半分、青い。130話 感想あらすじ視聴率(8/30)グリーングリーングリーン

岐阜の実家で「センキチカフェ」を開いた楡野鈴愛、37歳。
カフェオーナーとして順調な滑り出しでしたが、そこに変化が訪れます。

娘の花野が、フィギュアスケートを習いたいと言い出したのです。

しかし、名古屋の大須リンクに通うのは非現実的。
どうするか?
と悩んでいたら、あれよあれよと津曲という業界人の会社『ヒットエンドラン』で働くような流れとなっていきいます。

一方で律は、アメリカ赴任の打診を受け、どうすべきか悩んでおりました。
そこへ、妻のより子から話をしたいと電話が入り……。

【130話の視聴率は22.3%でした】

 

部長夫人になりたい、なるしかない?

鈴愛、いってきますからのスタート!

「あーあ、この子は。また東京に行くとは」
晴が思わずこぼしますが、今回はあくまで下見、津曲のオフィスを見るだけと鈴愛は言います。

一方、萩尾家まで来たより子は、菱松電機の夫人会合で聞いた話を律にします。
中川部長から、スタンフォード行きの話があったはずだ、なぜ断ったのか?と。

しかもそう迫った理由が、律に伸び伸びと研究に打ち込んで欲しいからではなく、出世に響くからとのことです。

「私は少なくとも部長夫人以上になりたいの」
そう言うより子。

自分や翼と律がともに暮らすことより、部長夫人の肩書きが欲しいわけです。

「私のせいだけじゃないんだから」
律に向かって、吐き捨てるように続けるより子。そのままドアの外へ出ていってしまいました。

廉子のナレーションでも、より子だって意地悪なことばかり言いたいわけじゃない、とフォローが入ります。

 

「そんなにここが嫌いですか……」

部屋を出たより子は、弥一と楽しそうに話している翼に、大阪で用事があるから先に帰ると言い残し、いそいそと去ってゆきます。
翼は、弥一が新幹線の駅まで送るそうです。

一人、居間に残された律は、思わず呟きました。

「そんなにここが嫌いですか……」

より子にとって、夫の実家・萩尾家は息が詰まる場所であり、一刻も早く立ち去りたいのですね。

彼女が得られなかった律の愛が、この家にはある。
和子、弥一への愛。それに鈴愛への気持ち。鈴愛が笛を吹いて律を呼んでいたのが、この場所です。

そりゃあ、より子にとってはアウェー感バリバリでしょう。
一緒に暮らしていても愛を感じられない律。それでも、律が出世さえすれば、翼がエリートになれば、より子はこの結婚は成功だったと世間に対してはアピールできます。

心の底では、虚しさを抱えたままであっても……うーん、より子の人生も辛いなぁ……。

 

元中学校のシェアオフィス

鈴愛は、東京で下見を始めました。
学校そっくりの建物に「ふぎょぎょ!」と驚きます。

というのも、ここは元中学校の校舎で、今は30くらいの会社が入るシェアオフィスなんだとか。
一人で経営している【おひとりさまメーカー】もあって、まさに2008年って感じですねぇ。

二人がオフィスに入ってゆくと、眼鏡の青年に出会いました。
一人で楽器を作っているとのことで、折りたたみギターを肩からさげ、実際に弾くことのできるピアノ鍵盤柄のシャツを着ております。

本作の小道具スタッフ、やっぱりいい仕事してますよね。
ひめっちも可愛らしかったですし、このギターやTシャツも面白い。欲しくなっちゃう。

家具、IT系、デザイナーからエンジニアまで、ありとあらゆる職種があると説明する津曲。

店を開く場合もあるし、ネット通販もあるのだとか。

鈴愛はパン屋に足を止めます。
大切な人に贈りたくなるパンを作っているそうで、材料は北海道産全粒粉です。一日50個限定のパンを試食し、おいしい!
いいなあ、このシェアオフィス! 行きたくなる魅力がありますよね~。

 

グリーングリーングリーン

津曲のオフィスにやってくると「お兄ちゃん」と呼びかける声がしました。
しかし、津曲はナゼか扉をがっちりと閉めてしまいます。紹介したくない様子。

「開けて、開けて、開けてよ!」

がらりと開けると、そこにいたのは全身緑、髪の毛まで緑色に染めた女性でした。

「新入り? 兄のとこブラックよ、ブラック」
おいおい、津曲のヒットエンドラン、ブラックかよ〜。

小西真奈美さんが扮するこの女性、一人で何かを作っているのだとか。
「見たい?」
そう誘われ、ついていく鈴愛です。

【グリーングリーングリーン】
というその会社は、緑をコンセプトとした物作りがコンセプト。手触りを大事にして、ヨモギで染めたタオル等、こだわりの製品が触れています。

この女性、世界で一番緑が好き、誰よりも好きと言えるほど。

緑の色見本を見ていくと、鈴愛は夏虫色に目を留めます。
あの夏虫駅の思い出が蘇ってくるのでした。

 

緑好きなら誰にも負けない!

