おはようございます。
「なまらすごいなぁ!」
「なんも」
今朝は、天陽がなつの難産解決を褒めるところから。
「なまら」と「なんも」はド定番の北海道弁。「見せて」と言うところを「見して」となるのもそうですね。
そんな大変な日だけれども、夕方の搾乳がないからとなつは、寄り道の理由を語ります。
「やってくかい?」
「やろう!」
そう二人は語り合い、山田家に馬で向かいます。
馬!
北海道弁!
オーバーオールの制服!
何もかもが北海道で素晴らしい。
スケッチをするふたり
なつと天陽は、向かい合ってスケッチをしています。
そりゃスケッチしたくなるよね……と、ため息をつきたくなるくらいの美形2人です。
役者さんが美形なのは当たり前ですが、脚本や演技指導もあるのでしょう。
どんな美しい容姿だろうと、顔芸をやらされて奇声を発していたら、台無しです。
そんな二人にのところへ、天陽の母・タミがやって来ます。
挨拶をするなつを、嬉しそうに出迎えるタミ。
あのやつれて疲れ切っていた顔が、こんなに柔らかくなりました。よかったな〜。
よく特徴を捉えていると、なつの絵を褒めるタミ。
しかし、なつは天陽に比べたらと言います。謙遜というよりも、本気でそう思っているようで。
「うまいんでなくてすごい!」
そう褒めるなつ。ここまではっきり出てくる、素直さがあります。
天陽は、なつの絵には躍動感があると、彼女独自の特徴を褒めるのでした。
ただうまいと言うのではなくて、具体性を褒める。彼には絵を見る目もあるのでしょう。
そんな二人に、陽平みたいに絵の勉強をしたいのか?とタミは問いかけます。兄の陽平が東京の芸術大学に進学していることが、このあと判明します。
先日も引いた東大の祝辞が話題ですが、これは重要なのです。
いくら才能があろうが、家の事情で進学できない人はいます。
進学して、大学の入学式にいるということ。それは幸運もある。そう認識することで、見えてくることもあるでしょう。
二人は即座に否定し、「十勝で働いているからこそ絵を描く」と言い切るのです。
自然の中で絵を描く喜び
牛。緑。雪。
北海道十勝の自然の中にいればこそ、生きることに向き合うことができるーー。
そう天陽に習ったと、なつが語ると、タミが驚き、天陽の言葉が続けられます。
「絵を描きたいと、便所に行きたいは同じ」
この言葉をなつが綺麗に言い直しただけなのだと。
生きていると、絵を描きたくなって仕方ない。
そういう自然児のような生き方をしていて、ろくに教育も受けていないのに、見事な絵を描きあげる。
そういうタイプの画家は、確かに存在します。
『クリスティーナの世界』で知られる、アンドリュー・ワイエスがその典型例でしょう。
大自然の中でのびのびと培われた感性が、絵になるのです。
タミから、なつはずっとここにいたいのか?と問われます。
それが本人にもわかりません。
いたいけれど、いてもいいのかな? そんな戸惑いがあります。
東京にはきょうだいもいる。しかし見つからない。
天陽は、兄に探してもらおうかと言いますが、すでに柴田家が捜索しても発見できていないようです。
これもそういうものです。
駄作ですと、日本の大都市なのに、ナゼか全員偶然顔見知りでつながっている。
そういう雑な描写もあるもの。RPGの村じゃあるまいし、そんな簡単なはずがありません。
なつはどこか遠い目で、兄は私を捨てたかったのかもしれないとつぶやきます。
そんなことはないと即座に否定する天陽。絵を学ぶ自分の兄だって、捨てたわけじゃないのだと。
兄とは別。
天陽は、農業をしながら絵を描くと言い切るのでした。それが彼に合っているのでしょうね。素敵な人生だなぁ!
金持ちになるとか。
セレブになるとか。
威張れるようになるとか。
イジメられても仕返しできるとか。
そういうことばかりを勝ち組と言いたがる。そんな価値観が提示されたことがありました。
天陽の言葉からは、大自然と感性の世界の中で生きる、そんな爽快感が伝わってきます。
農協が牛を提供している、だと?
はい、さわやかな風が吹く。
そんな場面はある意味ここまで! この先は、じんわりと不穏な気配が立ちこめます。
天陽の父・山田正治も、タミと同じく晴れやかな顔になっていました。
北海道の女、そして男にお互いなりきったね。よかったね!
ただ、ここから先がちょっと不穏でして……。
山田家では、乳牛を導入していました。
しかも農協からのレンタル牛。なつが驚いていると、剛男から何も聞いていなかったのかい?とかえって驚かれます。
なつが見に行くと、健康そうな「黒白」がおりました。
ホルスタインって、
・白が多いと「白黒」
・黒が多いと「黒白」
と呼ぶのだそうです。へー!
天陽は搾乳もこなせるようになっています。
乳が出るのは、仔牛を産んだばかりだから。雌牛を産んだら、農協に返す仕組みだそうです。
天陽が飼料について心配していると、なつはうちのサイレージを一個、おじいちゃんに頼んでもらって来ると言います。
出た、出たぞ、サイレージ!
