『白蛇姫』公開間近!
あとは、アフレコのみとなりました。
なつの仕上課も、仲たちの作画課もちょっと暇。
余った時間で、トレースに励んでおります。
マコの目は暗く、そして輝く
そんな作画課のマコのもとに、仲が風呂敷包みを置きます。
中身は、なつの作画練習スケッチでした。
「こんなに……」
マコは驚きます。
とにかく描くとなると、なつの手は早いのです。
「どうして私に?」
訝しげな表情を浮かべるマコに対し、なつの才能を最初に気づいたのが貴女だからと仲が指摘します。
ドドドドドド……。
あれは才能なのか?
それは僕にもわからない。仲はそう言い、マコの意見を聞こうとするわけです。
それまでどこか目が暗かったマコの目。
カッと光が宿るかのようです。
静かに、真剣な目で、なつのスケッチをめくり、見入り始める――この場面は、セリフが少ないため、かなり真剣に見る必要を感じました。
言外に、仲はマコだから見抜けるものがあると匂わせている。
そしてマコも、そのことを感じている。
だからこそ、目に光が宿る!
本作の朝ドラアベンジャーズ枠は、それぞれの新たな魅力を引き出していて、すごいと思います。
朝ドラヒロインって、やっぱりお茶の間に届けるさわやかな風。
古い言い回しですが、お嫁さんにしたいタイプが第一ではないかと思うんですよね。
朝ドラアベンジャーズ・主演女優は、そこからが本格的なキャリアスタートである方も多いわけでして。
そんな彼女たちの、新たな一面を引き出しています。
貫地谷しほりさんからは、癖の強いクリエイタータイプが、ぐんぐんと引き出されています。すごいことですよ。
松下奈緒さんは、ナゼ100作目ではなく99作目だったんでしょうね……まぁ、『ゲゲゲの女房』再放送は、NHKなりの罪滅ぼしだと思いましょうか。
噴水で食事をしているなつは、ちょっと浮いています。
今日はモモッチがいないのでしょうか。
そんななつが、仲に声を掛けます。
彼を追いかけていた女性社員は、さーっと残念そうに散っていく。なつはやっぱり、同僚からは浮いていそうだなぁ。
自分の渡したスケッチを見てくれたかと確認するなつ。
仲は、別の人に見てもらっているとちょっと嬉しそうです。
この一連のやりとりで、彼の素晴らしさもわかります。
「俺が! 俺が! 天才である俺がともかく判断する!」
という、ワンマン上司ではない。****の**さぁんとは違います。
マコの才能を信頼している。
なつのことも、もちろんそこまで評価している。
才能への信頼性。風通しの良さを感じる。これぞ、理想の職場だと思います。
声優全員が降板してしまった
仲は、兄はまだあの劇団にいるのかと聞いてきます。
赤い星座のことです。
仲が説明を始めたのは【プレスコ】についてでした。
先に声優が録音しておいて、そこに作画を合わせる。そんなアニメの製作過程でトラブルが起きました。
作画の追加部分もあるので、声優の声を撮り直すわけですが、二人の映画スターが降板してしまったのです。
つまり、全部撮り直し。
聞けば、二人で男女全ての役を担当していたというではないですか。
降板理由は、ギャラや拘束時間に対して、知名度アップやキャリアにつながらないということ。露木とも揉めたようです。
今でこそ、声優といえばスター性十分――誰が声を当てるかだけで、アニメ作品の質を左右するものです。
当時は違います。
アニメは所詮、子供向けのもの。むしろ声優に映画俳優やタレントを起用して、売り出すことすらありました。
あっ、今もか!
今はむしろ、アニメや洋画ファンから恨まれかねない悪しきシステムですね。
◆桐谷健太「ターザン」吹き替えにブーイングが殺到した残念な理由 – アサジョ
その女性枠が、亀山蘭子でした。
【関連番組情報】
明日放送の『ごごナマ』に、鈴木杏樹さんがゲスト出演します。
13日(木)午後1:00[総合]#朝ドラ #なつぞら #鈴木杏樹https://t.co/OJyFuOqNmA— 【公式】連続テレビ小説「なつぞら」 (@asadora_nhk) June 12, 2019
蘭子は白娘の絵を見て、こう言います。
「私はこんな美人じゃないわ」
「声が美人ならいいんです!」
「正直に言うわねえ」
「いえいえ、この役は、亀山蘭子さんにしかできないんです! 芝居の深み! スターより、深み!」
そう露木が慌てる、そんなやりとりです。
蘭子さん、あなた、ちょっと面白がっていませんか?
