あさが来た 50話 感想あらすじ 夢と現実の折り合い

炭鉱で起きた問題――それはサトシの組の成績が悪かったことでした。
それだけじゃなく、亀助曰く、坑夫たちの上前を相当ハネているとか。

ピンハネ打開の提案するも……

サトシの問題行動を棚卸しする前に、納屋頭の業務のおさらいとなります。

納屋頭は親分と坑夫の間に入り、給与の上前や備品代の売り上げをピンハネしているそうです。

それを知ったあさは、そんなことはやめようと改革を提案。
現代ですと派遣社員と派遣会社みたいな仕組みですからね。余計なマージンが発生している。

このままでは坑夫の暮らしがよくならない。
夢も希望もない。
自分としては働く人に希望を持って欲しい。

そう語るあさは、採掘量にあわせ納屋頭を通さずにボーナスを払うことや、納屋頭による備品販売をやめ加野屋で仕入れて安く売ることを提案します。

なんというホワイト経営者!

しかし、これを実行すると納屋頭の取り分が大幅にダウンします。

支配人の宮部と親分の治郎作は渋い顔。
治郎作の妻であるカズだけはうっとりした顔をするのですが……。

夢は余裕のある人が持つもの

駄作大河ですと、この場面で主人公様の改革案をダメ出しする愚かな田舎者みたいな描き方をするところです。
が、本作は考えさせる作りです。

夢は大事ながら、身の丈にあった夢だからこそ言えることでしょう。
あさは一人だけ賛成だったカズを追いかけ、話をしようとします。

カズは夢は将来を考える余裕のある人が持つもの、ここの人はそんなものは持てないと言います。

死と隣り合わせの危険な仕事。
酒を飲んで目の前の憂さを忘れて生きるのが精一杯なのに、夢なんて遠いものである。

真っ黒に汚れた手をじっと見つめ自嘲的に笑います。かたやあさが見る手は真っ白。ふ、深い……。

確かに夢を見るのはよいことです。
しかし、それはその人の状況次第ですし、身の丈にあっていればこそよいものなのです。

例えば今ここに五代友厚を連れてきて、炭坑を掘る人間にビッグなカンパニーだのバンクだのをやろうと言わせたら、愚行でしかないわけです。
ビッグな夢をあさに語るのは、それを実行できるだけの資産と実力を持っているからです。

ブラック企業に限って崇高な理念

そういった描写が本当にダメダメだったのが、夢がテーマの『まれ』です。

あの作品は破綻しまくっていましたが、それでもヒロインの夢が「能登の食材を生かしたおいしいケーキを作り、お客様に喜んでもらうこと」という、ちょっと背伸びしたものであればあそこまでひどくならなかったと思います。

しかし世界一というでかい夢をドーンと打ち上げて、それに向けて研鑽を積むこともなく、案の定失敗して「ま、いっか! 夢だーいすき!」とブン投げたから見事に炎上したわけですね。

同じ事は『花燃ゆ』にも言えるわけで。
ヒロインの美和は「新しい日本人を育てる」とかビッグマウスもよいところですが、その実夫の遺児を育てることすら途中放棄してしまいました。

楫取はさらにあくどく、自分の失敗の尻ぬぐいを末端従業員にさせる時、ハッパをかけるために言うのが「群馬の未来」だの「新しい日本」だの、そんな空虚な夢なわけです。

日々生きるのに精一杯な労働者にこういうことを言うのって、一種の虐待なんじゃないかと個人的には思います。

その前に賃上げしろ、と。
ブラック企業に限って、やたらとでかい崇高な理念を掲げますよね。

今作がこうしたビッグマウス駄作と一線を画しているのは、まさに地に足がついた夢を、主役のみならずそれぞれの人物が追う物語である点です。

和歌山での百姓生活に菊だけが反対

今度は眉山家です。
惣兵衛は和歌山で百姓として再スタートを切ろうと菊に提案します。

栄達は自分たちの土地が手に入るという、身の丈にあった夢に喜び息子の提案に大賛成しています。
しかし菊は山王寺屋再興こそが夢、それをあきらめて大阪から引っ越すなど言語道断と反対するのです。

眉山一家は、実は皆、夢を持ち叶えようとしているという点では同じなのです。

違うのは、惣兵衛たちが身の丈に合った夢を見ているのに対し、菊はもはや手の届かない夢を目指しているという点なのです。

こんな菊を見ても、大きな夢を持つのは素晴らしい、志があると言えますか?

言えませんよね。
夢はただ目指せばよいわけではなく、現実と折り合いをつけなければならないのです。

三味線の音に寂しさが出ている

留守の新次郎は三味線のお稽古。
浴衣の会を前に練習に励んでいるようです。

久々に登場したお師匠の美和は、三味線の音に寂しさが出ていると指摘。

ここで三味線のお手入れをしたり、話しかけたりしてすっとぼけている新次郎がいい味を出しています。

美和は今度、恩人に頼まれて大事なお客様のために演奏すると言います。
それってもしかして、あのビッグなゲストでしょうか。

再びあさ。
張り切って働くあさは、泣き出した赤ん坊をあやす母親を見て、さみしそうな顔になります。

亀助に対してあさが打ち明ける胸の内とは?

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文:武者震之助
絵:小久ヒロ

※レビューの過去記事は『あさが来た感想』からお選びください

あさが来たモデル広岡浅子と、五代友厚についてもリンク先に伝記がございます

【参考】
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