半分、青い。14話あらすじ感想(4/17)ぎふサンバランドでガンバルンバ~♪

時はバブル真っ盛りの1989年で、平成が始まった頃。

岐阜県東美濃市の「ふくろう商店街」は、土地高騰の狂想曲からはほど遠い田舎町です。

「つくし食堂」の娘・楡野鈴愛は、左耳失聴というハンデはあるものの、元気いっぱいの高校3年生。
今日も幼なじみの律、ナオ、ブッチャーたちと楽しく青春の日々を送っています。

昨日は「つくし食堂」に、何やらハンサムな青年がやって来て、トレンディな「To be continued……」という終わり方でしたが……。

 

「耳がかわいいなんて律が思いつくわけない!」

今日は、萩尾家でのつけ耳改良計画からスタート。
何気ない会話で、鈴愛は不信感を覚えます。

「耳がかわいいなんて律が思いつくわけない!」
「実はブッチャーが思いついた、ブッチャーはブッチャーなのに心が細やかだ」

鈴愛の追及に、思わずそう答える律。
これは昨日の、ブッチャーから律へ「(つけ耳が)キュートだよ❤」と言っていたのがヒントかもしれません。

ここで律、ブッチャーは鈴愛が好きなんじゃないか、と言い出します。
でも、違うんじゃないかなぁ~。

ブッチャーは律と鈴愛のコンビが好きで、結果的にちょっかいを出しているのでしょう。

ここで鈴愛、的確なツッコミ。
「ブッチャーは親友なのに、その好きな子知らないのか? 大丈夫、律にはフランソワ(亀)がいる」
「みなまで言うな」
会話を聞いていると、鈴愛もなかなかやりますね。律に的確に言い返していて、本質的には頭の良い子だなと感じさせます。
そして、それ以上にいい意味でムズムズします。

 

ハンサム・トオルを前にしてドキドキの晴さん

一方、つくし食堂では、謎のハンサム・トオルが五平餅を食べています。

厨房では、アルミ製のお盆を鏡にして、思わず髪の毛を整えてしまう晴。

すごいなぁ。
松雪泰子さんは誰がどう見たって美女です。

それなのに、晴はちゃんと
【若い頃は可愛かったけれど、今はちょっときれいめ、でもダサい田舎食堂のオバちゃん】
に見えるという。

演出も演技もすごい。
そうでないと、この場面は成立しないんですよね。

トオルはこう言います。

「ご主人は?」
「えっ、あの、おります。ごめんなさい、子供も……」
「いえ、ご主人はご在宅ではないかと?」

ギャアーッ!!!!!!
見ているこちらが恥ずかしい勘違い。ドンマイ、晴さん!

でも、トオルの目的は何でしょうか。

 

神童と野生児がなぜ同じ高校なのか問題

鈴愛たちの在籍する岐阜県立朝露高校に場面は切り替わります。

ここで、バスケ部のエースとして大人気の律の姿が見えます。
廉子さんの適切なツッコミが続きまして、それによりますと……。

【神童と呼ばれた律と、野生児・鈴愛が、ナゼ同じ高校なのか?】

これはねー、高校を舞台にした作品ではありがちな矛盾ですよね。

親が貿易商でずっと海外にいる大金持ちの子と、サラリーマンの息子が同じ県立高校だとか。
東大にもいけそうな優等生と、答案用紙全部ゼロ点の落第生が同じ高校だとか。

【スポーツ強豪校だから】
あたりに、理由は落ち着いたりします。

普通なら、そういうものだからと流されがちな設定のところ、ちゃんとモノクロ映像で解説されます。

中学生になっても神童だった律は、東海地方でもトップクラスの進学校・海藤高校を受験することに。
これは、林修先生らを輩出した名古屋の名門・東海高校をイメージしてますね。

しかし、受験当日、試験会場に向かう途中で、車にはねられた犬を助けてしまうのです。
犬は無事飼い主に再会できたものの、律は県立高校に行くことに。

その年の春休みは誰にも会うことなく、ショパンの『葬送行進曲』を弾いていたとか……。

 

ブッチャー、やっぱり振られてた

それから春休み最後の日、出てきたときは人生の涅槃を経て、社会性を身につけ、何か悟ったような顔の律。

イイ!
面白い設定だなぁ。

オーバーリアクション気味でマンガチックに中学生を演じる佐藤健さんもよいし、涅槃とか悟りとかいちいち大仰に突っ込む廉子さんもユーモアあります。
バスケ部に入って、周囲の人と調和を覚えた――というのも上手に繋がっているんですよね。

