昭和41年(1966年)、北海道・十勝――。
なつは、自分が育った原点に夫となる坂場一久とともにやって来ました。
「思わず駆け出したくならない?」
しみじみとそう語るなつ。
復員した剛男に連れてこられた、あの幼い日。
空襲で焼けた東京都とは違う、本物の大草原に感動し、気がつけば駆け出していた。
タンポポを食べたくなって、そのまま食べてしまった。
空腹もあったのかもしれませんが、なつは味まで確かめたくなるほど、大草原に感動していたのです。
なつぞら1話 感想あらすじ視聴率(4/1)タンポポ食べるヒロインに期待♪でも、それだけじゃなかった。
本当は、不安で仕方なかった。
待ち受ける北海道での新生活が、不安だったのです。
ここで、止めるまでもなく坂場が走り出しました。坂場だからもうそこは……。
なつは、恥ずかしいと止めるわけでもなく、不安感のあらわれだと見守るわけですが、危険です。
「ふんがあるから気をつけて! あっ!」
こけおったーーーー!!
派手にこける。いいぞぉそれでこそだ!
なつは狙ってタンポポを味わいましたが、坂場は狙わずコケて、大地まで味わっています。
これも人生経験だね。
うん、信哉や天陽みたいな、そういうロマンチックシチュエーションはできないんだ。
そこも含めて、ありのままの坂場一久なので。
がんばってね!!
坂場、柴田家に降臨す
「はじめまして、坂場一久です。よろしくお願いします」
はい、坂場がついに柴田家に来ました。
一生懸命、無難な挨拶を覚えて、出してきた感が漂っています。がんばったな、いいぞぉ、やればできる!
なんだか不穏なジジイがいますが、気にしないでおきましょう。
富士子はわくわくと促します。
「それで? 挨拶はそれだけですか?」
結論を急がせております。
これも道産子で、早くもてなしたくてうずうずしているんだって。
「ばあちゃん!」
そんなに急かすな。照男がブレーキをかけてきます。
ばあちゃんと呼ぶなと言いつつも、慣れています。
女性が「ばあちゃん」と呼ばわれることを過剰に嫌がるはずだと決めつける。そういう論調ってありますよね。前作****にもありました。
そうでないんだわ。
富士子は本気で怒っていない。孫がいるならばあちゃんだもんな。
「はい、わかりました!」
おっ?
なんだか事態が動きます。形だけでも対面を整えたいという流れに、富士子はこう断言します。
「結婚は、形が大事です!」
すると背後の軍師・夕見子がこう来おった。
「結婚とは……結論ではござらんか!」
これを契機に、覚えいていたメモリを全開にする坂場。
「なつさんと結婚したいと思っています! 応援してください! 娘さんをください!」
先週の咲太郎の時とほぼ同じですね。
一生懸命覚えて、頑張って言っている感がある。咲太郎が「キザ」と言い切ったセリフとはトーンが違います。
咲太郎にかわって突っ込むのは、砂良です。
「形だけだから……」
「あっ、そうです!」
「そうですか、わかりました! ふつつかな娘ですが、どうかよろしくお願いします!」
なんだかちょっとズレていて、ベタな流れで結婚へ。
しつこく****を出しているのですが、あのドラマ全体的にあったベタベタキメキメな流れと、かなり違うと思うんですよね。
ここで、剛男がツッコミを入れます。
「そこは普通父じゃないか? 何かおかしい」
気がつくのが遅いってば。
はい、そこでもう一度繰り返します。
「ふつつかな娘ですが、よろしくお願いします。なつをよろしくお願いします!」
「ありがとう、お父さん!」
「おめでとう、なつ!」
演技のプロが、素朴な台本にあわせて、ぎこちない演技をする。
そんな面白い時間が流れます。
いいんです。普通でいい。形通りでいい。これでいい。
難しいことは突っ込むなくていい。ハッピーですもんね!
が、しかし……。
【ジャーン、ジャーン、ジャーン!】
「なつを本当に幸せにできるのか?」
げえっ、ジジイ!!
