今週はまず、炎上ニュースから。
◆新ドラマ「ちょうどいいブスのススメ」に非難 原作者山崎ケイにも
公式ホームページによると、ドラマには3名の女性が登場。「共通しているのは、全員が何かしらの生きづらさを抱えていること。つまり『現在、イケてない女子』であること」といった文言や「いい恋愛をし、ライフスタイルを向上させ、幸せをググっと手繰り寄せる」「モテない美人よりモテるブス!」といった台詞が並んでいる。
だが、Twitterでは「ちょうどいいブス」という表現に苦言の嵐だ。
って、おおーい、みとるかー?
『まんぷく』制作チームさーーーーん!!
実は『まんぷく』でも、似たようなことしております。
【不器量だからフロントではなく、電話交換手ではないか】と正面切って言われた福子(まんぷく立花福子モデル→安藤仁子)。
問題は、彼女が怒るわけでもなく、髪をくねくねといじってスッとぼけていたことです。
あの辺りから、嫌な予感がしていたんですよね。セクハラに遭おうが、容姿をけなされようが、ノホホンとするヒロインってカワイイよね〜路線を行くつもりなんじゃないかと。
実際その通りになっています。
萬平(まんぷくモデル→安藤百福)の福子への態度は、優しいどころか露骨に道具扱いをしているような時すらある。
それなのに、福子は「萬平さんを信じています!」だけ。
妄信的信者です。
つまり本作って「ちょうどいい女のススメ」なんですよ。女性を完全にナメていて、平成最後の朝ドラがこれじゃあ失敗するはず。
それと本作にはもう一つ問題あります。
「ちょうどいいババアのススメ」ということですね。
鈴がカワイイという声もあるようですが、そんな鈴への扱いが今週もひどくなりそうで呆れております。
今週は、この鈴の扱いをテーマに取り上げてみましょう。
【61話の視聴率は21.3%でした】
シャドウワーク軽視の極み
まず、ロリメンどもが鈴の朝食を食べる場面から。
鈴が美味しいでしょうと言い出すと、コンビーフだのパンもうまかったとロリメンどもがぶつくさ言います。
それを受けて鈴がプリプリしていると、萬平が褒めるわけです。
それを見た福子は満面の笑みを浮かべて
「お母さんの扱いがうまくなりましたね〜〜」
だと。
ったく、本作にこびりついた、シャドウワーク軽視の極みみたいなクソシーンですね。
あれだけの大人数の食事を準備するとなれば、相当大変なことです。
毎日献立を考えて、買い出しに向かい、作り上げる。
ブラック経営者の立花夫妻ですから、食費だって極限まで削ったことでしょう。
そもそも進駐軍に逮捕された手榴弾の密漁事件だって、食費制限が原因です。そんな過酷な状況で食事を用意する鈴には、もう敬服するほかありません。
しかし、鈴に対して本気で敬意が示されたことがあったでしょうか?
いつもいつも、飯炊き女だの、おだてれば喜ぶバカなババア扱いして、これ以上ない侮辱です。
「飯炊きなんて仕事のうちにも入らないんだ、ババアが文句つけても褒めてやりゃエエやろ」
そんなクソ精神をコトコト煮込んだものをぶちまけられているかのようです。
脚本の根底に有害精神が流れている
こうした家事労働の軽視に対してSNSから反発が起こり、制作サイドが危機感を抱いたのか。
ナレーションで誤魔化したとしか思えない【ナレパッチシステム】で、
「家事労働を分担した」
と後付けのように説明しておりました。
しかし何ら変わっていません。
そりゃそうでしょう。
脚本の根底に有害精神が流れていて、どうしたって滲み出ている。
というか、笑いにすらしようとしてますね。ほんとオワットル。
鈴が製塩業をやめることに反対するあたりも、もう無茶苦茶。
指摘されていたように、鈴は当初製塩業に反対していましたね。
そんな鈴のことを「きまぐれなおばさんだ」とでも言いたいようですが、逆効果。彼女に定見はなく、要するに何をするにしても邪魔するババア扱いしているだけです。
忠彦の肖像画のくだりもカスでした。
意地の悪い笑みを浮かべた克子が、実物より綺麗に描かれて喜んでいるとでも言いたげで、それって笑う場面ではないですよね?
ともかく克子の性格が歪みきっているようにも見える。だって実母に対してこんな態度をとるのって最悪じゃないですか。タカまで鈴を小馬鹿にしているのは、克子と忠彦がそうなんだからそれもそうでしょ。
鈴が虐待をしたとか、露骨な悪事を働いたならばまだしも、決してそうではありません。
夫を失う苦労を味わい、娘に英語まで習わせた。並大抵の苦労じゃなかったはずです。
それなのに、感謝どころか薄らバカにする最低の娘、それが克子です。
海外エンタメでは老女の扱いに変化あり
福子も大概ですね。
あの留守中に頑張っていたのは、福子よりむしろ鈴という印象を受けました。
それなのに、バカな母と言いたげな態度ばかりを取っています。
年老いた女性がコケにされるのは楽しい♪と言いたげですが、あなただって将来そうなるわけですよ。そんなことすらわからないほどバカなんですか?
そりゃあ鈴さんも、咲が夢枕に立つよう祈るのもわかりますわ。こんなクズ娘しか残らなければ、そりゃそうなる。ま、咲だってうっすら母をバカにしていたような気がしますが。
鈴さんも、観音呼ばわりされて喜んでいる場合じゃない。
毘沙門天と化して、こいつら全員ぶっ飛ばしましょう!
ちなみに近年、海外エンタメでは鈴のような老女の扱いが注目を浴びています。
海外の作品でも、老女といえば優しいおばあちゃんばかりでした。
それが近年、変わりつつあるのです!
手強く、謀略を巡らせ、賢い、気高い、そして時には戦う。
『RED』シリーズのヴィクトリア。
『マッドマックス 怒りのデスロード』の鉄馬の女たち。
『バーフバリ』のシヴァガミ妃。
ドラマですと、『ダウントン・アビー』におけるヴァイオレット。
『ゲーム・オブ・スローンズ』における「茨の女王」ことタイレル家のオレナ。
このあたりのキャラクターが、話題をかっさらいました。
手強くて魅力的なおばあちゃんが、世界的には求められております(続きは次ページへ)。
去年は大河にて最強(恐)お婆様たちが男達を心胆寒からしめてましたね…。主人公も「ババア!」呼びする若造に人生経験の重みというものを見せつけていました。
間違ってる時もある。力及ばない時もある。思うように動けない時もある。それでも彼女達の存在を無視する事はできない。
そんな凄みのある年配女性を描ける脚本家がまだ日本にいる事に希望を持ちましょう。
あ、ちなみに主人公と相手役の俳優が好きで見ていた身内が、先日離脱報告を送ってきました。
ドラマがダメダメ過ぎてファンでも3ヶ月保たなかったようです