半分、青い。123話 感想あらすじ視聴率(8/22)糸電話は繋がっていた

楡野鈴愛、37才の野望。
それは、織田信長の本拠地・岐阜県で育んだもの!?

実家の「つくし食堂」2号店となる「センキチカフェ」で、祖父仕込みの五平餅を焼いて出す――同時に、店にはマスコットの「岐阜犬」を置くことにしました。

「岐阜犬」の声は、萩尾律の母・和子に当てて貰おうと鈴愛は考えます。

病に冒されている和子。
愛する妻の姿を見て苦しむ夫の弥一。

そんな父を、気分転換に出かけさせるよう一計を案じた律は、鈴愛を通じて宇太郎にお願いして、バフル時代のあだ花「ぎふサンバランド」のアゲインパーティを開くのでした。

【123話の視聴率は22.7%でした】

 

青空に透ける月

晴は、ウキウキとお重を作っています。草太のカツ丼もあるようです。
あれ? 仕出しって今もしていたの? それとも誰か読んだ?

と思ったら、これは晴たち梟町商店街メンバーのよる「女子会」だと判明します。

一瞬、『若い人の集まりのようなネーミングでは?』と訝しがる草太に対し、晴は「大人女子会」と返します。

いいんですよっ!
女子トイレだって、年齢関係ないでしょ。女子はずっと女子ですよっ、晴さん!

女子会には、キミカ先生が銘酒「梟の夢」一升瓶を持参しました。
いいですねぇ。こういう朝ドラの女子会場面でお酒を豪快に持参するのって、爽快です。律は男なので、参加はしないものの、見守ります。

そして外へ出た律は、急に梟町を駆け抜けるのでした。

「律くんやない」
「どうしやーた」

道中、おじさんたちに声を掛けられつつ、バスケシュートの構え。

「あ、月や」

彼の目には、青空に透ける月が見えました。

 

生々しい不倫関係の男女もいる

一方、男子会では瞳がこう語ります。

「男が駄目だったんです!」

あぁ、あかん、あかん、上司として尊敬していたというその男、岐阜でカピバラを飼育するプレゼンをしていたダメ社長です。
岐阜でカピバラは無理やわと、そりゃあ宇太郎も突っ込みますわ。

そのダメ社長、妻と別れると言いながらズルズル不倫していたそうです。そして気がつけば、瞳はいいトシに……。

本作には、田辺社長といい、ちゃんと不倫が存在するのです。
生々しい不倫関係の男女もいる。朝ドラにしては珍しい不倫の連呼です。

それでも気になる点があるとすれば、鈴愛と律でしょう。この二人が不倫ルートに行くことは、キッパリと否定しております。
男と女がカップルになり結ばれる、それ以外の大きな絆を描くこと。そんな本作を今我々は味わっているのかもしれませんぞ!

もういいトシだと自虐する瞳も、ボディコンは燃えます、命のスタイルだとシャウト。水を得た魚なのだそうです。
ったく、こんないいひとを不倫で縛り付けた社長め、許さんぞ!

『ランバダ』がリクエストされ、うっかり選曲ミスって『津軽海峡冬景色』。

 

しかし、瞳はこれをノリノリで歌います。
梟町の男子会も一同拍手。弥一もうれしそうに手を打ちます。

 

あったあった「おしゃれ木田原」のサンバランドウェア事件

そのころ女子会でも、サンバランドの話題になっておりました。

サンバランドは結果お流れでして、意味があったのか?という意見もありました。
ありましたね、こうして話題になっておりますもの。ああいうバブルならではの動きが、各地方にあったことも時代を描き出しておりました。

ここで思い出される「おしゃれ木田原」のサンバランドウェア事件。

あったあった!
五郎さんが先走ってあのウェアを作った事件。燃えそうになっておりましたっけ。

こうして、萩尾夫妻の和子、弥一にとって楽しい夜が過ぎてゆきます。

律は両親が楽しい時間を過ごしていることを、鈴愛に電話で報告します。
その鈴愛は「センキチカフェ」の閉店準備をしながら、店のカウンターで意外な光景を目撃します。

そこにいたのは客の麗子(ブッチャーの姉)と健人。
すでに5個の五平餅を注文していた麗子に、健人は6個目を作り半分こしましょうと持ちかけるのです。

火を落とす――と言えず、別の場所を片付けようとする鈴愛。モヤモヤしております。

 