思わず夏虫駅のことを口にした鈴愛に、彼女は「緑関連だから知っています」と即答。

それにしてもこの夏虫。
駅のプロポーズにせよ、ここで目にした色見本にせよ、鈴愛の人生転機に繋がっているのかと思うと感慨深いものがありますね。

壁には利用者から製品を讃えるカードも貼っておりました。
それを読む鈴愛。
これで明日も頑張れる、そんな気力を彼女に与える言葉だとか。

好きな人に売る、これがいいと思う人に売る、本当に必要としている人のために心を込めて作る。
それが彼女モットー。

「素晴らしい、でも一人なんですよね」

感動した鈴愛は、そう問いかけます。

彼女は緑色の名刺を渡してきました。
名前は、加藤恵子さん。
鈴愛が企業で勤めていたのか?と尋ねると、主婦だったと返してきます。
三十路になって、何かしたくて、何か作りたいと強く思って始めたのだそうです。

「人はやる気さえあれば、何でもできます!」
「カッコイイ……」

感銘を受ける鈴愛。
恵子は、鈴愛にとって第二の秋風羽織になるのかもしれません。

 

私も【おひとりさまメーカー】になる!

萩尾家では、翼が弥一にこう言いました。

「パパは世界の人に役立つ発明をするから、アメリカに行くんだ」

ママからそう聞かされたという翼。弥一はそれを聞いて、複雑そうな表情を浮かべます。

写真の続きを見て来ると言って翼は部屋から出て行きました。
そこへ花野がやって来ます。

笑顔になる二人。やっぱり昔の鈴愛と律みたいなんですよね。

鈴愛は、津曲のオフィスにやっと到着。
室内には、派手なハワイアン柄シャツのデザイナー・小堺もおりました。どこかおどおどした、シャイな人物です。

鈴愛は、ここは夢を実現する人で一杯だと目を輝かせます。恵子に感動したと語るのです。そして……。

「私、決めました! 私も【おひとりさまメーカー】になる!!」

しかも【株式会社ふぎょぎょ】と社名まで決めている鈴愛。
ふぎょぎょは驚きを表現するけれども、よい意味でみんなを驚かせたいのだと。

「えっ、事務で来たんじゃ……?」
思わず突っ込む津曲。

オタクだという小堺は、鈴愛のセリフに感動しておりました。
独立が前提で勤めるという鈴愛。やはり岐阜、織田信長拠点を見ながら育った奴は違うな。

津曲は、岐阜犬でセンスもあるしいいんじゃない、と言うしかない。なんせ岐阜犬の権利を握られてますしね。

「パソコンも勉強します!」
「あれ、できるんじゃ?」

張り切ったあまり、パソコンができるというハッタリがばれそうになる鈴愛。
なんとか誤魔化すんだ、そして起業に向けて突っ走れ!

 

今日のマトメ「風呂敷畳みに行くどころか」

すごい。凄いとしかいいようがない。

もう残り一ヶ月。
普通の朝ドラなら風呂敷畳みに行くところなのに、今日から
【鈴愛の野望】シナリオ:おひとりさまメーカー起業
みたいな流れになった!

今日もよかったなぁ。
伝統的朝ドラヒロインに近いより子が、暗い内面性を抱える一方、新キャラの恵子、そしてそれに触発される鈴愛がイイ!

恵子オフィスでのやりとりは、本作のものづくり姿勢を感じさせました。

SNSなんかあると、ネガティブな感情を粘着的に届けようとする人いますよね。
そんなことをしても、心のガードが堅固なクリエイターは撥ね退けます。

ネガティブな意見を聞いてこそ本当のクリエイターだという、よくわからない意見も見かけますけれども、鈴愛や恵子のように、イマジネーション&ヤル気で空に飛び立つタイプは、別にそういうものは必要としていません。
恵子がポジティブなカードを見て頑張るように、こういうタイプはプラスのパワーで、届けたいよいものを作り上げてゆくものです。

今日は、今まで朝ドラヒロインが到達できなかった高みにジャンプしました。
本作は、バブル期から平成にかけて、この国の衰退を描いたドラマであると評価されています。
細やかに時代の流れを入れて、そうなったのでしょう。

