まんぷく 3話 感想あらすじ視聴率(10/3)なぜ家名存続を考えない?

突如、フロントへ昇格

翌日、副子は、保科に呼ばれてフロント係昇格を告げられます。

「は? フロントがかりーーーー! ええーーーーーーー」
この時点で異動取り消したくなるような子供リアクション。

フロントはホテルの顔ですよ。キッチリ受け答えできず、奇声を発するのはありえませんて。
高級ホテルなんですよね。

理由は英語だそうです。
確かに、途中、妙に発音良い話し方をしたりしてました。でも、私が上司だったら怖くて表に出せませんて……。

「でもぉフロント係はべっぴんでないとダメなのでは」

ここは笑わせる場面?
なんだかしつこく感じてしまうのは私が神経質なのでしょうか。

あまりに緊張感なくて、ゆるゆる描写が続くと、モデルの食品会社までえらいこっちゃになりそうな……。
食品を扱う上でやったらアカン、不潔な展開も懸念してしまいます。

「うれしい〜〜〜」
と、福子が髪の毛や顔を触る描写からは、不吉な予感ばかり。
ラーメン作りでもやったらダメ、絶対……。

にしても福子の髪型は、この後どうかなるのでしょうか。
当時の18にしては幼いし、フロント係ではありえないでしょう。

こういうバサバサはねる髪型は、現代でも厳しいもの。まとめ髪か、耳にかけるタイプのボブカットあたりでないといけないわけですが。

1926年のTIME誌/wikipediaより引用

その時代らしいボブカットを取り入れたくないことは、『わろてんか』のリリコの時点で知っていた……

 

ようやく母も結婚を認めてくれて

このあと、福子はフロント係に昇進したことを母に告げます。

お母さんが英語を習わせてくれたおかげだと、急に落ち着いた雰囲気で語り出す福子。

「お母さんに心から感謝しています!」
鈴もこれに折れて、咲の結婚を認めるのでした。

うわあ、すごい。
二分の一成人式みたい。

福子が18歳って嘘でしょ?
10歳くらいでは?
これみよがしにエエ場面用BGMを流していますから、感動させたいのでしょう。

冒頭で、福子が不安だから姉が嫁げないと言っていたものを15分で雑になんとかする。
そのおかげで、描けるはずの福子の調理センスなんかはないわけですか。

ここで、プロットホールのキーポイントを言い張る鈴。

「武士の娘に二言はありません!」

 

なぜ家名存続を考えていない?

うーむ。
『西郷どん』も本作も、何を描くか、どういう話にするかではなく、特定の層を喜ばせることばかり考えているように思えます。

本作はミキサーで潰して混ぜた食事のよう。
刺激物もない、かみ応えもない、消化だけはいい。ただ、それだけです。

本作からは、現場の指揮系統の乱れと士気の低さを感じます。
半年後、どうなっているのか……残念ながら、もう予想がつくのです。

この仕事は、占い師のようなところがあります。
占い師は、カードの模様から何があるか読み取ろうとするもの。その技法がわからないと、嘘八百をぬかしているように思えるかもしれません。

しかし、カードの意味についてじっくり学べば見えるんですよね。
本作というカードからは、不吉さがありありと見て取れます……。

そんな展開で、気づいたプロットホール。

それは、武家の娘連呼する鈴が、家名存続を考えていないことです。

三姉妹がいるわけですから、一人は婿を取り、家の名前を残すことを想定するのがごく当然です。
戦前は、家名存続のためにも、今井家のような女児しかいない場合、長女に婿を取らせることが推奨されていました。

家を継ぐべき長男と、こういう姉妹のみの家庭の長女は、結婚を阻まれることもありえました。

そういう、家名存続のヘビーな状況を本作はやるつもりがないようです。

戦前の女性差別も、本作は薄い。
台湾ルーツ削除の意図も見えて来ましたね。
史実の安藤百福が受けた、差別を含めた苦難を消したいのでしょう。

そりゃあ日中戦争の背景も描かないわけだ。
本作にあるのは、単なるパラダイス戦前です。

『カーネーション』、『ひよっこ』、『半分、青い。』には、時代背景由来の暗い世相をきちんと描く誠実さがありました。
2018年という今年。
NHKが戦前や幕末を讃美しながら、そこにある暗い史実を無視して、コスプレ時代劇をやりたい。
そういう要請に応えるがために、頑張っていることはわかりました。

誰のためにそんなことをするのでしょうか?

