わろてんか5話あらすじ感想(10/6)不器用ながらも優しい鬼

明治35年(1902)京都。
日本一の「ゲラ(笑い上戸)」娘ことヒロインのてん。

厳格な父・儀兵衛が丑三つ時にこっそりと酒を飲んでいる姿を目撃したてんはどう思ったのでしょうか。

 

自分のせいで父が化け猫になってしまった……

てんは妙におとなしくなってしまい、笑わなくなりました。
口をひきむすんだてんの様子のてんに、戸惑う風太。てんはこれからは父の言いつけを守り、絶対に笑わないと決めたのでした

てんは母のしずに、自分のせいで父が化け猫になってしまった、と涙ながらに語ります。

しずは酒のことは薄々感づいていたようで、てんの言うことを即座に理解します。
自分がパーティをぶちこわし、ドイツ製薬会社との商談を台無しにしてしまったことが、父の化け猫となってしまった原因であると誤解しているのでした。

しずは儀兵衛は新一のために、ドイツの魔法のような薬が欲しいのだろうと説明します。
取引は難航していてそのストレスから酒を盗み飲みしているのだと。

てんはますます落ち込みますが、しずは商売にはいろいろあるから落ち込むことではない、とてんを励ますのでした。

それよりも化け猫は酒ではなくて油をなめると教えてもよい気がしますが、まあ、そこは作劇上仕方のないところです。

 

ドイツ人父娘に土下座するも通訳不在で伝わらず

てんは風太とともに例のドイツ人父娘を見つけます。

土下座して謝罪するのですが、通訳がいないため通じません。
このドイツ紳士はちょっと子供に冷たい気がします。まぁ、突然土下座されてもなあというところでしょうか。

新一は、苦労する儀兵衛に、ちゃんと薬学を学んで跡を継ぐと言います。

海外から新薬を輸入するだけではなく、国内生産の時代だと語る新一。
彼は製薬の先駆者になりたいと語るのでした。

そうは言いつつも常に儚げな雰囲気がつきまとうんだよなあ、新一。照明のせいもあるかな。

てんは新一の部屋から出てきた儀兵衛に、改めて自分の失敗について土下座して謝ります。
風太からてんがドイツ人に会ってきたと知り、驚く儀兵衛。

無表情ながら心動かされた儀兵衛は、てんを見つめてうっすらと微笑みます。それから「よっしゃ!」と言うと、台所に走って行くのでした。

 

酒瓶を取り出して中身を捨てる! 行動で示す儀兵衛

酒瓶を取り出し、中身を捨てる儀兵衛。
もう俺は盗み飲むようなことをしないと、行動で示すのです。

不器用ながらも我が子思いの優しい儀兵衛。その一面が見えた一連の騒動でした。
笑いにつつまれる明るい藤岡一家です。

「くすり祭り」は無事に終わりました。そこで皆でお参りに行くことになります。

なごやかな気分で参拝し、手を合わせる一家。
その帰り道、てんは「とざい(東西)、とーざい!」というかけ声を聞いて走り出します。

 

「義士(ぎし)」と「猪(しし)」を聞き間違えて

その先の舞台では「俄」を公演中。
「俄」は歌舞伎の名場面をパロディ化した庶民の芸能で、大阪で特に盛んでした。現在の漫才や新喜劇のルーツともされています。

『忠臣蔵』のパロディを演じている最中、猪のかぶり物をした北村藤吉が舞台を駆け回ります。

「義士(ぎし)」と「猪(しし)」を聞き間違えて、予定より早く登場してしまったのです。

観客席からは
「アホ!」
「何しとんねんコラァ!」
と容赦ない罵声が飛びます。

日本一の芸人どころかシラけているんですけど、とてんの表情もこわばります。

 

今回のマトメ

今日はまず「酒がもったいない」。
飲まないにせよ料理にも使えるし、捨てないで笑顔で晩酌をしても、と思ってしまう私は儀兵衛さんとは違うんでしょうねえ。高い酒ですしねえ。

そしてもうひとつは「俄」。
関西中心のお笑いのルーツであることも大事で、庶民が昔からこういうエンタメを見ていたと映像で表現されるのは面白いところです。

観客が何か投げながら
「アホ!」
「引っ込め!」
と容赦なく罵声を投げつけるのも、ある種の交流で、信頼感や緊張感もあると思うんですよ。
厳しい観客だからこそ、うまくやれば笑ってくれる。

てんはあの罵声から「お笑い」のシビアさ、成功すれば笑顔、失敗すれば罵声という厳しさを学んだかもしれませんね。

イケメンを出して恋愛模様もそれはそれでありなのでしょうが、今回のように「関西のお笑いのルーツ」を取り入れていく流れを個人的にはもっと見たいです。

大阪ならではのやり方で、お笑いと演芸史をたどるような流れを期待しています。

著:武者震之助
絵:小久ヒロ

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【参考】
NHK公式サイト

 

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