「半分、青い。」は、日本の衰退を教えてくれるドラマだ

しかし、しかし、しかし!
衰退だけじゃない部分もあります。

ゲイのボクテや、シングルマザー鈴愛の奮闘は、こういう時代ならではだと思わせます。
今日も、平成の良さが詰まっていました。

それがあのシェアオフィスです。

ネット通販やユーザーに届くこだわりを意識して、とことんニッチなものを作ることができる。
そういう平成の良さです。

秋風塾で鈴愛が直面したアンケートはがきや、人気がなくなれば打ち切りという、人気絶対主義とは違う。
好きな人に届けばいいという、そういう成功モデルです。

その一例として示されたのが【グリーングリーングリーン】の恵子でしたね。

三十路の主婦から始めたという彼女。
朝ドラとして、むちゃくちゃ斬新です。

本作の特徴として、三十路以上の女性の生き方がいろいろあるということがあげられます。
成功マダム系の朝ドラなんて、三十路以上の女性なんて良妻賢母か肝っ玉母ちゃんくらい。いやあ、こういう年齢の女はお母ちゃんとしてどっしりしていていいよなあ、という扱いばかりです。

しかし、本作は
・キミカ先生
・菱元
・三オバ
と、そうではない像ばかり。そしてこの恵子ですよ!
こんな全身緑色で髪の毛まで染めた三十過ぎの女なんて、日本じゃすぐ「痛い女w」となることは予測がつくじゃないですか。
朝ドラにおさまるキャラじゃないでしょ?

しかし、本作はそんなことは気にしない。

鈴愛が戦国武将系ということはくどいくらい書いて来ましたが、恵子からは
【かぶき者】
らしさを感じます。

戦国武将みたいに、自分が好きな鎧甲冑を着て、思い切り挑戦して挑んでもよいのです。

平成を生きる女たちだって、そう! そのほうが、きっと楽しい人生が待っている!
本作はそんなふうに、背中を押してくれるように思えます。

その一方で、家庭と成功した良妻賢母モデルに押し込められたより子は、どこか窮屈に見えてしまうところも……。

平成によい点があるとすれば、鈴愛や恵子のような規格外の女性にも、羽ばたける場所が僅かながらながら出現してきたことかもしれません。
本作はそこへ向かってゆくのかもしれませんね!

◆著者の連載が一冊の電子書籍となっています。

この歴史映画が熱い!正統派からトンデモ作品まで歴史マニアの徹底レビュー

文:武者震之助
絵:小久ヒロ

【参考】
NHK公式サイト

 

3 Comments

しおしお改め7歳上

かぶき者、
さすが武者様、
言い得て妙ですね!
まさにおっしゃる通り。
多くの読者の支持を必要とする
漫画雑誌。
デフレの象徴の100円ショップ。
家族の夢の詰まったこだわりのオープンカフェ。
ニッチな要望に応えるシェアオフィスからおひとりさまメーカーへ。
幼い頃から発想の豊かな鈴愛が
本領を発揮する日が近づいて
きましたね。
本作をぶつ切りだ、局面が変わりすぎて、脚本家は10回モノの民放ドラマしか書けないのだ
ケナす人もいますが、
平成という目まぐるしく状況の変わった、ITをはじめとする
科学技術も凄まじく変わった
この平成のドラマだからこそ、
局面、場面がどんどん変わるのだ
と私は思います。
そして、鈴愛は、流れ者だけど、
出逢った人々を過去の知り合いにしない、武者?浪人?のようです。過去の朝ドラは、昔出てきた人はそれっきり、だったりするでしょう?本作はそうではない。
頑張れ、鈴愛!!

roko

律「そんなにここが嫌いですか……」
って言ってたんですね。わからなかったのでこちらを拝見して知ることができ良かったです。

いつもありがとうございます。
昨日、コメントしようとしましたが、エラーになってしまって、自分のブログに書きました。たいした話ではないので知らせる必要もないですが、今日になってコメントに再チャレンジです。

皆様お元気で、御自愛くださいませ。

ビーチボーイ

より子、鈴愛、そして全身緑色で固めた新キャラ恵子。それぞれの世界に生きる女性がよどみなく自己主張する。今朝もわずか15分間が凄まじく濃厚でパワフル。圧倒されました。
廃校舎のシェアオフィスに集まるクリエイター達は、本当に平成後期の時代の息吹って感じですね。鈴愛ならあっという間にとりこになるの当然。またまたアンチ半青の皆様が「72hドキュメントとかならともかく、没落した日本経済のあからさまな描写を朝ドラでやるなんて悪趣味だ」だの何だのときっと嫌味言ってくるでしょう。格好の標的です。
でも、かと思えば「私は最低でも部長夫人になりたいんざます!」と夫に言い切る、まるで半世紀前の高度成長期ノスタルジーな奥方もいらっしゃる。思わず私は「人生いろいろ~♪」と口ずさみましたよ。笑

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