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半分、青い。感想あらすじ 半分、青い。

半分、青い。154話 感想あらすじ視聴率(9/27)生も死も、半分ずつの世界だからこそ

更新日:

時は2011年。
【スパロウリズム】という会社を設立した楡野鈴愛と萩尾律は、試行錯誤の末に「そよ風の扇風機」を開発。

いよいよここから!
投資家を集めて製品化に取り組もう!
という展示イベントを開催したところで、突如、日本は東日本大震災に襲われました。

激しい揺れで娘の花野はおもらしをしてしまい、扇風機の生産については部品調達もままならない苦境。
さらには仙台で看護師をしていたユーコは、連絡が途切れ、そしてその死がボクテから告げられます……。

【154話の視聴率は22.9%でした】

 

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君がいなくなって、私の世界は半分になった

君がいなくなって、私の世界は半分になった。
左耳失聴したときの何千倍もショックを受けた。もう君の見ることのない世界に生きている。

鈴愛は、そう思います。

ユーコ。
秋風塾で共に執筆した友。
生きる力としてお互い支えてきた友。
想像力の波を滑るスケーターを描いた友。

そんな彼女が、この世を去ってしまったのです。

岐阜の楡野家では、春休みを迎えた子供達が遊んでおりました。
五平餅食べるか、と声をかける草太。花野も来ているということは、鈴愛が帰省しているわけですね。

鈴愛は一人で部屋にこもりきり、ユーコからもらったスクールペンをじっと見ておりました。

そうだった……。
思い返せば、当初は対立していた二人が一歩近づいたのが、かけあみ練習の時、ユーコがスクールペンを贈ったあたりからです。
漫画家の経験が、ちゃんと刻まれているのです……。

 

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梟会の持つ力に涙が溢れ出てくる

そんな鈴愛を励ますためか、ブッチャーとナオちゃんがやってきて酒を飲むことに。
草太が誘ったようです。

そんな草太は間違っとる!

と思わず言ってしまうブッチャーとナオちゃん。
元気付けようとしたのだろうけど、あまりに重たい話ですもんね。

ブッチャーはテーブルの上にある胡椒を手に取り、胡椒なのは嘘や、本当は砂だとおどけだします。
調味料を手に取り、そうやって笑わせようとするのです。

そうそう、ブッチャー!
こういうとき、きみのマイペースさがいいんだよ!
分厚いリーゼントな髪型も父親に寄せてきて最高だぞ!

ふふっ、と笑う鈴愛。
「何やろう、何やしらん、あんたら見とったら、涙出てきたわ」

これが、梟会の持つ力かもしれない。
これまで、鈴愛は虚ろな目をするだけで、涙ひとつこぼしていませんでした。

これもそういうものだと思います。
何か衝撃的なことがあったとき、すぐに涙が出てくるわけじゃない。
心を解放していい、そういう安心感がないとただただ世界を見つめているしかない。
そういう空っぽの心が表現されていました。

 

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「カラスはスズメの天敵やもんな……知らんけど」

家に戻り、膝を抱えたままの鈴愛。
そこに晴がやってきて、おじやを置いて行きます。

「無理せんでええ、食べたくなったら箸つけて」
そう告げて、立ち去ろうとする母を引き止める鈴愛です。

「おかあちゃん、ちょっとおって」
肩に頭を乗せる鈴愛。カラスの鳴き声が響いています。

「ちょっと怖いわ」
そう語る鈴愛。

晴も
「カラスはスズメの天敵やもんな……知らんけど」
と続き、他愛ない母娘の会話です。

鈴愛は、ユーコの名前は誰がつけたんだろう、とつぶやきます。
「やっぱりお母さんかなあ」

鈴愛という名前とスズメを掛けたところから、きっと命名について連想したのでしょう。
こういうともかくエエセリフを押し付けがましく押し込むのではなく、人間の連想に任せた脚本が、本作の底力だと思います。

 

立ち直るまで付き合ってやらんとな

晴は自分自身と宇太郎に言い聞かせるように、あの子は強い、きっと立ち直ると言い切ります。立ち直るまでつきあってやらんと、そう言うのです。

「ほやな。俺にもまだできることがあるんやな」
最終週まで、ヒロインの親ができることを確認しています。

そうでした。
あのとき、皆それぞれが心に傷を負い、傷の軽い方が重い相手を助けようとしていました。
助けることで、励ますことで、自分ができることを確かめて、歩いてゆくしかない。そういう日々でした。

「ティラミス美味しかったなあ」
晴が、しみじみと呟きます。

あれが初めてのティラミスだった、と。
そうでした。あの秋風塾のころ、ティラミスが食べられるようにしたのはユーコとボクテ、そして秋風先生たちでした。
結果はどうなっても、あの塾の思い出は消えないのです。

 

二人の会社だ 一人では決められない

それでも前に進まなければ!
そよ風ファンも進めないといけません。

津曲が、岩堀の工場から調達した部品のサンプルを見せます。
ただし、10ミリの長さになるこの部品だと、どうしても本体からボタンが飛び出てしまいます。

律にデザインのマイナーチェンジを促す津曲ですが、そうなると鈴愛がこだわった花のようにしたいというデザインの要点が崩れてしまう。
そうやって律が口にすると、津曲も鈴愛があれじゃ何も決められないのでは、と言うのでした。ごめんね、とちょっとフォローも入れますが。

律もこれには同意しながら、こう言い切ります。
「【スパロウリズム】は二人の会社だ。一人では決められない。あいつを待つ」

そして……。
「もう40年、あいつを待ってた。いや、ってことに気づいたんです」

何を言っているんだ?という津曲。
最終週まで待たれるヒロイン。
本作はみっちりしている!

