新次郎来訪にざわめく坑夫たち。
あのじゃじゃ馬のあさの夫なら、さぞや恐ろしい男だろうと想像しています。
その新次郎、「なぜあんな立派な駕籠を使ったのか」とあさに問い詰められます。
やはり交通費がプライベートジェット級?
その様子を覗き見る坑夫たちは、新次郎のとらえどころのなさに首をかしげます。あさはうれしそうに、ピストルで坑夫たちを説得したと話します。
「着物の裾が汚れる所に行たくない」
大阪では、新次郎の行動を正吉と雁助が話し合っています。
「着物の裾が汚れるような所には行たくない」
とまで言われる新次郎。
二十年前、彼の人格形成に重大な影響を与えた事件のあったことが語られます。
その一部始終を廊下で聞いてしまったのが、うめ。
うめは廊下に出てきた雁助とぶつかってしまい、ちょっとよい雰囲気になります。
うめは雁助に、二十年前の事件について聞きだそうとします。
今週のサブタイトルですね。
惣兵衛だけが心の闇を抱いているわけではなく、新次郎もいろいろあるようです。
新次郎の武装エスカレート論
新次郎はピストルを見ながらお茶漬けを食べています。
シュールな絵です。新次郎は亀助に大福でもあめちゃんでも買って来いと命じて、二人きりになります。
覚悟を語るあさのほっぺを触る新次郎。大福みたいだとムニムニします。
それからこう優しく諭すのです。
あさにピストルは似合わない。
武器はやらかい大福だ。
ここで新次郎の武装エスカレート論。
相手が武装したらその相手はもっと強く武装し、どんどん互いにエスカレートする……それより他の手で解決できないか、太古の昔からアホな男が繰り返してきたことではなく、あさにはそれができるのでは、と誘導するのです。
説得力ありますよね。
今後は女の柔らかいチカラが必要とされる
本作第一回オープニングであさが宣言していました。
「今後は女の柔らかい力が必要」
大河や朝ドラで反戦平和が叫ばれるのはお約束です。
実際には戦争を歓迎していた新島八重や村岡花子ですらそうされました。
ところがあさは史実でもドラマでも、柔らかい力の大切さを説いているから納得です。
大河『花燃ゆ』では反戦を説くヒロインが空転しています。
ヒロイン美和のよりどころである吉田松陰がそもそもテロをも許容する過激思想の持ち主であるから説得力がないのがまずひとつ。
いくらヒロインが説得しても、前原一誠なんかは結局武装蜂起するから文字通り説得力ゼロなんです。
本作はそういうことはありません。
また、ピストルを渡した五代と、ピストルで解決はどうかと疑問を呈する新次郎で、よい対比にもなっています。
そして「やらかい心」とは女特有のものではなく、新次郎のように男も本来はあるものである、と。
ただし、社会的にそれを出せない。
だからこそ無用な争いが起こるのだというわけです。なかなか奥が深い!
加野屋の経営が傾いていることも
そういえば同じようなことを祖父に言われたと回想するあさ。
以前私は、あさの祖父と新次郎は似ているのでは?と書きましたが、やはりそうですね。
そのままよい雰囲気になる二人。はー、いいですね。
そして翌日、あさと新次郎が炭坑に行くと、坑夫たちは働き始めています。
籠に入れた鳥は、毒ガス検知用。
ここで宮部が新次郎にスピーチを促しますが、新次郎はうーだのひーだの言い、すたこらさっさと逃げ出します。
裾が汚れて気にする新次郎。やはりそういう性格ですか。
かわってあさがスピーチを始め、ピストルで脅かしたことを謝り、ピストル封印宣言をします。
さらにありのままに、加野屋の経営が傾いていることも話します。
それはそれとして、炭坑は大事だと語りかけるあさ。ブラックな労働環境であった炭坑を考えるときれい事ではあるんですけどね。
ここで終われば、朝ドラパターンなのですが……あさは何故か相撲勝負を言い出し、裾をまくります。
えーっ、力こそは正義から卒業したんじゃなかったのぉ!?
これには新次郎もびっくりぽん!
さあ、相撲勝負の行方は?
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文:武者震之助
絵:小久ヒロ
※レビューの過去記事は『あさが来た感想』からお選びください
※あさが来たモデルの広岡浅子と、五代友厚についてもリンク先に伝記がございます
【参考】
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