なつとイッキュウさんにとって、優こそが生き甲斐。イッキュウさんのマコプロダクションへの道も、見えてきた。
それなのに、保育園に落ちてしまう……。
「えぇ、どうすんのよ……」
そんな夫妻の嘆きから、今週はスタート。
なつぞら126話 感想あらすじ視聴率(8/24)保育園落ちた、日本……作画監督をやってみないか?
不安を抱えたまま出社するなつに、荒井が声を掛けてきます。
「おはよーさーん」
すると朝一で仲から呼び出され、そこへ向かいます。
仲は一室を持つようになっておりました。
作画担当者らしいクロッキー人形が背景にありますね。
なつは、仲から作画監督の話が回ってきたのだと聞かされます。
仲は喜びつつも、こう言います。
「なっちゃん、無理なら断ってもいい」
育児の大変さにも理解を示すのです。
やさしいんだよなぁ。作中随一の人格者です。
作監になることを待っても、クビになるようなことはないから。仲は、そうきっちりと庇ってくれます。
なつは、子供の預け先が決まっていないと悩みを打ち明けます。
イッキュウさんの事情もあるのです。
ともかく話だけでも聞いてみるということで、二人は山川社長のもとへ向かいました。
ちなみにこの場面では、女性秘書らしき人物がお茶出してきます。
こういうところはちゃんとあるわけでして、時代背景をどこまで生かして、女性を活躍させるか。本作の苦闘を感じます。
山川は、なつの育児が落ち着いたのかと聞いてきます。
「はい、おかげさまで」
なつはそう答えます。
いやいや、落ち着いたと言えませんよね。
ここも、山川と仲の育児への理解度の違いが出ていると思うのです。本作は短い言動で、理解度まで示します。
それに、社長にこう聞かれたら、社員はなかなか素直に事情を話せませんよね。
なつと仲の前には、ちょっと暑苦しいというか……小野政次を追いやった感のある人物がいます。
そうです、2017年『おんな城主 直虎』で、近藤康用を演じた橋本じゅんさんではありませんか!
2016年『真田丸』でなくて、あの大河要素も結構入っている――そう思えるんだよなぁ。
できれば山西惇さんも、NHK大阪ではなくてこっちに……。その理由はあとにでも。
『キックジャガー』、アイヤー!
はい、前世が近藤康用である彼は、佐藤利之制作部長です。
彼が推してくるテレビ漫画の原作は『キックジャガー』でした。
佐藤部長は格闘技が大好きかと聞かれて、大きく頷いています。
総合格闘技以前に、戦後まもなく格闘技ブームが日本中で巻き起こっていたのですね。
吉本興業だって、お笑いではなくてプロレス興業を手がけたほど。
流血試合を見て、お年寄りが亡くなる事態まであり、社会問題化したほどだったのです。
※噛みつき魔・ブラッシーなんて悪役レスラーもおりまして
そういうブームを、アニメだって見逃すことはできません。
競技は、タイのムエタイをベースとしたキックボクシング。
ジャガーの覆面を被った謎のキックボクサーを主役としたお話だそうです。
「キックの鬼」こと、実在するスター選手・沢村忠の人気もそこにはあります。
あ、なんかおもしろそう!
これは原作漫画を作る小道具さんも頑張っていますよね。社長室背景にもアニー人形があって、いい仕事をしています。
「真空飛び膝蹴り! こうやるんだ、アイヤー!」
そう佐藤が盛り上がる中、ざっと説明されます。
佐藤は格闘技大好きな一方、覆面だから口を動かさないで済むと考える社長の山川は、クールといえばそうですね。
ここで、仲が懸念を口にします。
「格闘技なのに女性でいいのでしょうか……」
女性は格闘技できないという偏見とも取られそうな発言は、あとで回収されます。
女性でもガンマニアはいますし、そこは個々人の好みですね。
性別は横に置くとしても、なつは子供にバイオレンスな場面は見せたくないタイプでしたよね。
今はシューティングゲームあたりが槍玉にあげられますが、かつてはアニメを真似して暴力をふるう子供が問題化していました。
◆「アンパンチ」で暴力的に? 心配する親も…メディアの暴力シーンは乳幼児にどう影響?
