まんぷく 56話 感想あらすじ視聴率(12/4)「金髪白人に生まれていれば」だと?

日系アメリカ人が二つの祖国の間で

この頃、米兵と日本人女性の間には多数の子が生まれました。

彼らが日本社会で差別にどれほど傷つき、苦労してきたのか。
そういうことすら学ばずに、日本人は人種差別しないかのように描いたら失笑ものです。

戦争勃発で帰国できなかった日系人もおりました。
東京ローズことアイバ・戸栗・ダキノもその一人です。彼女が日本でどれだけ利用され、そのことで苦労したか。

日系アメリカ人が二つの祖国の間で引き裂かれた凄絶な苦悩を、くだらない人情ドラマにする邪悪さに吐き気すら覚えてきます。

根底にある意識も問題を感じます。
「日本がルーツなら日本人の味方じゃないとおかしいでしょ!」
こういう意識あるでしょ。

これ、とんでもない間違いですし、戦時中の日系人迫害の根底にあるものでもあります。

現在でも、
「日系人議員なのに反日なのか?!」
と、よくわからない噴き上がり方をする人がいるようですが、彼らの祖国はアメリカです。
それなのに、ナゼ日本人に優しくしないのかとキレられねばならんのか。知らんがな。

それに、本作のど真ん中には人種差別があるって、忘れていませんか?
おうおう、そりゃよかったのぉ! あんたら、安藤百福の台湾ルーツ削除という、ど真ん中の人種差別ドラマ作っているやないの!
こんなもん作っていて、恥ずかしさに身悶えたりはしませんかね?

NHK大阪は次も不安で……

はい、最後にニュースです。
来年のNHK大阪制作朝ドラが決定しました。

ヒロインは戸田恵梨香さん!2019年度後期 連続テレビ小説「スカーレット」

神山清子さんがモデルなのだとか。
この時点では何も言えませんね。『まんぷく』だって発表時は面白そうだと感じましたからね。
今年よりはマシでありますように。それしか言いようがありません。

と、ここで終わってもよいのですが。
実はこの第一報の時点で、本作と通じる胡散臭さが漂っています。

どこが悪いのか? みなさん気がつかれましたか?

連続テレビ小説101作目は究極の働き女子
焼き物の里・信楽(しがらき)の女性陶芸家が主人公。

陶芸家こそが究極の働き女子、ここですね。
この言い方から感じられる差別的な部分、細かいけれどもわかりますか?

陶芸という金を稼ぐ仕事をしてこそ、「究極の働き女子」。
その根底を探ってゆくと、シャドウワーク要員は「働いていない女子」という意識との対比が見えてくるわけですよ。

金を稼いでこそ、働いてナンボ。専業主婦なんて賃金発生しないから働いていることにカウントしないと。
既視感、ありますよね? まさしく本作での鈴の扱いです!

あれだけ家事に勤しみ、大人数の食事を用意し、苦労をしているのに、
「経理がなければ私はただの飯炊き女じゃな〜い」
と愚痴をこぼす鈴。これは自分は賃金労働していない無価値な女だという嘆きに他なりません。

これですよ。
NHK大阪のあやまった【戦略】とは、まさにコレなんです!

昭和一時期の価値観を垂れ流し、押しつける、そういうドラマを作らせる。

戦術単位でスタッフや役者がいかに奮闘しようと、こんな古くさく差別のまかり通ったトップが戦略を練っているようでは、21世紀にふさわしい朝ドラなんて出来ません。

もはや大坂夏の陣 戦術だけの奮闘

朝ドラは、もはや大坂夏の陣と化して来ましたな。

NHK大阪:豊臣勢
・時代遅れだということに気づかず、過去の栄光にすがっている
・有能だった先代はもはやいない
・籠城して保守的であれば、なんとかなると思っている
・真田信繁、毛利勝永のような戦術面での健闘があっても、もはや趨勢は覆らない
・戦術単位で良案があっても、無能な上層部の戦略で潰される

NHK東京:徳川勢
・戦術での乱れはあろうと、総大将の戦略のもとで戦い抜く意志がある
・過去の栄光はもうよい、我等こそが新たな時代を作るのじゃ!
・賛否両論にこだわらず、リーチの長い大砲を駆使してでも戦い抜くしたたかさ
・必要ならば、海外からの新技術や戦術を導入する

