半分、青い。1話あらすじ感想(4/2)時代感がイイネ 特に六角精児さん

時は1970年、昭和45年。

大阪万博が開催され、プロ野球は長嶋のホームランで日本中が浮き立っていた頃。

岐阜県東美濃市を舞台に、ドラマが始まります。

 

壊れた傘をどう思うか

舞台は雨の降り注ぐ高校。
玄関で戸惑うヒロイン楡野鈴愛(にれのすずめ・永野芽郁さん)に、萩尾律(はぎおりつ・佐藤健さん)という少年が傘を差しだします。

壊れた傘をどう思うか。
面白いと思うか。
それは気の持ちよう、とヒロインは示唆します。

鈴愛は左耳が聞こえません。それでもそのことを、面白いと考えているのでした。

「あっ、晴れた」
歩き出すヒロイン。
ここでタイトルが入ります。

星野源さんの歌声が、あまり朝ドラらしくないかなぁというイメージ。
目玉焼きやトーストに絵を描くスタイルは面白いと思います。

ビジュアルイメージがすっきりしたブルーと差し色のイエローで統一されているのも、センスを感じさせます。

 

なんとヒロインは胎児状態で

はじまりは、楡野家。
父・楡野宇太郎(滝藤賢一さん)の顔にかぶさっているのは漫画雑誌です。1967年~1973年にかけて連載されていた『あしたのジョー』の表紙が見えます。

今週のサブタイトルは「生まれたい!」。
どういうことか? と思ったら、なんとヒロインは胎児状態で始まるのです。

ピンク色でピクピクと動くCG胎児は生々しいと言いますか。
朝ご飯タイムにはちょっと賛否両論になりそうかなぁ、と。

ヒロインは、父母が腹を蹴ると喜ぶとわかったため、やたらと腹を蹴りつけてしまいます。
これが悪かったようで、産気づいた母・楡野晴(にれのはる・松雪泰子さん)は産婦人科へGO!

祖父の楡野仙吉(中村雅俊さん)はオロオロする一方、祖母・廉子(れんこ・風吹ジュンさん)はどっしりとしています。
明日も店を開けるという台詞から、自営業だとわかります。

8時間経っても産道をおりてこないヒロイン。
なんと腹の中で寝ているのだそうで。
マイペースなんですね。胎児の頃から性格付けするとは、斬新っちゃ斬新であります。

ここで、妊娠に至るまでの経緯が振り返られます。

 

「ちょっと! 私生まれたいわ!」

時は少々さかのぼって1970年(昭和45年)。

常連さんに愛された「楡野食堂」の跡取り息子・宇太郎と晴夫妻。
晴が腎臓を患っているため、子供は諦めていたものの、うっかり妊娠してしまいます。

長嶋茂雄のホームランのあとに、妊娠告知というある意味ギリギリのネタをぶっ込んだように思えたのは、私の邪念ゆえですね。すみません。

晴は産婦人科のきみか先生(余貴美子さん)に対して、迷いを口にします。

食堂の仕事もあるし、生むかどうか迷っていると、鈴愛が「ちょっと! 私生まれたいわ!」と言い出すのでした。

宇太郎は晴ちゃんに任せるよ、と言います。
それはいい台詞のようで、責任丸投げだぞ。

ともかく夫妻は生むと決めたわけで、こうしてヒロインは生まれてくるという流れ。
ただし、臍の緒がぐるぐる巻きになっていて、大変な状況のようです。

 

今日のマトメ「時代感がイイ!特に六角さん」

のっけから『ゲーム・オブ・スローンズ』の話で始めてしまい恐縮ですが、あのドラマにはターガリエン家という一族が出てきます。

ターガリエン一族には、凡人はいません。
高潔で傑出した英雄か、飛び抜けて残酷な暗君か。

人々は、ターガリエンの血を引く者を見て、そのどちらかであるか、固唾をのみつつ見極めようとします……。

朝ドラや大河ドラマの初回というのは、こうした心理に近いものがあるように思えるのです。

もしも素晴らしいドラマならば、生活水準まで向上します。
爽やかなドラマを見て、午前中をウキウキした気分で過ごすことができます。

朝ドラは社会の潤滑油なのです。

「今朝の朝ドラ見た? おもしろかったねえ」
と、無難な会話のネタをふるのに、天気の次くらいに適していることは、皆さま体感されているでしょう。
苦手な人との会話だって、朝ドラならば無難にできるわけです。