健人と麗子 二人の間に「恋?」

ここで麗子、健人にビューティフルと言われた、あのあと辞書を引いたと語ります。

もちろんその程度の単語は知っている。
知っているけれど、他の意味で「妙ちきりん」とかそういう侮蔑的な要素でもあるんではないか?と不安に思っている。これまで、ビューティフルなんて言われたことはないと寂しげな表情の麗子です。

これも悲しいなぁ……。
どこか個性的で自分のキャラがある麗子。
今まで変な女、妙ちきりんと陰口を叩かれる扱いだったのかもしれませんね。

ここで健人は、麗子さんは美しい、ずっと見ていたい、できれば触りたいと言います。

うんうん、心がアメリカンだもん、よい口説き文句だ。実際、麗子には、冨永愛さん的な外国人にモテる東洋美女の魅力がありますよね。

鈴愛は二人を見つめて、こう言います。
「恋?」

本作のリアリティは、こういう朝ドラ的には結婚していないとおかしい女性を独身にして出すところです。
瞳も麗子も、それを言うならキミカ先生も、朝ドラ的にはかなりレアキャラでは? 朝ドラの30過ぎた未婚女性って、ナゼかフェードアウトしがちです。

 

あの子を残していくのは辛い、あの子をよろしく

「和子さん、どやねー」
体調が悪いのか、横になって休む和子。そこにキミカ先生がやって来ます。

ここで許可を取りつつも、酒のグラスを持ってくるところもよいです。
しつこいようですが、酒を平然と飲む朝ドラ女性キャラも割とレア。

和子は横になったらようなった、とニッコリ。うるさくないか?と気遣うキミカに返します。

「みんなおって欲しい。人の笑い声を聞くと楽しくなる」
こういう病人も、実は自然体ですよね。

劇的に、いきなり病院のベッドで涙ぐむ美しい妻は、朝ドラにはいるけれども、現実にはそうそういないもの。
むしろ、入院せずに自宅で過ごす病人はどう扱われたいのか? そんな問いかけへの、真摯な答えに思えるのです。

和子とキミカは、晴の蕗味噌が美味しかったと語り合います。

それから和子は、こう言うのです。
「先生、私、ええ人生やった。何にも思い残すことはない」

ほうか、と相槌を打つキミカ。
そのキミカに、律を見ていると悲しくなると和子。あの子を残していくのは辛い、あの子をよろしく、と。

これをいくつになっても美しい母親の愛にしないのが、本作のええところ。
キミカ先生は、あのなぁ、もう私は70過ぎ、73やと突っ込みます。和子も60過ぎで、そもそも律からしてアラフォーなのです。

菱松電気ロボットプロジェクトリーダーで、部下多数、妻子あり。
律も立派な人生を歩んでいます。

そうそう、律ですよ。
律の人生に朝ドラ的難点があるとすれば、ヒロインの鈴愛とくっつかなかったことだけですよ。

ここで和子が、やっと弥一のことも思い出したかのように「のぞいてやって」と持ち出します。
キミカは弥一が律よりおざなりだ、口止めしてもらわんと、と突っ込むのでした。

ここも深いよなあ。
そんな立派な律に何か欠けているものがあるから、和子は心配だったのかもしれない。
その欠けたものは何か? そこですよね。

 

糸電話を思い出し、自分の年齢にしみじみと

「センキチカフェ」では、岐阜犬完成のお披露目です。

ブッチャーがワンと犬の鳴き声の真似を披露。
ここでようできとると言われて、ナオが嬉しそうに振る舞います。

「讃えて! 私を讃えて!」
いいなあ、この堂々たるナオちゃん。岐阜犬の作成をかなり手伝ったようです。
しかも、この岐阜犬、口を開けて舌をべろんとできる。

ここもナオちゃんの技術あってなのでしょうが、健人がまたよいことを言う。
「猟奇的ですね」
そうそう! ちょっと気持ち悪いけど直球すぎィ!

