あさが来た 53話 感想あらすじ 九州男児の集団ツンデレ

どこか孤独な者同士、接近する新次郎とはつ。
新次郎は妊娠中であるはつを気遣い、重たい荷物を運んであげます。

力がないと自嘲気味に言う新次郎ですが、ここはがんばりどころでしょう。
川縁を歩きながら、惣兵衛がまた出ていったと、はつは愚痴をこぼします。

お互い配偶者においてけぼりにされた、寂しい者同士です。
はつは、もしかすると新次郎に嫁いでいたかも、という話を思い出してしまいます。

この花嫁交換というオリジナル設定はうまく生きています。

『もしかしたら……』と思ってしまうのは、人間誰しも仕方ないもの。
「あの人には、本当は私の方がふさわしいんだから!」と勝手にヒロインが思い込み、姉の夫や松下村塾製に色目を使う大河とは違います。

はつはそんな自分の考えを恥ずかしく思ったのか。
新次郎に自分で持つと言い、荷物に手を掛けます。

すると新次郎とはつの手が重なってしまい、それに慌てた新次郎は川に転落してしまうのでした。

もしもこの人が夫だったら……という禁断のつぶやき

手が重なってどきん、きゃっ、川にゴロゴロって。
ベタな少女漫画テイストですよね。

実は本作、古典的な少女漫画の技法を使っていることが多いんです。
巧みに入れ込んでいるせいか、安っぽく見えませんし、むしろ様式美にすら思える。

眉山家が住む納屋の前で着物を乾かす二人は、ちょっといい仲に見えるのでしょう。
通りすがりの老婆に仲がええこってと言われるほどです。

はつは、もし新次郎と自分が結婚していたらどうなっていたのか、と禁断の問いをつぶやいてしまいます。

これには新次郎も一瞬動揺しますが、惣兵衛が早く帰ってくるよう祈ったらどうかとうまくかわします。
ヒロインの夫と姉がこんな関係となるといやらしく見えてもおかしくないところですが、ギリギリでそうは見せないところが本作のうまさでしょう。

ビールと丁髷 時代の混ざりあった感覚が楽しい

この次の場面は、新次郎が三味線を披露する浴衣の会です。
名前の通り皆浴衣なのが何とも艶めいています。

今のカラフルな浴衣とは違って、藍と白のシックな色合いですが、これが何ともいい味を出していますね。

ここに来た榮三郎はもう大人だと新次郎に主張しますが、それがかえって幼さく見えています。
桐山照史さんの演技はま少し堅く、玉木宏さんあたりと比べるとこなれていません。
それがかえって背伸びする末っ子という役柄にはまっています。

その兄弟のもとに美和が持ってきたのは、先週出てきたビールです。
まだ丁髷だらけで江戸時代と変わらないようでいて、ビールが出てくるところが明治。この時代と時代が混じり合った感覚が本当に楽しいですね。

新次郎の三味線演奏が始まります。
史実では信五郎が夢中だったのは三味線ではなく謡曲です。しかしこの玉木さんの三味線演奏の艶っぽさを見ていますと、変更して正しかったとしみじみ思えます。

九州男児の集団ツンデレ

加野屋ではよのがおかんアート作成中。
雁助、うめ、ふゆ、はつらが次々と映し出され、それぞれ何か寂しさを抱え、そっと抱きしめるような夜を過ごしているとナレーションが入ります。

しかし、ここに五代が挾まるとギャグっぽく見えるのは何故でしょうか。

鉱山のあさも奮闘中でした。
あさのオーバーワークを心配しすぎたカズたちは「寝てくれ、頼むから寝ろ」と説得。
確かに上司が頑張りすぎると部下が気を抜けませんからね。

そう言いたくなる気持ちもわかります。そこでついに治郎作が参入!

「もっと自分を大事にできないの!? バカッ! べっ、別にアンタを心配なんかしていないんだからねッ!」(要約)

うーん、何このツンデレ?
カズ曰く、馬鹿は褒め言葉だとか。

「馬鹿ッ! 余計なこと言わないでよねッ!」(意訳)

どこまでツンデレヒロインだ、アンタ。
カズはここでまた本当は奥さんのこと好きなんです、その裏返しですとツンデレ心理を解説。本当は坑夫たちは皆そうです、とさらにツッコミます。

ええーっ、こいつら全員ツンデレなの?
ついに治郎作、おおきにとか言い出しますよ。

目が覚めたところに「グッドモーニング!」

「あんたに元気がないと私たちも元気でないんだから……アンタに負けないように頑張っているんだから……こんな気持ち、初めてなんだから……アンタのおかげで私たち……アンタに感謝してるんだからねッ」(意訳)

ここで九州ツンデレたちの告白タイムが始まります。

集団ツンデレとかどういうことなんだと思っていると、亀助が感動のあまり大泣き。

おまえもヒロインみたいだな、オイ。
このドラマ、男性キャラの方がヒロインぽくありませんか。

ここで亀助、サトシが実は大阪出身じゃないかと問題提起。そんな中、あさは疲れてぐっすり眠っています。

あさが見る夢はどんなでしょう。
「旦那様?」とつぶやいて寝ぼけながら起きると、目の前にいたのは、

「グッドモーニング!」

ジャージャージャン♪(エレキギター、横山光輝三国志の効果音に思えてきました)

またあんたかーい!
そこにいたのはペンギンスケッチをかざした五代友厚。
何故。これ、夢じゃないとすれば人妻の眠っているところで待機とか通報案件なんですけど。どういうこと!?

※大河ドラマも朝ドラもU-NEXTならスグ見れる!
スマホでもOKです。

文:武者震之助
絵:小久ヒロ

※レビューの過去記事は『あさが来た感想』からお選びください

あさが来たモデル広岡浅子と、五代友厚についてもリンク先に伝記がございます

【参考】
連続テレビ小説 あさが来た 完全版 ブルーレイBOX1 [Blu-ray]→amazon link

 

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