心配する側の親だって、少年漫画や格闘ゲームの真似をして育っていますから、もう今更だと思いますよ。
その親、祖父母世代は、プロレス技やチャンバラの真似をしてきたのだろうし。
明治時代より、むしろマシじゃないかな。
抹殺連呼する明治生まれのアイツとか、絶対そういう影響ありますって。
なつぞら95話 感想あらすじ視聴率(7/19)夕見子となつのレリゴー♪
ともかくなつは、そういう暴力アニメは不向きに思える、と。
しかし、そう単純なことでもない。
ただの格闘技じゃない。
孤児院出身で、孤児のためにキックで戦う。
そんな主人公を描けるのは、なつだからこそ!
そんなことを力説されるのでした。
そう繋がるのか。
ここでそう来たか。
これもうまいと思います。腫れ物に触るように、そこを避けられても嫌な場合もあるし。
むしろ描くことで、心理的な負担軽減ができるかもしれない。
語ることで癒える傷はあるわけで、それを恥ずかしいからと封じる方がむしろ残酷なこともあるのです。
なつはじめ、本作の場合、モデルとはそこまで生涯が一致していません。
そう謳っているわけでもない。
明らかにこの企業創始者がモデルだと、関連番組を作るわけでもない。
ですので「モデルと違う!」と執拗に叩くことは、ちょっと矛先が違うと思うんです。
それも設定として生かすのであれば、プラスだと思います。
ルーツを変更し、天涯孤独の身の上にしたのに、その設定を作り手すら忘却しているような作品もあるものですが、本作はそうではありません。
無理ならやらなくてもいいと促される中、なつは言い切ります。
「わかりました、やらせてください!」
「なっちゃん、本当にいいのか?」
作画監督は、全ての絵に目を通す激務。
たとえこの仕事を受けなくても、契約にしろとは言わないとも促されます。山川なりに考えているようです。
意地なのかと聞かれ、なつは否定します。
「意地じゃない、覚悟です!」
期待に応えて見せると、なつは言い切るのです。
バカだからこそ、やっていけるけど
休憩室でなつは考え込んでいます。
そこに神っちが、声を掛けてきました。
「大変な仕事引き受けたんだって?」
なつは、仕事そのもののことが憂鬱ではないと打ち明けます。
神っちって、セリフがそこまで多いわけでもありません。
ただ、かなり個性は感じられます。
あの堀内や中島すら、女性相手への反発心はうっすらとある。
彼の場合、それを感じさせません。俺こそが作画監督であるべきだという、そういう嫉妬心もない。
だからこそ、なつは保育園に落ちたことと、イッキュウさんに相談せず引き受けたことを彼に打ち明けられるのです。
「はぁ……私はバカだ」
「バカだからこそ、こんな仕事でやっていける」
なつのぼやきに、そう返せるところもすごいと思います。
世の中には、女含めて目下だと思った相手にバカだと言い張りたい、痛い奴っているもんですが、神っちはそうじゃないんだわ。
「バカな母は始末が悪い……」
そう浮かない顔のなつ。これも深い。
ベビーカーで電車に乗るとか。
我が子を病院に連れて行くために、早退するとか。
生活のために再婚した夫が、子を虐待するとか。
そういうニュースのコメント欄やSNSでは、「バカな母」という投稿が沸騰しているものです。
そのうえで男性は透明化されてしまう。
神っちは、透明な男になるつもりはないらしい。
無言で何か考えて、ブルース・リーをちょっと思い出すような、そんな鼻こすりをしています。
こういうセリフのない演技や仕草がうまい。
無言であっても、そこに何か不敵なものがある。
染谷将太さんにはまぎれもないカリスマ性を出せるものがあるんだと思わされます。
そりゃ来年大河で、織田信長になるわけですよ。楽しみだなぁ。
ベビーシッター募集ビラを作る