動きを見ていると、佐藤健さんの運動神経が良いのもわかるそうで、キャプテンというのがスンナリ入ってくる(編集談)。
細かいことながら男性視聴者には気になるところでもあるようです。

ここで四人組の部活動紹介です。

ブッチャーは、松田聖子ちゃん役をいつも独占していた美少女・マナちゃん目当てでバドミントン部へ。
しかし、学園のアイドルが振り向くわけもなく、早々に失恋。

ナオちゃんは、弓道着が可愛いからと弓道部に入るものの、センスはなし。
確かにストイックで集中力が必要な競技には、あまり向いていないように思えます。

鈴愛は美術部です。
弓道が嫌になったナオも、美術部に出入りしているそうで。

 

社名からしてバブリー臭がスゴい!

萩尾写真館では、弥一が写真を現像中。
丁寧に現像するその姿を見ながら、これから先のデジタルカメラ全盛期をどう乗りきるのかちょっと心配になってきました(って、だいぶ先かな……)。

「体育祭の写真だ。よく映っている」
満足そうに、四人組の写真を見る弥一。

現像するまで【どんな仕上がりになっているか】わからなかった時代は、いい写真だったときの喜びがあったものです。
萩尾写真館は朝露高校の卒業アルバム作成を、20年間担当しているとか。
我が子のアルバムを作る感慨もひとしおでしょう。

と、そこへワンレンボデイコン、バブリー美女がやってきます。

 

この手の格好と言えば、最近は登美丘高校ダンス部が話題ですけど、やっぱり異様ですよね。
『ひよっこ』で再現されたツィッギーのミニスカファションなんかは今みてもアリ。かわいいと思えますけど、バブルファッションはなあ。

お色気ムンムンバブリー美女は、小倉瞳さん。
東京からやってきた青山セントラルリゾートの社員さんだそうです。

社名からして胡散臭いバブリー臭がすごいなぁ。
これは話にノッてはいかんやつだぞ!

この、コンサルの目的は、つくし食堂で明かされます。
五平餅を食べていた謎のハンサム・トオルも小倉の同僚です。

彼らは、清水が森にテーマパークを作る、そこで五平餅を1本300円で売らないか、と持ちかけたそうで、宇太郎はノリノリ。仙吉は「ボッタクリやないか」とくもり顔です。

なにより名前がすごかった。

【ぎふサンバランド】

って、おいw
なぜ岐阜がひらがななんだ?とか、岐阜とサンバ関係ないよ!とか、そもそもサンバでテーマパークとかどういうこと?と思いますけど、紙一重ギリギリのリアリティラインと、面白さをブレンドしていると思います。

いやぁ、なんですかね、この作品。
センスを感じる。

 

律は弓道部の美女に目を奪われる!?

一方、ナオちゃんは弓道部引退試合です。
引退試合が初試合という、これまた運動部であぶれた経験あるものとしては刺さる設定です。

ところがナオちゃんってば綺麗に真ん中を射抜くのです。

「木田原、隣の的だ」
あちゃあ。そういうオチね(・・;)

そのころ、律とブッチャーは体育館にいます。
佐藤健さんが高校生設定はちょっときついかな、と思ったりもするのですが、矢本悠馬さんは違和感がむしろまったく、ない。

「一年後は、こうして二人でこの体育館にいることもないんだな」
「卒業後も会おうよ」

そう言い合う二人。
どうやらお互いをのぞいてあまり友達がいないようです。

「ブッチャーは好きな子とかいないの?」
「律くん……」

なんなんだよぉ、ブッチャー! この流れだと律くんが好きです、もありえるでしょお!
今年の大河ドラマがボーイズラブを取り入れると宣言していますが、むしろ本命はこちらではないでしょうか。

「なんでもない」
律は、そう遮ります。

鈴愛が好きと言われたらそれはそれで困るのでしょう。

ただ見ている側にはわかります。
ブッチャーは美少女マナちゃんが好きだったのだから、やっぱり律と鈴愛のコンビが好きなのです。

「そういえばナオが引退試合だってさ」
二人は試合を見に行きます。

そこで律が見たのは、弓を引く、目力のある美少女。
まるで律の心を射抜くように、彼女の放った矢が的に当たります。
これは恋の予感?