 

差別と向き合おう、もう2018年ですよ

『半分、青い。』と本作のホワイトウオッシュを並べて、二作連続問題作という意見を見かけました。

すみません、ちょっと意味がわからないです。
鈴愛のように怒りを示し、自分の意志も強い、そういう変人が嫌いなことはわかった。

だったら海外のドラマでも映画でも見てみましょう!
鈴愛より気が強くて、怒り、自己主張する女性なんてうじゃうじゃおります。

鈴愛の「死んでくれ……」が執拗に叩かれていますけど。
『ゲーム・オブ・スローンズ』より
デナーリスの決め台詞:ドラカリス!(ドラゴンよ、こいつを焼き殺せ!)

 

アリアの決め台詞:ヴァラー・モルグリス(全ての者は、死なねばならぬ)

 

このドラマを見たら、どう思うんだろう。
外国だから、で済ます気?

朝ドラと時代劇は違うとも言いたいかもしれません。
が、大河でも無理でしょうね。
そういう女性を「生意気! 大問題! ありえない! こんな女を出すなんて問題作! 普通の女を描け!」と主張したら、海外の場合、あなたは額にこうスタンプを押されます。

【性差別主義者お疲れ様よ、帰れ】

鈴愛の生意気さと、本作のホワイトウォッシュを、同列に語らないでください。
別問題です。

むしろ、鈴愛がつきつけられている「普通のヒロインらしくない」という批判を海外に持ち出したら、
「え、このくらい、普通じゃないの? 何それ。ジェンダーギャップ低いのもわかるわ……」
とドン引きされて終わりでしょう。

だって、同じ行動を男性がとっても叩かれないよね、っていうのが大半ですもん。
ましてや、制作側の女が生意気というSNS叩きは、女性政治家のど飴リンチ事件並に引かれるでしょう。

国連に女性首相が子供を連れて行く、それが2018年だ。
同じ事を朝ドラヒロインがしたら、袋だたきでしょうけどね。

のど飴で退席を命じた熊本市議会。海外メディアが批判「融通が利かない社会」

それから「台湾を消すことでどこの国が得をする?」というのも愚問です。
日本しかありえません。なぜなら、当事者は台湾と日本しかない。

もう、自分の中にある差別心に向き合うときではないでしょうか。

前作の女性脚本家のSNS発言は魔女狩りかと思うくらい執拗に叩いていたウェブメディアも、本作のエスノセントリズムにはだんまり。
これぞ王道と無邪気にほめつつ、前作のヒロインをけなしています。

日本のエンタメが、世界基準と比較してどれほど遅れてきているか。
日本の女性バッシングが、のど飴リンチ事件のように、海外でどれほど呆れられているか。

その背後にある理由も、朝ドラをめぐる一連の動きを見れば腑に落ちます。

※レビューの過去記事は『まんぷく感想』からお選びください

U-NEXTでスグ見れる!
『まんぷく』や『半分、青い。』全話ほか多数の朝ドラ・大河作品を視聴できます。
スマホでもOKですよ。

文:武者震之助
絵:小久ヒロ

以下は、まんぷくモデル安藤百福氏の生涯です。

まんぷくモデル安藤百福の生涯96年をスッキリ解説! 日清食品の誕生物語

ラーメンの歴史は明治維新後にスタート~日本の歴史と歩み、世界の食となるまで

 

12 Comments

孤独の胃弱

武者さん、お疲れ様です。西郷どんとのW苦行でご心痛のことと思います…

NHKのどっかに、武士の価値観·考え方自体を毛嫌いしている偉い人がいて、わざとナンセンスに描いているのではないかと勘ぐってしまいます。そのぐらい松坂慶子さんのセリフ「私は武士の娘です」が痛い…辛い…。仮病やら我が儘やら、信じられません。