『動物のお医者さん』でもお馴染みですね。
あの作品では、黒づくめの酪農家がタワー内部でサイレージを作る様子を、黒魔術にたとえたものです。
現在では、タワーで作ることはなくなってきたそうです。
そんなサイレージをさらりと出すところに本気で酪農考証をする強さがありますね。
なつは、山田家の乳牛飼育にウキウキしています。
天陽と泰樹はウマが合うそうです。
そろそろ牛の様子を見たいからと、馬で山田家をあとにするなつ。その胸には、自らの帰属についての迷いがあります。
すっかり柴田家に馴染んでいます。が、まだ奥原姓のまま。
戻るべきか……それとも……彼女は迷っています。
大切なのは、現時点でまったくなつに恋愛感情が芽生えていないと、思われるところです。
むしろ、タミや周囲が気にしていそうなニュアンスもうっすらとあります。
年頃ならば色気付く。そんな雑なことはしない。それが本作のよさかもしれません。
彼女も恋はするでしょう。
それだって、唐突にパンチラを見せるとか、盗んだ缶詰を贈るわけではない。
心と心のふれあうような、繊細な描き方になるのではないでしょうか。
そこを期待しています!
農協のレンタル牛が波乱の予感!
高校入学時、なつは泰樹から懐中時計を贈られていました。
その宝物を見ながら、牧場に戻るなつ。
搾乳はしなくていいと言われても、牛が気になります。
この懐中時計もいいですね。欲しくなっちゃうほどですね!
キーアイテムになりそうな予感があります。
「遅くなってごめんなさい!」
「なーんもさ」
戸村悠吉が迎えます。
本作って「なんも」の使い方が学べますね。この受け答え、便利ですよね。
富士子からも、今日はいいって言われたでしょ、と休まないことを咎める口調です。
きっちりオンオフ切り替えろ、休む時はそうしろという、ありがたい言葉です。
なつは天陽が牛を飼い始めたことを、きっとおじいちゃんも喜ぶと信じているようで、いそいそとそちらへ向かいます。
泰樹と照男は、生まれたばかりの仔牛を世話しておりました。
ごくごくと乳を飲む仔牛。
なつのおかげだね! そう泰樹も喜び、こう言います。
「こいつはなつの子だな」
そこで照男が、
「それでは他の牛がやきもちを焼く」
と言うわけですが。
おっ? おっ、おっ!
これも重要ですね。
天陽となつが二人きりでスケッチをしていて、ほんわかしていたこともあわせますと、これは重要ですね。
照男は、なつのものになる対象は、やきもちを妬かれると考えている。
これは照男、なつに恋をしちゃっているのかな? そういう細かい積み重ねが好きでしょ、本作は。
そんなことに気づかないなつは、天陽のところに寄って来たこと。
そして農協牛レンタルについて話し始めます。
サイレージのことまで持ち出すなつ。
さぞかし喜ぶと思っていたのでしょう。そんな泰樹の顔は逆にこわばっています。
あー、これか!
剛男がなつや家族に農協のことを言わなかった理由。
様子がおかしかったのもこれだ!
「うちはその牛と関係ない。その牛の面倒を見るな」
「なして?」
「どうしてもだ!」
柴田泰樹(知略99)
vs
農協
知略99を相手にするのか
朝ドラなのに、しっかりした大河ドラマレベルで、対立構図のフラグを立てる。
大森寿美男氏ぃぃ!
『風林火山』も『精霊の守り人』も、そういう対立構造をうまく組み上げると思っておったわ!
そんなわけで朝ドラとは思えないほど不穏です。
知略99と対決が迫っているのは、剛男でした。
音間別農協・田辺組合長に呼び出される剛男。
田辺を演じているのは、宇梶剛士さんです。やっぱり北海道が舞台ならば、宇梶さんは出てこないと!
『永遠のニシパ』も期待しています!
はい、そんな組合長から泰樹説得ミッションを依頼される剛男ですが……。
この構図が、なんか見覚えがあって笑いが止まりません。
『真田丸』
徳川家康「旧武田を組み込むためには、国衆・真田昌幸を味方につけねばならん」
『なつぞら』
田辺組合長「十勝の農家を農協に組み込むためには、柴田泰樹さんを味方につけねばならん」
知略99の説得を引き受けた剛男が、第一次上田合戦レベルの悲惨な状況に巻き込まれそうで、怖い! 怖いんですけどぉおおおお!
※続きは次ページへ
いやあ、ご本人の口で”調略”言わせるとは、
昌幸オマージュがハンパない!
たびたびすいません。天陽くんちの牛の話を持ち出したのは、なつではなく、剛男パパです。泰樹おんじのただならぬ様子に、流石のなつも空気を察して話をご飯の炊き具合に逸らそうとしましたが(夕見子姫に邪魔されましたがw)、何でわざわざ自分から地雷踏もうとするかなあ~。この、実生活にはあまり役に立ちそうにない昭和のインテリ感がよく出ていていいですねぇ。藤木直人さん。
朝ドラでは、金曜日が一つの山場で土曜日がエピローグというパターンが王道
でしょうか。