あさが来た 18話 感想あらすじ 巧みで濃厚

あさは新次郎に大福帳(帳簿)を見せてくれるように頼みます。

経理データを見せるというのは相当際どいこと。舅である正吉に止められています。

もし新次郎が真面目な性格だったら絶対にそんなこと許さないと思うんですよね。
アホボンを自称する彼は、笑顔で「しゃあないな」で済ませてしまいます。それが結果的によいことになるのでしょう。

姑・よのは息子夫婦がついに床をともにしていると知りニコニコ。
しかし、毎晩何をしているかというと大福帳のチェックでした。

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貸し付け総額が九百万両

新次郎はあさに呆れ気味ですが、贈り物の赤いそろばんを愛用することが嬉しくてたまらない様子です。

大福帳の読み上げにもいやいやながらつきあいます。ユニークな夫婦ですなぁ。

この二人の共同作業は一週間で終わり、あさは貸し付け総額が九百万両であると計算し終えました。
えぇと、新選組に貸した四百両が二千万円でしたっけ。……絶句。そりゃあ、あさも後ろにひっくり返りますわ。

あさは新次郎に頼み、蔵に入れてくるように頼みます。

昔はよくここでかくれんぼをした、千両箱の裏に隠れてな、と語る新次郎。
微笑ましいのですが、経理データの次は金庫を見せているわけで、相当きわどいことをしております。

アホボンの新次郎も、幼い頃はあれだけあった千両箱が少ししかないことに驚きます。

彼は決して鈍感ではありませんが、徳川の天下がそんな簡単に倒れないと言います。
現実を直視したくないのかもしれません。

ところがあさはそうはいきません。

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貸した金を回収しましょう

あさは翌朝、新次郎とともに店の正吉の元に向かいます。

店にあさが入って使用人たちは驚くものの、新選組のこともあり一目置いているような態度です。
この場面、あとではつの場合と比較すると差が際立ちます。

あさは正吉に、貸した金を回収しましょうと提案。うめが慌てて制止しますが、あさは止まりません。

世の中が変わるなら店も変わらねば!

こういう未来を予見したような発言を主人公がするパターンって難しい。
このまま周囲が「流石だ!」と持ち上げると嘘くさくなるのですが、本作ではむしろあさが完全に変人扱いなので嫌味がありません。

正吉はあさに根性のある嫁になって欲しいと前置きします。

正吉という人物は、おなごは黙っていろとは決して思っていません。他の人と違って、あさの進言そのものは遮らないのです。
しかし、それは考えが浅いのではないかとたしなめます。

慌てて取り立てたら相手を信用していないことになりうるのではないか、と商売人の誠意について語ります。
デキた人ですよね。

相手が若い娘だと見下さず、心配はありがたいが任せて欲しいと最後は頭まで下げます。
あさも出過ぎた真似をしたと謝ります。

結果的には正吉がヒロイン・あさの訴えを却下するわけですが、双方嫌味に見せない工夫が感じられます。

このあと正吉は、一人だけになってしみじみとあさの言葉を思い返し考え込みます。

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アホボンは演技じゃないのか?

新次郎はあさが納得していないと見抜いていました。
なんでそんなに一生懸命なのかとあさに問う新次郎に、あさはこう返します。

「なんでそんなに一生懸命になれへんふりをしはるんです?」

なぜ一生懸命ではないのかではなく、アホボンは演技じゃないのか?と言うわけです。
実に何気ない様子で、言葉の端々に人物の鋭さや賢さをひそませる台詞がうまいですね。

二人の話題は山王寺屋にうつり、新次郎から「姉のにる山王寺屋の経営が危ういかもしれない」と聞いたあさはたまらず飛び出します。
行き先は徒歩十分程度。もちろん山王寺屋です。

