もくじ
こんな捕色で大丈夫か?
本作の衣装担当者は、マリオ&ルイージに思い入れでもあるんですか?
なんですか、あの幸のピンクのブラウスと緑色のパンタロンは?
OPの福子からしてそう。
何度突っ込んだかわからん。
赤と緑の補色はもうエエから……。
クソガキすぎる天才児が痛々しい
大介の天才児設定が、冗談にしても痛々しくて見ちゃいらません。
この年齢で、女児相手に威張るスキルを身につけているあたり、ジョフリー王としての資質を感じます。
大介の設定については、こんなニュースもあるようです。
◆『まんぷく』瀬戸康史と岸井ゆきの、長男役・大介(川口調)にSNSで反響の声が殺到|ニフティニュース
この大介の設定って、典型的なコレですね。
【元・天才児じゃない大人が考えた天才児】
まぁ、天才児というか、ガリ勉というか、ガーッと考えることに夢中な人間の少年時代って、明るいもんじゃないから……。
・難しい言葉なり、知識なりを使うと、むしろいじめのターゲットオンされるとわかっている。だから、むしろ言わないことを覚えた
・グループで遊んでいると浮いて馴染めないから、教室や自分一人だけのスペースにこもる
・学校が終わったら家まで一直線で帰る。ぼっちが落ち着く
・ランチタイムもぼっちが楽。学校行事? 別に楽しみじゃないし……
・「みんなの一致した考え」より「自分の考えた最適解」に固執し、空気の読めない奴として仲間はずれにされる
というように。
空気の読めない、そんないじめられっ子の方が、リアリティあるんやで!
これがちゃんとできていたのが、萩尾律でした。
自分を理解する鈴愛はじめ数人だけと、いつも遊んでいましたね。
鈴愛から、そういうことをクラスで言うと嫌われると指摘されていました。
そして実際に、友人が少なくて両親が心配していたほど。
『MAGI』のマルティノも、そのへんがうまく描けていた。
しかし、本作にそんなリアリティを期待したらダメなんですね。
むしろそういう本物の天才タイプをロックオンして、イジメてきた連中が信徒の主な層ではないでしょうか。源と幸のイジメ問題に対する福子や萬平の対応策を見れば、そうなります。
※シャーロックもこのタイプなので、幼年期が暗い……
こんなガイジン認識とルーツ軽視で大丈夫か?
もう指摘するのも嫌なんですけど、なんですかね、レオは。
「ロバート・レッドフォードよりハンサム!」
いや!
いやいやいやいや!
ブラッド・ピットとレッドフォードはそっくりですけどね。
レオはちゃうやろ!
本当に大丈夫でしょうか?
レオが金髪という記事にもズッコケましたが、こんなん人種と性別以外似ているところありませんよ。
それと、当時はそこまで外国人との交際が珍しくもありません。
そりゃそうでしょ。米軍が何年統治したと思っているんですか。そういうルーツの方を含めて、社会を築き上げているわけです。
驚天動地扱いっていうのも、歴史修正主義的でひどい話だ。
そもそも、主人公モデルの国際結婚を、ルーツごと削除した本作ですからね。
朝ドラで国際結婚がダメなわけがない。『マッサン』がそうでした。
竹鶴政孝氏は、周囲に国際結婚だけはやめておけと語っていたそうです。
自分の結婚への後悔ではなく、妻の味わった苦難を考えてのことでしょうからね。
そんなニッカが、国際結婚を消してドラマにすると言って頷いたとは到底思えません。
まぁ、モデル企業のルーツ軽視は、このニュースで世界規模にハッキリと示されましたね。
◆日清「大坂なおみ動画」炎上→削除問題の本質 グローバル企業として欠けていた視点とは | 食品 – 東洋経済オンライン
こんな発明体制で大丈夫か?
うん、まぁ、うん。
顆粒スープといい、それは競合他社が元祖では、と突っ込みたい箇所が大盛りです。
そんなことだから、夢頼りになるのでしょう。
即席麺市場は激戦区。
いいとは思います。
そう、切磋琢磨していくのであればね。
そうできない理由はあるのでしょうか。
2010年代の革命的発明の麺は、実はこちらでして
今のインスタントラーメンの主流となりつつあるブランドといえば、私も好きな「マルちゃん正麺」です。
嘉納治五郎団長!
じゃなくて役所広司さんが、勉強で頑張る娘に、父からラーメンを差し入れさせる広告です。
センスがいいなぁ。
『まんぷく』で、萬平さぁんと源に弁当を持ち込む福子と、落差を感じます。
時代背景?
