わろてんか63話あらすじ感想(12/13)相変わらずお子ちゃま

「東洋のマンチェスター」と呼ばれるほどの賑わいを見せる、大正時代の大阪・天満にて。
てんと藤吉夫妻は寄席「風鳥亭」を経営していました。

しかし、経営方針をめぐり夫婦は対立。てんが疎ましくなった藤吉は、育児に専念して寄席には関わらないようにと言います。
一方のてんは、自分なりに売れっ子落語家の月の井団吾を口説こうと奮闘し出しました。

藤吉は、ストライキ中の芸人たちに、芸を磨けと言い放ちます。

 

ライスカレーを食べて仲直りや!

てんと藤吉が仲違いしたことを気に病む、トキと風太。二人は一計を案じ……ってこれ、第9週と同じパターンやないの(´・ω・`)

トキと風太が今回選んだのは、またもや子供(隼也)をダシにした作戦でした。
風鳥亭で寝泊まりしている藤吉に隼也がいなくなったと告げ、慌てて長屋に駆けつけると、隼也を抱いた風太がいるというパターン。
「隼也がおねしょしたんやで!」

呆れる藤吉に、おねしょしたいのは寂しいからだとトキは説明します。

藤吉は、てんが仕事の決断に対して理解を示さず、協力しないことが不満だそうで。
一方のてんは、芸人を粗末にすること、自分にも冷たいことが不満だそうです。
まあ、傍目には、芸人をダシにして家族サービスを要求しているように見えましたが……。

風太は、てんが団吾に会った、仕事に興味を持っているんや、と説明します。
昨日のてんがとった行動では団吾に不快感を与えたと思うのですが、そこは隠蔽という。

トキも、万丈目の店では藤吉が、「芸人は家族のようなモンや、大事だからこそ突き放した」とフォローします。

どちらも昨日の展開を見ていると美談に思えず、むしろ無神経でブラック、『仁義なき戦い』の山守夫妻のようにすら私には思えたのですが……まあ、本作では美談ちゅうことで\(^o^)/

「割れても末に案件」の北村夫妻はこれにて終了!
ライスカレーを食べて仲直りや!

風太とトキはじゃれあい、「早くええ結婚相手見つけろや」という風太の絡みにトキがツンデレ気味な対応を取っています。フラグですね。

 

寺ギンも団吾に契約金を提示

そのころ寺ギンは、月の井団吾に向かって「提示通りの契約金を捻出するから契約をしてくれ」と言い初め、成立しそうな気配を見せています。

50人もの芸人をクビにして浮かせたギャラで団吾の支払いを補うようです。
風鳥亭に提示していた団吾の月給は500円(500万円)ですから、毎月平均10万円ギャラの芸人がそれだけいるってことですよね。規模感がいまいちわかりませんが、スゴい人数ですのぅ。

しかし、こうした「人を切る決断」というのは、ともすれば悪どい商人にも見えかねないわけで。
藤吉と寺ギンの行動に大差は無いはずですが、寺ギンだけ悪者にすべき印象操作がされていると感じてしまいました。

一方、万丈目の食堂では、キースが深刻な顔で棒を振り回し、アサリに当たりそうになります。
焦るあさりと取っ組み合いになるキース。

「ええこと思いついた! 団吾に負けるわけはいかへん! 大看板になる! やるぞ!」

何やら思いついたようです。
ちなみに岩さんにも初孫祝いをあげる四人組。彼らは赤い鉢巻を外します。スト、終了の合図ですね。

 

お夕は慣れた手つきでお燗を付けて

長屋では、藤吉がてんの作ったカレーライスをほおばっています。
仲直りは微笑ましいことですが、何が悪いのか藤吉もてんも反省していないように見えます。

サプライズ和解(わろてんか第54話あらすじ感想レビュー(12/2))もすぐさま忘れていましたし、どうせ十日もすれば同じ事を繰り返すのでは?

そもそもこうした夫婦喧嘩と仲直りの繰り返しは視聴者が求めているんですかね?

