あなたが悲しいことだけはわかるわ
なつは、原画を描いています。
そこにはソラとレイがいます。
「きみには僕の気持ちはわからないよ!」
「あなたが悲しいことだけはわかるわ」
そう思い出すなつには、泰樹の姿が浮かんできます。
じいちゃん、誰もが支え合って、開拓者は強くなったんだよね――。
なつは、泰樹に育てられただけじゃない。
泰樹と歩み、その気持ちを理解しようとしたからこそ、開拓につながりました。
これは、誤解されがちなことだとはあるんですが……。
泰樹はかっこいいし、本作随一の魅力があるし、草刈正雄さんはもはやレジェンドだとは思う。
が、隣にいて、理解しあえるのでしょうか?
これは『真田丸』真田昌幸も言えることですが。
・無口であまりしゃべらない
・剛男への当たりが厳しい
・そもそも剛男は「あいつならどうせ選ばれない、数合わせだ」と非情の決断でお見合い候補にしていた
・なつにだって、働かせるとスパルタからのスタート
・すねると一人で引きこもり「お茶が欲しい……」
・謎めいた表情で牛を撫で、何かを考えている
・農協へ猜疑心を募らせて、君子豹変まで厄介なことこの上なかった
・なつと照男の気持ちを未確認のまま、謀略を駆使して結婚させようと企む
・出会い頭の高山、名乗りを抜きに【抹殺パンチ】
・楽しそうに弥市郎と熊撃ちジョークをかます。いちいち冗談が不謹慎だぞ!
・雪次郎が一生懸命夕見子との結婚を申し込んでいるのに、菓子を食べ、謎の承諾を見せる
・総大将とよババアも太鼓判を押す、そのめんどくささ
泰樹は変人。癖が強い。濃い。めんどくさい。シャレになっていない。
セリフも少なくて、いきなりとんでもないことを言い出すし。あいつはなまらやばいべさ。
高山あたりからすれば、意味不明の存在なんですよ……。まぁ、室賀正武なら「隣にいて欲しくないわ!」と全力否定する系ですね。
でもきっと、本人なりに理解されなくて寂しくて。
「お前たちに、わしの気持ちなぞ、わかるまい……」
と、突っ張ったまま生きてきた部分はあるのでしょう。
そういうめんどくさい相手への理解を深める。
そういうあたたかみが、本作にはあります。
草刈正雄さんが、個性的な服を着て、何かぼーっと悩んでいるようで考えていて、強く何かを言い出す。
立ち上がって戸をガタガタ揺する。
そういう個性を引き出したうえでの、この役だと思うんですよね。
理解しなきゃ、いや、理解できなくても受け入れなくちゃ!
この真田昌幸を、柴田泰樹を!
できなければ距離を置くのも一手です。
開拓は、できる人だけすればいいしょ。
魂のこもった歌声、そしてアニメ
そしてこの人も参加!
煙カスミです。
なんと、彼女は主題歌です。
咲太郎に感謝するカスミですが、決めたのはマコとイッキュウさん。
亜矢美の店で彼女の歌声を聞いて以来、決めていたそうです。
あのときの歌声が、つながるとは!
なつにとっても、楽しみなのです。
「魂をこめて、歌うわね!」
まぶしい大地、光る空――その歌声が流れる中。
なつが見るソラの絵は、綿毛を吹いています。優がそうしていましたっけ。
その綿毛が絵から空中へと舞い、キラキラと輝き始める。
いいですね。本作はこういう歌もいい。サントラ欲しくなるもんね。
かくして昭和49年(1974年)10月――『大草原の少女ソラ』放送開始です。
東京では坂場家も。
風車プロダクションも。
十勝では雪月の小畑家も。
山田家も、天陽の遺影までも。
柴田家も。
皆が見守る中、初回放映開始です。
今から50年前――開拓者の家族が、洪水のあと新たな世界を目指していました。
主人公ソラは9歳。なつが柴田家についたのと同じ年齢です。
孫の地平がしみじみと言います。
「ひいじいちゃんそっくり」
そのそっくりなひいじいちゃんこと泰樹も、見守っているのです。
ここで砂良が指摘します。
「このお母さんは、お義母さんに似ている……」
「それはなつが描いたから。あれっ、僕は?」
剛男よ、そこに気づいてしまったか……。
まぁ、馬の表情あたりに反映されているかもしれないゾ。
剛男の扱いが酷いと言えばそうですが、彼は男女逆転システムの体現者なんですよね。
これはお母さんがスルーされても、放置される図式です。
残念ながら、今日はここまで。
なつたち渾身のテレビアニメよ、明日に続けよ――。
今日も関ヶ原
はい、恒例の関ヶ原だ。
史実でも秋だったな。
それもあってか、9月になってから連日関ヶ原です。決戦は一日でも、そこまでとそれからが長かったことですしのぅ。
ここで、石田三成の弁護をしたい。
あの敗北は彼の采配のまずさというよりも、豊臣政権における迷走が大きいのです。
いいから朝ドラレビューにいけと?
