なつぞら148話 感想あらすじ視聴率(9/19)堂々と生きたい

マコは、千夏に寒いからマコプロに入るように促します。
千遥はコートを着ていますし、季節は秋なのです。

「マコさん、ちょっとすみません」

なつはマコに頼み、姉妹二人になるのでした。

なつの届けた誇り、受け取る千遥の決意

なつは千遥を迎えます。

「また来てくれたのね」

「先日は、ありがとうございました」

「こちらこそ、おいしかった」

千遥の料理を味わうことで、なつは安心していました。

どんな誇りを持って作っているのか。
そのことが伝わってきたのだと。

なつぞら146話 感想あらすじ視聴率(9/17)重い扉の向こうにある世界

「私も奥原なつの作品をずっと見てきて、強く生きているとわかりました。ソラを見ていても、わかる」

「千遥に届いたなら、ほんとうにうれしい」

「だから私も、食べて欲しかった。私がちゃんと生きてきたと、わかって欲しかった」

「それはちゃんとわかったよ」

「お姉ちゃん!」

いいなぁ、この姉妹!
夫のスペックではなくて、まず自分たちが誇りを持って働くことに、主眼を置いている。

女性だって、仕事で自分を証明できるはずだ。
そう思い、戦っている人がいること。本作の中にも、戦う女性はいるのでしょう。

このクレジット名に誇りを刻む女性の物語。
OPにある名前のことも、真剣に見てしまいます。彼ら自身の誇りがそこにはあるのでしょう。

でも、千遥の運命は辛い。

「私、あの店を辞めようと思う」

理想の男はクリストフとイッキュウさん、そんな時代に

ここで、イッキュウさんが出てきて一礼します。
なつは千遥に断ると、イッキュウさんにこう告げます。

「千遥と話す時間が欲しい。少しの間、千夏ちゃんをお願い」

「うん、わかった」

イッキュウさんは素直にうなずきます。

どうしてこんな短くて、どうでもよさそうな場面を入れるのか?
NHk東京は、ここまで到達したか……。

姉妹が話すことのできる時間は、どうして確保できるのか?
それはイッキュウさんのおかげです。

「男は解決脳!」と、割り込んでくるとか。

「子育ては女のすることだろ!」と、千夏の面倒を嫌がるとか。

イッキュウさんがそんな態度であろうものなら、姉妹の対話は成立しません。

これは『アナと雪の女王』におけるクリストフと同じですね。

◆「アナと雪の女王」のクリストフはなぜ業者扱いなのか? 夏野剛×黒瀬陽平×東浩紀の3氏が男性視点で新解釈

『アナと雪の女王』の評価は、男女で割れたと指摘されています。

いろいろと理論武装していますが、まぁ、まとめると簡単なんですよね。

「男を前面に出せやーーーッ!」

「女だけで完結するなーーーッ!」

王子様=男が仕切って解決して、キスでお姫様を蘇らせる。
そういう下駄履かせサービスからディズニーが撤退したことに、心理的な打撃を受けている。

だからこそ、あんなもんは嘘だ、駄作だ、もてはやす女はバカなんだと怒る。

でも……彼らのそういう意識は深層心理だから、本人自身もなかなか気づかないんですよ。

だから、こういう意見にはこれでいいんです。

「すこーしも寒くないわ♪」

※“男にとっての完璧な女の子”とはさようなら♪

姉妹が見せる、究極の愛と誇り

「散らかってるけど、座って。最近ここもほとんど仕事場」

なつは自宅へ、千遥を招き入れます。
そして姉妹は語り合うのです。

「優には我慢させてる。生まれた時から、仕事ばかりして」

「私も同じ」

「仕方ないよね」

ここの広瀬すずさんの笑顔よ。

ただのかわいいスマイルじゃなくて、いろんな要素を感じさせる。

・強さ:世間はいろいろ言うけれど、これが私の生きる道だ

・誇り:優に仕事を見せられる誇りはある

・愛:でも、私の家族、そして仕事への愛は強いから、私は負けないんだ!

「仕方ないよね」とは言うものの、強くて迷いはない。
まっすぐな笑顔なのです。

確かに、古い世間――アップデートできていない人たちは色々と言うでしょうよ。

なつは優に自分の理想のアニメを見せて、誇りや楽しみを彼女に与えているのです。
大成功ではありませんか。

母性神話を破壊する、そういう笑顔だと思います。

なつぞら126話 感想あらすじ視聴率(8/24)保育園落ちた、日本……

なつは座り、促すのです。

「千遥のこと、何でも話して」

千遥は、語り始めます。

18歳で「杉乃屋」二男に嫁いだ。

 

そこは神楽坂、政治家も使うような料亭であった。

 

以前は、芸者の卵(半玉)として、お座敷に上がっていた。

なつに相手を好きだったのかと問われて、千遥は照れ笑いするようにこう言います。

「明るくて、優しい人……」

はっきりと彼女は言わないけれど。
そこに愛はなかったんでしょうね。そんな表層的な印象では、愛はわからないものです。

お金持ちで、見るからに極悪非道でもない。ルックスもイケメンだ。
その程度で、嫁ぐ女性はいる。アナがハンス王子に惚れるようなものです。

「でも、今は一緒にいないんです……別の女の人との、暮らしがあるみたいで。あの店があるから、我慢してた……」

今は亡き義父・春雄。
料理人の親方だった彼は、嫁である千遥に料理人としての才能を見抜きました。

そして、鍛えたのです。

彼こそが、千遥の親方でした。

調理師免許を取らせて、店も任された。嫁いだ千遥を一番受け入れた。
そんな義父でした。

泰樹や仲と同じです。エロ目線はそこにはない。
自分の何かを伝えるために、真剣に向き合った。たまたま相手が年下の女性だっただけ。そんなカッコいい男性の姿が、そこにはあります。