他人に対する以上に自分を厳しく律する、その心掛けが佇まいに自ずと滲んでこそ武士の娘アイデンティティーがある人物ではないでしょうか?出辞を口でいうだけで実態が伴っておらず、むしろ彼女は武士の娘として恥ずべき行動しかしてないです。おかしい。

武家の出であることをキャラクターに盛り込みたいのなら、『サマーウォーズ』の栄お婆ちゃんぐらいの誇り高い造形にしていただきたいと、切に願います。

管理人

>miyukiさん
変更しておきました!
たぶんコメント認証で入力したやつかなぁ?と。

miyuki

あれ~~↓名前間違っています。
「つちひす」ではありません。私です!
なぜ???すいません

miyuki

こんにちは!お世話になります。

そうなんですか・・・本当は台湾出身なんですね。
もう生まれも日本人で決定なんですか?もし、決定なら惜しいですね。
帰化した人の方がドラマチックで幅広く面白くなりそうなのに・・・

大阪製作の「カーネーション」「朝が来た」大好きでしたよ。
ただ、思うのは大阪のドラマはお金持ちが好きですね。
実家がお金持ちとか、お金持ちだったとか、全ての大阪製作の朝ドラにお金持ちの親戚がいます(笑)
「まんぷく」も武家の娘だったとか、父親は事業家だったとか・・・

ドラマはびっくりするような出会いとか少しぐらいドラマチックでないと面白くありません。ですが、これはないだろう・・・と退いてしまうような描写は心に響きません。
その、これはないだろう・・・には個人差がありますから、「半分青い」で退く方を残念ではありますが責める訳にはいきません。
朝ドラなんですから、楽しめる人が楽しめば良いのですから。

さて、このドラマ・・・私はちょっと退いています。
あの時代に母親以外は全て洋装
就職したての娘がこれから家計を背負っていくのに大丈夫?って思う生活
貧乏絵描きを持った妻とは思えない優雅さ
こうゆう描写に大阪らしいコメディ的なシーンがいくら入っていても、大丈夫なのかとハラハラしてしまいます。

それと、花のある役者さんがいないのも残念です。
まあ、これは私の好みの問題ですけどw

ただ、まだ、見ようと思います。
「カーネーション」「朝が来た」のように面白くなるかもしれませんから・・・

菊之助

「朝が来た」以来ですね、今回の朝ドラはちゃんと見てます。(録画ですがw)
このサイトのお陰といえばお陰です。
さて、ドラマですが、18歳らしい福子が多少痛々しいですが、実年齢とのギャップを考えるとやむを得ないかと。
最初にあのキャラで確立してしまうと後で追いつくのが大変なんじゃないかと思いつつ、しかし長丁場なんで、何とかするんでしょ。たぶん。
差別か〜、差別な〜。
まあ、そうかも知れませんが、一方で、「いろんなところを転々として」と歯に噛みながら言うセリフは「台湾出身」と簡単には自分では言えないって時代背景をむしろ適切に表現しているんじゃないかと思いますよ。
そのことで差別を受けた経験があれば、それで転々としたのであれば、新しい土地でわざわざ自分が「台湾出身」とか告白すること自体困難でしょう。
まあ、その点は今後の展開を待てば良いのでは無いかとも思えます。
ただ、根っからの大阪人には国籍差別は大抵ない。これはある程度言えます。
何故なら大阪出身か、それ以外の「いなかもん」かってことが徹底的に重要ですので。
ただし、この差別は結構激しいので要注意ではあります。

Zai-Chen

鈴さんは仮病だったのか否か、それでずっともやもやしています。
結局、仮病でよかったのですよね?だとすると、全くその意味がわかりません。
咲さんが家を出て、福子と二人になるのが不安だから?だったら、なんでそんな回りくどいことをするのか。少なくとも、現実世界に生きる人間の頭では、その理由が思い浮かばないのです。
強いてあげれば、今井家の人達は現実ではなく朝ドラの世界で生きている人達だからでしょう。毎週毎週、ちょっとした他愛もない騒動が起きて一件落着して、夫婦の愛や家族の絆を確かめ合ってほっこりする。そうした場面を導き出すためだけに用意されたエピソードにしか見えないのです。
私としては、それは、「わろてんか」でドイツ人の社長さんの頭に蝶々がとまったのと同レベル。そんな、心に全く響かないエピソードに引きずられてまで、無理クリ明かるくなりたくも、笑いたくもありません。て、いうか、笑えませんし。

