なつと優は、しゃれた内装を始めた雪月へ。
あのカフェのような内装も、きっとヨーロッパ視察をしてきたあいつのセンスでしょう。
セットひとつで、軍師・夕見子センスを醸し出す!
そんな本作は、今朝も猛烈に駆け抜けていきます。
雪次郎は、熱心に語り始めました。
隠し味は焼き塩だと、優にまで語り始める雪次郎。
短い場面で、商売繁盛を示す、素晴らしい出来栄えです。
楽しい小畑家、素敵な雪月
夕見子は三角巾をかぶっているものの、
「いいから食べな」
と、仕切っている。
優に隠し味を説明してどうするのかと夫にツッコミ。
笑顔でニコニコしている、お人形めいた嫁じゃありません。あくまで軍師だから。
その傍で、父親に似ていると思われる息子・雪見はニコニコ。
彼は優相手に、幼い頃、夕見子にはしゃいでいた父そっくりの笑顔を見せております。どうしたってあの頃を思い出してしまいますね。
そんなことを思い出したのか、夕見子は重々しくこう宣言します。
「雪見の人生は、雪見のもの……」
製菓センスがあるとする雪次郎を牽制しているんですね。後継を産むわけじゃないと言い切っていたもんな。
なつぞら124話 感想あらすじ視聴率(8/22)素晴らしき凸凹した世界ドヤァ……。
いつもの夕見子ですが、素晴らしいと思います。
親の跡を継ぐことが当たり前になっている世界ってありますもんね。
そういうプレッシャーもどうかと思いますが、七光りを過剰にありがたがる風潮にも疑念を感じます。
本人の適性や資質は、血ではない、何かの中にあるもんでしょうよ。
名門プリンスだからとか。
親の七光りどころじゃない十四光とか。
そういうのはもうエエ……。
もちろん、雪見本人が父のように、店を継ぐ意志があるのなら文句はありません。
なつはそんな雪見を見て、大変そうだと感想を漏らすのでした。
ここで、妙子が顔を出します。
「なっちゃん、よかったね、笑ってて」
「あいや義母上、それではなつが無理して笑っていると決めつけるようなものではござらんか!」
夕見子がまた軍師口調で言いおった。
妙子も知略が高い。夕見子もそう。小畑家は、嫁姑が上下関係ではない関係があるから見ていてホッとします。
「無理してないよ、夕見。天陽くんは、ちゃんといたから。びっくりするくらい、今でも変わらずいるような気がする」
「天陽がいなくなった気がしない……」
なつは、雪次郎ともども、そう彼の存在を感じているのです。
雪月には、天陽の絵が飾られていました。
司馬懿「どういうボケジョークだよ」
「あーれー、なっちゃん!」
ここで、奴が登場します。
総大将・とよババアだーーーッ!
腰が曲がっている。もう80を過ぎていますから。
「相変わらずめんこいねー、なっちゃん!」
そう言いながら、優の頭をわしゃわしゃ撫でるものだから、背後で皆が凍りついています。
「なっちゃんはこっち!」
そう言われると、とよは腰まで伸びて、冗談だと明かします。
「心臓が止まるかと思った……」
と、と、とよババアぁーーーーーーッ!
やっていいことと悪いことの区別をつけろーーーーッ!
司馬懿か?
建国クーデター前にボケ演技をしていた司馬懿なのかッ!
とよババアジョークはさておき……。
高畑淳子さんの演技がすごすぎますね。
ボケ演技から一転して、腰までしゃんとするわ、目つきまで変わるわ。
これこそが、ほんものの大女優ですね!!
