレビューも引き続き愛読させていただきます。
本当にありがとうございました。

匿名

お疲れ様でした。
毎日楽しく読まさせて頂きました。
本編よりも面白かったです。
ありがとうございました。

匿名

半年間の苦行、お疲れ様でした!
私は脱税壺辺りで完全に見ていられなくなりましたが、こちらのレビューを日々心待ちにしておりました。
最近すっかり朝ドラを見ない生活になってしまったので、次を見るかどうかを決めかねておりますが、4月からのレビューも頑張って下さいね。

匿名

半年間のレビュー、お疲れ様でした。本当にお疲れ様でした。

個人的には、このトンデモドラマのレビューの中で、一番楽しませていただきました。
同年代なのか、ウルトラ兄弟とタイラントのくだりとか、腹抱えて笑いました。
本当はドラマ本編で笑わせてほしかったところですが、ドラマの方には苦爆笑という新たな笑いの形を発見させてもらいました。
総評と新番組のレビューも楽しみにしております。

今更の話ですが、改めて10/1の最初の記事を読むと、ちょっと切なすぎて涙が出ますね。

匿名

お疲れさまでした。
新朝ドラレビューも期待しています。

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