ラジオが普及した昭和4年。
北村笑店所属の売れっ子落語家・団吾は興行元を押し切って、ラジオ生出演を敢行します。
タダで落語が聞けるなら、誰もわざわざ金を払って聞かなくなる――。
北村笑店の大番頭・風太は焦りますが……。
落語の熱演だけが今や救い
不意を突かれた風太一人が落ち込む中。
団吾は、落語の「死神」を演じます。
文鳥役の笹野高史さん、団真役の北村有起哉さんに巧さでは及ばないものの、熱演していたと思います。
落語家役の三人は、グダグダの本作で気を吐いています。
シメは「風鳥亭に来て聞いてください」でピシッと宣伝までしました。
それにしても、評判がいい回って、この手の土曜日にあたる落語家熱演の時だけですよね。
そこまで役者さんに頼り切りでいいのか、っちゅう話ですわ。
団吾熱演の合間には、能面笑顔のてんとスカした顔の藤吉が挟まります。
藤吉は笑いのとんでもない瞬間を目撃していると言いだし、気合いを入れ直します。
その態度が、やっぱり他人事感が否めないんですよね。本来なら止めるべきところを団吾の機転でラジオに出演されてしまった。感心しとる場合やない。
しかも、このときのてんの台詞が
「へ?」
「へえ、また頑張っていきましょう」
だけ。ホンマ信じられへん。
この二人は興行元の夫妻です。主役です。
ならば、藤吉が一方的に話すわけではなく、会話のキャッチボールをすべきではないでしょうか?
藤吉が笑いの新時代に感心したならば、てんが気合いを入れ直すとか。
ところがてんは、ニコニコ笑って相槌を打つだけ。端役の台詞のようです。お茶子Aくらいの存在感やないの。
ようやく結婚……おせーよ、もうそれだけ
落ち込んでいる風太をトキが励ますと、やっと風太はプロポーズします。
おせーよ。もうそれだけ。
臭い台詞を立て続けに言おうと、何の感動もできない。一ヶ月前の放送あたりで結婚していたら、素直に祝う気持ちも湧いたかもしれませんが、もう遅いのや。
しかもプロポーズの時ですら、風太は
「俺の後ろを三歩下がって歩け! 飯には甘いもんを一品つけろ! それから俺より先に死ぬな!」
亭主関白じみたことを言って威張りながら、オチでほろっとさせようという……下手くそな台詞だな><;
トキはわざとらしくバックハグ。その熱演すらもう虚しい。
風太の台詞はさだまさしの『関白宣言』が半分。残りの半分が『おんな城主直虎』の直虎と龍雲丸のやりとり。このふたつを雑に組み合わせただけみたいなんですよね。なんちゃってコスプレ昭和初期と、幼稚な平成の悪魔合体ッス。
すでに消化試合じゃないですか
さて、時間はすでに残り3分を切りました。
ここで駆け足気味に、ラジオがいい宣伝になって客足が増えたと説明しながら、藤吉も戻って来ます。
てんは突然「これからはラジオと喧嘩せんと、仲良うしていきましょう」とはっぱをかけ、風太とトキが結婚する宣言もあり、皆で盛り上がります。
とりあえず、つまらないツンデレラブコメ劇場が終わったのはよいことです。
結婚後は、万丈目夫妻の劣化版みたいな、どつきカップルになりそうで、今から怖いですが……。
さらにはお約束の「ございますぅ~」的なナレで今週が終わります。
スカスカの中身のない話を、落語家役の熱演でなんとなく誤魔化すパターンを、何の恥ずかしげもなく三回もやりました。
手抜きもここに極まりました。すでに消化試合じゃないですか。
文鳥(わろてんか40話あらすじ感想(11/16))
団真(わろてんか66話あらすじ感想(12/16))
今日のマトメ「放送局とてんの交渉が見たかった」
今週は吉本興業の歴史としてはかなり重要、かつ盛り上げられる部分でした。
放送局との交渉をきちんと描けば、てんの成長も見られたはず。
藤吉が入院中で苦しい中、放送局ときっちり交渉する姿を描いたら、もっとマシだったはずです。
風太とトキのラブコメなんか一切不要でしょう。
それにしても……先週も今週もオチは「一層盛り上がる寄席」ですが、それを最終の土曜に一分未満でチラッと映すだけ。
何のドラマなんでしょうか、これ。
てんが交渉すればいいと書きましたが、今後も難しいと思います。
今日、てんが喋った台詞は以下の通り。
「へ?」
「へえ、また頑張っていきましょう」
「これからはラジオと喧嘩せんと、仲良うしていきましょう」
なんすか、これ?
こんな台本、主役によく渡せますよね。
序盤はもうちょっと喋っていたと思いますが、もう人形レベルの存在感。
ニコニコと貼り付けたような笑顔がアップになるばかりで、演技もしていませんし。
一体このドラマに何が起こっているのでしょうか。
著:武者震之助
絵:小久ヒロ
【参考】
NHK公式サイト
主役?のわかなさん?
CMはイキイキしてかわいいのに、つまんないドラマに出て、
お気の毒。
毎日お疲れ様です。もう先週くらいから脱落してるので、こちらで話の展開だけ追ってます。
この作品ってもしかして9月まで続くんですか?
長っ!今後どうするんでしょうか。この盛り上がらなさ、民放なら打ち切りコースですよね。
「死神」って演目のサゲって演者がガクって倒れておしまいですよね?
ラジオじゃ倒れても見えないし、最後死んじゃったら聴いてて楽しい噺じゃないと思うんですが。
どっちかっていうとシリアスなオチですもんね。
藤吉一人に聴かせるんだったらアリな選択なんでしょうが、ラジオの前の一般の人がこれ聴いて寄席にも行ってみたいって思いますかね?
実際の春団治はもっと賑やかな、酒の席での大騒ぎを演じる噺をやったみたいですが。