そして泰樹、出陣じゃ!!
出た。
来おった。
ハッピームードをぶち壊す、その気まずさを気遣えない、【表裏比興】ォォォォ!
そうです。ずっとムスッとしていた泰樹、満を辞して邪魔をしに来ました。
この問いに、坂場が一拍置いたのが疑念を呼び覚ますのです。
「なしてすぐに返事できねえ」
「幸せにします。きっと、きっと……」
「きっと何じゃ。そのきっとが引っかかる。堂々と言えるか?」
この泰樹に嘘はつけない。騙そうとしてはダメだ。知略99に嘘をつけるか?
無理です、無理。
そんな理詰めでガンガンいかなくてもいいでしょう。
まぁ、坂場が相手でよかった。
メンタル繊細ならば辛いものがあります。これに耐え抜いた剛男も強いぞ!
「堂々と言える事情でなく……」
「事情ってなんだ?」
「会社辞めて無職なんです」
「男にとって結婚はけじめ。無職でけじめがつけられるのか?」
ここで周囲が、気まずい空気に耐えかねたのか、援軍を出します。
「きっと考えがあって……」
「失敗の責任を取って辞めました!」
ドヤァ……おい、坂場、おいっ!
嘘をつけない。取り繕えない。坂場だからそこは仕方ない。
ここで、なつがあの映画のことだと言います。
『神をつかんだ少年クリフ』のことです。
※モデルはこちら
砂良は、地平と見たそうです。
「途中で地平が……難しかったみたい」
そう言葉を濁す砂良。地平は、おばちゃんの映画の感想をなつから求められて、こうだ!
「つまんなかった!」
わーい。予想通りだ〜!
「いいのさ、正直で、いいの……」
一方で、大学生になっていた明美は、キラキラした目で強く言い切ります。
「私はおもしろかった!」
なつは、明美のような大学生にもっと見てもらいたかった……と困っています。
明美の聡明さもあるんでしょうね。
ここで、戸村父子が助けに入ります。
「東大出てんだべ」
「そろばんできるべ」
いや……それはむしろできないんじゃないかな?
これもよくある誤解。
学歴が高いから、きっと【普通に優秀】で、何でもできると思っちゃう。
そうでないんだわ。できたらこんなことになっていないんだわ……。
予算と期日を守るという、坂場にとっては常識すら困惑対象だから。
「予算と期日を守ることが大事だなんて……」
いや、なんでそこの坂場と神地、悲壮感を漂わせているんですか。
そこは社会人の基礎中の基礎でしょ!
富士子は、話を変えようとします。
「イッキュウさん」というあだ名に触れつつ、休もうと言い出すのです。
イッキュウというけど、元ネタと違って一休ではなく一久だとか。
必死で話をそらそうとするのですが、ジジイには無駄無駄無駄ァ!
※無駄ァ!
「仕事を見つけてからにしろ」
そんな総大将に、果敢に挑むのが剛男です。
「なつが選んだ結婚相手に、文句あるんですか! 見る目は狂いはない、したって義父さんの孫ですから!」
はい、これがクリティカルヒットしました。
※続きは次ページへ
日にちがずれてませんか?この日が8/5で、以降1日ずつ…。
「よつば乳業」ではなく、
正しくは「よつ葉乳業」でした。
訂正させていただきます。失礼いたしました。
よつば乳業は、酪農家・農協が主体となって、酪農家自らの取引地位の強化のために設立されたという特色があり、現在はホクレングループの企業です。
本作の中ではサイドストーリーとなりますが、設立の趣旨・生産者の地位強化の取り組みなど、夕見子のうごきと共にどんな具合に描かれるか、楽しみです。
田辺組合長と夕見子が推進している農民主体の乳業工場の設立構想は、現在のよつば乳業がモデルですね。
と言うことは、田辺組合長のモデルも、よつば乳業創業者の太田寛一氏なのでしょう。この時期に海外視察を行うという点も合致します。