 

悲しみと共に生きている

和子の写真を見つめる鈴愛。
ここは萩尾家ですね。以前はできなかった、和子の写真を飾れるまでになったんですね。

鈴愛は、晴の撮影した写真を見ます。
素人とも思えん!と感嘆の声。キミカ先生は赤いマイカー写真を見せました。

カッコいい!
そうだそうだ、この年齢の女性だって、真っ赤なスポーツカーに乗りたいんだ! ピンクの軽自動車ばっかり乗ると思うなよ!!

まあ、三回ぶつけて修理に金がかかって仕方ないらしいんですけどね。
乗せたるわ、と誘って来るキミカ先生です。

「おじさんはえらいね、強いね」
力なく微笑みながら、そう口にする鈴愛です。
和子のことを乗り越え、ちゃんと生きていると。キミカ先生も同意します。

しかし弥一本人は違いました。

そう思っていたけど、実際はそんなことはなくいつまで経っても悲しい。最近そうわかったのだと語ります。

乗り越えたのではなく、悲しみと共に生きているのです。
「忘れられん、いつだって涙出てくる」

それでも……生きていればいいことはある。
翼君の写真が入賞するとか。
キミカ先生の赤いスポーツカーに乗ると気持ちがいいとか。
「死んでしまった人たちがいなくなったわけやない。ここにおる」

「ほやな、ここにおる。私らは生と死の狭間に生きとる。みんなそうや。生まれることも、死ぬことも特別やない。生まれるのは嬉しい、死ぬのは悲しい。乱暴のような気がする」
産婦人科医として、命が生まれる瞬間に立ち会ってきたキミカ先生ならではの言葉ですね。

 

お見送りではなく、再会

そういえば本作って、狭間にいる廉子さん、時折の仙吉さんまで、ナレーションに参加してきますよね。
言われてみれば狭間を描いていると言えるのか。

「私やっぱり、ユーコに会いに行こっかな」
お見送りではなく、再会です。

ユーコは秋風先生が自分のために描いた新作だって、読めなかったわけじゃない。
狭間で読んでいる。そう思いたい。

鈴愛は仙台に向かいます。

そして自宅で、遺影、位牌と向き合います。
ちゃんと戒名もつけられて、かなりきちんとしたセット。
真正面から死を描こうというスタッフの気遣いを感じます。

「ユーコ、抱いていいですか」

ユーコの夫である洋二に断り、遺骨を抱きしめる鈴愛。
その目から涙がこぼれてきました。

 

今日のマトメ「生と死も半分ずつ」

今日はユーコ追悼の回。
一人の人物の死を、15分間みっちりと追悼する――朝ドラでは珍しい流れです。
朝ドラではどうしても重たくならないようにすることが優先されるように思えてなりません。

顕著な例が前作の『わろてんか』。
戦争描写や、本当はあったはずの息子の死など、そうしたものはとことん避けられました。

そうした過去の状況を考えれば、死を連想させるものを映しだすだけでも相当なチャレンジだと思います。

ユーコの遺影、位牌、戒名、遺骨。
骨壺を抱きしめる鈴愛。
よくぞここまで……。

どうしたって、ハッキリと死を映し出すことに対し、心理的動揺する人はいます。
私も胸が痛い。そういうことを避けない本作の信念を感じます。スタッフも、よくぞ決断したと思います。

それが出来た理由も、わかります。
避けることは、ありえない選択肢でした。

『半分、青い。』の半分とは、明るさと暗さの混じったことじゃないか?
と昨日書きましたが、こうなると「生も死も混じっていたのだ」と思わざるを得ません。
ならば廉子がナレーションを担当する理由も見えてきます。そういう世界観だったのです。

今日はユーコだけではなく、和子も含めた、世界が入り混じる回です。

鈴愛の手にはスクールペン。
晴の記憶に残る味には、ティラミス。
秋風羽織の新作には、『A-Girl』の続編。
生きたものたちの世界にも、ユーコのあとが、刻まれて残っていました。
それが生死の入り混じる世界ということなんだ。

仏壇で鈴を振ると幽霊が出てくるとか、そんな強引なやり方ではなく、ちゃんとした納得のできるやり方で、生死の境目を薄くした本作。
ユーコの死は話題性作りとか、そんな軽いものでは決してありません。

本作の世界観――挑む姿勢――を描いたとも言える。
最終週までみっちり詰まった内容だと予告はされていましたが、本作の描きたいもの、価値観まで、最後まで入ってきました。

消化試合なんかない。
どうして最初に、鈴愛と律の生まれるところから始まったのか。何が混ざった世界か。そこまで本作は手抜きしない。
こういう作り方があるんですね!

鈴愛のユーコへの言動が、二度と逢えない死者に対するものではなく、まだどこかでつながっている者への態度であるのも、納得できました。

手を合わせるだけでなく、抱きしめる。
それも、二人で朝まで漫画の構想を練った、そういう二人だからこそ……ここで二人は終わりません。まだ、彼らの世界は続いてゆくのです。

律の台詞も、素晴らしかった。
もうあと少しで終わりなのに、それでも鈴愛を待つと言います。
だってそれが二人の世界だから。ずっとそうしたかったからなのです。

40年間――放映時間だと半年間待ち続けた律。
励ますだけではない、待つ律。
待ち続ける律に、ありがとう、あなたは偉いんだ、そう言いたくなりました。

※『半分、青い。』ほか多数の朝ドラ・大河作品がU-NEXTで視聴できます。

詳細は以下のサイトをご覧ください。
スマホでもOKですよ。

文:武者震之助
絵:小久ヒロ

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【参考】
NHK公式サイト

動画配信サービス
主要7社ぜんぶ入ってみました
当サイトのリポートです


 

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