なつたちのテレビアニメが、ついに始まりました。
オープニングと連動する中、ソラがふーっと綿毛を吹いています。
ドラマとアニメの世界が、ついに繋がった。
クレジットの「マコプロダクション」の文字が、なんとも眩しい。
感無量です!
あたらしい家族
『大草原の少女ソラ』第一回「あたらしい家族」――。
洪水で家が流されたソラの家族は、馬車で上流をめざしています。
お父さんは、土がぬかるんでいることから、このあたりも被害を受けたと推理している。
お母さんは、ここの人々の無事を願っています。
そのときソラが、川で流されている少年の姿を見つけるのです。
「助けて!」
立ち止まり、ソラを引き上げる一家。
焚き火に当たらせ、あたたかい食べ物を与え、着替えさせようとします。
しかし、あたたかさにふれて飛び出してしまう少年レイ。
そのレイを追いかけるソラ。
「レイ、いっしょにいきましょう」
父さんも母さんも死んだ。孤児の自分なんていらないんだ。
そう心を閉ざしかけるレイ。
「あなたが生きていて、ほんとうによかった」
「きみには僕の気持ちはわからないよ!」
「あなたが悲しいことだけはわかるわ。それだけじゃ、いけないの?」
そんなレイとソラのやりとりを、柴田家の泰樹はじっと見つめています。
このあと、場面は神っち渾身の、牛に追われるソラとレイへ!
犬におびえて暴れる牛が、二人の少年少女に襲いかかります。
犬を何とかするレイ。
牛の前に立つソラ。
「お〜、お〜お〜!」
ソラが牛を止める姿に、レイは釘付けです。
ここも整合性がしっかりしている。
どうして牛が暴れたのか? 犬のせい。そうはっきりとわかるのです。
いきなり理由もなく暴れるわけではありません。
そしてこれこそ、なつがイッキュウさんに見せた場面。
そして、下山の力作である牛に舐められるレイの場面。この場面に泰樹は受けており、ニコニコと笑い出しています。
エンドクレジットでは、声優やスタッフたちの名前。
そしてもちろん、これも入ります。
奥原なつ――。
坂場一久――。
マコプロダクション――。
それが彼らの、証です。
◆京アニ、映画で全スタッフ名を掲載へ 経験1年未満はクレジットしない慣例も「制作に参加した全員の生きた証」 犠牲者の特掲はせず
作品は、東洋動画の仲にまで届きました。
彼は、いてもたってもいられないのか、馬を描き始めるのでした。
レイも家族になれるといいね
なつとイッキュウさんは、優に語りかけます。
「優、どうだった?」
「おもしろかった! レイも家族になれるといいね」
「そうだね」
「そうか優、おもしろかったのか!」
牛とのかけっこがおもしろい。優の目が輝いています。
と、そこで、家の電話が鳴ります。
なつが出ると、富士子からでした。
みんなで見て、楽しんだそうです。
「どうだった?」
「おもしろかったわー」
泰樹も楽しんでいて、牛のベロンに受けていたことを伝えます。
なつぞら143話 感想あらすじ視聴率(9/13)マコプロの福利厚生なつはホッとします。
あの場面は、レイが牛飼いになるきっかけだそうです。
これが到達点だとは思う。
『神をつかんだ少年クリフ』では、到達できなかったのです。
なつぞら107話 感想あらすじ視聴率(8/2)才能や肩書を愛したわけじゃない大人が見ても楽しい。
子供が見ても楽しい。
泰樹から、優まで。
幅広い年齢層が楽しめてこそ、アニメの【王道】ではありませんか。
アニメを通して、苦境に想いを馳せ、応援する声になる。そんな世界がそこにはあります。
「なにゆえ地味な作品を?」「うるさいわ」
しかし、この後。
マコが出社する場面での顔は暗い。
おかもちを抱えた中華料理店のお兄さんがギョッとするくらい、沈んでいる。
これも脇役の使い方だ。
反応ひとつでマコの様子が変だ、と見る側に伝える。そういうことなんです。
では、その理由とは?
視聴率がそこまでよろしくない。
とはいえ、第一回だからスポンサー側も内容には納得しているそうです。
話が地味すぎる。
そうも言われているそうです。
これもツッコミどころ満載ではあるんだよなぁ。
ドヤ顔の神っちが「始まる前からわかっていただろ!」と突っ込む。
その通りなんです。
ストーリーの骨子くらい、承知しとったんじゃろうがあああ!
マコは苦笑しつつ、続けます。
「テレビ局ではあれで当たるなら苦労しないって、言う人もいる」
モモッチは絶句しております。
「ひどい……」
陽平にはめげない精神があります。
「それでも、続けるしかない!」
この場面は、すごかった。
作り手の魂が憑依しているみたいだった!
悪いのは誰ですか。テレビ局の嫌味な奴?