なつは帰宅し、相談もせずに作監を引き受けた――とイッキュウさんに謝ります。
出産前からあったオファーだからと、イッキュウさんは受け流すのですが。
なつぞら120話 感想あらすじ視聴率(8/17)育児と仕事に優劣あらずこれも、実はすごいことだとは思うんですよ。
彼のキャリア遅滞を意味しかねないし、マウンティング大好きマンならば、ムッとしかねない。
神っちにせよ、イッキュウさんにせよ、本作の人物の偉大さは、押し付けがましい能動性ではなくて、受け流す柔軟性にあると思います。
柳のようにしなやかで、折れないのです。
離乳食を優に与える、そんな中川大志さんの仕草もお見事。
これからは、男優でも育児シーンが上手であってこそ。そういう時代だ。
※イケメン俳優の育児ショットが話題になる時代です
なつは、ベビーシッター募集ビラを描いています。
作監を引き受けたら、ベビーシッターの勤務時間も長くなってしまう。そこが悩みどころ。
支払える金額は、6千円が限度だそうです。経費は別にするとイッキュウさんは考えておりました。
なつは悩ましそう。
さて、これはいくらくらいでしょうか?
◆昭和40年(1965年)の給与
小学校教員初任月給:18,700円
東京都大工日当:2,000円
なつの顔もわかる。
なかなか難しい金額ではありませんかね。
※続きは次ページへ
付記しますと、
ガラスビンとプラスチック容器の決定的な違いは、環境中に放置された場合の悪影響の大小があります。
ガラスビンは、無機物ですし、回収されず環境中に放置されたとしても、変質しにくい。物理的に壊れても、ガラス質の小石、砂のようになり、原料のケイ砂のようなものになるだけ。もともと自然界に存在した物質なので、悪影響は少ない。
プラスチック容器は、放置されて紫外線等にさらされると急速に劣化し、砕けていく。もともと自然界には存在しない物質なので、それが生物の体内に吸収されて様々な悪影響を。というのが、昨今問題化しているわけです。
もっとも、プラスチックボトルが普及し始めた頃、既にこのことは指摘されており、にもかかわらず対策がとられなかった結果がこの有り様ということでもあります。
ただ、ガラス製品についても、混合されている物質によっては環境に悪影響を及ぼすこともありますので、この違いは絶対的なものではなく相対的なものということになります。
ガラス瓶のコーラ。冷えやすくて、炭酸も抜けにくく、味もしっかり砂糖使っててコクがあって美味しいんですよね。
ただ、重く、割れて、かさばり、王冠の出るガラス瓶は、子供には危険という事で早いうちに排除されてきた歴史があります。さらに自動販売機だと瓶だけリサイクル率が異常に下がるから、環境にも良くないんですよね。あれは酒屋に行って10円返却されるデポジット料ありきで成立してたシステムだったと思います。
今でも、気の利いたビレバンなんかでは、昔懐かしい栓抜き付きの自販機で売ってたりします。
なつと神っちが話しているシーン。二人がコーラを買ってきたのは、ビン入り飲料の自動販売機から。
昭和50年代頃まで、駄菓子屋にもよくあったアイテムです。
プラスチックによる環境汚染が深刻化した昨今、こういうガラスビンでの飲料販売はもっと見直されてほしいですね。
子どもの時、タイガーマスクのエンディングテーマが大好きでした。
温かい人の情けと胸を打つ熱い涙を
知らないで育った僕はみなしごさ
内容も学年が進んで再放送を観ると、なかなか重い内容でした。主人公のみなしご設定が、色々生かされるのかもしれませんが、子どもの頃のなつと今の夏にはけっこうギャップを感じます。
朝ドラはテレビ小説なので、色々なキャラの主人公があったほうがいいと思いますので、このドラマも悪くはないと思いますが、性格的には、なつより鈴芽のほうが好きかな。