『ヘンゼルとグレーテル』の作画は大詰めです。
しかし、その作画にいちいち坂場が疑念を抱くという、鬱陶しい流れで、職場に不穏な空気が漂っておりました。
デモをする鳥
「この鳥は何をしたいんですか?」
逃げたヘンゼルとグレーテルを救うカラス。
何をしたいのかって、そりゃ主人公を救うことでしょうよ。
しかし! 坂場はそこで納得できないのです。
文句をつけられて、ムッとしてるマコ。
鳥は、森に魔女がいることそのものに不満があったのではないか? その不満が見えないと坂場は言うのです。
うーん、只者じゃない。
鳥の不満ってどういうことでしょうか。
坂場はここで、具体的な指示を出します。
「鳥のデモのようになりませんか?」
マコはますます困惑します。
「そんな思いつきで言われても困ります!」
「何がダメか、思いついているだけ……ともかく描き直してください。お願いします!」
坂場が去ったあと、イライラが止まらないマコ。
「何なのあの人、腹立つ!」
「ムカつくだけ無駄ですよ。冷静に考えると、なるほどとなる……」
なつがなだめていると、かつてのマコもそうだったと堀内がチクリ。
そして神地はこう来た。
「俺の原画は褒められましたけどね」
なつはあくまで冷静にとクールダウンをさせようとしますが、マコはおさまりそうにありません。
才能は認めているんですけれどね。
堀内が突っ込んだ気持ちも、わかります。マコだって曖昧な指示で、容赦なくダメ出ししていましたからねえ。
大変です。
なつぞら56話 感想あらすじ視聴率(6/4)女の敵は女なのか?樹齢は何年? だから何なの
一方、なつは、ラストに出てくる木の怪物に四苦八苦しております。
坂場はこう来ました。
「木がこんなふうに動くのはナゼですか?」
「なんとなく……木は歩きませんから、根拠はありません」
「じゃあ樹齢は何年ですか? 森で何年過ごしてきたのでしょうか?」
「そんなこと言われてもわかりません……」
なつもこうして、坂場のダメ出しにイライラ。
マコが、ちょっと意地悪な顔して、
「落ち着いて、怒ると余計にムカつくよ」
と自分が諭されたことを言い返すのでした。
うーん、この状況よ。モモッチのような優しさはありません。
「ともかく描き直してください」
「そんなの無理! 無理です!」
なつは嘆きつつ、廊下で木の動きを考えつつ歩いて考えてみます。彼女なりのやり方なのでしょう。
試験でも、身振り手振りを見せていましたよね。
あるいは馬の動きを、階段で再現していたこともあった。
なつぞら73話 感想あらすじ視聴率(6/24)不安定だけど不幸じゃないこういう一連の動きを指して、
「広瀬すずさんに天然ぽい動きをさせて、受けさせたいのミエミエ〜」
みたいなトンチンカンな指摘をされる方もおられるようですが……。
創造性と身体の動きが直結するタイプであれば、十分にありえることですね。
動きを掴みつつ、自分を納得させつつ、なつはひたすら描くしかありません。
坂場が認めた彼の絵
行き詰まったなつは、背景を描いている陽平の元へ向かいました。
森の絵を見て、イマジネーションを得たいのでしょう。
陽平は、なつの様子に気がつきます。
「何か悩んでるの?」
「悩むどころか、イッキュウさんについていけない……」
怪物の樹齢だとか。
生き方が見られないとか。
説明がざっくりしすぎ問題ですね。
陽平は、坂場は美術にもうるさいと賛同します。
「どれだけ手間がかかるか、わかんないんですよ」
しかし、なつがそう愚痴ると、陽平は反論します。
彼は相当勉強をしているのだと。
坂場は天陽の絵を褒めていたそうです。
天陽が受賞したときの小さな記事から彼の絵を知り、陽平に「弟ですか?」と聞いてきたそうです。その絵に感動もしていたとか。
まだ坂場の演出力とは何か――陽平もはっきりとはわかっていません。
それでも、絵描きの持つ魅力を見抜こうとする貪欲さがあるのかもしれない。そうしみじみと語るのです。
「頑張っていい作品にしよう!」
陽平にそうまとめられ、なつもなんだか納得したようです。
人の趣味には合わせない
そのころ、風車ではグレン・ミラーのレコードを亜矢美がかけていました。
夕見子も「いいですね」とニッコリ。
「いいの? モダンジャズが好きな彼を取られちゃうかもよ」
亜矢美はいいます。グレン・ミラーはちょっと古いと。
夕見子はここで、こう切り返します。
「はっ、人の趣味には合わせませんぞ!」
ん? これはどういうことかな?
亜矢美も何かを察知したのか、さりげなく聞いてきます。
「して、同志・高山殿は今何をしておられるのかな?」
夕見子も、警戒心が低下気味なのか。
それとも親密度があがっているのか。
素直に語るわけですな。
『スイングジャーナル』という雑誌に持ち込んでいるものの、うまくいかないそうで。最近は喧嘩ばかりだそうです。
お金持ちのお坊ちゃんで、苦労しらず。
自立には時間がかかるはずだと夕見子は言います。
牧場の娘、しかもあの泰樹を見てきた夕見子からすれば、そうなるでしょうね。
「それでもお互い好いておる! お互い強くならねばなるまい!」
そう言い切るのですが……。
ここで電話が鳴ります。咲太郎の仕事かな?と亜矢美が出ます。
「音問別4141からです」
「間違えましたぁーッ! すみません!」
交換手の時点で、切ってしまう亜矢美。
「えっ、間違い? こっちから?」
夕見子が戸惑う中、なんとか誤魔化す。
電話機の向こうでは、富士子が困惑しているのでした。
亜矢美と富士子が電話で話す
夜になって、なつが風車から富士子へ電話をかけ直します。
こうして、朝ドラアベンジャーズ同士の電話を通した会話が実現します。
画面が分割されて、左右に出るわけですよ。
※続きは次ページへ
夕美子と雪次郎は、お似合いですよね。雪次郎が夕美子と同じ地平線に上がってきた観があります。
一方で咲太郎も少し面白い感じなんですよね。長男気質で女性に優しい咲太郎ですが、夕美子に対しては距離が測りづらいように思えます。夕美子も、一見咲太郎とは相性悪そう。そこが逆に面白いなあと。
それにしても、夕見子は面白いですね。素直で一途でかわいいです。