おぉ、マダムよ……相手は亜矢美じゃない!
恋って言ってない。
それなのに慌てて、自爆しました。
ここで野上がボソリ。
「実な似た者同士……」
おいっ、容赦がないなっ!
マダムの華麗な顔が、どんどん剥がれてゆく様子がおもしろくてたまりません。野上も口が悪くて辛辣で、でもあたたかみがあって、いいですよね。
なつの退職で泣いてたもんね。
都会という砂漠を潤す家族の絆
このあと、信哉が来店します。
取材したニュースがテレビで放送されるとのことで、皆で見守ります。
テーマは『都会の迷子』でした。
当時の上野駅は、毎月30人の行方不明者が出ています。
画面には、マツカワカスミちゃん7才の姿が。
父に会いにきて、迷子になってしまった。
再会して泣き出す母と子。都会という砂漠を潤す家族の絆――。
そんなナレーションが入ります。
なつが思い出すのは、自分と千遥の姿です。
なんと残酷な話でしょうか。生まれた年が十年ずれただけで、こうも違うのです。
なつたちと同年代の戦災孤児は、死んでしまっても野良犬のように扱われてしまいました。
親と会えないことを心配されるどころか、汚い邪魔者という扱いを受け、追い込まれていた。
病気に罹っても、倒れていても、誰も心配なんかしてくれなかった……。
その成れの果てだって、誰も心配をしてくれないものは大勢いる。
なつだって、まだ運が良いのです。
そういう戦災孤児の悲しさが、ニュースを見るなつの顔から伝わってきます。
信哉は、一年かけて警察官の信頼を得て、このニュースを取材できたと説明します。
「千遥を見つけたい」
なつがそうつぶやくと、ナレーターの父もこう言います。
なつの知りたいニュースは、それだよな――。
信哉は、咲太郎が止めていると、複雑な顔になります。
彼も気にしているのでしょう。
咲太郎は情深い男
なつは反論します。
咲太郎は幸せを邪魔したくないと言うけれど、私はわかっても邪魔しない。
それは咲太郎とは違うと指摘するマダム。
彼は、兄としての責任感に苦しんでしまうのです。
妹を見つけたら、自分はどうなってしまうのか?
わからない!
自分が何をしてやれるのか。そう悩み、心乱されるのが苦しいのです。
なつの時もそうだった。そして暴走、失敗した……。
咲太郎ぉ〜〜〜!
咲太郎って、どうしようもない、ろくでもない男ではあるのですが、どうにも憎めません。
それは彼なりに情が深くて、足掻いていると伝わってくるから。
正解ばかりでもないし、周囲が素直にそれを認めるわけでもない。自分と似ているとなまじわかっているマダムが、あそこまで動揺するのもそういうことでしょう。
情深い奴なんです。
それが魔性でもある。
マダムも、さっちゃんも、レミ子も、弱った心に咲太郎の情がしみ込んでしまった。そんな経験があるのでしょう。
なつはある意味、その情が通じない。クールなところがあります。
信哉の戸惑いを押し切り、千遥を探して欲しいと頼み込むのでした。
咲太郎?
それは依頼したあと、事後承諾よ。
なっちゃんのこういうところ、あの泰樹仕込みだと思うんだよな。
兄がどう言おうが、探すともう決めたから
なつが絵の練習をしていると、咲太郎が千秋楽から帰ってきました。
今回は、彼にとっては大成功のようです。
雪次郎が仕事の後、三幕だけ毎日見にきたとか。
「30回も見るんですか?」
と驚いていた雪次郎。結局そのくらい見たのでは?