 

今日のマトメ「バカバカしさの極みが罷り通った時代」

前作の感想で私は「十代の高校生みたいな恋愛を展開するな」と散々悪態をついていました。

しかし、本作では、十代の恋愛を結構楽しみに応援してしまっている。
理由はこんなところでしょうか。

・彼らは十代であり、いい歳こいているわけでもない
・キャラクターに魅力があり、親近感を覚えている
・素直に応援したいと思える好感度の高さ
・ノスタルジー

前作はどうでもいい、むしろ嫌悪感があるキャラクターがねちょねちょと幼稚な構ってちゃん恋愛をしていて鬱陶しいだけでしたが、本作は友達の友達のコイバナを聞かされているような、その程度の信頼関係があるんですよね。

描写そのものもうまいと思います。
ワンパターンなツンデレばかりが出てくる前作とは違います。

【恋愛描写が悪いんじゃない。陳腐な恋愛描写が悪いんだ!】
そう再確認できました。

と、恋愛について褒めましたけど、それ以上に面白いのが、テーマパークをめぐるあれやこれやです。

【ぎふサンバランド】
という、名前からしてバカバカしさの極み、成功するとは思えない計画。
しかし、当時のバブルに浮かれる日本ではこの手の企画がまかり通っています。

計画中止ならまだしも、実行に移されて、地域のお荷物や廃墟と化したリゾート施設もあるものです。
バブルの夢から醒めてみれば、ナゼあんな笛を吹かれて踊ったのか、そんな切ない思いが残る。

それでも当時は、ノリノリだったんですよね。

『ひよっこ』は、ノスタルジーとみせかけて、東京五輪後の不況、雇用の調整弁扱いされる、地方出身の若い女性たちを描きました。
ヒロインたちはいきいきと楽しく生きていましたが、だからといって彼女らが社会から適正な扱いをうけていたわけではない、と示したわけです。
ノスタルジーをもって黄金時代と語られる、高度成長期の陰翳がありました。

本作も、世間ではバブルで浮かれているけれども、そんな恩恵はないどころか、むしろ都市部に食い物にされる地方を描くことになりそうです。
表面的にはバカバカしくても、実はダークサイド、日本の隠したい部分のはずです。

朝のさわやかさの中で、そういうアプローチをするなら面白いと思います。

※ブッチャーの父・不動産屋の西園寺満(六角精児さん)を配したのは、この土地絡みで色々と騒動を起こすためかもしれませんね。泡が弾けた後は、辛いことも起きそうで……

東京制作の朝ドラでは、成功作『あまちゃん』に露骨に似せてきて、無残なまでに失敗した『まれ』があります。
同様の失敗は、大阪制作『あさが来た』からの『わろてんか』でもありました。

本作も成功作『ひよっこ』に似せてきている部分はあります。

ただ、明るい青春に暗い影を感じさせるような、そういう深いところを分析して似せてくるのであれば、なかなかいい線をいくのではないでしょうか。

※実は当時、田舎だけでなく首都圏の高校生もバブル恩恵など受けておらず、それどころかそういう社会の風潮に嫌悪感を抱いていた――だからこそブルーハーツが刺さった――とは72年生まれ編集さんの分析。
脚本の北川悦吏子さんは61年生まれで当時は社会人ですので、10才下の感覚を上手く擦り寄せられるか、ですね。今のところ良い感じですが……。

著:武者震之助
絵:小久ヒロ

【参考】
NHK公式サイト

 

3 Comments

管理人

>rokoさん
いくつもありがとうございます!!
本当に助かります。
こちらでマトメてお礼を申し上げさせていただきます。
今後もよろしくですm(_ _)m

roko

何度もエラーが出て…また、すみません
本当に削除していいですからね

> ブッチャーは律と鈴愛のコンビが好きで、結果的にちょっかいを出しているうのでしょう。

> 今年の大河ドラマがボーイズラブと取り入れると宣言していますが、むしろ本命はこちらではないのでしょうか。

はるはる

予告映像をちらりと見たとき、「美男美女の甘々な恋愛&青春ものか」と苦々しく思った自分を恥じています。子供時代で引き込まれ、人物一人ひとりをきちんと描く丁寧さ。この先も楽しみになりました。主役がただのいい子ちゃんでないところが共感できます。

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