ところが、最悪のドラマですと、午前中あまりに酷かったことを思い出し、ずっとイライラしてしまうことすらあります。
標準的な出来であれば全然気にならなかったのに、最悪のケースですと、街中に溢れる朝ドラ関連の宣伝物すら、心をむしばみます。

まぁ、それは言い過ぎですが、プラスにはならない。
なんせ朝ドラ関連コンテンツは、
・ラッピング列車
・NHK前に貼り付けられたポスター
・『ステラ』の表紙で微笑むヒロイン
・ウェブニュース
と、あらゆるところに顔を出すからです。

中にはツイッターの反省会タグをあさり、自分と同じ気持ちの人は居るはずだとレビューサイトの酷評を見つけているうちに、貴重な時間が奪われてしまいます。
有害な朝ドラは、日本人の生産性すら落としかねないのです。

どうか、せめて……大傑作とは言わずとも、午前中の生産性を落とさない程度の作品を!

それが『わろてんか』の苦行に耐えてきた私の偽らざる本心。
どうか本作が、とにかく、まずまずの基準をクリアしてくださいますようお願いします。

というわけで、初回。
まだ材料が少なすぎてなんとも言えません。
ただ、ちょっと不安な点もあります。

◆よいところ:時代感がいい

楡野夫妻の回想場面がいい味を出していまして。
一番好きなのが六角精児さん扮する成金不動産業者・西園寺満ですね。

70年代感あふれるギラつきは、東映ヤクザ映画から出てきたようでたまらない。
ちょっと金子信雄さんを思い出しましたよ。

※1970年代ヤクザ映画ってこういうのですね。流血注意

セットや衣装も時代感漂っています。
この辺のノスタルジー狙いは、『ひよっこ』のあとのバトン引き継ぎとしてはよいのではないでしょうか。
『ひよっこ』の舞台設定が1964年(昭和39年)夏から1968年(昭和43年)なので、ちょうど途切れないわけです。ヒロインはみね子らの娘世代ということになります。

本当に細かい話なんですけど。
登場人物の髪の毛の質感がサラサラじゃないところとかいいんですね。

前作では主人公の息子・隼也の出征時のサラサラヘアーに散々文句つけましたけど、日本人がああいうツヤツヤになるのは割と最近でしょう。
本作はみんな髪の毛にもっさり感があっていいですよ。

この時代感を堅持できるなら、『ひよっこ』でノスタルジーに釣られた層を引きつけられると思います。

◆わるいところ:悪ノリとデリカシー不足

片耳が聞こえないというのを面白がるという設定はよいのですが、現実問題として聴覚障害には安全面での危険性、デメリットもあるわけです。
障害をむしろ面白いと思うように描きすぎると、そのへんがちょっとデリカシーに欠けるとみなされるかも。

これは胎児が喋るところや難産描写にも言えることでして。
漫画およびドラマ『コウノドリ』ファンの皆様ならわかってもらえるんじゃないかな、と思います。
なかなか大変なことなんですよね。

今日の感想は西園寺満最高!でした。
公式サイトの人物紹介を見ていても、西園寺家が一番面白そうだと注目しています。

ブッチャー役の矢本悠馬さん(おんな城主直虎でも、配下の中野直之として好演)には、70年代らしいあふれんばかりのクソガキ感をもって、ブッチャー役を演じて欲しいなあと期待しております。

◆蛇足ですが、担当編集さんが1972年生まれだそうで、鼻息荒くなってます。
小学校2年生のとき、担任が『あしたのジョー』全巻を教室内に置いていてくれたそうで、今もその記憶が残っているとか。いい時代だったんですね。

主人公が団塊ジュニア(40代半ば)と同世代で、人口が最も多い層を狙っているあたり、視聴率にも好反応が見られるでしょうか。

著:武者震之助
絵:小久ヒロ

【参考】
NHK公式サイト

 

1 Comment

roko

>『ひよっこ』の舞台設定が1964年(昭和39年)夏から1968年(昭和43年)なので、ちょうと途切れないわけです。

全部見てなかったし、気付いたところも過去に遡るのは結構大変です^^;;

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