あさが目にしたのは「加野炭坑」の看板。
劇中では亀助が作った設定ですが、フォントにも味があっていいですね。よのの招き猫といい、ちょっとした小道具に味があって見ていて楽しいです。
看板を見て喜ぶあさと、出迎えた使用人たちや舅と夫にこの家がふるさとと言うあさ。
互いの信頼関係を感じる場面です。
ところが、雁助だけは炭坑の看板を厳しい目で睨んでいます。
さらににこやかな女子衆の中、ふゆもどこか含むところのある目つきで、気になるところです。
こういう思わせぶりな伏線をきっちり回収しますからね。
『まれ』はいろいろ伏線をぶん投げていましたが……。
石炭需要は高まるばかり
あさは店内に責任者として「炭坑掛」の席を持つようになりなりました。
今はもう両替屋ではなくそちらに集中。
折しも明治五年(1872年)秋、新橋横浜間の鉄道が開通し、石炭需要は高まるばかりです。
あさは大阪と九州間を往復する生活になりました。
新次郎は寂しそう。
そして何故かその夫婦を見守るふゆも切なそう。
寂しさを紛らわすために新次郎が向かうのは、三味線師匠の美和ではありません。
おもちゃを持って藍之助をあやしに行くのでした。なんと新次郎をお父ちゃんと呼ぶほど懐いているようで、惣兵衛もこれにはちょっと焦っております。
惣兵衛はすっかり明るく面白い男になっています。
新次郎は藍之助のようにかわいい子がいたらがんばれる、とやっぱり寂しそうです……。
はつが二人目を妊娠
新次郎とはちがってまったく寂しそうではないのがあさです。
すっかり生き生きと炭坑で仕事をこなし、姉御とまで呼ばれ親しまれております。
ただ、サトシだけは不穏な目つき。
あさは経営だけではなく、ブラックな労働環境にはしないよう気遣っていますからね。人望も厚いのでしょう。
あさは九州から戻ると、はつの元へと通います。
しかも合間に乗馬まで習うという、もの凄い活動量!
そして、はつが二人目を妊娠していることが判明します。
姉には叶わないと言うはつ。
そうしたシチュエーションは、お琴や子どもを産むことであり、一般的な「女らしさ」を発揮する場面ですね。
怖いものなしのあさでも、こういうところではコンプレックスがあるわけですね。
はつはあさの活躍を褒めますが、あさは周囲からは変わり者だの、加野屋の四男坊呼ばわりだの、愚痴っぽくなってしまいます。
広岡浅子の伝記では褒め言葉として出てくる四男坊を、ドラマではコンプレックスにしているところがアレンジです。
お百姓として生きていくのはどうか
はつはこのあとちょっと後悔した顔になって、後からお姉ちゃんぶって偉そうに、と反省します。
このはつやあさのすぐ反省するところ、少しでも威張ったりしたら恥ずかしがるような感性が、『まれ』や『花燃ゆ』大ヒロインにも欲しかったんですよ……。
そしてあさがはつに対して女らしさでコンプレックスを抱くことの裏返しで、はつは子を産むことくらいしかできない自分をあさと比較して悩んでいたりするんですね。
本当に、本作の姉妹って、よく描けています。
姉妹の会話を聞いていた惣兵衛は、小さくても自分たち土地を買い、お百姓として生きていくのはどうかとはつに持ちかけます。
笑顔で賛成するはつ。
この二人は本当に幸せそうです。
家も財産も失い、納屋で狭苦しく暮らしているにもかかわらず、満ち足りています。
あさと新次郎が物質的には豊かであるのにどこか満たされないのと、うまい対比になっています。
夫の一言に思わず引き攣るあさの顔
そんな満たされない白岡家の加野屋では、新次郎、亀助、弥七の三人が、ふゆの実家に出す手紙を書いています。
新次郎の字が綺麗であこがれていたと思い出話をして浮かれるふゆ。
そのふゆに自分の字はどうかと聞いている亀助。
そこにあさとうめが帰ってきたわけです。
ふゆは二人を見るとあわてて手紙を持ち、どこかへ去ってしまいます。
新次郎は笑顔で、あさが言っていた通りふゆは人気者だ――と言うのですが、それに応えるあさの顔はちょっと引きつります。
そんなあさの元へ、東京への引っ越しを前にした梨江がやって来ました。
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文:武者震之助
絵:小久ヒロ
※レビューの過去記事は『あさが来た感想』からお選びください
※あさが来たモデルの広岡浅子と、五代友厚についてもリンク先に伝記がございます
【参考】
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