もし、仮に、現実世界で鈴さんと同じような行動をとる人がいたとすれば、相当な毒親なのでは、とすら思ってしまいます。だって、大好きなお姉ちゃんの結婚をかたにとって、福子に「お母さんありがとう」と言わせているのですよ。勿論、「ありがとう」て言いなさいなどと口にはしてませんが、福子が「自分から」感謝の言葉を口にするよう仕向けている点で、ストレートに口に出すよりもたちが悪いと言えるでしょう。

実は、安藤サクラさんと長谷川博己さんの組み合わせには大変期待していたのですが、まだ3回目とは言いながら、二人の無駄遣いにならないことを祈るばかりです。

Susuka

福子の声が、くぐもって聞き取りづらいなあ、と思いました。
鈴愛のはきはきした喋りとは雲泥の差です。
もしも「アホっぽく見せるための演技指導」の結果なのだとしたら、
見てる側としても辛いですね。
ステレオタイプなドジっ子ぶり(それも、何度も繰り返し)は、武者さんがおっしゃるように世の中の女性、特に実話モノではモデルになった本人に失礼でしょうし、
おまけにセリフがくぐもっていて聞き取りにくいという…
個人的に、あまりにわざとらしい展開は見ている方が恥ずかしくなります。

当時は女性の職場における地位が低かったのは確かでしょうし、主人公の周囲だけ開明的な男性にあふれていた、という不自然な設定までは要求しません。
しかし、主人公が鈍感だったので波風立たず、というのは、見ていて愉快なものではありません。
それこそ、「朝からこんなもん見せんな!」ってな話です。

ハセヒロで眼福

 私は関西人です。
 関西を舞台にした、NHK大阪局製作の朝ドラを見ていて、「関西の良さを理解した上で作っていて、関西愛がある」と思った最近の朝ドラは、「あさが来た」と「カーネーション」で、「関西に興味がないスタッフ(脚本家等)が作っている」と思ったのは「べっぴんさん」です。
 「まんぷく」に関して言うと、「あさが来た」と「カーネーション」程ではないにしろ、それなりに関西色を出せていると思います。

 また、「まんぷく」自体はとても面白いと思いました。
 細かい突っ込みどころはあるかもしれませんが、それを補って余りある面白さ、明るさがあると思います。
 やっぱり毎日見るのは、「元気になれるドラマ」、「ブラックではない、ほのぼのとした笑いのあるドラマ」が良いです。
 

 

ひやまえ

確かに色々批判したいところがあるのは分かりますが「半分、青い」のときには、何が起きても「だが、それがいい」ということだったのに、これについては最初から批判ありきみたいにならなくてもと思いますが…
武家設定については、実は武家というのは嘘とか、ギャグなんじゃないかと思い始めています

あうこ。

たった3話で全てを見通したかのような判断はいかがなものでしょうか。
Yahoo記事については『半分、青い』も後半は『これでもか!』というほどの持ち上げ記事満載だった気がしますよ。
まだ始まって1週間も経ってない中で性別的な差別がー、人種差別がー、なんてまだわからないと思います。『半分、青い』だって後で『実はこうでした~』ってよくやってたじゃないですか(笑)
『半分、青い』の容姿や金銭的な差別、病気の描写などは酷くて不快でしたよ。

こけにわ

武者さん、ドラマの批評が、今の日本の政治やモラルの低さに広がることに驚き、感動しています。カッコいい~。
15分の朝ドラの表現に世の中を見ることができるんですね~!
倒れていません。見てます。そして、
避難じゃなく学びに来ています!
しっかりと今を見つめます。
武者さんの次の戦いは始まっている。
今の自分の心に差別は無いか?
知らなかったで済まされない。
観光客であふれる今の日本で
歴史を知ることは大事なんですね。

myria

3話を観て、出身地を訪ねられた場面で
台湾出身だということは次の機会に話すのだろうな、その為の あの台詞でしょう
と私は感じたのですが、扱わないんですか?
武者さんは先々のストーリーまでご存知なのですか?。

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