あさが来た 78話 「おおきに、東京」

あさは、もはや万能感がある「びっくりぽん」で五代の抱擁をかわし、心の友になりましょうという方向に持っていきます。

ここで五代、二度とあんなことはしないと謝罪。
大久保に対して献杯しようと持ちかけます。

あさはウイスキーをぐっと一息で飲み干します。
危ない、急性アルコール中毒危ない!

あさは酒はまずいと言い(ウイスキーを不味いと言ったためかSNSのトレンドで『マッサン』が急上昇)、それを五代はおもしろがります。
こんな時、笑わせてくれるあさは五代にとって貴重です。

あさはウイスキーにすっかり酔ってしまい、帰れそうにもありません。
五代はあさに出会えてよかったと感謝しますが、彼女は既に酔いつぶれています。

「でも君はもう一番出会うべき人にもう会っている」
と英語でつぶやく五代。新次郎のことですね。

自分がナイトで、あさがレディ

五代にとってあさは何なのか?
定期的に視聴者の頭を悩ませる問題かと思います。

五代は自分がナイトで、あさがレディと思っていのではないでしょうか。

言動の端々から、本作の五代はロマンチストであることがわかります。

妻子はもちろんいるし(しかも離婚歴もあり)、愛人もいる五代。そういった相手とは別に、崇拝し守り抜く騎士にとっての淑女がいる、と。
脳内でそんな騎士道物語を作り、演じているのではないかと。

一方のあさは完全にロマンスは別、惚れた男は新次郎一人。
ロマンチストだけど見返りは求めない五代と、純粋な友情を見いだすあさだからこそ、群馬の某カップルのように見ていて不快感がないのでしょう。

美和のビアホールで新次郎と亀助

一方、加野屋では新次郎が亀助にビールを飲ませています。

その店は、なんとオーナーが美和なのでした。五代の助力でビアホールを始めたようです。
しばらく出ないうちに、美和は立派な商売を始めていたんですね。ビアホールの女主人ルックの美和もこれまた魅力的です。

一時は恋のライバルになりかけたあさと美和ですが、こうなると女性経営者同士で気が合いそうですね。
ここでも女性の自立が描かれます。

話題はふゆの縁談に。
亀助はそれをかわすためか、新次郎こそあさにじりじりしているのではないかと話題を変えようとします。

じりじりなんかしていない、働くあさを見るのが好きとのろけ始める新次郎。
亀助こそじりじりしている、と蒸し返します。

確かにじりじりしてもう何年目や、亀助ェ……。

東京へ「おおきに」

あさは酔いつぶれ、目を覚ますとうめがおります。
五代は出かけ、戻って来たうめが見守っていたようです。

二日酔いの中、慌てて汽車を目指すあさ。東京と大久保に御礼を言い、駆けだしてゆきます。

こうしてあさの東京旅行は終わったのでした。

このあさの「おおきに」が実にいいんですね。
志半ばにして散っていった先人に感謝し、新たな夜を作ると誓うヒロイン。あれ、なんだか今年の大河のテーマの気がしますが、こちらの方がちゃんと描けていませんかね。

大阪に戻ったあさは、五代を慰めた話を新次郎にしています。
何もあんたが慰めなくても、と言う新次郎に対してあさはぴしっと「心が狭い!」と言い返します。

まぁ、ここまで堂々とされたら疑うわけにもいきませんな。

これにて今年(初回放送時)の『あさが来た』は終了。
来週は新春早々恋心がそわそわする展開のようです。なんだかもう、年末年始にあさロスになりそうです。

総評

あさの事業はじめ、ストーリーには進展があまりない週。
では無駄だったのか?
というとそんなことはなく、明治の文明開化をあさの目で見せるという贅沢な時間でした。

和歌山マリーナシティに再現された明治の東京の街並みは、見ていて大変楽しめました。
本作を見ていると、明治になってもそこまで九に街並みや人は変わらないんだなと思えます。

しかし、東京ではもうガス灯、煉瓦造りの建物、牛鍋屋、馬車と、こんなにも変わっているのですね。
いきなり鹿鳴館を出すよりも、こういう街並みや生活の変化の方が見たかったんだよなあ、と私としましては大変満足いたしました。

そこへ投げ込まれた大久保の死という歴史イベントも見事でした。

まさに明治の光と影です。

街並みや人の生活は変わっても、まだまだ日本の変革は道半ばであるとも示されたわけです。
ディーン・フジオカさんの演技も光りました。
あさノートを読むと、彼の綿密な演技プランがうかがえます。

そして謎のジョガー集団を率いていた金八先生、ではなく福沢諭吉。
カメオ出演ですが、土方歳三と同じくあさの人生に影響を与える人物としての役割を果たしました。

日本の国作りには女性の改革も必要であると理論を説く福沢。
そして女性だけの奮起ではなく、福沢のような思想、正吉や五代のような女性の立場への理解と激励、新次郎とよののような女性を周囲、そういったもろもろの環境があってこそのあさ=女性の活躍であると示されました。

福沢が「女性には当たり前のように強いられることを、男性側が強制されたら耐えられますか?」という問いかけもタイムリー。

夫婦別姓問題、国会議員の育休など、時事ニュースにもマッチしております。
名作は世論も背中を押すのか、それとも本作が時事問題すら先取りするほど時代のニーズを読んでいるのか、ですね。

来年も楽しみです。

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文:武者震之助
絵:小久ヒロ

※レビューの過去記事は『あさが来た感想』からお選びください

あさが来たモデル広岡浅子と、五代友厚についてもリンク先に伝記がございます

【参考】
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