あさが来た 17話 感想あらすじ 鬼の副長・土方歳三と対峙して

新次郎を尾行したあさは、妖艶な三味線の師匠・美和と顔を合わせます。
しかしここで「あんたがうちの旦那の……」と睨むどこぞのデスおにぎり女のようなことはしません。

その新次郎ですが、三味線をベンベンと弾いております。

集中しきった無心の顔。撥さばき。
玉木宏さんの鍛錬の成果が発揮されていますね。

それを見たあさは「すごい!」とにっこり。新次郎の三味線お披露目会だそうです。

美和は、新次郎は三味線の稽古をしているんですよ、と説明。

あさはそれであっさり納得してしまうんです。

新次郎もこりゃもうガツンと怒られると早合点するのですが、あさは女関係ではなく趣味を隠しているなんてひどいと、斜め上の怒り方をするのでした。

このあとはもう百戦錬磨の新次郎が掌の上であさをコロンと転がすような感じ。あさは女関係よりも、なんで新次郎は真面目に仕事をしないのかとその方が気になっているようです。

ともあれこの夜、新次郎はやっとあさの隣で寝ることになりました。

トシが(金を借りに)来た

ここで布団に入った夫婦の会話です。

あさは時勢の変化について新次郎に質問します。
いつもヘラヘラしている新次郎ですが、薩長の台頭はちゃんと把握しています(新政府という言葉はフライングの気がしますが)。アホボンを自称しながらも、世の中はちゃんと見えているんですね。

夫婦で語り合っていると、何者かがやって来ました。

夜分に誰だ?
と思っていますと、今度こそ本当に加野屋に「トシが(金を借りに)来た」
山本耕史さん、再登板です。今回はネタ的な要素が薄まり、台詞も多くなっています。

土方は証文を持参し、幕府再興のために四百両(現在の貨幣価値にすると二千万円ほど)借りたいとのこと。

とんでもない要求ではありますが、武装グループが真夜中に借金を申し込んで丸腰の民間人が断れるはずもありません。正吉は慌てて金を差し出します(ちなみに正吉の近藤正臣さんも、30年ほど前に本テレビのドラマ『白虎隊』土方歳三を演じています)。

土方歳三/wikipediaより引用

そこへあさが起きてきて、土方の目の前に。
一体どうする気だ!?

金は返す 俺が生きていればの話だがな

土方が無言であさをにらみ付けます。
カメラの位置から照明まで完璧過ぎて、どうしましょ。

この時点でハッキリ言って怖い。
それなのにあさは「幕府は今どないなっているんですか?」とすごい質問を投げます。

三白眼でギラリとあさを射貫くように見つめる土方。うん、やっぱりカッコエエわぁ~。

と、視聴者としては感心してしまいますが、新次郎は気が気ではなく「あさちゃん!」と止めようとします。

あさはそれでも「ちゃんと返してくれるのか」「信用していいのか」と土方に尋ねます。これには周囲の新選組隊士たちが怒り、刀の柄に手を掛けます。

男たちはもう恐怖が頂点に達し止めることすらできません。
正吉が必死で謝れと叫びます。

「謝れまへん!」

あさはしかし、脚をがくがくと震わせながらも、「この家を守ることが、嫁のうちの務めだす!」と啖呵を切ります。新次郎はやっとあさと土方の間に割って入り、代わりに謝ります。

ここで土方、
「……いい女だな。たいした度胸じゃねえか。女だてらに新選組を怖がらねえとは」
と褒め、続けて、
「お内儀、金は返す。俺が生きていればの話だがな」
と言い残す。

うーん。我々はこの先を知っているからこそ切ないですね。

「その口には、わてが口に蓋してやらな、な」

あさは緊張の糸がとけて、腰を抜かしてへたりこみます。

やはり山本さんは流石です。あさを最初に睨んでいる時と、この褒めた後あさを見つめる目つきと、温度差が違います。

惣兵衛もそうですし、あさの肩を抱いている新次郎の手つきもそうなのですが、台詞やナレーションではなくて演技で、その人物の気持ちの温度差を表現しているのが素晴らしいと思います。

新次郎はと言えば、すっかりあさに感心しています。

肩に手を置きながら新次郎は寝室まで案内。

なんでいつも余計なこと言ってしまうのかと悩むあさに、
「せやな。その口には、わてが口に蓋してやらな、な」
と新次郎が声を掛けキスシーンに。

おおッ……!
新次郎はあさが子どもではなく、芯のある大人の女、惚れてもうた、わてと夫婦になってくれと告白します。
新次郎はそのままあさをお姫様抱っこし布団へ! 朝ドラの限界はここまでだ!

あさの頭の中は新選組の借金が

そして翌朝。朝チュンのお手本のような場面になります。

あさはひゃーっと照れています。
新次郎は朝のピロートーク、あさがますます惚れ直してくれたかなと期待を抱いて話しかけるのですが、あさの頭の中は「戦になったら新選組の借金はどないなりますのや?」と色気と無縁のことを心配しているのでした。

以前の新次郎ならあきれ果てたかもしれませんが、あきれつつもこれがあさの個性だと認めたようです。

この一連のキスからお姫様抱っこ朝チュンのきっかけが、鬼の副長トシさんだと思うとシュールです。

文章だけで読むと本当におかしいでしょう。
でもドラマを見ているとそうでもないんですね。

それにしても五代友厚にアドバイスを受け、土方歳三がキューピッド役になる朝ドラヒロインって豪華すぎませんか。

大河が無残に失敗したイケメン幕末パラダイスを軽くこなしているように見えますね。

なお、本日の証文の現物写真とその顛末は、大同生命特設サイトからご覧いただけます。

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スマホでもOKです。

文:武者震之助
絵:小久ヒロ

※レビューの過去記事は『あさが来た感想』からお選びください

あさが来たモデル広岡浅子と、五代友厚についてもリンク先に伝記がございます

【参考】
連続テレビ小説 あさが来た 完全版 ブルーレイBOX1 [Blu-ray]

 

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