わろてんか81話あらすじ感想(1/9)スネてる場合か、地震やろ

大正12年(1923年)。
商業都市・大阪を制覇した興行元「北村笑店」は、関東進出を目指します。

その矢先、関東大震災が発生。
元所属芸人であり、北村夫妻の旧友でもあるキースは東京にいます。

果たして彼は無事でしょうか。

 

アサリも大番頭も、別のセリフ、なかったんかい?

今日は開始前に、気になったセットの件から。
天満と南地は同じではなく、継ぎ足したみたいな感じですかね。半分は南地そのまんま、もう半分はブラインドまである明るい部屋をくっつけているなぁと。

さて、本編です。
キースが東京にいると聞いたアサリ。なんで連絡しないのかとスネ始めます。

むむー。リアルに生死の関わる場面ですから、ここは何があっても安否の確認や、心配が最初では……。

キースとアサリ、両者の間に確固たる信頼関係があったとしても、テレビで見えるアサリは目の前で台詞を吐くアサリなわけで、しかも喧嘩別れしたあとでキースがいなくなったとなれば、尚更こういう意地の張り方はしない方が良いと思います。

ここで「関東まで行く」と言い出す藤吉を止めて、風太が志願します。
「家族おらんし……」
風太にだって実家はあるはずなので、この場合は独身子なしというあたりの意味でしょうか。

そういう事情よりも、
「あかん、あかん! 社長に何かあったらどないすんねん。ここは大番頭に任しとき!」
ぐらいの台詞の方がグッとくるのではないでしょうか。

まあ、大番頭らしい言動もあまり無く、ちょっとした言動の端々にも商売やっている雰囲気が欠けているんですよね。
濱田岳さんの地味な無駄遣いが、こういう場面で顕著になってしまってます><;

 

なにやら向島が気になる栞

一方で栞もチャリティーに乗り出します。

それにしても栞のオフィスらしき部屋って謎。
ほぼ空っぽで机だけぽつんとなって、生活感ゼロなんですよね。かと言って仕事をしている気配も感じられません。

社長室だから彼一人しかいなくてもわかりますが、同じ建物で人が働いている感じもしないのです。
そのせいか彼の事業までミステリアスなのがもったいない。

オフィスっていうより、シャーロック・ホームズのモリアーティ教授がいるような。
あるいは一軒家の庭の中にあるプレハブの離れ、みたいな。

ここで栞が、なにやら向島の様子を意味ありげに気にします。

トキは出立前、風太にお守りを渡して、
「無事に返ってきいひんとゆるさへんから!」
だそうで……もうさぁ、アナタたち、いくつなのよ! 「君の名は」の高校生よりはるかにお子ちゃまで、中学生かっ!

被災地に行く人に、お守りだけ渡すって発想がお子様過ぎて。

もういい歳なんだし、お女中経験もあるなら、そこはちゃちゃっと握り飯でも作って渡せばいいでしょ。その包みにお守りを忍ばせるくらいでちょうどいいでしょ。
「うるさいのがおらんようになってせいせいするわ!」とつっけんどんに渡して、風太が「なんやアイツ」と、いざ被災地で中身を開けたら、お守りがポロリ……って、ベタですけど、そのくらいでいいんじゃないですか。

今のヤリトリですと
「はい! ここでツンしま~す! デレしま~す!!」
みたいな脚本演出で、心底、しらけてしまうんですよね。そもそも、こんな未曾有の大災害の時にまで、幼稚なツンデレ劇場が必要なのでしょうか。

 

なんで栞が物流に疎いのよ

被災地・東京では、キースが「東京のお母ちゃん」こと志乃とのんびり会話中です。
なんだか妙にノンキな雰囲気が気になってしまいまして。

ガレキは倒壊の危険性があるし、関東大震災の時は不穏な噂が流れ、自警団もうろついていて、かなり殺伐とした雰囲気の方が相応しい気がします。

彼らを見ていると「確実に私達の命は助かる前提」でいるように見えてしまうんですよね。
被災地が決してそうでないことは、先の東日本大震災からも我々は知っているはずです。