なつの苦難を芝居のネタになると言い切ったり、なかなかどうして、不敵でからかうようなところがあるようです。
その奥には、頭の回転の速さや機転もあるのでしょう。そう感じさせます。
こういう、才智を活かされない人っているものですよね。
七色の声を持つ弁士・豊富遊声
そして男性枠は、弁士の豊富遊声でした。
なんだこいつうまいなあ……って山寺宏一さんだよ! うまいに決まっているよ!!
そりゃ山寺さんなら……と言いたいところですが、弁士でこの名前は、伝説のあの徳川夢声がモデルなわけでして。
こりゃ半端ないな!
「白蛇姫」のアフレコシーンに登場した山寺宏一さん。2役を演じ分けた山寺さんのリハーサルでは、今までにないくらいの拍手がスタジオでおき、広瀬すずさんも山寺さんの声を生で聞いて、大興奮したそうです。#朝ドラ #なつぞら #山寺宏一 pic.twitter.com/53TSctxGcX
— 【公式】連続テレビ小説「なつぞら」 (@asadora_nhk) June 12, 2019
山寺さんにしかできませんよ。
それに、徳川夢声を出してくるなんて、すごく度胸があると思います。
しかも咲太郎、「森繁久弥なら、もっとうまい気がします」と、この後の場面で言っちゃうわけでして。
山寺さんをギチギチにプレッシャーで締め上げ、本領を発揮するように迫る。
おそろしい現場だと思います。
許仙は繊細で気弱な青年の、透き通った声。
そして法海は、腹の底から声を出していて、ちょっと憎たらしい。
この要請に応える山寺さんは流石です、朝からなんちゅうもんを見せてくれるんですかっ!!
ちなみに山寺さんの朝ドラは、実は二度目です。
一度目は『半分、青い。』で、秋風の担当医師でした。
侍女は可憐に、愛らしく
蘭子は、小青を演じています。
青い魚の精で、侍女を演じているのです。
中国古典ですと、美しいヒロインには必ずこういう侍女がセットでつきます。
日本でも、深窓の姫君ともなればそうですね。
※この青い衣装が小青
茶目っ気を出そうとする蘭子ですが「遣手婆じゃない!」と露木にダメ出しをされます。
これも昭和だなぁ。
遣手婆とは、遊女の手引きをしたり、逃げないように監視していた女性のことです。要するに、年配で人生経験豊富ということですね。
しかし、この手の中国古典での侍女は、年若く可憐であるというお約束があるもの。
ツインテールのお団子も特徴です。
日本のフィクションですと、中国人女性といえばツインお団子ヘアーがお約束ですが、中国人から見ればかなりおかしい。
というのも、この髪型は女児や侍女のものであるからなのです。
なんでこの人はこの髪型なのだろう?
そう思ってしまうのです。
※春麗とか神楽とか
◆なぜ日本人は中国人女性を「チャイナドレスにお団子ヘア」で描くのか=中国報道
そういう異文化にも、蘭子は挑んでいるわけです。
そりゃ、割に合わないと映画スターならば嫌気がさしてしまうかもしれません。
※続きは次ページへ
でんすけさま
手が追いつかない、というのは、
マンパワーが足りない、
のはその通りなんでしょうが、
頭で思い描くように描けない、
追い求める理想の造形に至らない、といった意味なのでは
ないかな、って思います。
違うかな?
なつは本当に絵を描くのが好きなんだなというのが伝わってくるので応援したくなります。
多分仲さんもそういう気持ちでなつを何かと引き立ててくれるんじゃないでしょうか。
アニメーションが出来上がるまでの描写や説明も丁寧ですよね。
毎日楽しく見ていられるのは幸せです。
ついに、満を持してのアベルト・デスラー…じゃなくて山寺宏一さんの登場。
私にとっては、あの「アベルト・デスラー」の声と山寺宏一さんの姿がどうしてもつながらず、かねてから「すごい方だ」と思っていたところ。
今回、許仙と法海を見事に演じ分けている姿を見て、改めてその思いを強くしました。
ヤフコメなどで「なつは贔屓され過ぎている!」的なイチャモンを見る度に、いやまだ全員アニメーターとして養成中の学生みたいな人達だから。。、と言いたくなります。堀内くんばかりかあのマコさんですら、誰もがお手本なしに試行錯誤しながら創作活動をしているのですよね。まともな経験者は仲さんと井戸原さんだけ。その二人だって悩みまくっている。手が追いつかないから手を増やしたい。
そうした背景描写が弱かったかも知れませんね。
先日、東映の「白蛇伝」を見ましたが、
最初のクレジットで声優、森繁久彌、宮城まり子、となっていて、え?二人だけ?と思っていたら、本当に二人で全て担当してたんですね。
あと、朝ドラに全く興味のない、今「なつぞら」をやってることすら知らない妻と観賞してたんですが、あの白娘が目をキッと開いて睨むシーンが印象的だったとの評価でした。
キチンとドラマでもストーリーの要として表現してるんですね。感心します。