雪月が知ってしまったら、どうなることやら……不穏です。
しかし、今日のメインはそこではありません。
なつは、話があると兄を引き留めます。
確認するだけだ、と前置きして、千遥を探すと言い切るのです。
「遠くからでも、一目見たい」
信哉が探すから住所を教えてとなつが言うと、咲太郎は複雑な表情となります。
咲太郎は、おばが送ってきた、孤児院宛最後の手紙を見せました。
孤児院にこのあと手紙が送られて来たかも……となつは尋ねますが、それも確認済み。確実に最後なのだとか。
咲太郎は、引っ越す前の家にも行きました。
しかし、近所の人に聞いても、引越し先を知らない。
なつは心打たれた表情を見せます。
「お兄ちゃんも、会いたかったんだよね……」
「ノブによろしく頼むと言ってくれ」
「ありがとう、お兄ちゃん」
「無理するなよ」
なつは、おばからの手紙を見ます。
そこに書かれた【川合とし】とは、母のイトコでした。
なつよ、どうしても知りたいか?
知りたいよな――。
そう父のナレーションが告げる中、なつは窓から夜空をじっとみつめるのでした。
今週も盛りだくさんだ!
今週も盛りだくさん!
メインのなつがアニメーターになること。
雪次郎、演劇への熱が燃え上がる。
モモッチ、色彩感覚に目覚める。
千遥の行方。
さぁ、どうなるのでしょうか?
千遥は気になっていました。公式サイトの登場人物にも、出てきませんし。
そういえば、黒いオーラの猛者・マコが出てこないな。
きっと、ここぞという場面で出てくるのでしょう。
駄作朝ドラにありがちな、週でササッと片付ける展開を、拒んでいるこの作品。
舞台が新宿になってちょっと怖いところもありましたが、クオリティが高いまま維持できています。
今になって怖いことといえば、半年でこの濃密さを消化できるのかというところ。
なんだか前作の倍以上の濃さがある。
そんな幸せで、とても疲れる15分間です。
朝からいろいろと考えてしまって、楽しくも疲れる。そんな日々です。
さあ、後半はどうなるのか。
雪次郎のことも気になるし、このマルチタスクがたまりません!
文:武者震之助
絵:小久ヒロ
※北海道ネタ盛り沢山のコーナーは武将ジャパンの『ゴールデンカムイ特集』へ!
セル画表現の中で、微妙な線のブレを味わいとして取り入れることはテクニックだと思います
が、左腕を動かした時に連動する肩や旨、右腕や腹、腰の動きを描くとことはテクニックというよりは必然の表現ではないでしょうか?(2D、3D、一枚絵、アニメを
問わず)
複雑な連動がノイズに見えてしまうのは単なる観察力不足、人体への無理解で、モーションキャプチャー云々の下りはちょっと首をかしげます
多少、懸念材料があるとすれば、
主演の広瀬すずさんのスケジュールは大丈夫なのか?というところ。
今朝の情報番組でも、広瀬すずさんが他作品(舞台上演だったか?映画だったか?)の主演をつとめるという話題が紹介されていましたが。朝ドラが続いている中で、スケジュールは確保できるのか?
東京制作朝ドラには、『まれ』という大失敗策がありました。****の先駆けかとすら思えるほどの内容の希薄さ・手抜きぶり。当時、主演をつとめていた人物は、やはり朝ドラの撮影が続いているなかで並行して複数の映画など他作品の主演もしており、それによる撮影スケジュールの確保困難化が『まれ』失敗の大きな原因の一つであるとする見方もありましたので。
同じ轍は踏んでもらいたくないです。
なつが北海道で着ていた、おそらく母さんの手作りであろう由美子とおそろいのカーディガンを着ているのにほのぼのしました。十勝編が無くなったら寂しい!って思ったけど、都会に出てきても故郷となった十勝を感じられて嬉しいです。なんて奥深く、温かいドラマでしょう。
久しぶりの川村屋。変わらず味のある野上に、これまた相変わらず咲太郎の話題を振られるとムキになるマダム。
いいなあ。何故だかホッとします。
そして、千遥のこと。
咲太郎も、やっぱり本当は行方を気にかけていたこと。
ホロリと来そうになってしまい…
どう展開していくでしょうね。