ともかく
「二人ともチョコ右衛門やのうてカレー右衛門やわあ!」
と、嬉しそうにはしゃぐてん。この人らのギャグセンス、やっぱり成長していない……(´・ω・`)

「やっぱりてんがつくる飯はうまいな」と満足げな藤吉。てんがあげた三箇条を嬉しそうに繰り返していますわろてんか第58話あらすじ感想レビュー(12/7)

一方で団真は、折れた扇を前にして、お夕に手を上げたことを思い出し、落語をつぶやいていますわろてんか第60話あらすじ感想レビュー(12/9)

そのお夕と言えば、団吾の別宅に……。
慣れた手つきでお燗を付け、菜を刻み、すっかり居着いてしまったように見えますが、果たして。

 

今回のマトメ「やっぱり何も変わってない」

お膳立てで和解というのを、二週後にまた繰り返すというのはどうかと思います。

昨日、私が驚いたてんと藤吉の行動が、和解のための美談にされているのもびっくりしました。
週の残り半分を団真とお夕の和解に使うため、ちゃっちゃっとこのへんで手を打ちまひょ、といペース配分はわかりますけどね……。

もうひとつ危惧しているのが、吉本の大発明である「しゃべくり漫才」が、キースの奮闘ひとつでなんとなくできあがる流れがうっすらと見えて来たこと。

昨日の藤吉の言葉ひとつで、キースがひねり出せるのであれば、さすがに端折り過ぎでは?

これは吉本興業の女創業者・吉本せいをモデルにしたお話のはずです。
お笑いに大事な陰の努力をすっ飛ばし、夫婦喧嘩のクダリを繰り返す。さすがに冒涜かなぁと感じます。

昨日の放送で、藤吉は「時代の流れも芸も変わる」と言っていました。
この言葉ひとつで、キースは衣装を三揃えのスーツにすると言い出しそうな予感です。

外れて欲しい予感でありますが、もしそうなったら、あまりに雑ではないでしょうか。
そもそも風鳥亭のお客さんも、道ゆく通行人も、初回からあまり服装が変わっておりません。風太が自転車に乗るようになった辺りで察してね、ということですかね。

てんと栞がお見合いをした第2週では、スーツを着ている栞は少数派で、てんの祖母・ハツはそのことに違和感をおぼえていました。

しかし、時代は流れまして。
そろそろスーツは珍しいものでなくなっていなければおかしいのです。しかし、本作で和装から洋装に切り替わったレギュラーはリリコのみ。

「東洋のマンチェスター大阪」を闊歩するモダンボーイ・モダンガールの影はどこにもないし、そういうことをてんたちが感じているわけでもない。
ちっとも成長しないのは芸人だけではなく、てんと藤吉もそう。

成長しないから未だに、
「二人ともチョコ右衛門やのうてカレー右衛門やわあ!」
みたいな寒いことしか言えない。

団吾に踊ってみいと言われても、「桃太郎」を歌いながらヘロヘロするだけ。
夫婦喧嘩もお膳立てがなければ、和解すらできない、

それでよくも偉そうに、キース達に成長しろ!と突き放せるもんです……。
突き放す前に自省して欲しい。

私はもう、しかるべき時間が来たら、突然、「万歳」という「しゃべくり漫才」が出てくると予想しております。
山崎豊子さんの名著『花のれん』でも、その辺の移り変わりが丁寧に描かれていて面白かったんですけどね。

そういえば、同著の中での主役(吉本せいのモデル)は、著名な落語家たちが路面電車に乗る瞬間を狙って袖の下を渡し、自分たちの寄席に出演するよう、上手に手配しておりました。
他の寄席のデキるお茶子とさり気なく知り合って引き抜きして、お客さんも一緒に引っ張ってきたことも描かかれておりました。

これら全部、ゴロゴロ冷やし飴と似たような機転の一つだったワケです。

そうした吉本せいの機転。
あるいは落語から万歳(漫才)へと移行するときの偉大さを、丁寧に捨ててしまいそうな本作。

今後、何を目指してドコへ向かっているのか。
老婆心ながら不安で仕方ありません(´・ω・`)

著:武者震之助
絵:小久ヒロ

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吉本せい 吉本興業の歴史

【参考】
NHK公式サイト

 

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