それとも、食べる物すらろくにない状況でも笑いを忘れるな?という意味でしょうかね……。いやいや、二次災害が懸念されるうちは、さすがにそれはないですよね。

栞は風鳥亭にいます。
救援物資を送ろうにも役所に止められているし、いっそ北村笑店頼もうとかなんとか言い出します。

って、うぅっううううううう……おぉおおおおおおお、もぅううううううううう……(天を仰ぐ)。

栞って、貿易会社の経験がありませんでした?
物流のプロなはずで、風鳥亭なんかよりはるかにその道に通じていると思っていました。

ここぞとばかりに、様々な流通経路を検討してくれる。そう勝手に期待していました。
頼みますから……これ以上、小林一三を無能に見えるような演出をストップしてください><; ほんと、ドコまでご都合主義なのよ……。

 

リリコのファッション、やっぱり気になるわぁ

ここでリリコが女性用ということで、下着や石鹸を持って来ます。
てんも喜んで、「おむつもいりますなあ!」と言い出します。

なんだか、脚本家さんの「実際の震災で女性用物資を届けたボランティア活動があったとニュースを入れてみました」感が伝わって来ます。

そして毎日ネチネチファッションチェックして本当に申し訳ないんですが、言わせてください><;
今日のリリコの衣装のダサさが色々とぶっちぎり!
しばし呆然としました。

1920年代らしさは、もう望みません(というか望んでスミマセンでした)。
衣装の担当者さんがはなから諦めてるのかわかりませんが、さすがに、この紫色の変なトレーナーみたいなのはいかがなものでしょう?

むしろ寺ギンに着せたら似合うかもしれません(´・ω・`)

 

「え~、このへんにえらそうな大阪弁を喋る男いませんか~」

さて、東京では。
キースがわざとらしい台詞で視聴者に志乃のことを解説してくれます。

・臍の緒の入った箱を取りに戻り、頭を打って記憶喪失になった
・生き別れの息子がいる
・その息子は海外に行って成功した

そこへ風太が、
「え~、このへんにえらそうな大阪弁を喋る男いませんか~」
と言いながらやって来まして、って、おいおい、おいおいおい!

どこの世界に、そんな曖昧なヒントで、しかも被災地で、人捜しするあほんだらがおりますのや!

普通に名前を呼んだらいいじゃないですか。
出身地や身体的特徴を述べたらいいじゃないですか。

本当にリアルな被災地で、そんなコト言えます?

ご都合主義でアッサリ見つかるのは良いです。
しかし、関東大震災を描くのでしたら、最初から一切のおふざけ要素を排除して、もっと真摯に取り組んでもよいのでは?

 

志乃の顔見て顔色を変える栞

復興もサクサクと進み、電話線も復旧。風太は大阪に電話します。

背後に包帯を頭に巻いた人がいるっちゅうのに、なんだか偉そうな態度が見ていて辛い。
お守りまでわざとらしく出して見せます。

トキは、風太が自分と話さなかったと不満顔。この場面、わずか数秒なのにもの凄くイライラするのは私だけでしょうか。スミマセン。

そのまま風太は東京に残り、キースと志乃が大阪へやって来ました。

やっと再会できたのに、ツンツンするアサリ。
いや、そこは素直に喜びましょうよ。相方がコロコロ変わるのは、キース以外と組みたくないというより、逃げられたんでは?とすら思ってしまう仏頂面です。

そして、ナゼだかいつも暇そうな栞は、風鳥亭にノコノコやって来て、志乃を見て顔色を変えます。

本作は恥ずかしげもなく『ひよっこ』そっくりな展開をやらかしますが、記憶喪失の親と再会する子、というプロットまでやるようです。

おいおいおーい(´・ω・`)

 

今日のマトメ1「年相応の恋愛してください」

今日ウンザリさせられたのは、ツンツンした連中の多さです。

やっと復旧した電話という状況を無視して、自分を話してくれなかったと拗ねるトキ。
キースが無事でいたことよりも、自分に連絡しなかったことに拗ねるアサリ。
で、明日以降、ここに母親が無事であったことよりも、つれなかったことに拗ねる栞まで追加予定なのでしょうか。