それはどうかな。
それは見る側も同じはずなのに、地味だの複雑だの、何がしたいかわからないだの……。
「伸び悩んでおりますな。洪水で家を流されただけの一家と孤児の出会いとは? 地味ではありませんか?」
「……」
「人気漫画の原作、人気美人声優の主演であればまだしも。このような地味な題材に、なにゆえミルコスは?」
「苦しくなってきましたなぁ……」
「開拓なんて北海道しか興味ない地味テーマなのに、何故アニメに?」
「うるさいわ!」
まぁ、はっきり言いますと、大災害で家を失った人だの孤児の境遇だのを、【んなもん暗いわ! 明るいものだけが見たい!】とぶん投げて、それがエンタメの使命なのかってってことしょ。
批判側も、そこまで考えているのかな?
家を失った人、孤児の前でならば、
「あんたらの話、地味だし、暗いから、聞きたくない。体験した? 辛い? 壁にでも喋っていれば?」
「もっとパーッと盛り上がる、いけいけドンドンの話にしろよ」
「露出度の低いガキどもの話なんて萌えない。エロがない」
「私が見たい話、要素だけを流してくれる? 難しいことは嫌。何も考えずに見られてこそ、アニメでしょ」
と言いはしない。
そこは空気を読む。
自分こそが、多数派である。
これはエンタメで、自分の周囲に当事者なんかいない。
そう思い込んでいたら、平然とそういうことを言い放ち、傷つけるのです。傷つけたことすら気付かずに、楽しく笑って生きていく。
その辺の叩き報道をコントロールするどころか、狙いに狙って反撃を打ち込む本作。
だから言ったじゃないですか。本作に、喧嘩を売ってはいかん。
存在そのものが「孔明の罠」……(司馬懿顔で)。
そしてここが怖いところなんですけれども。
罠に迷い込んだ側は気づかないんですね。
ふざけてナメくさったドラマを叩く自分は、最高にイケてると信じている。
笑顔のまま、延々とぐるぐると、彷徨い続けるんだ。
満を辞して彼女が復帰
一ヶ月後、打ち切りすらかかる中。思いもよらないことが起こりました。
マコプロ宛にファンレターが届き始めるのです。
子供からと思ったら、大人からもかなりの数が!
親たちの声は、子供と見ていて面白い、こういうものを見せたかった、ということです。
神っちがまたドヤ顔でこう言いおる。
「新しいものを作るには、時間がかかるんだよッ!」
そうそう。でしょうね。
だから私も言ってきた。
彼らの仕事は、本作だけじゃないって。『半分、青い。』はまだ序章だったって。
本作も、彼らの挑戦も、まだまだ途中だ。
ここでマコは、疲れと安堵を見せつつ、こう言います。
もう、イッキュウさんの元でプロデューサーと原画チェックを続けられぬ――。
そんな、総大将ッ、武田信玄の最期みたいなことを言わないで!
「そこで、軍師をスカウトしてきたのじゃ!」
待ってましたぁ!
ここで、下山がニヤリとしています。
「まっ、まさか、茜殿ーーーーッ!」
「茜殿復帰とな? これは夢じゃ、夢でござる!」
「夢ではござらん」
「おおおおおお、茜殿ならば、枕を高くして寝られる……」
茜さんが復帰だーッ!
母を説き伏せて、子供の世話をしてもらって、復帰しました。
「人手がなくて困っておると知り、座しておられんかったわ。作品そのものも、おもしろいですしのぅ」
この茜復帰で、本作はモデルすら凌駕したとはっきりしましたね。
茜のモデルは、アニメに復帰することはなかったのです。
マミートラックごとぶち壊す、そんな爽快な本作には賞賛しかない!
◆マミートラックに乗らず”時短で管理職”に挑む女性社員「今できる最大限をやりたい」
茜復帰で喜ばしいだけじゃない。
今まで何人の茜を、この社会全体でダメにしてきたか? ってことでもある。
モデルにすらそこを突きつける、あまりに煽りが激しい本作です。
だがそれがいい。
差別反対だと主張する側ですら。
敏感な側ですら、ここは本当に、弱い。
最後まで残る差別は、性差別とされているほど。
本作を叩いたら、ここでカウンターが入ると。
おのれ100作目朝ドラ!
恐ろしいことをやりおるわ。
千遥が肩に掛けていたバッグの縁がところどころ擦り切れていて、お金に苦労しているんだなぁ~と、伺えました。
武者さん、大絶賛ですね。
私もです!ただすごく良いドラマだからこそすごく残念だなと優ちゃんが産まれてからずっと思っているのが、イッキュウさんのご両親が出て来ない事です。
せめて優ちゃんという孫が産まれた時やソラが放送開始された時とかちらっとで良いから出ると良かったのにと残念です。
後もう一点他の方も指摘していたかもしれませんがずっと前の回で抹殺パンチの時の夕見子がなつに言った言葉、「うちの家族に話したっしょ⁈」とうちの家族って言ってしまった夕見子が後で、「なつの家族でもあるのに、ごめん」って謝る所があったらよかったなぁと、このドラマのファンなので、とてもこの2点が残念です。
>小原正靖様
ご指摘ありがとうございます!
修正いたしました。
今後もご愛顧よろしくおねがいしますm(_ _)m
仲さん 東映動画ではなく東洋動画では。