道をゆくと懐かしいはつの奏でる琴の音が聞こえてきました。
あさの声を聞いたはつはいそいそと廊下を渡り店先に出ようとしますが、そこを姑の菊に呼び止められます。

妹に会うという理由があっても、奥向きの女は店に入るなと文句をつける菊。
ドスドスと店に入り正吉の前に座るあさとは対称的です。

もしも予定通りにあさが嫁いでいたら三日もったかどうか。

悲痛なる惣兵衛とはつ

菊は頻繁に実家の者が尋ねてくる、調子が悪いと手紙でも書いたのではないかと邪推します。

邪推というのは自分の行動が反映されるもの。
奥向きの女である梨江やあさが、家の外を知ることは手紙くらいしかないと思っているのでしょう。

新選組へのあさの対応も、菊だったら一目置くどころか怒り狂ったでしょうね。

菊は、はつとあさの面会を許すどころか、怒りにまかせて蔵に閉じ込めます。

暗い蔵の中、はつの悲痛な声……。
宮崎あおいさんの演技が健気で見ていて辛い。

そこへ駆けつけたのが惣兵衛。
しかし菊に出すなと止められ、力なくうつむき去るしかありません。

柄本佑さんの、表情の演技が凄い。
愛するはつをなんとかしたいのに、菊の呪縛から逃れられず苦しむ――そんな演技が本当に凄い。

宮崎さん、柄本さん、萬田久子さん。
三者三様に台本を読み込んでいるのを感じます。

新選組は受け狙いではなかった

第一週も第二週もよい出来でしたが、第三週はギアをトップに入れてギューンと走ったように思えます。

まだ放送開始後一ヶ月も経っていないのに、ロケットスタート。
来週予告のあさなんて既に貫禄を漂わせ始めていて、凄いですね。

前作の『まれ』のヒロインが最後の最後まで何をしたいのかわからずフラフラしていたのに、もう地に足が付いて力強く踏ん張っています。

今週の「新選組参上!」というタイトルは、個人的に『ちょっとどうか……』と思っていました。
確かに山本さんの土方歳三を出すのが目玉とはいえ、主人公に関係なさすぎないか、無理矢理ではないか?と(『花燃ゆ』の「龍馬!登場」とか)思ったワケです。

しかし、結論から言うと正しかったんですね。

新選組相手に一歩も退かなかったことで、夫婦仲も修復され、さらにその根性に一目置かれるようになりました。
ちゃんと主人公の運命が回るキッカケになっています。

一回目の新選組の出番も、梨江が目撃することがストーリーにつながっていて、無意味ではありません。五代友厚の登場も、二週までの顔見せやネタ的な意味ではなく、今週はヒロインに道筋を示す意味がありました。

実は歴史上の人物をカメオ的にからませるのって、かなり難易度が高いんですね。

その場にその人がいるのはありえたか、その人物が主人公と絡んでもおかしくないか、無意味に思えないよう主人公の行動に影響を及ぼすか。
こうした要素をクリアしないと「無駄に話題作りに有名人出してもなあ」とかえって呆れられます。

さらに新選組の証文が加島屋(ドラマでは加野屋)にあることを調べ、シナリオ的にハードルをクリアし、さらに粘り強く山本さんに出演交渉をして承諾させたスタッフも偉いと思います。

この土方の出番、もし他の役者さんではここまで面白くなかったと思います。

山本耕史が朝ドラ「あさが来た」で土方歳三を演じる! | ニュースウォーカー

制作統括の佐野元彦氏は「山本耕史さんの土方歳三はいつ見ても素晴らしいの一言です。新選組がドラマのモデルとなったあさの嫁ぎ先の両替屋にお金を借りに 来た証文があると聞いた時、ぜひ山本耕史さんに土方としてご登場いただきたいと思いました。時間をかけ、お願いをし、実現することができました。

偉いッ!
素晴らしいです!
もう文句なしの出来でした!!

もうひとつ、はつが遭遇する嫁姑問題もよくできています。

週の前半で夫婦仲がよくなってきたと見せて、後半であのいじめです。
この菊のいじめがただのいじめではなく、菊の影響で世間が見えないせいで山王寺屋が傾く原因であることもわかります。

『まれ』のようにただ適当にねじこんだわけではなく、結果に対する原因を示しているので、不快感は薄れています。

ヒロインの強引さ、カメオ出演のような歴史上人物、嫁姑いじめと、一歩間違ったら不快になりそうな描写でも、ちゃんとフォローしてそうならないようにまとめているのが本作の巧みさ。
『なんでおまえはこの作品にそんなに甘いのだ?』と、つっこまれそうだから先に書いておきましょう。

要するに、本作は巧みなのです。

・新次郎すっぽかし
・新郎上手投げ
・惣兵衛究極のツンデレ
・また出てくる五代
・ついに初夜が来た
・驚愕の借金
・トシが来た

振り返ってみると嵐のような一週間でした。
感想読み直してつくづく思いましたが、惣兵衛のツンデレで盛り上がったのなんて遠い過去、一ヶ月前くらいに思えるんですよ。

それだけ濃厚なんですね。

朝から濃厚な本気、この調子でなるべく長く走って欲しいです。

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文:武者震之助
絵:小久ヒロ

※レビューの過去記事は『あさが来た感想』からお選びください

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あさが来たモデル広岡浅子と、五代友厚についてもリンク先に伝記がございます

【参考】
連続テレビ小説 あさが来た 完全版 ブルーレイBOX1 [Blu-ray]

 

1 Comment

こけにわ

放送時には驚いてばかりいた展開に、
武者さんのレビューがつくと、
倍楽しく、嬉しいです。
あさが、子供用の算盤で、大福帳の計算をするシーンが大好きです。
着物も綺麗ですねぇ~。
再放送を楽しむのも良いものだなあ、
夕方は暗いニュースが多いですしね。

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