スカーレット38話あらすじ感想(11/12)Because I am a Girl

絵付けに夢中になり、遅くなってから帰宅する喜美子。
ここで焦ります。

脳内ジョーはこうです。

「絵付けぇ! 何を勝手なこと言うとんじゃ!」

ちゃぶ台返しや。
あかん。喜美子は家路を急ぐのです。

昭和のおっさんのカリカチュアになった、そんなちゃぶ台返し。しかし、当事者にとってはDVであり、洒落になっておりません。
そんなことをコミカルに思い出させてくれる本作です。

今朝もジョーは暴れるのか……。

ちゃぶ台返しはあかん、DVやで

喜美子はそーっと帰ります。

「ただいま〜。えっと、遅うなってごめんなさい。あの、掃除頼まれてしもて、気付いたらこんな時間になってしもて……どないしたんや?」

目の前にあったのは、ちゃぶ台返しアフターの修羅場です。

マツは喜美子に対して食器が割れてへんかと気遣います。

「割れてへんけどぐしゃぐしゃやん」

 

今でこそ、ギャグ扱いのちゃぶ台返しですが。

・せっかく作った食事バーン!

・ついでに食器ガチャーン!

・ひっくり返したおっさんは片付けない!

という最低最悪の行為ですわ。
今の基準なら立派なDVや。やってたおっさんの頭を、ちゃぶ台で叩きたくなる。あかん。

本作が凄まじいと思うのは、
「昭和のおっさんなんてそんなもんや。いちいち目くじら立てんでも」
という回顧や半笑いを、全力でぶっ潰しに行くところだと思うんですよね。ギャグにならんし、アニメじゃないからぐしゃぐしゃになる。

マツは片付いたら見にいこかと思っていたそうです。喜美子はここで、絵付けでなく掃除だとごまかすしかない。

切ないなぁ……。
マツは学費を貯めていると娘に言えない。喜美子は絵付けを見出したとマツに言えない。

母娘の思いは同じかもしれないのに、通じ合えない。

喜美子はここで膝を抱えてすすり泣く百合子を見つけます。
そんな妹を抱きしめる喜美子。これはキューンってなる。

かつて百合子の立場だった人の心まで癒すんじゃないかと思う。

「お父ちゃんが……」

百合子は泣く。
いつものことだそうです。帰ってきて、風呂が沸いてないから怒り、暴れたらしい。カス、これぞ、カッス!

喜美子が洗濯物を畳んでいないことに気づくと、百合子は遊んでしもうた。ごめんなさいと謝ります。
喜美子は姉ちゃんが帰ってくるん遅かったからや……と言うのです。

そしてここで明かされる。ジョーはまた飲みに行ったということ。なんちゅーカスや!!

直子は、風呂を沸かしておりました。

妹を見る姉の目は優しかった

直子は薪を割り、風呂を沸かしています。不満そうな顔です。

ここで直子視点の回想シーンへ。

直子が百合子と洗濯物を畳んでいると、ジョーが帰宅します。

「喜美子ぉ! 喜美子ぉ! ああ、ちょお風呂沸かしてくれ、喜美子、喜美子! 脱がれへん、ああもう! 風呂風呂風呂、喜美子! 喜美子ぉ!」

直子は知るよしもない。ジョーとしては、婿候補一覧でも見せるつもりだったのでしょう。それで喜美子が喜ぶと誤解している。
この見合い計画が伏せされたままであるのも、あかん予感が……。

ムッとして直子は返します。

「喜美子喜美子うるさい。風呂も喜美子もまだ言うてるやろ、黙れ」

「何言うたんや!」

「黙れ言うたんや。いちいちいちいち、喜美子喜美子、うるさいんや!」

「誰に言うとんや!」

ガチャーンとちゃぶ台返しです。

今日のあらすじでは、ジョーと直子両方悪いと言う説明が多い。大暴れともされている。

ちょっと本編を見て考えてみましょう。

・直子、そこまで悪いか? ジョーもかなり無茶苦茶やん

・大暴れという異常事態でもなく、割とありがちな平常運転だと推察できる

・直子の態度も悪くないとは言えないけれども。喜美子の認識では絵付け告白でもちゃぶ台返しだからさ……

・何があっても暴力はあかん。『なつぞら』の泰樹は、拗ねても自室にこもっておまんじゅう食べてただけしょ!

