夕見子があの軍師になっていた……
なんでこんなに『真田丸』を思い出しているんだよ、って話ですが、この先も、やっぱり止まりません。
「お腹すいた〜」
そうだるそうに言っているのは、夕見子です。
妹の明美に家事を全部ぶん投げて、自分は読書に励んでいます。
明美が暇そうだと愚痴をこぼすと、体を使うだけが労働じゃないと言い出します。
そんな愚痴を聞いている暇はないとまで言い切りおった!
「そうやってバカになっちゃ、女はダメ」
「いいから手伝え!」
姉の性格の悪さが滲んだ態度に、明美がイライラしています。
そんな明美を、帰宅したなつが手伝い始めます。
「夕見子をあてにした明美も悪い」
言いおったー!
どうやら夕見子は家事をしないことが、当然のことのようです。
なつは、すでに諦めています。
ただ、働かないことはいいとして、心を引っ掻き回すのはやめれと嗜めるのです。
つまり、夕見子は趣味のようにイジワルしているということなのでしょう。
おい! おいおいおい!
まぁ、煽りまくってますよね。
なんでそんなにいちいち煽るんだよ、って話ですが。これはこういうことです。
イジワル軍師・夕見子覚醒ッ!
いや、言葉は悪いんですけど、この人は『真田丸』直江兼続と同じ系統の性格でしょう。
・真顔で煽る
・煽られた相手が怒ると「図星でしたか」と笑う
・「侮辱したつもりではござらぬ。事実を的確に指摘したまでのこと」的なことを言う
・自らの知的探究心追求こそ至高! 日常生活に必要なことをすっ飛ばす
・褒められても「この頭脳で考えてそうしている。それならば当然です」で終わる
・「空気を読んで何かこちらにメリットがありますか?」的なことをぬけぬけと言い出す
・自分にとって想定外のことをする相手がいると、ストレスがたまる
(兼続→信繁「ゆるせぬ……切り捨てましょう!」、夕見子→なつ「あの子、腹立つ!」)
戦国武将を女体化したゲームがあります。
ああいうものって、結局名前とデザインモチーフだけがその武将で、中身はそうではありませんよね。
直江兼続の女の子バージョンを求めたら、夕見子なんじゃないかと思いますよ。
どちゃくそムカつきますよね?
しょうがないでしょ、女の皮を被った直江兼続なんだから……。
「そこのお姉さん、お茶しない?」
とでも言おうものなら、チベットスナギツネ顔で、
「あなたとお茶を飲むことによって、私に何か得られる利益はあるのでしょうか?」
とか返して来るタイプですよ。うん。
※こういう奴だ
夕食が怖いんだが……
このあと、電気も引いた柴田家の夕食シーンとなります。
明美が炊いたご飯をさらりと己の手柄にする夕見子。しかも、それでムキになる明美を面白がりたいだけの様子です。あのさぁ、あのさぁ……。
しかし、この程度は軽いジャブみたいなもの。
地獄はここからです。
なつが山田家のレンタル牛の話を持ち出し、柴田家夕食の空気が凍りつきました。
なつよ、ご用心あれ――。
ナレーターであるなつの父も告げるほど、恐ろしい空気が漂っています。
知略99の柴田泰樹に、挑まねばならない剛男!
いや、だから、なんで朝ドラで、第一次上田合戦前夜みたいな緊迫感が漂っているんですかね。いいなぁ。
アフター『真田丸』朝ドラなんだよなぁ
本作は『真田丸』あってのものだなぁ。
今朝はしみじみとそう感じました。
大森氏の大河ドラマ『風林火山』のあとの時系列が『真田丸』だということを考えれば、繋がりがなくてもおかしくはありません。
そういう、謀略の世界が朝ドラにぶち込まれている。
そんな気配がムンムンと漂って来る。
脚本家が男性だから、女性だから。
これについては、私はそこまで信用していません。
****では、
「男性脚本家だからこそ、池井戸潤氏原作ドラマ的な男の世界だ!」
という意見もあったものですが、あれはビジネスドラマとしても崩壊しきっていました。スポーツ新聞連載小説的エロだけは、まぁ、男性的だったかもしれませんけどね。
その点、ビジネスを通り越して戦国時代じみてきている本作は、男性性というよりも脚本家氏の緻密さがよく出ていると思います。
この泰樹vs農協が実にお上手。
先週の山田家救済を通して、泰樹のカリスマ性や知略を見せつけたわけです。
あの泰樹を敵に回す時点で、どれだけ恐ろしいのか。
そのことを示しました。
しかも、説得にあたる剛男は頼りないわけです。
ちゃんと対戦前に、カードの強さを見せてくる。
これぞ盛り上げ方のお手本みたいなものですね。
朝ドラのダメなパターンを踏まない
本作は、朝ドラのダメなパターンを踏まないと確信できます。
【ダメなパターン】
月:事件発生や問題提起
火:時間稼ぎ
水:時間稼ぎ
木:時間稼ぎ
金:時間稼ぎ
土:雑な解決
それと比較すると、本作は実にパターンが面白い。
まだ序盤ですので、今後変わるかもしれませんが、先週も、今週も、水曜日に山場を持ってきています。
その山を乗り越えた先で、そこをふまえてまた別の進歩を見せる。
そこで得た要素を、次の週以降も生かす。そういう複雑なプロットです。
王道の朝ドラではない、別の模索がある。
そんな本作。
同じ型破りタイプでも、『半分、青い。』は感受性でふわっと舞わせる、そういうタイプでした。
あ、だからといって作りが雑ってことじゃないと私は思います。
本作はガチガチで緻密に固めている。そういう部分が強いと感じます。
失敗を許さない、鉄壁の構え。そこが特徴なのでしょう。
そんな本作です。
『真田丸』+北海道の大泉洋さんはもう、出演確定していますよね?
期待しています。
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↓
文:武者震之助
絵:小久ヒロ
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いやあ、ご本人の口で”調略”言わせるとは、
昌幸オマージュがハンパない!
たびたびすいません。天陽くんちの牛の話を持ち出したのは、なつではなく、剛男パパです。泰樹おんじのただならぬ様子に、流石のなつも空気を察して話をご飯の炊き具合に逸らそうとしましたが(夕見子姫に邪魔されましたがw)、何でわざわざ自分から地雷踏もうとするかなあ~。この、実生活にはあまり役に立ちそうにない昭和のインテリ感がよく出ていていいですねぇ。藤木直人さん。
朝ドラでは、金曜日が一つの山場で土曜日がエピローグというパターンが王道
でしょうか。