この人たち、精神年齢が揃って隼也と大差ないです。

日本史上、未曾有の大災害の直後で、生死がかかっているこの状況下で、相手が自分にかまってくれないからと拗ねる、いい歳こいた大人たち。
悲しいほどに見苦しいです(´・ω・`)

本作は、劇中で誰も精神的に成長していません。
描く期間が長い一代記ジャンルの朝ドラでは、役者の見た目が若いことに引きずられて、不自然なほど幼稚な恋愛をするというパターンがあります。
設定上の年齢が50代から80代としか思えないのに、役者の年齢と変わらない20代から30代感覚の恋愛になってしまうという。

本作はそれがさらに酷くなっています。

ずーっと10代感覚。放課後の廊下ですれ違ってドキドキ。壁ドン。
そんな感覚の恋愛をずっとやらかしそうです。
しかも、恋愛だけではなく、キースとアサリのようなコンビでもそうですね。

万丈目夫妻、団真とお夕がマトモに見えたのは、彼らが年齢相応の付き合い方をしていたからです。

断っておきますが、いい歳こいた大人が恋愛するな、ということじゃないです。
それ相応の、年齢にふさわしい成熟した、しっとりとした恋をしましょう、ってことでして。

それに恋愛描写も、関西らしいシットリとした情感がありません。
脚本家さんは「大阪=ハリセンでぶったたくおもしろおかしい人々」、という認識かもしれませんが、日本史をたどれば、上方は長いことしっとりとした人情ものを愛する土地であります。
関東はどちらかというと、武張った娯楽を愛する土地なのですよ。
やたらと相手をビンタしたり、ツンツンしたり、そんな幼稚で暴力的な恋模様は上方らしくありません。

2015年『あさが来た』の亀助とうめの間に流れていた、しっとりした雰囲気を思い出してください。

 

今日のマトメ2「震災描写は難しい」

それともう一つ、ダメ出しさせてもらいます。

関東大震災というより、阪神淡路大震災を思い出してしまうこの季節に、なぜ、こんな人の心を逆撫でするような震災描写をしてしまったのでしょう。
関西製作なのに、なぜ、こんな関西人の心を逆撫でするようなことばっかりするんです?
と、感じるのが私だけではない気がするのは、他にもこんな要素があるからです。

・主人公を船場育ちから京都生まれに変える
・関西の誇る宝塚歌劇団の歴史を抹消
・商業都市大阪の魅力を丸無視
・無神経な震災描写

いつドコでまた大地震が起こるかわからない日本で、震災描写をするのは非常に難しいです。

被災地で、愛しい人が生きているかどうか、ハラハラしながら、胸が潰れそうな気持ちでいた――。
そういう人のことを、どう考えながら作品を作っておられるのでしょう。

「え~、このへんにえらそうな大阪弁を喋る男いませんか~」じゃないでしょ!
強い言葉でスミマセンが、良識を疑うとはこのことです。

2013年の『あまちゃん』の震災描写は、トラウマを呼び覚まさないよう慎重に、それでいてあの日を思い出すような、秀逸な描写でした。
トンネルを抜けたときの、ユイちゃんのあの顔。
母親と連絡が取れなかったときの、小野寺ちゃんのあの顔。
今でもハッキリと思い出せます。

このレベルで大阪の空襲も描く気だとすれば、とんでもないことになりそうな予感ばかりしてしまいます。

著:武者震之助
絵:小久ヒロ

【関連記事】
吉本せい 吉本興業の歴史

【参考】
NHK公式サイト

 

2 Comments

こえり

風太とトキの流れにはもうええ加減にしておくれやす。と思います_( っ`ω、)っ
ざっと最短で
駆け落ち+パーマ機詐欺+寄席GET+結婚→大正11年までは隼也くんの年を考えても11年間。てんが駆け落ちしてスグにおトキを派遣した事を考えても当時おトキは18歳前後ですよね。なら今アラサーですやん。こちらのドラマは時代考証もデタラメなようですが人物の設定も甘いのでしょうかね…。
キャラも場面も使い捨てだし…。残念です。

しおしお

花アンのあと、時計代わりにつけてるだけですが、いつも秀逸な解説に感嘆しています。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

CAPTCHA