結論【諸悪の根源はジョーカス】

やはり、ジョーカスは絶対許さない、顔も見たくない。
そんなおっさんだとは思う。

北村一輝さんはクレジット最後で、いわばラスボス。『なつぞら』の草刈正雄さんポジションなんですよね。

むろん、ジョーはあかんけれども、すごい人物造形だとは思う!
北村一輝さんの演技キャリアが大きく変わるきっかけになることでしょう!

そんな拗ねた直子のもとへ、姉の喜美子がやって来ます。

「そんな適当にやったらあかんよ。燃やしすぎちゃう」

「四時で仕事終わりとちゃうんけ、何してたん? うちかて学校の宿題とかあんねん。はよ帰ってきてや」

「そやな、ごめんな」

さらに直子は姉にこう突っかかります。

「姉ちゃん、これやって。うちこれ嫌いや。苦手ちゃう。これ嫌いや。洗濯も嫌い、みんな大嫌いや! お父ちゃんも大嫌いや!」

そう言い捨てて去った妹の後、風呂を焚く姉です。

この一連のセリフを聞いて、意見は割れると思う。

①直子は性格が悪い、けしからん!(そらそうよ)

②ああああ〜! ついつい直子みたいなあかん言動をしてしまう!(冷や汗たらーり)

③直子、何を力んでるんや(その目は優しかった)

喜美子は最後の、優しい目になるんです。
その理由はこれから。

直子は、甘えん坊やろなぁ

このあとマツと喜美子は風呂から上がったようです。
着替えております。母と娘の語り合いです。

マツは喜美子という名前の由来を語ります。

初めて子供ができたとき、ジョーの喜び方が美しかった――。

「気のせいやな」

喜美子は母の言葉をそう言ってしまう。冗談やろな。
うーん、これもなぁ。ジョーの娘への愛は本物なんですよね。電話口で泣いていたし。

その愛の方向性が悲しいほどにズレているんだとは思う。根底にその愛があるから、ジョーは難しいのです。
こんなん、作る側も演じる側も大変やわ。北村一輝さんは脚本をもらって、いろいろ考えることが多いでしょうねえ。

マツは微笑みつつ、名前の由来をさらに語ります。

直子は素直の【直】。

お、おう、予想どおりやで。
百合子はお花の名前がつけたかったから。

母がつけたかと聞かれ、マツは静かに微笑みます。

ここで喜美子は、ハンドクリームの瓶から中身を指につけます。

「貸して、もっといっぱい取りぃ!」

「そんなに?」

「うん」

戸惑う母の手に刷り込む喜美子。
何気ない場面ですが、ちょっと涙が出そうになった。

喜美子と同世代の女性が、マッチ棒を使ってまでハンドクリームを取り、手に刷り込んでいたという話。あれを思い出して辛くなった。

別に高級化粧品でもない。
荒れる手につけるクリームすら、贅沢かもと戸惑いつつすり込まれる母。
こんなん……こんなん……なんちゅうことを見せてくれるのか!

母娘はこう語りあいます。

「直子は、あれも嫌い、これも嫌い、お父ちゃんも大っ嫌いや言うてた。あれは素直の【直】ちゃうな」

「せやな、ほんまは甘えん坊さんや」

「うん」

この会話に、脳天を殴られた世の姉と兄もおられるのでは。

「また! 姉(兄)が! わがまま妹(弟)を受け入れる造型かーい! 勘弁してえy!」

同じく、世の妹と弟は……。

「また! 姉(兄)が! わがままな妹(弟)を受け入れるパターンや! うちらは所詮、お釈迦様の掌で暴れる孫悟空なんや! すまん、すまんっ!」

こうなりかねん。
おそろしい作品やで、ほんまに。

※『アナと雪の女王』シリーズからも姉妹の関係性を読み取る系の方や……

遊びちゃうねん

そして翌朝――喜美子はいつもより早く丸熊に着きます。
フカ先生がやって来ました。

「昨日はありがとうございました!」

「おはよ。誰?」

すっかり忘れられてます。
喜美子が自己紹介をすると思い出すわけですが……喜美子は、まずは遅くまで絵付けをさせてくれたお礼を言います。

それから夕方四時の終業後の絵付けだと遅くなり、それはあかんので朝やらせて欲しいと頼み込むわけです。

食堂が始まるまで、この時間だけ絵付け仕事をしたい――そう頼むわけですが。
※続きは次ページへ

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