眼福だ……。本当に司馬懿だわ。徳川家康と司馬懿レベルだわ。
優しいあの子へ
ここで雪之助が出てきました。
優を見て目を細めると、こう告げます。
「なっちゃんに見てほしいものがある」
雪次郎が、まだ早いと気遣います。
「それ見たら、なっちゃんが泣くべや」
しかし、雪之助は差し出します。
天陽に描いて貰った絵で作った包装紙でした。
幼いなつが十勝の景色を見下ろすような風景です。
夜遅くに、天陽はこの絵を持ってきました。
「素晴らしいな。ひょっとしてなっちゃん?」
そう問われ、天陽は認めます。
なっちゃんみたいな子。
十勝、北海道にたくさんいる子。
開拓精神を持っている子。
そういう子たち。
そういう子たちとの出逢いを、雪月にこめたい。
「なっちゃんも、それを聞いたら喜ぶだろうに」
天陽は雪之助に頼み込みます。
なっちゃんがくじけそうになっていたら、この包装紙でつつんで、雪月のお菓子を東京に送ってあげて欲しい。
雪月のお菓子が、人を喜ばせるように。
なっちゃんも、たくさんの人を喜ばせなければならない。
「天陽くんは、子供の頃の思いを、ずーっと大切にしてきたんだね」
「それはなっちゃんも同じだべ」
届けたい夢の詰まったお菓子が、なつの前にあります。
ここでとよが、しみじみと語ります。
「なっちゃん、残された者は辛いけどさ。そのぶん強くもなれるべさ。ならねばね。逝ってしまったものに恥ずかしいべさ。亡くなったものに恥ずかしくないように、ならねばね」
「はい!」
「東京のなっちゃん……」
なつは、涙を浮かべて菓子を見るのでした。
彼は作品になった
その日、柴田牧場にて。
ミルカーでの搾乳を終えて、富士子と砂良が食事を作っています。
富士子は、なつと優を送ってきた夕見子に軽く驚いています。うん、まぁ、うん、夕見子は事前連絡しない軍師だから。
なつぞら84話 感想あらすじ視聴率(7/6)男子厨房に入るべき家には、泰樹、弥市郎、剛男がいます。
酒がもう入っております。ここでも正座をしている剛男の、婿らしさよ。
弥市郎は、天陽の生き方を振り返っています。
長いも短いもない、ただそこにあるだけだ。
天陽は、ただそこにあるだけ。
天陽は自分の作品になったのだ。
そこが羨ましい。
本作では、明言していないものの、阿川父娘はアイヌルーツだと私は指摘してきました。
この考え方も、アイヌのカムイに似ているかもしれない。
あ、当事者でも専門家ではありませんので、間違っていたらごめんなさい。
カムイが地上の生き物の皮をまとい地上に降りてきた。そしてまた戻る。そういう信仰心です。
彼の言動は、和人とは異なる何かを感じさせます。
※続きは次ページへ
泰樹さんの饅頭の食べ方を見ていて総入れ歯のご老人の食べ方を思い出しました。
饅頭の皮が入れ歯の口蓋に引っ付いてしまいそれを舌で取りながら咀嚼する。
そんな感じを演じているのかと。
細かい演技に驚嘆しています。
「なつぞら」が好きだった母が8月の初めに亡くなりました。
亡くなる直前、意識レベルが下がって眠っていることが多くなっても、「なつぞら」が始まるとパッと目を開いてジーッと見ていたりするほど「なつぞら」が好きな母でした。
私は未だに母が亡くなったことを実感出来ず、ふと「もういないのだな」と心を過ぎる度に悲しく、今まで無意識にずっと頼りにしてきた母がいなくなってしまった心細さを感じたりしています。
そんな私に今日のとよさんの言葉、ずーんと響きました。
「残された者はつらいけどさ、その分、強くもなれるべさ。
ならないば、先に逝った者に恥ずかしいからね。
大切な思い出に、恥ずかしくないように生きないば。」
昨日の天陽くんのなつへの「頑張れ」も母からの私への言葉のように感じていたのですが、今日のとよさんの言葉、母がドラマを通して語りかけてきたように思いました。
私も強くなろう、母との思い出に恥じないよう私であれるよう、これから生きていこうと思わされました。