明治35年(1902年)京都。日本一の「ゲラ(笑い上戸)」娘ことヒロインのてん。
「くすり祭り」で運命の出会いを果たします。
芸人の藤吉と、笑顔で輝く観客の姿です。
てんはドキドキが止まらない
そんなときめきと興奮を抱えたまま、そっと家に帰ってきたてん。祖母のハツと母のしずに祭りでの顛末を話します。
「泥棒芸人」と相手が驚くと、てんはかばおうとし、丁稚の風太はその通りやと言います。
どうやら風太はてんに恋心を抱いているらしく、当たりがきついのは嫉妬のようです。
一方でてんはドキドキが止まりません。
ここでトキメキの表情を演じる新井美羽さんがかわいらしいし、迫真の演技です。それもそのはず、実際にかっこいいお兄さんの松坂桃李にときめいていたそうで。
◆『わろてんか』子役の新井美羽、松坂桃李に緊張「カッコいいじゃないですか!」(週刊女性prime)
しずに、藤吉から問われた「笑いは何色?」という問いを聞いてみるてん。
一体何色なのでしょうか。
しずの答えは赤。
公式サイトもてんの着物も赤中止なのでいい線いってる?
台所で高級酒が盗まれている!?
祖母のハツは、最近泥棒が多いから気をつけるようにとてんに釘をさします。
明るいてんに対して、祭りの日でもため息まじりの儀兵衛。
昨年の『真田丸』では笑わないことで有名な上杉景勝を好演した遠藤憲一さんですが、儀兵衛はその景勝より愛想が悪い気がします……。
一方、台所では高級酒が盗まれていると使用人が話しています。
酒瓶から酒を器用に盗むというのも奇妙な話。しずは泥棒のわけがない、誰かが盗み飲みしているんでしょう、と冷静。
しかし、儀兵衛は下戸。
ハツもしずも飲まない。
病気の新一が飲むはずもない。
となると、あやしいのは盗み食い常習犯の風太ということになります。
しかしまだ子供の風太は、紅白饅頭は食べたけれども、酒は飲まないと否認します。
風太は酒瓶に印をつけて確かめたらいい、と提案するのでした。
茶らける・茶化す・茶目っ気
てんは藤吉のことを新一に話します。てんは鯛の赤、餅の白、錦糸卵の黄を思い浮かべ、新一から「お腹がすいてるんか?」とつっこまれます。
新一はチョコレートをつまみ、これと同じ茶色だと言い出します。
茶らける。茶化す。茶目っ気。
確かに笑いに関する字には、「茶」が多いですね。
新一は以前、寺で「笑いは心がほっこりぬくうなる」と聞いたとてんに告げます。
てんは喜びますが、新一の飲んでいるのは緑茶。二人で顔をあわせて笑うのでした。
てんは新一に「新一に聞かせるために落語を聞きに行った」と告げます。そこで驚いたのは落語そのものより聴衆の笑顔だった――と、これまた満面の笑みで語ります。もっとあんな笑顔がみたいと胸をときめかせるてんなのでした。
藤吉への恋心以上に、笑いへの思いが強いのかもしれません。
新一との交流もその布石でしょう。これは結構大事なことです。
ヒロインに恋愛要素がなくてもそれはそれで盛り上がらないかもしれませんが、大事なことを放っておいて恋愛にばかり描写を割いてもそれはそれでバランスが悪くなります。
夜中そっと戸棚を開けて美味しそうに飲むのは……
一方で儀兵衛は夜遅くまで、ため息をつきながら語学の勉強中。ランプの灯りではさぞや疲れることでしょう。
風太は早朝に酒瓶をチェックし、減っていることを確認。誰かが盗んでいると確信し興奮する風太ですが、他の使用人は「酒を売って小遣いにしとるんやろ!」と言い出します。
ああ、自分が飲まなくてもその手があったか。
ハツはこれは化け猫の仕業ちゃうか、と言い出します。
化け猫がぺちゃぺちゃ舐めるといえば、行灯の油が定番ですが。しずは化け猫の仕業にして詮索しないように注意したつもりかもしれませんが、風太は真に受けてしまいました。
風太とてんはその晩、またたびを囮にして化け猫退治をしようとします。
やる気を見せる風太と、半信半疑のてん。
丑三つ時になると、風太は寝てしまい、てんも眠くて仕方ない様子です。
その時、何者かがそっと戸棚の戸を開け、酒を飲み出しました。
おいしそうにごくごくと飲むその人は、なんと儀兵衛なのでした。
今回のマトメ
運命の出会いの翌日なら、もうちょっと藤吉で引っ張ってもよいとは思いますが、ここはむしろてんの笑いへの動機付け中心です。
てんと新一の会話は、今後も彼女の大きな動機となるものなのでしょう。
男女の愛より家族愛重視なのかもしれません。
藤吉よりも新一、さらに言えば新一より儀兵衛描写重視のような気がしてきました。
それも理解できます。
遠藤憲一さんは酒を盗み飲むだけでギャップがそことなくおかしいという希有な役者さん。その存在感は大いに引っ張って欲しいところです。
てんが成長してからも、ちょくちょくと実はお茶目な儀兵衛さんを出して欲しいですね。
著:武者震之助
絵:小久ヒロ
【参考】
NHK公式サイト
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