どうでしょうねえ。娘思いだという設定の萬平にせよ、忠彦にせよ、娘の性生活関連にしか興味がないもんねぇ。
この広告動画みたいな場面があれば、最高の宣伝になっただろうに。
そしてこの「マルちゃん正麺」は、2010年代に大きな波を起こしていました。
◆マルちゃん正麺 ヒットで業界に「マルちゃんショック」の声|NEWSポストセブン
だが、東洋水産は従来のフライ麺、ノンフライ麺どちらにも属さない新製法を約5年の研究期間を経て開発した。それが切り出した生麺を蒸し上げる工程を省いて、そのまま乾燥させる「生麺うまいまま製法」だ。乾燥麺でありながら、なめらかでコシのある食感が楽しめるようになった。
東洋水産がおよそ5年かけて完成させた究極の麺。
だからこそ「正統派の麺=正麺」と名付けられ、改革の波を起こしたのです。
要するに『まんぷく』で繰り返し主張される、
【妻の天ぷらを見て思いついたフライ麺】
は、2010年代に王座を追われたということになります。
そんな終わった技術を未だに革新的だと主張する。
どうしたんだ……。
まぁ、おいしいもんね。
怖いよね。「マルちゃん正麺」。
神は言っている、ここで死ぬ運命ではないと
さて、これをふまえてちょっと年表でも作りましょうか。
「歴史の年表なんてつまらない!」
とはお決まりの言葉ですが、そんなことはないのです。
点と点を結んでつないでいくと、なかなか面白いんですなぁ。
2012年:「マルちゃんショック」により、東洋水産の即席麺、カップ麺が席巻
2013年:食品業界「日清戦争」
◆どん兵衛、サッポロ一番を特許侵害で提訴「また“お家芸”日清戦争」と業界は冷ややか
2014〜2015年:NHK大阪朝ドラ『マッサン』により、空前のウイスキーブーム到来
◆マッサン人気と「受難の90年代」が招く空前のウイスキー品薄|NEWSポストセブン
2015年秋:東洋水産の「マルちゃんショック」続き、日清が追い上げを期する
◆マルちゃん正麺が「瞬間風速でトップ」の波紋 東洋水産に抜かれた日清の逆襲はあるか | 食品 – 東洋経済オンライン
が、東洋水産のライバルであり、即席麺業界の首位に君臨する、日清の逆襲はすでに始まっている。「正麺カップ」発売から2週間がたった10月19日、日清はノンフライ麺の「ラ王カップ」をリニューアルすると発表。11月9日の全国発売開始に合わせ、新しいテレビCMも公開する。
2019年:チキンラーメン60周年、『まんぷく』放映中、売上絶好調
◆60年目の「チキンラーメン」、史上最高売上を達成/日清食品|食品産業新聞社ニュースWEB
◆日清食品高笑い!「まんぷく」効果でチキンラーメン爆売れに続く“第二波”|ニフティニュース
神は言っている。
ここで死ぬ運命ではない!
まさに神の声!
それが『まんぷく』、萬平ラーメン教なのです!
そう思えるような逆転劇っすね。
そんな本作には、不自然な点があります。
・『マッサン』には、ライバル社であるサントリーがモデルの企業が出てきた。どちらが元祖かということではなく、切磋琢磨して進歩してゆく流れだった
→結果的に、ニッカとサントリーは両者ともに『マッサン』のメリットを受けている
・しかし『まんぷく』では、日清にとってのよきライバルとなる企業は存在しない。史実でも現実でも多く存在したのに。発明家・萬平のライバルは不在だ
→ライバル間の競走で切磋琢磨できた部分もあっただろうに
・かわりに技術をスパイで盗む悪徳企業が存在する。しかし、この悪徳側の言い分にも納得のできる部分が多い
→萬平側が無理筋を通しているようにすら思える
・萬平は、法や話し合いではなく、政治家頼りで解決しようとした
→同業他社と話し合いをせず、コネ頼りで自分がトップの組合を作って解決した
ジャパニーズウイスキー全体を盛り上げようとした『マッサン』と違い、『まんぷく』は一人勝ちだけ狙ったかのようですが……これもきっと神の言う運命なのでしょう。
まぁ、私は異教徒なので、今日も「マルちゃん正麺」で♪
※スマホで『いだてん』や『八重の桜』
U-NEXTならスグ見れる!
↓
文:武者震之助
絵:小久ヒロ
※レビューの過去記事は『まんぷく感想』からお選びください
※まんぷくモデルである安藤百福の記事、ならびにラーメンの歴史もリンク先からどうぞ!
※コメントにつきましては、
・まんぷくここが好き!
・まんぷくここがアカン!
という意図でご自由に記述してください。
作品に関するものについては全て掲載しております。
攻撃的な書き込み等については、こちらの判断で削除させていただきますので、あらかじめご承知おきください。
はじめまして、ドラマ視聴後のモヤモヤが武者様の批評を読んでスッキリします。
自分でも考えすぎだと思いますが、もしかしたら創業者の出生地削除はモデル会社から申し出たのかもしれないと思う時があります。
サーセイはまだカリスマも政治力がありそうでしたし、睡簾政治も政治力のある聡明な女性が行うなら問題ありませんでした。
しかし福子は…重要人物の母なのに名前すら上がらない三法師の母コースを辿りそうなんですよねぇ。
今日の回は、芦田さんのナレーションがやたらと多かったのが気になりました。逃げだしたという噂をはらす感じでした。また、とってつけた様に、咲姉の幽霊もでそうな気がします。