これは律に言われた技術的に必要なポケットで、二手に分かれているべきなんですって。

ここで梟会の面々は、あるものを思い出します。
二手に分かれて声が聞こえた、あの糸電話……。川を挟んで大騒ぎして、でも楽しかったあの糸電話です。

そうか、あの糸電話がここで来るのか!
「俺たち、歳取ったなあ」

そうつぶやくブッチャー。

廉子さんが、また楽しいことが始まりそうです、と言います。
そうそう、糸電話は廉子さんと話すためのものでした。

 

今日のマトメ「糸電話は繋がっていた」

深いッ!
麗子と健人のロマンスとか、今日も見どころだらけで、糸電話再び!

岐阜犬の全体像が、ピースごとに伝わってきます。

鈴愛の人生が詰まっている(犬のデザイン、左耳失聴から思いついた仕掛け)
鈴愛の人間関係の象徴(ナオが手伝う立体化、仙吉がこじあけた犬デザインへの道)
鈴愛が再起を賭ける「センキチカフェ」の象徴

ここまで明らかになった点に加えて、糸電話要素ですよ。

昨日、ちょっと律要素が足りないかもと書いたら、技術的に律が深く絡んでおります。そうだったかー!

こうして見て来ると、あぁ、これは鈴愛や梟会の象徴だなと思わされます。
子供の頃、直感と度胸だけでつなげようとしたモノ。それを、紆余曲折を経た大人が現実にするのです。

糸電話は、亡くなった廉子と生きている人々の間をつなごうとしたもの。
岐阜犬は、亡くなるときが遠くはないと思われる、和子の声を持つことになります。それが完成したら、糸電話と同じ目的を達成するかもしれないわけです。

そして、鈴愛と律の協力で岐阜犬が作られたら?
長い時を経て、二人は互いにしかない特別な縁を残すことになります。

結婚したかどうか、子供がいたかなんて、どうでもいい。
大きな縁がそこには残るのです。

「俺たち、歳取ったなあ」
というブッチャーの台詞もよいですね。

漫画家挫折、涼次との結婚に失敗した鈴愛。大企業プロジェクトリーダーで妻子もいるのに、何かが足りない律。
あのとき川で糸電話実験に参加した子供たちの人生は、いろいろありました。

もう若くはない。
そんな梟会。
でも、そんないろいろあった人生の結果、作ることのできる何かがあると、示されたのです。
そうやって、人生の凸凹を生かして新しいものを作ることで、もう一度つかめる何かがあるはず。本作はそう告げています。

いろいろ言われている本作ですが、こんなにも暖かかったんですよ……。

いや、今までの朝ドラって、なんだかんだでお金持ちの家に生まれ、理解ある親の元で育ち、素敵な恋と結婚をして、よいお母さんになる、そんなルートばかりでしょ?
37歳の朝ドラヒロインって、もっとしっかりした成功者の印象でしょ?

本作は違う。
鈴愛みたいな、凸凹道を歩んできた女だろうと、得るものはあるはずだと高らかに宣言するのです。

鈴愛と岐阜犬。
それに律や梟会、梟町の皆さん。
その動向を、これからも見守っていきたい!

◆著者の連載が一冊の電子書籍となりました。
ご覧いただければ幸いです。

この歴史映画が熱い!正統派からトンデモ作品まで歴史マニアの徹底レビュー

文:武者震之助
絵:小久ヒロ

【参考】
NHK公式サイト

 

3 Comments

けむさん

律は子供の頃から他人と交わるのが不得手な方だったのに
鈴愛やブッチャーたちのおかげで周りの人と交わることができてた。
会社では仕事があるから人とつながれる。
じゃあ家庭では?
よりこさんとも繋がりたいけど、どうすればいいのか分からない。
結婚までは勘違いでも勢いでも雰囲気で何とかなっとった。

鈴愛のことはすぐわかる。どこで怒るか。どうすりゃ、喜ぶか。
怒らせても何とかなるから安心だ。

でも、自分はちゃんとお父さんになりたい。(真面目か)
よりこさんから逃げちゃだめだとわかっとる。
頑張れ律。
きっと鈴愛が応援してくれる。

ヒグタツ

今日のオープニング、律の走る姿に、孤独感、寂寥感を感じました。

ヒグタツ

「・・・それとも誰か読んだ?」は、
「呼んだ(招待した)?」ですかね

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