千遥の調理では、出汁をとる場面が多かったもの。最低でも三箇所はあったと思います。
その理由もわかります。

「店の味は、出汁で決まる」

春雄がそう語っていたから。
これだけの出番で、彼がどれほどの料理人なのか、わかるというものです。

強奪した材料を使う。
食材を熱湯へ乱暴にぶん投げる。
ガサツにぐるぐる回す。
それでドヤ顔しながら、味へのこだわりと語る酷いドラマがありましたっけ。

いくら番宣材料で、主演女優がわざとらしい笑顔を浮かべて、食事をしている写真を使おうと。
ああいう演出と脚本では、悲しいかな、説得力はゼロです。

あのドラマを褒めるということは、いかに食へ無理解であるかアピールするようで、私は御免でした……。

あの店は大事だけど

千遥は語ります。

「だから、あの店はとても大事。別れたら、続けられなくなる。結婚を続けるべきか、迷ってた」

そう、彼女の愛は仕事と誇りと義父へのもの。
夫はまったく言及されていなくて、清々しいほどです。

「でも、別れる決意がついた。千夏と二人で、どうなるかわからないけど」

その決意は、なつや咲太郎との再会のせいかもしれません。

千夏を連れてマコプロに来た時。
誇りと共に仕事をする姉を探してたどり着いた時。

決意が芽生えていたのかもしれない。

そして姉妹で仕事の決意を交換しあったとき、それは花開いたのでしょう。

これが究極の愛。
まさしく、エルサとアナのような姉妹愛があります。

アップデートできない男性にとって、それがいかにムカつくか。理解はできます。

ハンス王子を放り出して、クリストフは協力者で、姉妹が抱き合って【究極の愛】。

「俺の出番はー!」

いや、だからクリストフでエエやん。
ハンス王子になったら放逐一択やで。

千遥の夫は、さしずめハンス王子だな。

だってなつは止めるどころか、こうだもの。

「千遥が別れたいならそうしていい。千遥は何も悪くない」

この前の雅子と比較しましょう。
彼女は待機して、夫を受け止めればいいと受け流す術を伝授していましたね。

「そのうち目がさめるわよ」

「私の所に、戻らないと思います」

「そんなこと言ったって、この店は、清二のものですからねぇ」

なつぞら147話 感想あらすじ視聴率(9/18)101作目も勇敢に続いていけよ

千遥の決断が大事で、悪くないと同時に言い切る。
なつとのこの差!

本作が大嫌いで、怖い人の気持ちはわかるんだな。

先日も指摘したんですけど、本作を苦々しい思いでご覧になられている方は、律とより子の離婚でも激怒していませんでした?

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女がありのままに自由に振る舞うこと。
それは彼女らを閉じ込めておけないということ。

閉じ込めておきたい男。
閉じ込められている事実を、無視して生きていきたい女。

本作は手加減なし。男とは、手柄すら女のものを簒奪していることもある。そういうところまで、告発してきた。

彼らにとっては、いちいち人生と価値観を逆なでされるようで、激怒することはもう宿命です!

でも、本作は止まりません。

覚悟はいいか?
私はできてる。

また家族になってくれる?

しかし千遥には、迷いはあるのです。

「だけどお姉ちゃん、私は自分の過去を隠して結婚した。浮浪児であること。きょうだいがいること。置屋のお義母さんにも迷惑かかるし、親権もどうなるか……」

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千遥は悩んでいる。
もう限界だった。

「千夏にまで嘘をついて生きるのはもう嫌……私は堂々と生きられるようになりたい。そのために、本当のことを話して、あの人と別れようと思います」

「わかった」

なつは、妹の決意を受け止めます。

「お姉ちゃん、また家族になってくれる?」

「そんなの当たり前じゃない!」

「お姉ちゃん……」

「千遥はもう自由になっていい。堂々と生きていい。また一緒に、生きよう」

お姉ちゃん。千遥。ありがとう。別れていた姉妹は、またひとつに戻ったのです。

嘘をついて生きること。その苦しさ。
それはやっぱり、よくないこと。

誰にも悪意はなかったとは思います。

芸者にしてくれた千遥の義母・なほ子は、ずっと黙ってそのまま生きていけば波風が立たないと思っていた。

それは雅子もそう。
自分を押し殺して、じっとしていれば、女将として生きてはいける。

けれど、もう、そんなことはできない!

なつが自由に生きてきたからこそ、説得力があります。
※続きは次ページへ

1 Comment

まめしば

個人的には千遥の夫にのしかかっていたであろう「男らしさの呪縛」も感じました。
・男(長男)だから、イヤでも料理の才能がなくっても店を継がなくてはいけない。
・男(長男)だから両親の進める好きでもない女性と結婚しなくてはいけない。
・男だから妻を持ち子供をるのは当たり前
…等々。
どんな旦那なのか、気になります。

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