それはその通りでござった!
・福利厚生を考えてこそ!
さんざん指摘しましたが、マコプロの福利厚生は素晴らしい。
この時代にこんな会社あるか? 云々の話がありますけど。
当時、無かったからこそ、停滞があるのではありませんか?
「この時代にこんな会社あるのか?」というツッコミ、考え方そのものが、毒されてきた証拠です。
働きやすい方がいいじゃないですか。
そこまで描いてこそ、理想でしょ。
問題点を放置したまま持ち上げても、そこに斬新性はありません。
ただし成果物、その結果を求められる厳しい世界でもある。
・ブレーンストリーミング、具体性のある課題と褒め言葉
牛の迫力が課題であるとか、下山さんだからできるとか。
具体性。対策。謙遜。平等。そして知恵。全部詰まった理想的なやりとりです。
ともかく上の顔色を見て理解しろ! そういう****教団とは違います。
・理解こそ開拓だ
開拓って散々言うけど、なんなのさ?
その答えは、理解ではなかろうか――と思えます。
ソラにはレイの気持ちははっきりとはわからない。だけど、悲しいことだけはわかる。
それでいい。そこから始める。相互理解の良さがありますよね。
これがどうして関ヶ原なのか?
****教団ってさ。
教祖の考えを理解し、同意し、すごぉお〜い! と大仰に褒めることが教団員の使命だったじゃないですか。忖度ってやつですね。
見ていて息がつまるかと思った。
あれは、空気を読むことが苦手なタイプにとっては、ほぼ拷問です……。
空気を読めて、なおかつ冷静な人は、『バカバカしい世界だな』と感じられたのではないでしょうか。
経営陣に忖度しまくる様をコミカルに描いた【オー人事のテレビCM】みたいな世界。
・自社の利益ではない、大事なのは作品のクオリティ
それが風車プロダクション。そう示されましたよね。
だからこそ、信頼があるって。
実際、「一企業で独占したれ!」という根性ではなく、業種全体で伸びる方向に注力したほうが、結果的に自社の利益にも繋がるというのはあるんですよね。
対比としてわかりやすいのでまたまた出しますが、例えば****教団。
テーマからして特定企業への利益誘導に繋がりかねない状況でした。
区切りを入れるだけで商品名連呼。
競合他社を貶め続け、業界内無双のために政治献金をする。それが美談として描かれていた。
独占的で、利己的で。
しまいには放映終了後に出演者がモデル企業の広告に出るって、なんなんですか、あの茶番は。それが公共放送のお務め?
まぁ、その****の小道具が本日チラッと出ていたそうでして。ニュース記事で知りました。
コシがあるわけでもない。誰が食べてもうまいわけでもない。インスタント食品であるという、本来の特性を知らないわけではないと。
NHK東京が、安藤サクラさんの美声アピールともども修正してきたあたりに、丁寧なフォローを感じます。
文:武者震之助
絵:小久ヒロ
マコさんのナポリタンのシーンで、
紅の豚の飛行挺工場のシーン、
YouTubeで見た、宮崎監督自ら大鍋にラーメンを作って、作画スタッフにふるまうシーンを思い出しました。
マグカップでラーメンをすする若い人もいたかな。
素敵な、仲間で食べる御飯。
マコさんの表情豊かな演技にも見とれます。
できれば幸せな千遥を見たいです!
神っちの、子どもは居ないけど云々のくだりは、直虎最終回のセリフ、子どもがいないから等しく我が子に見える…も思い出しました!
ちなみに、ソラのアニメのナレは、なんだか素人ぽくって残念、と感じていたら安藤さんだったと後から知りました…二重にザンネン。やはりサスガ!と言いたかったです