もう来年のNHK大阪にも、冷たい目線を向けてしまいます。
100作目の東京制作には期待がかかります。

東京の良さは、総大将のような脚本家カラーを前面に出すところかな。
総大将が批判をしょって立つ、そういう強さもあるでしょう。

戦略で比較すると、東西面でここまで差がついてしまいました。

『カーネーション』、『マッサン』、『あさが来た』の時代は、豊臣秀吉の戦い方のような、王道をゆく爽快感があったものですが。
今は秀頼時代だな……。

※スマホで『半分、青い。』や『八重の桜』
U-NEXTならスグ見れる!

文:武者震之助
絵:小久ヒロ

※レビューの過去記事は『まんぷく感想』からお選びください

まんぷくモデルである安藤百福の記事、ならびにラーメンの歴史もリンク先からどうぞ!

 

7 Comments

小原正靖

大阪兵庫のみ喜ぶドラマ作り続けるのに無理あり 再来年から名古屋制作にしたら 豊臣秀吉愛知県名古屋出身 大阪夏の陣豊臣方の比喩同意します

羅蜜王

福子が三田村会長に最初に相談していない事に問題あり。
三田村会長は新聞報道でたちばな塩業の事件を知ることになった。
これは出資者としては主題歌にもあるように青天の霹靂。
すぐさま、たちばな塩業に電話して福子に事情を聞く必要がある。
このままでは自分のところに火の粉が飛んでくる可能性が高いからである。
なぜGHQが萬平のところに来たのかの事実確認である。
福子は知っていることを全て説明しなければならない。
何がどうなってるかわかりません、じゃ済まない。
しかし、GHQの三田村会長への事情聴取は免れないだろう。
大スキャンダルである。三田村会長は萬平に資金提供した経緯を説明しなければならない。三田村会長は激怒することだろう。
福子は土下座しても足りない。
三田村会長はその座を追いやられる羽目になりかねない。

ある意味面白い展開である。ドラマらしいワクワクするストーリーになるはずだが、朝ドラ向けではないので、適当にふざけた展開の御都合主義で片付けられそうですね。

かなた

卓抜した才能(しかも超高評価)を主役から外すという恐るべき前歴のある局なので、
圧力さえあれば制作陣一掃すら不可能ではないかも。
でもまあ圧力とかのお下品をやらかしそうな層への媚び必死な内容だから無理、ですねきっと。

今日は辛かったな。ほんと辛かったです。
貴記事&みなさんのコメントを二度読み三度読みして人心地(笑)
いつも上質の分析をありがとうございます。

塩ラーメン好き。

製作陣は、おんぶで子育てしつつ
家事労働した時代を知らないんですかね。生まれてないから描けない?
今の二十代は、おんぶで育った子達も結構いるのになぁ。

匿名

大坂夏の陣、本当にぴったりの表現で、拍手してしまいました。
総大将の戦略の元にに戦い抜く、総大将が批判をしょって立つ、という点では「半分、青い」は実に見事だったと改めて感じます。北川さん、炎上をものともせず、ぶれること無くしょって立たれていたなあ、と。

「まんぷく」はもうグダグダで、本筋がチキンラーメンだったことも忘れてしまいそう。これからどこへ行くのか、見届ける根気が続かなそうです…。

匿名

大坂夏の陣といえば、永野芽郁さんが千姫役で真田丸に出ていたなぁ、八重の桜にも出ていたなぁと関係ない事を思い出したり

ハセヒロさんや安藤さくらさんも、今回のダメージを払拭するような良いドラマに出演されることを願うばかりです……

匿ネーム

大坂夏の陣!ここまで言い得て妙の比喩ががあったでしょうか…!まさしく時代遅れのBK…激しく同意!コメント欄の皆さんのコメントにもいつもそうだそうだと頷いています!「そう思う!」ボタンが欲しいです!!
今日ほど人手が足りない日はないはずなのに、相変わらずの抱っこ。最後もこれ見よがしに赤ん坊の顔をインサート。背中におぶって作業できないのかと、イライラしました。

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